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導入事例

 様に導入

鹿児島市教育委員会

 様に導入

過去のタブレット デバイス導入で生まれた課題を、Surface Pro 3 の持つ優れた携行性と堅牢性が解消。ワイヤレス ディスプレイ アダプターとも連携した「容易に扱える環境」の整備により、教育における PC の活用シーンが大幅に増加

写真:鹿児島市教育委員会

鹿児島市教育委員会で ICT 環境の整備を行う鹿児島市立学習情報センター

九州の南端に位置し、西郷隆盛や大久保利通といった明治維新の立役者を多数輩出したことで有名な鹿児島県鹿児島市。同市の教育を管理する鹿児島市教育委員会では、教育現場の ICT 環境を整備するべく、1987 年という非常に早い段階からその支援を行ってきました。

同市における教育現場の ICT 活用は、2009 年に文部科学省から提唱された『スクール・ニューディール構想』をきっかけにさらに加速し、同年には全小中高等学校の普通教室へ、大型デジタル テレビと書画カメラ、操作用ノート PC、無線 LAN 環境が整備されました。

さらに 2015 年には、全中学校のコンピュータ教室のデバイスを、従来のデスクトップ PC から 2 in 1 タブレット デバイスへリプレースすることで、PC をより多様な目的や場、教科で活用できる環境の整備を実施。優れた携行性と堅牢性が評価されデバイスに採用された Surface Pro 3 は、同市の教育現場における PC の活用を大きく向上させ、鹿児島市教育委員会が ICT 活用の目的に据える「教員が児童生徒と向き合う時間の確保」を大きく推し進めています。

<導入の背景とねらい>
コンピュータ教室の PC リプレースをきっかけに、過去のタブレット デバイス導入で生まれた課題解決を検討

鹿児島県の中央に位置し、明治維新の立役者を多数輩出したことや、当時の建築物が「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録されたことでも有名な鹿児島市。古くから貿易が活発に行われ、連綿と受け継がれてきた、同市の「新しいモノや文化を受け入れる土壌」は、現在においても、たとえばいち早い ICT 教育への取り組みといった形に現れています。

同市の教育を管理する鹿児島市教育委員会では、延べ 120 にものぼる鹿児島市における市立小中高等学校の ICT 環境の整備を行うべく、1987 年という非常に早い段階で学習情報センターを設置し、教育現場の ICT 支援を行ってきました。古くから ICT 化が進められてきた同市ですが、鹿児島市教育委員会 学習情報センター 主幹 木田 博 氏は、鹿児島市における ICT 教育が近年、さらに加速していると説明します。

写真:鹿児島市教育委員会 学習情報センター 主幹 木田 博 氏

鹿児島市教育委員会
学習情報センター
主幹
木田 博 氏

「2002 年に全普通教室等を結ぶ校内 LAN の敷設を行うなど、鹿児島市では古くから教育現場の ICT 化を積極的に推進してきました。この流れは、2009 年に文部科学省から『スクール・ニューディール構想』が提唱されたことで、さらに加速していると感じています。21 世紀の学校にふさわしい教育環境の整備を目指す当構想のもとで、2009 年には全小中高等学校の普通教室へ、大型デジタル テレビと書画カメラ、操作用ノート PC を配備し、無線 LAN の環境も整備しました」(木田 氏)。

この 2009 年における取り組みは、鹿児島市の普通授業における電子教材の活用を大きく進めました。さらに同市では、電子教材の利用に伴い拡充してきたコンテンツを有用に活用するべく、2013 年、小中学校の一部教室を対象として、Windows タブレット デバイスと電子黒板を導入しました。

「2013 年に行った Windows タブレット デバイスと電子黒板の導入では、想像以上の効果がみられました。教育現場の ICT 化を進める目的は、授業や事前準備の効率を高めることで教員が児童生徒と向き合う時間を最大化することにありますが、電子教材の活用がより加速し、授業にインタラクティブな要素が取り入れられたことで、まさに目的とする効果が現れたのです。しかし一方で、タブレットならではの課題も生まれました」(木田 氏)。

木田 氏がいう課題とは、デバイスの堅牢性にあります。2013 年に導入した Windows タブレット デバイスは、教員だけでなく児童生徒も利用できるように配備されたため、デバイスを落下させたりぶつけたりすることも多い背景から、導入から 2 年あまりで、一部のデバイスに何かしらの故障が生ずることとなったのです。

タブレット デバイス導入の効果もあり、現場の教員からは「もっとタブレット デバイスを導入してほしい」という声が多く挙がっていましたが、予算や堅牢面での課題から、鹿児島市教育委員会ではその拡充には、慎重を期する必要があったといいます。しかし、2015 年度に控えた中学校のコンピュータ教室における PC リプレースをきっかけに、タブレット デバイスの拡充が動き出したと、木田 氏は語ります。

「従来、コンピュータ教室の PC にはデスクトップ PC を設置しており、リプレースも同様にデスクトップ PC か ノート PC を採用するのが一般的でした。ですが、そこで設置しているデバイスをタブレットとしても利用できれば、PC をより多様な目的や場、教科で活用できる環境の整備が、限りある予算の中で行えると考えたのです。コンピュータ教室での利用には当然、キーボード入力が必須となりますので、2015 年 3 月より行った機種選定では、2 in 1 タブレット デバイスであることを前提に検討を進めました」(木田 氏)。

<システム概要と導入の経緯>
「多様な目的や場、教科で活用できる環境の整備」に必須となる携帯性と堅牢性、機能性を、Surface Pro 3 が高い水準で備えていた

コンピュータ教室で行う授業の内容や必要となるアプリケーション、そしてこれまで蓄積してきた電子教材の活用を考慮し、Windows を搭載した 2 in 1 タブレット デバイスの中から機種選定を開始した鹿児島市教育委員会。そこでは、持ち運びを前提とした「携行性」と、これまで大きな課題として存在していた「保護性能、堅牢性」の 2 点が重要視されました。しかし、その検討は難航したと、木田 氏は当時を振り返ります。

「2 in 1 タブレット デバイスには大きく 2 種類のタイプがありましたが、それぞれが一長一短の特徴を持っていたのです。たとえば、ディスプレイを外側になるように折りたたむことでタブレット デバイスとして利用できるコンバーチブル型の場合、重量が通常のノート PC と同程度となってしまうため、生徒が持ち運ぶには重すぎます。一方、着脱型と呼ばれるキーボードとタブレットが分離しているタイプは、携行性には優れているものの、持ち運ぶ場合にはタブレット部分だけを所持することになり、落下で液晶を傷つけてしまうなど堅牢面で課題が残ってしまいます。さまざまなメーカーが多様な製品を提供していましたが、当市の要件に最適なデバイスは、なかなか見つかりませんでした」(木田 氏)。

数多くの製品で比較検討を進めた鹿児島市教育委員会ですが、検証を重ねる中、日本マイクロソフトの提供する Surface Pro 3 が、同市が求める「携行性」と「保護性能、堅牢性」の双方を高いレベルで備えていると感じたといいます。

「着脱型の製品はいずれも堅牢性が課題でしたが、Surface Pro 3 の場合、持ち運び時に液晶を保護するカバーが備わっており、さらにそれをキーボードとしても使える点が魅力的でした。コンピュータ教室以外でテキスト入力が必要になった場合でも対応でき、『多様な目的や場、教科で活用できる環境の整備』という当市の目的と合致していたのです。また、着脱型のデバイスの場合、着脱を繰り返すうちに接合部が劣化し破損するというケースも少なくないと聞きました。Surface Pro 3 の場合、接合部分にマグネットを採用しており突起部分も小さいため、そういった心配もありません」(木田 氏)。

市立学校において、機器の故障は一定期間それが利用できなくなることを意味します。教育への重要度が高い機器ほどその影響は大きく、Surface Pro 3 が備える堅牢性は、高い教育水準を維持するうえで、非常に重要な要素だといえます。

「コンピュータ教室のデバイスは、教員向けと生徒向けとで少し要件が異なっていました。携行性と堅牢性はいずれの場合でも必須要素でしたが、教員向けはそれに加えて (画像処理などを行う背景で) 高性能のものを求めていましたので、Surface Pro 3 はまさに最適なデバイスだったといえます。一方、生徒向けの場合、性能はそれほど求めないため、Surface Pro 3 では少しオーバー スペックでした。予算の都合もあり、生徒向けには Surface 3 の採用も検討していましたが、決定当時は発売するかしないかの時期で検証も間に合わなかったため、Surface についてはまずは教員向けで採用することにしました」(木田 氏)。

鹿児島市教育委員会では 2015 年 5 月にて、全中学校のコンピュータ教室における教員向けデバイスとして Surface Pro 3 を採用することを決定。生徒向けには他のタブレット デバイスが採用されましたが、小学校などにおける今後の整備においては、Surface 3 を含め、さまざまなデバイスの検討が進められています。

<導入の効果>
ワイヤレス ディスプレイ アダプターと連携した「容易に扱える環境」により、PC の活用シーンが大幅に増加

決定の翌月となる 2015 年 6 月には調達が行われ、同年 10 月 1 日より、Surface Pro 3 を始めとした 2 in 1 タブレット デバイスのコンピュータ教室における運用が開始しました。

写真

Surface Pro 3 はコンピュータ教室だけでなく、持ち出されることで普通教室での授業などさまざまな教育シーンで活用されている

木田 氏は、目的であった「多様な目的や場、教科で活用できる環境の整備」について早くも効果が出ていると、うれしそうに語ります。

「導入してまだ間がないため、数値化できる面での効果はまだ明確になっていません。しかし、デバイスをコンピュータ教室から持ち出して活用する頻度は、明らかに増えてきています。生徒向けデバイスの持ち出しも増えているのですが、教員向けデバイスの持ち出しが顕著に増えており、活用範囲は確実に広がっていると感じています。この動きは、同時期に日本マイクロソフトより紹介いただいた、すべての普通教室で使用可能なワイヤレス ディスプレイ アダプターの効果も大きいと感じています」(木田 氏)。

中学校の普通教室では現在でもデジタル テレビが用いられていました。ワイヤレス ディスプレイ アダプターは、HDMI 端子へ取り付けることで遠隔デバイスの画面をテレビへ投影できる製品であり、教員はコンピュータ教室の Surface Pro 3 を普通教室に持っていくだけですぐ、電子教材を活用した授業を開始できます。

「教員が児童生徒と向き合える時間を確保するための ICT 化ですので、その利用に手間がかかるようでは本末転倒であり、教員の活用も促進されません。Surface Pro 3 にはフルサイズの USB ポートが備わっており、教員が自作した電子教材の利用も容易に行えます。教員による持ち出しが増えていることを鑑みますと、複雑ではなく簡単に使えることが求められる教育現場にとって、Surface Pro 3 とワイヤレス ディスプレイ アダプターの組み合わせは非常に優れたソリューションだといえるでしょう」(木田 氏)。

さらに、室内授業だけでなく体育といった屋外での授業においても、Surface Pro 3 の活用シーンが広がっていると、木田 氏は続けます。

「Surface Pro 3 に搭載されたカメラを、器械体操やダンスといった実技の授業で活用する教員も増えています。生徒は自身の動きを客観的に見ることができますので、修正すべき点を明瞭に理解でき、学習効率が飛躍的に高まります。こうした屋外での利用は、デバイス落下などのリスクがあるためなかなか広がりにくいのですが、Surface Pro 3 の場合は堅牢性が高いこともあって、教員が安心して授業で活用できているのだと思います」(木田 氏)。

<今後の展望>
2020 年度での 1 人 1 台の活用に向けて、2 in 1 タブレット デバイスの拡充と教員の研修支援を進めていく

2015 年度にて中学校におけるコンピュータ教室のデバイスを 2 in 1 タブレット デバイスへリプレースした鹿児島市教育委員会。2016 年度ではさらに、小学校におけるコンピュータ教室と、小中学校における全普通教室のノート PC についても、Surface を始めとした 2 in 1 タブレット デバイスへのリプレースを検討しています。

木田 氏は、このリプレースの過程で、教員の意識もこれまで以上に変化していかなければならないと語ります。

「2020 年に向けて、児童生徒 1 人に 1 台 のデバイスが活用できる環境も整備する予定です。そこを見据え、より効果的に ICT が教育に活用されるよう、教員側のトレーニングや意識の醸成を行っていかなければなりません。学習情報センターではこれまで、ツールの使い方についての研修を主に行ってきました。それももちろん重要なのですが、今後は ICT を用いた授業作りの研修や、ICT 支援員によるサポートを拡充していくことで、教育における ICT の有用性を実感してもらい、さらなる活用を推進していきます」(木田氏)。

さらに木田 氏は、各学校における ICT の整備と蓄積されていく活用方法を、校内だけでなく学校間で共有されるしくみを構築することで、今後、鹿児島市全体の教育レベルを向上していくと意気込みます。

「市内にあるすべての小中高等学校各校の PC と学習支援センターは、鹿児島市教育情報ネットワーク (KEI ネット) と呼ばれるネットワークでつながっており、そこで各学校間の情報共有と学習コンテンツの配信を行ってきました。2015 年 9 月には学校間での情報共有をさらに強化するべく、KEI ネット上に学校間でコンテンツを共有するしくみを新たに構築しました。各学校の教員が、電子教材や優れた活用事例を共有することで、鹿児島市全体の教育レベルがさらに向上することを期待しています。そのためにも、当センターでは引き続き、ツールの整備だけでなく教員への研修やサポートに取り組んでいきます」(木田 氏)。

文部科学省が 2015 年より開催している「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議」では、電子化された教材をもった学習のしくみが 2020 年度にて全国的に本格化される方針が固められつつあります。児童生徒 1 人ひとりに 1 台のデバイスが配付される未来もそう遠くない中、市内すべての小中高等学校の ICT 化に関する業務を一手に担う鹿児島市教育委員会と、同市教員に期待される役割は、今後ますます重要となってくるでしょう。

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