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導入事例

 様に導入

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  • 効率化
  • コスト

日本ATM株式会社

 様に導入

メール、認証・検疫、ERP など社内 IT 環境を、Hyper-V を活用したクラウド環境に全面リプレース。"持たざる IT" を実践し、運用業務の効率化とワークス タイルの刷新に対応

日本ATM株式会社

日本ATM株式会社

日本ATM株式会社では、業容の拡大に併せて追加構築を重ねてきた IT 環境を全面的にプライベート クラウド上に移行しています。それは、システムの継ぎ足しを繰り返し、ネットワークを含めて複雑化してしまった環境をシンプルに構築し直し、BCP やセキュリティ対策を従来以上に高めると共に、モバイル活用やペーパレス化の推進など、先進のワーク スタイルを実践していくための一大プロジェクトでした。そして、このプロジェクトは "持たざる IT" を実践し、運用管理負荷を大幅に軽減することで、IT を支える人的リソースを企業のコアを成すビジネスの企画や展開に集中させ、IT のコスト削減とビジネスの迅速性を結び付けるビジョンに支えられていました。この理想を実現するためのインフラとして選ばれたのが、Windows Server 2008 R2 Hyper-V を活用したプライベート クラウド サービス「IIJ GIO」でした。

<導入の背景とねらい>
長期的な視点で事業の拡大と変化に対応できる "セキュア" かつ "柔軟" な IT 環境の実現へ

1999 年 1 月に外資系コンピュータ会社の日本NCR株式会社より、ATM 事業部門 (システム販売、開発、保守、管理等) を分社化する形で独立した日本ATM株式会社 (以下、ATMJ)。同社では、ATM システムを提供するそれまでのビジネスを継承すると同時に、都市銀行の合併などで業務のスリム化が求められる金融機関向けに、ATM 関連のアウトソーシング サービスなどを展開。中でも業界に先駆けてスタートさせた「ATM 監視運用のアウトソーシング サービス」は、国内の 3 大メガバンクを始め、多数の銀行に採用されています。

日本ATM株式会社
人事総務本部
取締役
執行役員本部長
吉岡 隆徳 氏

日本ATM株式会社
人事総務本部
情報システム部
部長 兼 CIO
上田 敏勝 氏

そして 2011 年 11 月。日本の ATM インフラを一手に担う企業へと成長し、アウトソーシング サービスを拡大する ATMJ では、「長期的な視点で見て、最適な社内インフラ」を実現することを目標に、「メールや認証基盤、検疫システムから ERP (Enterprise Resource Planning) や SFA (Sales Force Automation) など社内 OA をすべて、プライベート クラウド上に移行する」という大胆なプランを実現させています。
ATMJ 人事総務本部 取締役 執行役員本部長 吉岡 隆徳 氏はこのプロジェクトについて、次のように振り返ります。

「当社はもともと、一事業部門の分社化からスタートしています。業務系のシステムなども初めから整っていたわけではなく、社内 OA も業容拡大に合わせて追加で構築、拡張を繰り返してきました。結果としてネットワーク環境を始め、OA 全体が複雑化してしまっていました。今後の事業の拡大への対応やワーク スタイルの変化、BCP (Business Continuity Plan) やセキュリティ対策の継続的な強化などを、長期的な視点でしっかりと行っていくためには、複雑化したシステムを、より効率的な形で再構築する必要があると判断しました」。

ATMJ がこのプロジェクトの検討を開始したのが、2009 年 4 月のこと。しかし当時は、「クラウドを検討するには、早すぎるタイミング」であったと吉岡 氏は説明を続けます。

「当然のことながら、OA の全面更改の検討を始めた 2009 年当初はオンプレミスでの構築を前提としていました。当時はまだクラウドの情報も少なく、具体的に検討できる段階ではありませんでした。しかし、かねて運用管理の省力化が課題になっていましたので、クラウドにも捨てがたい魅力を感じていました。そこで、基盤について急いで決断することは避けました。時間をかけてプロジェクトの要件を固める中で、クラウドに関する情報が増えてきたところで再度検討することにしていました」。

そして 2010 年に入りクラウド サービスに関する情報が揃ってくると、「国内のサーバーにデータを保全できること」を大前提として、改めてクラウド サービスの検討を開始。当時既に実績を積み重ねていた、株式会社インターネットイニシアティブ (以下、IIJ) のプライベート クラウド サービス「IIJ GIO」に注目し、IIJ の担当者が驚くほど、詳細な検討を実施します。
それは、ATMJ の厳格なセキュリティ ポリシーを満たすために欠かせないプロセスであったと吉岡 氏は言います。

「当社は、金融機関から業務を請けている身として、セキュリティへの十分な対策が欠かせません。そこで IIJ さんに担当が伺い、VLAN (Virtual Local Area Network) の構成から細かいところまで、サービスの裏側を確認させていただきました」。

こうして 2010 年 4 月、新しい IT 基盤として IIJ GIO を活用することが決定します。そして、24 時間 365 日の稼働を支える可用性と信頼性が求められる ATMJ の IT 環境を支えるプライベート クラウドの仮想化技術として選ばれたのが、Windows Server 2008 R2 Hyper-V でした。

<システム概要>
複雑化していたネットワークを整理して冗長化。Active Directory 活用でシングル サインオンを実現

日本ATM株式会社
総務本部
情報システム部
シニアエキスパート
相川 秀一 氏

株式会社インターネットイニシアティブ
ソリューション本部
プラットフォームソリューション部
プラットフォームソリューション課
髙橋 烈 氏

メールやポータル、ファイル サーバー、認証・検疫システムにイントラ Web サーバー、ERP、SFA に就業管理、プロジェクト原価管理など、多岐にわたるシステムを、全面的にプライベート クラウド上に移行した ATMJ の新しい IT 環境は、2011 年 7 月から、段階的にサービスインを開始。複雑化していたネットワークを綺麗に整備し直すことで、より強固なセキュリティを可能にしたと、吉岡 氏は説明します。
「社外にデータを預けることについて、確かに不安もありました。しかし、これまで以上にセキュリティを強化するためには、システムを分断しない方が良いと判断しました。また、全面的にプライベート クラウドに移行すれば管理も一元化されますので、運用がシンプルになります。また、社内にデータを置いた場合、BCP の観点から見て課題が生じますし、ヒューマン エラーなどのリスクも存在します。第三者にデータを預ける方がセキュリティを高められるだろうと考えました」。

この重責あるプライベート クラウド環境の構築に Hyper-V を採用することは、「ごく自然に決まった」と、IIJ プラットフォームソリューション部 プラットフォームソリューション課 髙橋 烈 氏は説明します。
「ATMJ 様では、従来から認証基盤に Active Directory を活用されてきました。そのほか、ほとんどの OA システムが Windows Server 上に構築されています。そうしたことを踏まえて、親和性の高い Hyper-V の採用はスムーズに決まりました。もちろん、ネットワークの安全性、可用性を担保する仕組みなど、サービスの裏側の部分まで、非常に細かくチェックしていただいた上での決定です。弊社の GIO サービスでは 99.99% 以上の可用性を謳っていますが、実際にサーバーが壊れた場合どういう動きになるのか、万一冗長化されたストレージが壊れた場合どうなるのか、細部にわたって徹底した情報開示を求められ、当社のコンサルティング チームが相談を受けました。そして、複雑化していたネットワーク周りの改善策など、さまざまなソリューションを提案させていただきました」。

構築に際しては、既存の Windows 2000 Server や Windows Server 2003 のほとんどを Windows Server 2008 に移行。従来は 10 台のサーバーで運用していたファイル サーバーを、たった 1 台の物理サーバーに集約するなどの効果により、IT 環境全体でサーバー約 40 台にまでスリム化しています。
また、従来はシステムごとにユーザー ID を管理していた環境を整備し、Active Directory での一元的なユーザー管理を行い、シングル サインオンを実現。スマート カードの認証なども追加され、エンド ユーザーにとっての使いやすさも加えられています。また、すべてのアクセス ログもしっかりと取得、管理される環境が整えられており、セキュリティとガバナンスが向上しています。

ATMJ では従来より東京、大阪、福岡にある主要拠点のネットワークを冗長化していましたが、今回のリプレースでは、そのほかの営業拠点を結ぶネットワークの冗長化も必要でした。そこで、日本のインターネット業界をリードし続けてきた IIJ のネットワーク技術と経験を活かしたコンサルティングを活用して、長い年月の間にシステムが積み上げられ、複雑化してしまったネットワークを再整理。IIJ セキュア Web ゲートウェイサービスの採用などにより、従来に増して、スマートかつセキュアなネットワーク環境を実現しています。

ATMJ 総務本部 情報システム部 シニアエキスパート 相川 秀一 氏は、次のように説明します。
「今回のプロジェクトで一番大きく見直しを行ったのがネットワーク周りです。データセンター周りだけではなく、各営業所をつなぐための WAN も全面的に更改しました。IT 環境を全面的にリプレースしたからこそ、ネットワークの理想的な設計も行いやすかったです。IIJ さんからの提案もいただき、非常にシンプルで分かりやすく、拡張性も担保した構成にできたと思います」。

日本ATM株式会社 システム概要図

<導入の効果>
新しいテクノロジーやサービスをスピード感をもって展開

IT 環境をプライベート クラウド上に全面移行した結果、ネットワークの冗長化や認証管理機能の強化などによって BCP やセキュリティ対策はねらい通りに強化され、システムの運用管理コスト削減も実現できたと吉岡 氏は言います。しかし、氏は同時に、「プライベート クラウド活用の最大のメリットは、ビジネス展開に必要な新しいテクノロジーやサービスを、スピード感をもって展開できること」にあると強調します。

「実は、東日本大震災以降、BCP 対策は急務だということもあり、システムのサービスインを 4 か月近く前倒しして、わずか 5 か月でプライベート クラウド環境への移行と、全拠点の WAN の移行を完了させているのです。これが 1 つ、大きな成果だったと言えるでしょう。自分たちにはクラウドへの移行経験など何もない中で、IIJ さんにお任せして、これだけスムーズに移行が完了したという簡便さは、大きなメリットだと思います」。

ATMJ 人事総務本部 情報システム部 部長 兼 CIO 上田 敏勝 氏も、「今後の機能拡張や、システム開発に関してもスピードアップが期待できる」と、声を揃えます。

「新規にシステムを構築する際に、開発用のサーバー リソースなど、実機を調達する必要もなく、仮想化されたリソースを切り分けて、すぐにでも活用できるのが、本当に便利だと思います」。

<今後の展望>
先進のワーク スタイルと SNS 活用の実現など、BCP をキーとした多彩なソリューションの実現へ

プライベート クラウドへの移行に始まる ATMJ の取り組みは、まだ終わっていません。むしろ「エンド ユーザーから評価されるのはこれからではないか」と吉岡 氏は言います。
「システムを活用するエンド ユーザーから見れば、今はまだ従来のシステムが移行しただけという感覚でしょう。2012 年中にモバイル環境を整える予定でいますので、エンドユーザーからはっきりとした評価を聞けるようになるのはそれからでしょう」。

ATMJ では、スマートフォンや仮想デスクトップを利用して、ロケーション フリーのワーク スタイルの実現を目指しています。それは、業務の迅速化、効率化に貢献するための環境整備であると同時に、BCP 対策として、交通機関がマヒして通勤ができなくなる状況下でも滞りなく業務を進めていくための備えでもあります。
上田 氏は次のように説明します。

「システムのインフラは整いましたので、今、スマートフォンや仮想デスクトップの環境整備を進めているところです。もちろん、セキュリティは最重要課題ですので、基本的には、スマートフォンにもデータを残さないように運用する予定です。デスクトップも仮想化し、ノート PC をシンクライアント化することで、セキュリティ要件を満たした上で、エンド ユーザーの利便性を損なわない仕組みを作ることが重要です。さらに言えば、すべての社員にモバイル端末を支給しているわけではありませんので、災害時には自宅の PC から社内システムにアクセスできる環境を用意することも検討しています」。

さらにもう 1 つ、BCP 対策からスタートして、業務の効率化と社内コミュニケーションの促進にまで効果を期待できるサービスとして、社内独自の SNS (Social Networking Service) 構築も検討していると上田 氏は続けます。
「既存 SNS が災害時の安否確認に有効であったという経験から社内でも独自のサービスを整備することを検討しています。平時における活用の幅も広く、ナレッジの共有や人材発掘など、さまざまなチャネルとして活かすことが考えられます。セキュリティとのバランスがここでも重要になりますが、可能性は豊かです」。

最後に吉岡 氏は次のように語ります。

「繰り返しになりますが、こうして、さまざまなシステムの追加開発を気軽に検討し、スピーディーに実装まで進むことができるのが、クラウド活用の最大のメリットでしょう。もちろん、IIJ さんにシステムを預けることで運用管理の労力も大幅に削減しています。今後はさらに効率化を進め、新しいシステムのニーズが生まれた時に、すべてを自社構築するのではなく、汎用的なパッケージや SaaS (Software as a Service) を積極的に活用していくことで、業務負荷の改善や、TCO を下げていくこともできるでしょう。そうして、従来は社内の業務用アプリケーションの開発や運用にかけていた分の人的なリソースを、当社のコアを成すビジネスの企画や展開に集中させることができます。その点でもプライベート クラウドの活用は、間違ってなかったと確信しています」。

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