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導入事例

 様に導入

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株式会社ブリヂストン

 様に導入

海外の地域本社と日本を連携させる海外業務統合システムを Microsoft Dynamics AX で構築
多国籍にわたる社員の業務標準化と業務効率向上を実現

写真:株式会社ブリヂストン

株式会社ブリヂストン


グローバル展開が急務となっている企業にとって、海外グループ会社との連携や業務標準化は大きな課題となっています。世界有数のタイヤ メーカーとして古くからグローバル展開を推し進めてきた株式会社ブリヂストンでは、これまで継ぎはぎで作ってきたシステムを Microsoft Dynamics AX 2009 を基盤とする海外業務統合システムにリプレイスすることによって、グローバルでの業務標準化を実現。予算内でスケジュール通りのシステム構築を行い、業務効率向上やミスの低減なども実現しています。


<導入の背景とねらい>
急激に加速するグローバル展開に対応し
標準化と業務のしやすさを海外の地域本社に提供する

株式会社ブリヂストン
海外事業企画室長
武末 重義 氏

創業当時から現在の CSR (企業の社会的責任) を念頭に置いた事業活動を行っている株式会社ブリヂストン (以下、ブリヂストン) は、「最高の品質で社会に貢献」を企業理念の使命とし、企業の利益のためだけでなく広く社会の発展に寄与することを目指してきました。また、創業翌年の 1932 年から海外進出を行ってきたブリヂストンでは、時代に合わせてグローバル化を推し進め、新品タイヤの製造拠点が 21 か国 50 か所、販売市場は 150 か国・地域以上と、世界一のタイヤ メーカーとして成長を遂げてきました。

「お客様が必要なときに必要な物を届けるというサプライチェーンのコアの部分を担うシステムを構築するにあたっても、社会貢献という企業理念を前提に進めてきました」と話す株式会社ブリヂストンの武末 重義 氏は、海外事業での受発注では製造拠点と販売市場が多くの国にわたるため、製造拠点と販売市場を日本とつなぎ、三国間取引で受発注を行っていることを明かします。タイヤの販売といっても、ブリヂストンが扱うタイヤは乗用車、トラックやバス、建設および鉱山車両用、飛行機用、あるいは使用済みタイヤを再利用するリトレッド、と非常に多くのバリエーションがあり、製造拠点や販売市場の売値や通貨の違いも含めると 2 国間取引のバリエーションは膨大なものとなります。そこで、たとえば契約上はタイの工場から日本が製品を購入し、各地域本社経由でアメリカの市場に販売するようにして、物流面ではタイから直接アメリカへ送るという形態をとることで、バリエーションが増えることを抑え、受注の流れや情報を日本で統括して把握するようにしています。

2006 年にブリヂストンは、地域本社体制を整え、これまでの欧州、米国、中国の地域本社に加え、アジア大洋州を統括するシンガポールと中近東/アフリカを統括するドバイの 2 つの地域本社を新設しました。しかし、活動開始までの期間が短く、新たなシステムの検討ができなかったため、日本の既存システムをコピーして地域事業の特性を加味したものを導入せざるを得なかったと言います。これらは複数のシステムで構成され、インターフェイスも多く、業務効率がよくなかったと、武末 氏は話します。「非常に長く使っていた従来のシステムは継ぎはぎで構築されてきたため、同じような作業を行うのにユーザーによってバラバラなやり方になっていました。一連の業務の中でログインし直す必要があったり、1 つのメニュー画面で作業を続けられないという問題もありました」。

多国籍で、さまざまな文化、風習、慣習がある社員の業務のばらつきや、テロ対策で法規制が厳しくなった輸出コンプライアンス (輸出品のチェックや取引先の確認など) に確実に対応するためにも業務フローを標準化し、業務効率も向上させなければならないと考えたブリヂストンでは、日本、シンガポール、ドバイの 3 拠点で海外業務統合システムを導入することを決意し、2011 年初頭から取り組み、急激に加速するビジネスのグローバル展開に対応することを目指しました。

<導入の経緯>
カスタマイズやアドオン開発の容易さがポイント
納期や予算面からも Microsoft Dynamics AX を採用

株式会社ブリヂストン
Bridgestone China(上海)出向
森 克己 氏

横河ソリューションサービス株式会社
情報ソリューション本部
第1エンジニアリングセンター
ERP1部3Gr長
寺下 豊和 氏

ブリヂストンの海外標準業務フローを構築する海外業務統合システムのベースとなる ERP を選定するために必要な機能として考えられたのは、標準機能だけでなく、カスタマイズなどが容易に行えることでした。「販売や生産のグローバル化が進む中でサステナビリティを確保するには、三国間取引で海外業務を行うノウハウが必要です。そして、ブリヂストン独自の業務ルールを埋め込んで独自用語にも対応させるためには、柔軟なアドオン開発が可能でなければなりません。また、業務効率化のためにはユーザーが慣れ親しんだ Microsoft Excel との親和性が高く、幅広い業務範囲への対応と業務の連続性を確保できることも重要だと考えていました」と、株式会社ブリヂストンの森 克己 氏は話します。

スクラッチによる構築や複数の ERP パッケージを検討した結果、ブリヂストンが選択したのは Microsoft Dynamics AX でした。販売/購買管理に適したテーブルが標準で提供され、カスタマイズやアドオン開発が容易で、予算内で予定した開発期間内に開発でき、Excel との親和性が高いということが決め手になったと言います。「ユーザー部門の要望に合わせて IT 部門で検討して候補が選ばれましたが、Microsoft Dynamics AX は我々が実現しようとしていることにフレキシブルに対応できると感じました。開発納期やカスタマイズの工数なども考えると、Microsoft Dynamics AX がベストな選択でした」と武末 氏は話します。

他の ERP パッケージや独自開発よりも多くの判断基準で Microsoft Dynamics AX が優位と判断した森 氏は、開発パートナーとして横河ソリューションサービス株式会社 (以下、横河ソリューションサービス) を選択します。その理由について森 氏は、次のように話します。「ブリヂストンとしては、構築後の保守はグループ会社のブリヂストンソフトウェア株式会社 (以下、ブリヂストンソフトウェア) で行って、ノウハウを外に出さないことを重視していました。横河ソリューションサービスは RFP の段階でこの方針を快諾し、開発体制を 3 社で確認してしっかりと引き継ぎが行える提案をしてくれました。また、過去の Microsoft Dynamics AX 構築事例も確認し、しっかりとオン スケジュールで作業を進められるという期待を感じました」。

実際の構築では、日本国内にシステムを集約してシングル インスタンスで Microsoft Dynamics AX の会社間取引機能を使い、日本、シンガポール、ドバイの 3 拠点で 100 ユーザーに対して 2012 年 7 月の同時カット オーバーが行われています。また、販売/購買管理だけでなく、SSRS を使った分析レポート機能も同時に開発し、海外コンプライアンス管理機能のアドオン開発や他システムとの連携機能も開発していきました。

ブリヂストン、ブリヂストンソフトウェア、横河ソリューションサービスの 3 社共同プロジェクトとなった Microsoft Dynamics AX 構築は非常にタイトなスケジュールの中行われましたが、横河ソリューションサービス株式会社 情報ソリューション本部 第1エンジニアリングセンター ERP1部3Gr長の寺下 豊和 氏は「品質の担保と納期を遵守することを最優先に、3 社が一体となってプロジェクトを進めることができました」と話します。特に、Microsoft Dynamics AX の機能間テストや外部連携テストを行うフェーズでは、ブリヂストン本社に 10 名、バックエンドとして横河ソリューションサービス社内に十数名の開発者が配置され、問題発生に即応できる体制がとられたと言います。その結果、「3 社で協力しながら 1 日 2 回の進捗状況確認を行い、約 400 のテスト シナリオを 20 日間で完了して次の工程へと進むことができました」と話す寺下 氏。

Microsoft Dynamics AX での開発についても、森 氏は「独自言語を使うため、SQL 構文の煩雑さやデバッグのやりにくさが問題になるのでは、と考えていました。しかし、Microsoft Dynamics AX の言語は C# や Java に似ていて習得が容易で、外部連携や開発の自由度が高いため、非常に構築しやすいと感じています」と話してくれました。

<導入効果>
ユーザー満足度調査からも
標準化と業務効率向上に確かな手ごたえ

横河ソリューションサービス株式会社
情報ソリューション本部
第1エンジニアリングセンター
ERP1部2Gr
内田 命 氏

課題の 1 つでもあった横河ソリューションサービスからブリヂストンソフトウェアへのスキル トランスファーについては、画面設計、帳票設計、標準機能、要求分析などの引き継ぐ項目を抽出し、対応工数や通常の運用業務を考えながら行っていったと言います。横河ソリューションサービス株式会社 情報ソリューション本部 第1エンジニアリングセンター ERP1部2Gr の内田 命 氏は、「機能の規模が大きく複雑な仕様の機能に関しては、理解度チェック シートなどを作成し、テスト形式で習得してもらうことによって、スムーズなスキル トランスファーができました」と話します。森 氏は、「ブリヂストンソフトウェアは、自分たちが構築してきたものを保守するのと同じように運用できていると思います」と話し、構築後 1 年以上が経った現在まで障害も少なく安定運用できているため、問題なく引き継ぎが行われていることを実感していることを明かしました。

また、森 氏は今回の Microsoft Dynamics AX をベースとした海外業務統合システムによる効果の定量的な数値は今後調査する必要があるが、本番稼動後 1 年経った 2013 年 7 月のユーザー満足度調査によって、業務標準化や業務効率向上に確かな手応えを感じていると話します。「ユーザー満足度調査では、非常に高い評価が出てきており、当初求めていた課題解決をクリアできていると思います。特に、業務のオペレーションにストレスを感じさせないレスポンスが提供されていることに対する評価が高いですね」。

ユーザー満足度調査の中には、「輸出価格 (移転価格) を複数システムで連携できるので転記ミスがなくなった」「受注本数の優先度を振り分ける際の手計算がなくなり、ミスがなくなって業務が効率化された」「輸出取引に必要な社内承認前の受注をシステムでブロックでき、誤輸出が防止できた」「システム統合により、必要な情報の確認業務が効率的になった」など、構築の目的とされたサステナビリティ確保や業務の標準化、業務効率化、輸出コンプライアンスへの対応の実現を裏付けるコメントが寄せられているといいます。

今回の構築を振り返って森 氏は、「業務の標準化を行う場合に "パッケージに合わせる" とよく言われますが、その考え方は日本ではなかなか受け入れがたく、ブリヂストンも同様で、独自性を保ちたいという要求がありました。独自の業務ルールを効率的に埋め込んで標準業務にするという観点で考え、開発や保守および運用のしやすさを重要なポイントとして我々は Microsoft Dynamics AX を選択し、構築を行いました。その結果、どこでもだれでもばらつきのない業務が可能となり、業務品質向上によるグローバル競争力の強化に寄与することができました」と話します。

システム構成図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
今後もグローバル展開でのサステナビリティを確保し
対応できるシステムを強化していく

横河ソリューションサービスの内田 氏は、「今回の構築によって、業務モデルとしてグローバルな三国間連携を Microsoft Dynamics AX の会社間取引機能を活用し、アジアの統括会社間の受発注や海外の工場との取引を 1 つのしくみで構築できたことは良い経験となっています。今後の我々の強みとなるはずです」と話します。また、寺下 氏は Microsoft Dynamics AX について、「開発言語が効率よく、フレームがしっかりしているのでばらつきがなく、開発者が取り組みやすいと思います」と振り返ってくれました。

森 氏は、ブリヂストンの今後のグローバル展開においても、マイクロソフトがパートナーとして協力することに期待していることを明かしてくれました。「我々もグローバルに活動し、日米欧が 3 大拠点となっています。この 3 つの拠点で同じようにきちんと使え、安心して利用するには、きちんとサポートしてもらえることが絶対に外せない大きなポイントとなります。そのようなサポートが行える会社は非常に少ない中、マイクロソフトは重要な存在だと思っています」。

今後は、今回構築した海外業務統合システムの機能をさらに向上するほか、ビジネスの速度に対応できるシステムを構築していくことをブリヂストンでは考えています。「今回のシステムに限らず、IT 部門は非常にスピードを求められています。我々の仕事はしくみを作ることではなく、しくみを使ってもらうことです。そこまでをいかにスピードアップして、効率よく使ってもらえるかが我々の重要なテーマとなっているので、よいパッケージや強い支援を今後も提供してもらえればと考えています」と話す森 氏。武末 氏も、「今回のシステムは、海外業務のタイヤ事業の基幹となるシステムであるため、スケジュールどおりに構築する必要があり、失敗することは絶対に許されないプロジェクトでした。納期優先で進め、構築後は柔軟に発展できることを前提にシステムを設計してきたので、今後はさらに効率化を進められるようになることを期待しています。基幹システムとして、しっかりと立ち上げることができたので、さまざまな要望に合わせた改修を行っていきたいですね」と、さらなる業務効率向上を目指すことを明かしてくれました。

150 か国以上の国々で事業展開し、「最高の品質で社会に貢献」をその使命とするブリヂストンは、情報基盤を活用することで、今後も事業のサステナビリティを目指していきます。

ブリヂストン ologic (オロジック)
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