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導入事例

 様に導入

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  • 効率化
  • 最適化
  • コスト

相模原市

 様に導入

オープンなプラットフォームを採用してベンダー ロックインを回避。Microsoft Lync などがシームレスに連携する情報共有基盤で、庁内業務の効率化をサポート

写真: 相模原市

相模原市

2010 年に政令指定都市に移行した相模原市では、移行に伴う業務の増加やさらなる市民サービス向上に向け、2011 年からメールやポータル サイトなどの情報共有環境の刷新を計画。庁内システムのオープン化を志向していた同市では、かねてからの課題であったベンダー ロックインを回避するために多くのパートナーが等しく入札に参加できるオープンなプラットフォームの検討を重ね、2012 年 10 月に、Windows Server や Exchange Server、SharePoint Server、Lync Server などのマイクロソフト製品の採用を決定。当初想定を大きく下回るコストで、運用効率の最適化から BCP への対応まで、望む機能をすべて備えた "情報共有基盤" を実現させています。

<導入の背景とねらい>
過去 10 年にわたって活用してきたシステムを脱ぎ捨てて、
システムのオープン化を推進

写真: 菱山 茂章 氏

相模原市
企画財政局
企画部 参事(兼)
情報政策課 課長
菱山 茂章 氏

写真: 菊地 満広 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主査
菊地 満広 氏

相模原市は、1954 年の市制施行時には約 8 万人の人口を数えるに過ぎませんでしたが、東京、横浜の双方に約 1 時間でアクセスできる利便性から急速にその数を伸ばし、1987 年には 50 万人を突破。さらに現在では 70 万人を超える規模に成長しています。

市の成長に伴い、IT への取り組みも積極性を増しています。さらなる人口増加に備え、市民サービスの一層の充実を期す相模原市は、脱ホスト コンピューターを積極的に推進。2017 年度までに庁内システムのすべてをオープン化する取り組みが続けられています。その一環として 2013 年 4 月には、職員の業務をサポートする各種情報共有システムを一新。過去 10 年にわたって活用してきたグループウェアとメール、そしてファイル サーバー環境を捨てて、まったく新しい "情報共有基盤" の活用を開始しています。

相模原市が、"情報共有基盤" を刷新するにあたって、オープン化を前提とした背景には、次の 3 つのねらいがあると、市の企画財政局 企画部 参事(兼)情報政策課 課長 菱山 茂章 氏は言います。

  1. ベンダー ロックインの回避
  2. 運用保守の効率化
  3. 24 時間 365 日の可用性

「最大のテーマとなっていたのが、ベンダー ロックインの回避でした。大切な予算を最善の形で活かしていくためには、ベンダー ロックインを逃れて、自由度の高い入札を行う必要がありましたから。そして、運用の効率化。従来は、グループウェアやメール システムがバラバラに存在しており、人事異動の際に発生するアカウント変更の膨大な手間を解消することが重要でした。そして、可用性の問題。たとえば災害時には市民の安全確保のためにも、私たち職員は常に登庁して業務にあたれるように備えておく必要があります。そうした時、肝心のシステムが稼働していないのでは問題になりませんからね。」(菱山 氏)

こうした諸条件を前提として、2011 年 10 月から次期情報共有基盤の検討を行ってきた相模原市が、オープンなプラットフォームとして選択したのが、Windows Server をはじめとするマイクロソフトの製品群でした。

<導入の経緯とシステム概要>
綿密に作成した仕様書に基づき
高品質なシステム環境を、低コストに実現

写真: 原 直行 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主任
原 直行 氏

写真: 廣瀬 厚太 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主任
廣瀬 厚太 氏

「相模原市では、入札 (2012 年 6 月実施) に万全を期すために、従来よりも詳細な仕様書を作成して備えていたと、当時システム構築計画を担当した同 情報政策課 主任 原 直行 氏は振り返ります。
「今回、マイクロソフトの製品群を活用することだけを決めて、後はどのようなパートナーでも受け入れられる、オープンな仕様書を作成しました。しかし、このような調達は市でも前例がないため、その内容には慎重を期しました。単に価格だけの勝負にならないように、仕様を深く掘り下げて、細かく定義しました。」

この仕様書に基づく入札は成功をおさめ、予定価格よりも低い金額に収まったと、同 情報政策課 主査 菊地 満広 氏は説明します。
「今回構築した情報共有基盤では、メール アカウント数が以前の 7 倍近くに増えただけでなく、個々のメール ボックス容量もはるかに増えています。さらにファイル サーバーの容量も 3 倍近くに増えました。グループウェアを使ったポータル サイトも自由度を増しており、今後の運用がはるかに楽になります。これだけの違いがありますので、当初は従前環境よりも高価になると予想していたのですが、実際にはほとんど変わらない金額に決まりました。これは非常に大きな成果であったと思います。」
相模原市では従来、外部とのやりとりに用いる E メールについては原課に 1 台ずつ設置された庶務担当用の PC で、共有のアドレスを使って送受信するという運用を行っていました。そのアカウント数は約 700。しかし、市民や民間業者との連絡を行うには不便が多く、「メール アカウントを増やしてほしい」という要望が絶えなかったと言います。
そこで、今回の情報共有基盤構築に際しては職員全員に外部連絡用のメール アドレスを提供。そのアカウント数は約 4,700 に及んでいます。

このメール システムには Microsoft Exchange Server が、各職員の利用するメール クライアントには、Microsoft Outlook が活用されています。
さらに、既存グループウェアに変わり、ポータル サイトや掲示板を提供する機能は、Microsoft SharePoint Server によって実現。加えて、Microsoft Lync Server と連携することで、常に全職員のプレゼンス (在席情報) を確認できるようになっています。そのため、赤、黄、緑などのランプで示されるプレゼンス表示を確認し、相手がオンラインであれば インスタント メッセージを、離席中や会議中であればメールを送るといったように複数のコミュニケーション手段を選択できるのです。

これだけの環境を実現しながらも、コストを大幅に削減できた背景には、Windows Server 標準の仮想化技術である Hyper-V を活用し、サーバー ハードウェアにかかるコストを削減できた事実があります。相模原市では、4 台のサーバーを仮想化し、その上に 27 台の仮想マシンを稼働させていますが、サービスイン後、大きなトラブルは何もないと言います。

<導入効果>
自由な発想による Lync 活用で
庁内コミュニケーションが活性化

写真: 上甲 弘志 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主任
上甲 弘志 氏

写真: 成澤 正成 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主任
成澤 正成 氏

相模原市における新しい情報共有基盤活用のメリットは多岐にわたると、担当者は声を揃えます。昨年まで別の業務を担当し、情報共有環境にはエンド ユーザーに近い視点で接していた同 情報政策課 主任 成澤 正成 氏は、今回の情報共有基盤について、次のように評価しています。
「職員は、Word や Excel などのマイクロソフト製品の操作には馴染みがあります。Outlook に関しても、庁内で操作したことはなくても、自宅の PC などで使っている人の方が多いと思います。ですから、今回 10 年にわたって使ってきたグループウェア環境を捨てて、Outlook や SharePoint に切り替えたのですが戸惑いは少ないと思います。事実、庁内の操作研修では詳しく説明しなかった製品も、かなり活用が進んでいます。」

成澤 氏が話す「研修では詳しく説明しなかった製品」が、Microsoft Lync であり、今回の導入において予想をはるかに超える反響が生まれている要因のひとつだと、原 氏も笑顔で説明します。
「Lync はインスタント メッセージ、いわゆるチャットや在席確認 (プレゼンス) を行えるツールなのですが予想以上に浸透しています。実際、休憩時間など職員の集まる場所にいると『●●さんも忙しいみたいだね。Lync のランプが赤になっているんだよ』といった会話が耳に入ります。やはり在席確認ができるのは便利ですし、インスタント メッセージであれば、メールのように文面に悩まずに、手短に質問を送ることができます。テンポの良いコミュニケーションが行える点が職員に評価されているのだと思います。」

菱山 氏も、Lync のプレゼンス機能が、日常業務に役立っていると続けます。
「まず、私たちの情報政策課のメンバーの一部が市役所庁舎の別棟にいるのですが、用事があって行っても、肝心の相手がいないということが、しばしばありました。それが、プレゼンス確認ができるようになってからは空振りもなくなり、業務がスムーズになったと思います。上司である部長や局長も、ほかの棟に席がありますので、事前にプレゼンスを確認できるのは非常にありがたいですね。」

インスタント メッセージ については、メールよりも気軽に送信できるため、「私的な会話が横行するのでは?」ということを心配して、細かい運用ルールを策定するという話も聞きます。しかし、相模原市ではあまり細かいルールは設けずに、職員の自発的な利用に任せています。このことも庁内への浸透に役立っているのではないか、と菊地 氏は話します。
「庁内で研修を行った際に、一番反応があったのが、この Lync でした。Lync は実際に使ってみなければ、その利便性を実感しにくい製品なので、まずは細かい制限を設けずに、最低限のマナーを守ってもらうことを前提として、自由に使ってもらったのです。その成果が出たのだと思います。」

活用の一例として、Lync の画面に表示される「本日の予定やメッセージを入力してください」という欄を活用し、「今日は終日出張です」といったように、日々の予定などを的確に共有している職員も見受けられると言います。
「私たちも、導入前はここまで Lync が浸透するとは思っていませんでした。予想外ですが、うれしい反応です。」(菊地 氏)

Active Directory による集約管理で
人事異動に伴う移行も、わずか 1 時間で完了

写真: 佐藤 仁 氏

相模原市
企画財政局
企画部
情報政策課 主事
佐藤 仁 氏

多くの効果を生んでいるのは、もちろん Lync だけではありません。Exchange Server と SharePoint Server、そして Lync Server へのアクセス権限は Active Directory で構築された認証基盤によって一元的に管理されており、人事異動の際にも「ほぼボタン 1 つで移行作業が完了するようになった」と、ネットワークやセキュリティなどを担当する同 情報政策課 主任 廣瀬 厚太 氏と主任 上甲 弘志 氏、そして主事 佐藤 仁 氏は、その成果の大きさを説明します。

「従前の環境ではポータルへのアクセス権限の移行だけでも、人事から受け取ったデータを 2 ~ 3 日かけて精査した上で、4 月 1 日にはシステムを止めて、外部の SE に依頼して実装していました。時間もお金もかかっていたのですが、今は 3 月 31 日に人事システムから抽出した CSV ファイルを読み込んで、ボタンをワンクリックするだけです。私自身の作業としてはせいぜい 5 分。後はデータの反映に 1 時間ほどかかるだけです。その間、システムを止める必要もありません。劇的な変化です。」(佐藤 氏)

「このことは、メールや Lync にも共通していて、ボタン 1 つでメール ボックス作成や Lync の登録まで完了するようになっています。以前は、各課の共有 PC に、メールがローカル保存されていましたので、人事異動処理のたびにファイアウォールに穴を開けてメール データを別の PC に移行させるなど、2 重 3 重の手間がかかっていたのですが、今はその手間もありません。すでに 2013 年 4 月と 10 月に 2 度の人事異動処理を経験しているのですが、とても大きなメリットを得られたと思います。」(廣瀬 氏)

さらに上甲 氏は、24 時間システムを止めずに済む環境が実現できたことも、新情報共有基盤構築の大きなメリットであると続けます。
「以前のシステムでは、ディスク トゥ テープのデータ バックアップを行っており、この処理のために夜間はシステムを停止させていました。これは、BCP の観点から見ても望ましい状態ではありませんでした。しかも、データ量が膨らんだために、朝の予定時刻になってもバックアップが終了していないこともありました。新しい情報共有基盤では、システムを停止させることなく、ディスク トゥ ディスクでバックアップを作成し、バックアップ先のディスクから、後でゆっくりとテープへの書き出しを行っています。毎週バックアップ状況を確認していますが、まったく問題は起きていません。」

上甲 氏はまた、Hyper-V によるサーバー仮想化も、BCP (業務継続計画) の実現に貢献していると言います。
「相模原市の ICT-BCP は、2014 年度中に策定する予定ですが、その前段階として情報共有基盤が、"24 時間 365 日稼働できる" 状態に進化したことは重要です。さらに、多くのサーバーを仮想化していますから、万一障害が発生した場合でも、別の仮想マシンに同一のイメージを展開するだけで復旧が可能になります。こうして復旧までの時間を短縮できることも、非常に重要なポイントだと思います。」

<今後の展望>
オンライン会議や部門ポータルの作成など
今後の活用によって、さらなるメリットを

1 年近い運用の中で、相模原市が導入した新しい情報共有基盤はすでに数多くの成果を生んでいます。しかし、今後の運用によって、さらにそのメリットは増していくだろうと、菱山 氏は言います。
「外部連絡用のメール アカウントが全職員に支給されたことで、ほとんどの職員に満足してもらっています。さらに、Outlook のスケジュールが色分けできるので見やすくなったとか、同じ画面から庁内の会議室予約が行えるので便利になったという意見もいただきました。さらに Lync のような新機能も追加されて、庁内コミュニケーションがきめ細かくなりました。ポータルに関しては、今後 SharePoint Server の機能をフルに活用して、部門ポータルなどを順次構築していきたいと思っています。庁内で使い込んでいくほどに、実感できるメリットは増えていくのではないでしょうか。」

庁内のポータル サイトでは、常にさまざまな情報が開示されています。しかし、たとえば防災情報をまとめたサイトなどを新たに作成しようと思っても、従来は外部業者に作業を依頼する必要がありました。しかし SharePoint Server であれば、職員自身の手で簡単なページや、部門ポータルを比較的容易に作成することが可能になっています。相模原市ではこの点を高く評価し、今後の運用の中で、ポータル サイトの機能を拡張させていく予定であると言います。
また SharePoint Server のアンケート機能も、従来にはなかった便利な機能として徐々に浸透してきていると言います。
「これまでも『改善提案』など、職員向けのアンケートは行ってきましたが、利用していた電子申請システムに課題があり、投票する側にとっても、集計する側にとっても、面倒な作業となっていました。しかし今年は SharePoint のアンケート機能を活用したおかげで、投票も集計も簡単に完了しました。おかげで投票率も伸びたのです。これをほかの部署にも説明して回ったところ、今後の活用に向けて非常に前向きな反応をもらいました。」(菱山 氏)

そして、Lync を活用したオンライン会議の導入も、視野に入っていると菊地 氏は言います。
「オンライン会議に関しては、市民相談の窓口となっている部署などから相談を受けています。各区役所などの窓口には、市民からのさまざまな相談や問い合わせがありますが、その中には、本庁の部署を案内する必要がある案件もあります。そこで、オンライン会議のシステムを導入することで、市民が本庁まで足を運ぶ手間を省けたらと考えています。ここでの活用がうまくいけば、さらにオンライン会議の需要は増えるでしょう。」

最後に菱山 氏は次のように締めくくります。

「今回の情報共有基盤構築による最大の成果は、ベンダー ロックインを回避することができたという点にあります。限られた予算枠の中で、市民サービスの一層の充実を図るためには、重厚長大なシステムではなく、できる限りオープンなパッケージを活用して、迅速かつ低コストに成果を上げていく必要があります。その点、今回はマイクロソフトの製品群を活用して、ハードウェア メーカーもシステム構築ベンダーも縦横に選定できる自由を得ることができ、全庁オープン化への大きな一歩を踏み出すことができました。今後も、相模原市として積極的にオープン化へ取り組んでいきたいと思います。」

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