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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 効率化
  • コスト

片倉コープアグリ株式会社 (旧社名:片倉チッカリン株式会社)

 様に導入

Windows Server 2003 ベースの DWH サーバーを Windows Server 2012 R2 搭載の Hyper-V の仮想環境上にリプレース。分析サービスの改善、拡張と同時に、物理サーバーの集約でコスト削減と運用効率化を実現

片倉コープアグリ株式会社

丸紅系の肥料メーカーとして知られる片倉コープアグリ株式会社 (片倉チッカリン株式会社は、2015 年 10 月にコープケミル株式会社と合併し、片倉コープアグリ株式会社として発足しました) は、創業以来、有機質肥料にこだわった特色のある製品で農業を支援してきた肥料事業を主軸にしながら、周辺事業の多角化と拡大を進めてきました。新しい事業を IT で支援するためには、IT インフラも大きく変化する必要があります。そこで 2013 年 9 月には、自社開発の基幹システムを、パッケージ製品を利用したオープンなシステムへとリプレース。新しい基幹システムの安定稼働が見えたところで、まだ残っていた Windows Server 2003 ベースの情報系サーバーの移行に着手しました。サーバー集約によるコスト削減と運用の効率化を目指し、移行先として選ばれたのは、Windows Server 2012 R2 に搭載された Hyper-V による仮想環境でした。

<導入背景とねらい>
自社開発からパッケージ製品へ、基幹システムのリプレースを機に DWH サーバーの刷新が急務に

片倉コープアグリ株式会社は、わずか 3 名という少数精鋭の業務システム室で、基幹系サーバー、情報系サーバー、および全国の拠点に分散するクライアントを含むすべての IT インフラをサポートしています。

片倉コープアグリ株式会社
業務システム室長
小手川 和美 氏

片倉コープアグリ株式会社
業務システム室
業務システム課長
萩野谷 伯光 氏

「30 年ほど前にコンピューター システムを導入したきっかけは、請求業務の電子化というお客様の要望があったからでした。オフコンからスタートして順次、販売系、購買系、製造系、原価系、情報系と拡張してきました。以前はオフコンのサポートやプログラム改修がメインでしたが、IT 環境が変化し、パッケージ製品を利用するようになって、我々の仕事の内容も変化してきました」。このように振り返るのは、片倉コープアグリ株式会社 業務システム室長 小手川 和美 氏です。小手川 氏は今、今回リプレースしたビジネス インテリジェンス (BI) ツールの普及のために、北は北海道から南は九州まで、伝道師として全国の拠点を飛び回る日々を過ごしています。

片倉コープアグリ株式会社では、エンド ユーザーが自由に基幹系システムの業務データを入手し、自身で集計、分析を行えるようにと、Excel アドインをフロントエンドとするデータ ウェアハウス (以下、DWH) サーバーを 7 年前に導入しています。小手川 氏がいま普及に努めているのは、2014 年 9 月に移行が完了し、11 月から本格運用を開始した、このシステムの最新バージョンです。

片倉コープアグリ株式会社は 2013 年 9 月、COBOL で自社開発した従来の基幹系システムを、パッケージ製品を利用した新しいシステムにリプレースし、丸紅情報システムズ株式会社のデータセンターにて運用しています。

「これまでは内部開発メインでやってきましたが、これからはパッケージ製品を利用し、業務の方をパッケージのやり方に合わせるという方針に代わり、基幹系システムをパッケージ製品へと移行することになりました」。と片倉コープアグリ株式会社 業務システム室 業務システム課長 萩野谷 伯光 氏は、同社の IT に対する考え方の変化を語ります。

基幹系システムのリプレースは大仕事であり、当時のマン パワーの都合で、Windows Server 2003 ベースの DWH サーバーの移行は先送りされました。そのため、新しい基幹系システムとのデータ連携ができない状態が続いていました。DWH サーバーの移行は、早急に対処しなければならない課題です。加えて、2015 年 7 月 15 日には Windows Server 2003 の製品サポートが終了します。そこで、期末処理を終え基幹系システムの安定稼働を確認できた 2014 年 4 月に、DWH サーバーの移行に着手しました。

<導入の経緯>
同時期に導入を検討していた帳票サーバーとともに Hyper-V の仮想環境に集約し、コスト削減を図る

片倉コープアグリ株式会社は、DWH サーバーの移行先として、Windows Server 2012 R2 に搭載された Hyper-V による仮想環境を選択しました。その経緯を片倉コープアグリ株式会社 業務システム室 次長 岸 英幸 氏は次のように語ります。

「実は、基幹系システムをリプレース後も、旧基幹系の会計サブシステムが期末処理のために古いオフコンで動いていました。このオフコンは販売停止が決まっており、今後も使い続けるわけにはいきません。会計サブシステムの大部分は新しい基幹系に移行済みだったのですが、その最終段階として、パッケージ製品を利用した帳票作成用のサーバーを 1 台立てることになりました。DWH サーバーの移行とタイミング的に合ったこともあり、サーバーを 1 台に集約してコストを抑えたいということで仮想化しようということになりました」。

片倉コープアグリ株式会社
業務システム室
次長
岸 英幸 氏

新しいシステムは、Windows Server 2012 R2搭載の Hyper-V の仮想化サーバーで、Windows Server 2008 R2 SP1 の 2 台の仮想マシンをホストする形で、DWH サーバーと帳票作成サーバーの 2 台を集約した構成になります。また、バックアップ用に Windows Storage Server 2012 の NAS を導入し、ディスク ツー ディスクで仮想化サーバーと 2 台の仮想マシンをまるごとバックアップする運用としました。

構築作業は帳票サーバー用のパッケージを担当した丸紅ITソリューションズ株式会社の協力のもと、主に NECネクサソリューションズ株式会社が行いました。2014 年 7 月から本格的な構築作業を開始し、旧システムからのデータ移行を含め、3 か月後の 9 月には移行を完了しました。仮想化基盤としての Windows Server 2012 R2 Standard Hyper-V の採用や、ハードウェアの選定、ゲスト OS の選定は、NECネクサソリューションズ株式会社の提案によるものです。
ホスト OS は、NEC ネクサソリューションズで実績のある Hyper-V ソリューションを採用し、仮想マシンの Windows Server のライセンスを必要とせず (Hyper-V サーバーのライセンスの仮想化の権利に含まれるため)、その分コストを抑えることができる Windows Server 2012 R2 Standard としました。また、ゲスト OS については、最新 OS にすることも可能でしたが、パッケージ製品の当時の稼働実績や安定性を考慮したことと、既に購入している CAL を使えることから、Windows Server 2008 R2 SP1 になりました。

移行前のシステム構成。新基幹系システムと古い DWH との連携の課題、Windows Server 2003 のサポート終了、オフコンの販売終了への対応を機に、2 台の物理サーバーの移行の検討を開始。[拡大図] 新しいウィンドウ

移行後のシステム構成。2 台の旧サーバーを Hyper-V の仮想マシンにリプレースして集約。ディスク ツー ディスクのバックアップ体制も整備。課題であった新基幹系システムとの連携も可能に。[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
新基幹システムの最新データを取り込み、エンド ユーザーのニーズに対応できるデータ分析ツールに。トップ ダウンで普及を進める

実際、今回の移行作業で最も大変だったのは、DWH のデータ項目の見直しと、データの整合性の担保だったと岸 氏は言います。

「DWH で重要なのはデータ項目だと思います。一番時間をかけたのは、すべてのデータ項目の見直しです。DWH の最初の導入のときはデータ項目が足りず、エンド ユーザーの要求に応えられないことがありました。エンド ユーザーがしたいようにできなければ、使えないシステムという評判がついてしまいます。データの鮮度と整合性の問題もありました。以前は基幹系システムに入力したデータが反映されないという不満や、基幹系と結果が矛盾するといった指摘がエンド ユーザーからありましたが、これは SE さんと相談してデータの更新頻度やデータの持ち方を工夫して改善しました」。

今回のデータ項目の見直しにより、データ項目は以前の 10 倍以上になり、対象範囲も肥料事業から全業務へと拡張されました。また、データ更新は以前の夜間バッチから、1 日 3 回、業務時間中に実行するようになりました。そこで懸念されるのが、仮想化のオーバーヘッドによるパフォーマンスへの影響です。

「仮想化はこれがはじめてでした。Hyper-V は実績も聞いていますし、安定的に動くだろうということはわかっていましたが、実際に稼働するまで不安があったのは確かです。実は、DWH サーバーには そのエンジンの手前に、SQL Server を利用してデータの加工も行っています。このあたりの処理速度を心配していましたが、データ項目をこんなに増やして、データ更新バッチを 1 日 3 回流してもサクサク動いてくれるんです。パフォーマンスの心配はまったくの杞憂でした」(岸 氏)。

仮想化のパフォーマンスと同様に驚かされたのは、運用が簡素化されたことです。

「以前はサーバーごとにテープ装置にバックアップしていました。装置やテープ媒体にお金がかかるし、テープの入れ替えが手間でした。今では 2 台のサーバー (仮想マシン) をディスク ツー ディスクで 1 つのジョブでバックアップできます。我々は結果を画面で確認するだけでよく、テープの入れ替えがないので楽になりました」(岸 氏)。

エンド ユーザーのあらゆる要求に応えられるように仕上がった新システム。運用管理も簡略化され、あとは現場で使ってもらえるかどうかが課題です。

「以前の DWH は肥料事業に紐づいていましたが、今回導入したDWHには新しい基幹系からすべてのデータが入ってくるようになり、肥料事業以外にも対応できるようになりました。しかも、1 日 3 回の更新でほぼリアルタイムのデータを扱えます。基幹系では難しいことでも新しいシステムならできるという切り口で、両方を適材適所で使ってもらおうと、まずは役員や支店長からトップ ダウンでスタートし、全国拠点を回って普及を図っているところです。これからは基幹系を使わない現場の営業の方にも、DWH は便利なツールになるはずです」(小手川 氏)。

<今後の展望>
グループウェアの Office 365 への乗り換えで最後の Windows Server 2003 も撤去へ。Office 365 で新しい働き方を支援したい

片倉コープアグリ株式会社は今後、情報系の他のサーバーを含めてさらに仮想化を進める考えです。仮想化のメリットを見いだした今、Microsoft Azure のクラウドの活用も選択肢の 1 つになったと言います。

「本社のサーバー ルームには制限があります。今回のリプレースで、サーバーを集約できる仮想化は本当にいいものだと思いました。将来的にはもっと仮想化を進めて、待機系を準備し、障害に対応したいと考えています。我々としてはサービスが提供されるのであれば、場所はどこでも関係ありません。仮想化でなくても、Microsoft Azure という手もあります。Microsoft Azure の方が障害が少ないでしょうし、運用の負担も軽減されそうです」(岸 氏)。

実は、片倉コープアグリ株式会社における、Windows Server 2003 からの移行はまだ完了しておらず、グループウェア サーバーが残っています。これは、この夏までに Office 365 に全面的に移行することが決まっており、今まさに移行に着手しようとしているところです。Office 365 は、単にグループウェアの移行先としてだけではなく、Lync Online などの Office 365 が備えるさまざまな先進機能を活用して、業務改革を進め、働き方の多様化に役立てたい考えです。

「今使っているグループウェアの環境は、さまざまな意味で今の世の中に合わなくなりました。社外にいる営業担当者がいつでも情報を取り出したり、メールを確認したりと、他社に遅れをとらないためには仕事の仕方を変えていく必要があり、それに対応する IT のインフラを整備していかなければなりません。今回リプレースした DWH の目的もそうですし、Office 365 にもそれを期待しています」(小手川 氏)。

片倉コープアグリ株式会社は、基幹システムをデータセンターへ、情報系サーバーを仮想化環境へ、そしてグループウェアをクラウドへと移行することで、レガシな IT からの脱却を図り、同社のビジネスと IT は次のステップへと進みます。

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