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中小企業のチカラを引き出すクラウド:女子学生が創業した老舗ベンチャー、Office 365 で 30 年分の紙文書をペーパーレス化

都内を中心に IT 運用サポート業務を展開するコスモピアは、情報共有の仕組みを Office 365 で整備し、創業以来 30年にわたって保管してきた大量の書類を「ペーパーレス化」した。代表取締役 田子 みどり 氏は「クラウドの利用は会社に新しい息吹を与えた」と話す。

<導入の背景>

コスモピア
代表取締役
田子 みどり 氏

「難しい科学技術をなるべく分かりやすく人々に伝えたい」。1983 年 4 月、女子学生たちがそんな思いで立ち上げた企業がコスモピア (東京都千代田区) だ。今年でちょうど 30 周年を迎える同社は、IT システムの導入、運用に関するサポート業務や、科学教育書籍の出版など幅広い事業を展開している。

そのうちメインの事業と言えるのが、顧客企業で IT システムの運用サポートなどを行うサービスだ。現在では 20 人の本部スタッフのほか約 1200 人の登録スタッフを抱え、都内を中心とする多くの顧客企業に常駐サポートを提供している。

「きめ細やかなサポート サービスを提供する上では、スタッフの IT 関連の知識に加え、話す・聞く・書くといったコミュニケーション能力が欠かせません」と話すのは、コスモピアの田子 みどり 氏。従業員の 9 割以上を女性が占めるという同社では、顧客企業の課題に深く寄り添うようなサポート サービスを心掛けてきたという。

そうして順調に事業を拡大してきたものの、1 つの課題になっていたのは大量の書類の扱いだ。30 年間にわたって作成された人事関連などの書類は社内の共有書棚に収まらず、従業員の机などいたるところで個別に保管されている状況だった。「女性スタッフが中心なので整理整頓されていたとはいえ、長年ため続けた書類はスタッフの机の上下を問わずいっぱいになっていました」と田子 氏は振り返る。

スタッフの机下の段ボール箱などに保管された書類の管理は、人それぞれだった。版の管理や分類などはスタッフによって違うため、情報共有の妨げとなるリスクもあった。だが「危機感は感じていなかった」と田子 氏は振り返る。

<導入の成果>

こうした状況を変えるきっかけとなったのは、奇しくも 2011 年 3 月に発生した東日本大震災だったという。

震災とともに東北地方を襲った大津波は、現地企業の持つ多くの書類やコンピューターを奪った。「次なる災害でもし自社が被災したら、多くの書類が失われて業務を行えなくなってしまうのではと、非常に大きなリスクを感じました」 (田子 氏) 。この日を契機に、同社のペーパーレス化に向けた挑戦が始まった。

<新オフィスでペーパーレス化を実現>

震災以降、同社は業務でなるべく紙を使わないペーパーレス環境の構築に向けて動き始めた。社内に特命チームを作ったほか、外部の企業にも依頼して現状分析を実施。2012 年 1 月には書類の 「大処分大会」を行い、スタッフが個別で保管していたものを含む大量の書類を処分した。

同年 3 月には、本社オフィスを東京・青山から東京・半蔵門へと移転。これに合わせて導入したシステムが、日本マイクロソフトのクラウド型グループウェア サービス「Office 365」だ。サービス選択に当たっては、同社のシステム構築を長年支援してきたダンクソフト (東京都中央区) の推薦を受けたほか、田子 氏などが自ら日本マイクロソフトの品川オフィスを見学し、デスクにとらわれない働き方を支援する Office 365 に決めたという。

導入による効果は既に表れている。電子メールや予定表をクラウド上に集約したほか、社内の情報共有も SharePoint Online の 「チーム サイト」機能で行うようになった。こうした一連のペーパーレス化により、オフィス スペースを旧オフィスと比較して 25% 削減したほか、オフィス賃料も 50% 削減。カラー コピー機やプリンター/複合機の台数も、従来の 2 台から 1 台に削減できたという。

クラウド導入に合わせ、フリー アドレス制度も導入した。今ではスタッフ同士のコミュニケーションは、主に Lync のインスタント メッセージ機能で行っている。「オフィス移転でスペース自体は小さくなりましたが、作業時のスペースはむしろ広く取れるようになりました」「今では私のイスも撤廃し、業務進捗が気になるスタッフの近くに座るようにしています」と田子 氏は話す。

さらに、クラウド導入によりマネジメントスタッフも在宅勤務が可能になった。女性スタッフが多くを占める同社では、子育てと仕事を両立したいというニーズが高かったという。また、災害時のリスクを考慮し、スタッフが出勤しなくても自宅で作業できるようにする狙いもある。同制度は現在マネージメント層のみに展開しているが、今後は一般社員にも広げていくとのことだ。

「今の課題は、スタッフ 1 人 1 人のリテラシー向上です」と田子 氏。Office 365 の活用状況による社員同士の "情報格差" をなくすため、導入後は 1 か月に 1 回のペースで社内研修を開いている。また、文書ファイルをクラウド上のどこに保存するかといった運用面でも、自社ならではの最適なやり方を模索しているという。

また、同社のスタッフがツールに習熟するのと同時に、Office 365 側がアップデートを通じて日々進化していることも感じているという。「導入時と比べると、気付かないうちに改善されている点があったりと、自分たちだけではなく Office 365 も一緒に成長している感覚があります。子育てと同じような感じですね」と田子 氏は笑う。

<今後の展開>

さらに今後は、こうしたクラウド導入および活用のノウハウを、新たな社外向けサポート ビジネスとして展開する予定もあるという。

「Office 365 の利点は、大きなコストをかけることなく経営のイノベーションを図れる点だと思います」と田子 氏は話す。同社は今後も Office 365 の活用を進め、自社内外の "クラウド化" を促進していく考えだ。

旧オフィス (左) と新オフィスの様子。Office 365 でフリー アドレスも実現した

旧オフィス (左) と新オフィスの様子。Office 365 でフリー アドレスも実現した

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