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導入事例

 様に導入

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姫路市教育委員会

 様に導入

市内すべての小中学校に、グループ学習での利用を主な目的として Windows 8 タブレットを導入
まちづくりの一環として、小中一貫教育と連携した ICT 整備を目指す

写真:姫路市立総合教育センター

姫路市立総合教育センター

姫路市教育委員会では、市内の小中学校すべての普通教室に電子黒板と書画カメラ、指導者用ノート PC とともに、主にグループ学習での活用を想定した児童生徒 4 人に 1 台の Windows 8 タブレット (1,386台) を整備し、小中一貫教育と連携した取り組みを推進しています。姫路市では、市全体として ICT をどのように活用していくかを教育委員会が行政とともに考え、長期的な視点で教育の情報化施策を行ってきました。モデル校による児童生徒 1 人 1 台の情報端末ではなく、あえて児童生徒 4 人に 1 台の端末を全市展開することで、義務教育を受ける子どもたちに一貫した ICT 環境を整備するというのが、姫路市の考え方です。

<導入の背景とねらい>
行政の総合計画の観点からも
魅力ある教育の創造を目指す

姫路市総務局総務部
情報政策課
マイナンバー制度・
最適化担当
係長
原 秀樹 氏

姫路市では、2008 年度に市独自の教育改革構想として「魅力ある姫路の教育創造プログラム」を策定し、行政が学校教育を下支えする制度やしくみの再構築に取り組んできました。また、姫路市では、2009 年に市の総合計画「ふるさと・ひめじプラン2020」を策定しましたが、この策定段階で教育施策が重点的に取り組むべきテーマの一つであることに気付いたと、当時、総合計画策定担当であり、ICT導入を行ってきた姫路市総務局総務部 情報政策課 マイナンバー制度・最適化担当 係長の原 秀樹 氏は話します。

「総合計画では、人口の急激な減少を回避し、可能な限り人口を維持するための方策に取り組み、『生きがいと魅力ある 住みよい都市 姫路』という都市像を目指しています。計画策定前に実施した市民 1 万人を対象にしたアンケートの結果、医療や福祉とともに、学校教育の内容や環境にニーズがあることがわかりました」。

学校教育の魅力を高めることが定住化促進策につながると考えた姫路市では、総合的な教育改革推進を掲げ、ICT 導入を進めてきました。また、2010 年に開設した姫路市立総合教育センターを核として、学校・教職員の支援を充実するとともに、保護者や市民に対して、教育改革の取り組みに関する積極的な情報発信も行っています。

校務の情報化、および子どもたちの情報活用能力育成が大きな課題であった姫路市では、「ICT を活用した質の高い教育を支える環境の整備」と「教職員の ICT 活用能力の向上」を目指しています。「単純に機器を導入するのではなく、市全体として ICT 活用をどのように行っていくかを決める必要があると考えました」と話す原 氏は、教育の情報化を体系立てて、小中一貫教育の中で活用することが重要だと話します。

「書画カメラや大型ディスプレイ、指導者用の PC は小学校普通教室に整備されていましたが、中学校普通教室には整備されていませんでした。情報活用能力を向上させるためにも、9 年間を通して一貫した学習環境が必要です。また、学校によってソフトウェアの環境が異なるため、異動した先生が以前と同じ作業ができないなどの問題もありました。校務と教育の両面でベースとなる ICT 環境を整備し、先生や児童生徒が同じ環境を使えるようにしなければならないと考えました」 (原 氏) 。

姫路市のすべての小中学校では、普通教室の ICT を使った協働学習を行うため、大型ディスプレイ、書画カメラ、教師用ノート PC、教師用 Windows 8 タブレット、4 人に 1 台ずつの児童生徒用 Windows 8 タブレットが整備されています。

<導入の経緯>
すべての小中学生が同一の ICT 環境で学習できるように
4 人グループで 1 台の Windows 8 タブレットを利用

姫路市教育委員会
姫路市立総合教育センター
教育研修課
研修企画・ICT係
係長
柳井 克文 氏

姫路市教育委員会
姫路市立総合教育センター
教育研修課
研修企画・ICT係
指導主事
井上 幸史 氏

姫路市教育委員会では小中学校すべての普通教室に書画カメラと大型ディスプレイを整備し、指導者用ノート PC として Windows 8 Enterprise を搭載した富士通製「LIFEBOOK A573/G」を 1,432 台導入。さらに児童生徒用のタブレットとして Windows 8 Enterprise を搭載した富士通製「STYLISTIC Q702/G」を 1,386 台導入しました。

今回導入した児童生徒用の Windows 8 タブレットは、主に協働学習での利用を想定し、4 人に 1 台の割合で整備しました。40 人学級に対して児童生徒用 10 台と教員用 1 台の計 11 台を 1 セットとして、各校に配備し、大規模校には 2 セット分を配備しています。教員は、自分のタブレットで児童生徒の学習状況を把握し、必要なものを大型ディスプレイに表示させたり、児童生徒用のタブレットに資料や教材を送ることが可能となります。また、グループでまとめた意見を発表したり、調べ学習に活用するなど、児童生徒のプレゼンテーション能力の向上につながる学習活動を推進できます。

1 人 1 台ではなく、4 人に 1 台の端末にした理由を原 氏は次のように説明します。「姫路市の小中学生全員に 1 台ずつ、約 4 万 7,000 台整備するのは財政的にも非常に厳しいものがあります。それに見合った効果を本当に上げることができるのか。モデル校で試験的に 1 人 1 台の環境を作っても、全市展開し、すべての子どもたちが 1 人 1 台の環境を享受できる時期を保証できないとすれば、それは行政として無責任ではないかと感じました。国の補助事業ではなく、姫路市の単独予算として行う事業であるからには、姫路の子どもたち全員に、同じ学習環境、学習機会を提供したいと考えました」。

しかし、コストの問題だけでなく、4 人に 1 台の協働学習には、教員や児童生徒にとっても良い効果があるという判断もありました。

「長年培った指導技術を持っている教師が、急に児童生徒全員が 1 台ずつタブレットを持っている環境で授業に取り組もうとしても難しいと考えました。4 人のグループ学習なら取り組みやすく、どの教科の教師にも ICT 活用の良さや効果をわかってもらう最初のキッカケとなると考えました。実際に、先生方自らが興味を持って積極的に授業に取り入れていますし、いったんグループ学習での ICT 活用に慣れれば、1 人 1 台環境へのステップ アップにも対応できると思います」と原 氏は話します。

また、姫路市教育委員会 姫路市立総合教育センター 教育研修課 研修企画・ICT係 係長の柳井 克文 氏も、児童生徒にとっても 4 人に 1 台が良かったと話します。「ノート PC の場合は、操作をしている子どもが 1 人になってしまう場合が多いのですが、Windows 8 タブレットなら複数の子どもたちがさまざまな意見を交わしながら操作できます。授業で使っている姿を見るにつれ、タブレットは 1 人 1 台ではなく、協働学習で使うことで特長を発揮する端末だという認識が強くなっています」。

iOS や Android ではなく、Windows 8 を選択した理由の 1 つは管理面です。

「セキュリティ面を考えると Windows 8 だと考えました。PC 教室の PC や校務用の PC もすべて Windows PC なので、管理するための環境や Microsoft System Center などのツール類をそのまま使えるということも大きな選択理由です」と原 氏は話しています。また、これまで使い慣れた Office で作成した資料や教材などの資産をそのまま使えることも大きなメリットです。

「校内の端末の OS を統一したことで、PC 教室や校務用 PC と連動した活用ができるとともに、これまでに作成した教材を継続して活用することができます。また、総合教育センターの配信用コンテンツも継続して使えるため、他の OS を導入した場合と比べ導入後の手間とコストを削減できたと思います。さらに、Windows 8 タブレットであれば、職員室や PC 教室の端末と同じように扱えますが、OS が違えば、先生方の操作感も変わって、能率が下がってしまうことも懸念しました」と姫路市教育委員会 姫路市立総合教育センター 教育研修課 研修企画・ICT係 指導主事の井上 幸史 氏は話してくれました。

教育機関向け総合契約 (EES) も原 氏は高く評価しています。「マイクロソフトに提案されて利用し始めたのですが、パソコン整備などの情報化にかかる将来的なトータル コストを下げたいと考えたときに、パソコン台数ではなく教職員の人数で計算するEES は非常に有用でした。これまで利用していたソフトウェアのコストも、ライセンス体系を見直すことで抑えることができました」。

Windows 8 タブレットを協働学習で使うことで、児童の表情が活き活きとし、学習能力だけでなく、児童間のコミュニケーションも活性化しています。


教師が Microsoft Word などで作った教材を指で触れ、顔を寄せ合って話し合いながら、学習していきます。

<導入効果>
コミュニケーションを活性化させ
Office 365 による取り組みも開始

姫路市立 南大津小学校
教諭
平野 武史 氏

2013 年 12 月に Windows 8 タブレットをはじめとする ICT 機器を導入した姫路市では、学習効果が向上しただけでなく、子どもたちのコミュニケーションが活性化され、楽しく活き活きと学習できていると言います。姫路市立南大津小学校教諭の平野 武史 氏は、実際の授業を次のように話します。「情報を集めたり、まとめたりする学習段階で Windows 8 タブレットは非常に効果があることを実感しています。授業を行って最も感じるのは、児童の教材に対する意欲が非常に大きくなったことですね。4 人で 1 台のタブレットを使いながら、友達と言葉のやり取りや対話が自然と生まれ、操作を教え合ったりしています」。従来の授業に比べ、Windows 8 タブレットを使うことで児童同士が操作しながら話し合ったり、画像を使ったり、大型ディスプレイに掲示したりするようになり、わかりやすい授業が行えるようになっています。また、11.6 インチの少し大きめのタブレットであることも、協働学習に適していると言います。

平野 氏は、たとえば、社会科では子どもたちに、浄水場の複数の写真を見せて、どのような過程で水がきれいになっていくかをタブレット上の写真を並べ替えて考えさせる授業なども行っています。最初に紙に書いて自分の考えを整理し、4 人のグループで 1 台のタブレットを囲んで写真の順番を議論し、グループごとにその理由を発表させるという授業について、井上 氏は、「一斉学習、協働学習、個別学習の教育の学習ビジョンを授業にどのように組み込むかがよく考えられています」と評価します。「Windows 8 タブレットをはじめとする ICT 機器の導入は、教師が自分の授業を見直す契機になっていると思いますね。ICT を活用した授業の実践後には、機器の操作についてではなく授業作りについての意見交換が積極的に行われています。"ICT 機器の効果的な活用" という視点により、教科を問わず授業の検証や考察が行いやすくなり、授業改善の流れが今後も活発になっていくと思います」 (井上 氏) 。

Microsoft Office 365 を使った取り組みも行われています。以前は、校務用サーバーを立ててファイル サーバーとして利用していましたが、サーバーの管理が課題となっていました。秘匿性の低いファイルなどをどこからでも利用でき、USB メモリーを持ち歩くよりもセキュリティ面で安心なクラウド サービスとして Office 365 に注目し導入。その後、さまざまな機能を使っているうちに教育活動に使えると考えたと言います。まだ試験的な導入ですが、 Microsoft Lync を活用して、遠隔地の他校にいる ALT (Assistant Language Teacher) が授業を行う取り組みなどが実際に行われています。また、自宅学習の課題を OneDrive 上に置いたり、課外授業でタブレットを持ち出して写真を撮り、教室で写真を見ながら授業を行うなど、将来的にはさまざまな活用を考えているようです。

「1 年弱のプロジェクトでしたが、勢いを持って行えたのは、学校教育に ICT を活用し、姫路の教育の魅力を高めることが、まちづくりにとって非常に大切なものだという理解が行政にあったからだと思います」と原 氏は話します。「我々の取り組みを積極的に発信することで、必ず効果が出てくると思います。遠方から播磨地域に引っ越される方が、教育が充実している姫路を選んだというお話を何度か聞いたことがあります」。

<今後の展望>
段階的に台数を増やして
将来的な 1 人 1 台環境も目指す

「Windows 8 タブレットを、Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM) で管理することが将来的な課題です」と言う井上 氏は、校務用 PC などと同様に、Windows 8 タブレットを SCCM で管理し、資産管理とウイルス対策を一元的に行って、稼働監視や更新プログラムの一斉適用なども行っていきたいと話します。

また、Microsoft Desktop Optimization Pack (MDOP) の Microsoft Application Virtualization (App-V) も活用しており、アプリケーション コストの削減に効果を発揮しています。「仮想デスクトップとしてアプリケーションを配信できる App-V は非常に便利です。ライセンスを教育委員会が持ち、必要なときに配信して使うことで、費用を節約できます。また、ライセンスをしっかり管理することで、校務や教育用の端末は公的な端末であるとの認識とともに、適正な運用に関する考え方を浸透させたいと思っています」 (井上 氏) 。

姫路市教育委員会では、段階的に台数を増やし、必要なときに 1 人 1 台を使えるようにする「みなし 1 人 1 台」を経て、完全な 1 人 1 台の端末提供を目指す予定です。「検証しながら少しずつ Windows 8 タブレットを増やし、まずは、『みなし 1 人 1 台』を目指します。台数が増えることで、ネットワーク負荷も増えていくため、インフラの整備、ライセンスやコストの見直し、サーバーの仮想化、クラウド サービスの利用拡大など、課題は数多くあります。今後も魅力ある姫路の教育創造プログラムをベースに、教育に必要な ICT を総合的に鑑みながら整備していく必要があります」と話す柳井 氏。井上 氏も、「将来的に学校の施設全体で 1 人 1 台に適した環境は何かを考える必要があります。また、端末自体もどのように進化していくかを見ていく必要がありますね。これからは、我々もタブレットならではの長所を研究し、学校だからこそできる発想を吸収して、無理のない範囲でステップアップしながら、活用を推進していきたいと思います」と話してくれました。

姫路市教育委員会では、今後も未来を担う子どもたちのために教育の情報化を推進し、小中一貫教育と連携した多様な学習活動を展開していきます。

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