612
導入事例

 様に導入

  • 見える化
  • コミュニケーション
  • 最適化
  • コスト

旭化成株式会社

 様に導入

コミュニケーション基盤全体をマイクロソフト テクノロジへと移行。
組織の壁を超えた連携によって、グループ全体のシナジーを高める

旭化成株式会社

旭化成株式会社

「世界の人びとの "いのち" と "くらし" に貢献」することをグループ理念に掲げ、「昨日まで世界になかったもの」を創造し続けている旭化成グループ。ここでは これまで UNIX ベースで構築されていたコミュニケーション基盤が、マイクロソフト テクノロジへと全面的に移行されています。採用の決め手になったのは、グローバル展開の進めやすさと、幅広いニーズに対応できる機能群の装備。また最短でも 10 年のライフ サイクル保証や、クライアント製品との親和性も高く評価されています。グループ全体で統一されたコミュニケーション基盤を活用することで、組織の壁を超えた連携を実現。グループ シナジー強化による、価値創造のさらなるスピードアップを目指しています。

<導入の背景とねらい>
グループ全体でのシナジーを生み出すため
コミュニケーション基盤をリニューアル

旭化成株式会社
情報システム部
部長
市原 格 氏

旭化成株式会社
情報システム部
課長
高橋 正彦 氏

旭化成株式会社
情報システム部
課長
廣井 裕司 氏

旭化成株式会社
生産技術本部
生産技術センター
情報通信技術部
部長
吉田 滋 氏

AJS株式会社
IT基盤事業部
企画営業部
岸 健一 氏

経営効率の向上や事業のスピードアップを目的に、持株会社制を採用する企業グループが増えています。持株会社制に移行することで、グループ全体の戦略を個々の事業と分離することが可能になり、事業ポートフォリオの柔軟性が高まるからです。また各事業会社にとっても、権限委譲によって独自の価値を生み出しやすくなるというメリットがあります。しかしその反面、事業会社間の横の連携をどのように実現していくのかという、新たな課題を解決することも求められます。事業ポートフォリオの価値を最大化していくには、グループ全体のシナジーを創り出すことが重要になるからです。

この課題に対応するために、コミュニケーション基盤全体をマイクロソフト テクノロジへと移行したのが、旭化成株式会社 (以下、旭化成) です。

同社は旭化成グループの純粋持株会社であり、9 つの事業会社で構成される旭化成グループ全体の戦略立案、グループ資源の最適化、グループ経営執行の監督といった役割を担っています。各事業会社はそれぞれの事業環境の変化に対応した「自主自立経営」を行うことで、各分野における高い競争力を発揮しています。

「持株会社制に移行したのは 2003 年ですが、その最大の目的は事業スピードの向上でした」と振り返るのは、旭化成株式会社 情報システム部 部長の市原 格 氏です。しかしその一方で、グループ全体の求心力をいかにして高めていくかという、新たな問題にも直面することになりました。この問題を解決するためにも、コミュニケーション基盤全体を見直す必要があったと説明します。

旭化成が最初に電子メールを導入したのは 1993 年。まだインターネットが商用化する前という、非常に早い段階での導入でした。システム基盤としては UNIX を採用し、市販パッケージをカスタマイズして利用。2000 年にはグループウェアとして Lotus Notes を導入し、これも UNIX 上で動かしていました。

「導入当時は最先端のシステムでしたが、大幅なカスタマイズによって独自性が強くなり、時代の流れについていくことが難しくなっていました」と言うのは、旭化成株式会社 情報システム部 課長の高橋 正彦 氏です。その結果、新たな機能を求めるユーザーに対しては、部門ごとの個別システムの立ち上げで対応していくケースが増えていったと説明します。「このままではコミュニケーション基盤が細分化され、効率が低下するおそれがありました。グループ全体のガバナンスを考えた場合でも、好ましい状況とは言えませんでした」。

グループ全体に "横串" を通すコミュニケーション基盤をいかにして実現するか。この問いに対して旭化成が出した答えが、マイクロソフト テクノロジへの全面的な移行だったのです。

<導入の経緯>
企業のコミュニケーション基盤に必要な幅広い機能の装備と世界展開の容易さを評価し
マイクロソフト製品の採用を決定

それではなぜマイクロソフトを採用したのでしょうか。市原 氏は大きく 2 つのポイントを重視したと説明します。

まず第 1 はグローバルで活用しやすいことです。「旭化成グループでは海外でのビジネスを積極的に展開していますが、これを支えるにはコミュニケーション基盤も、海外でのシェアが高く、グローバル展開しやすいものが必要です。国産グループウェアにも高機能な製品がありますが、日本独自の仕様を含むため、海外ユーザーにはその利用方法を説明する必要があります。このような余計な負担は、できるだけ回避したかったのです」 (市原 氏)。

第 2 はメール、ポータル、Web 会議といった企業のコミュニケーション基盤に必要な幅広い機能をフルセットでカバーしていることです。グループ全体のニーズに、1 つの基盤で対応する必要があるからです。「この 2 つの要件を満たすには、マイクロソフト テクノロジの採用が最適だと判断しました」 (市原 氏)。

その一方で高橋 氏は「マイクロソフトのクライアント製品との親和性や、製品発売日から最短でも 10 年間のライフ サイクルを保証している点も大きな魅力です」と指摘します。「10 年間の保証をしてくれているのはマイクロソフト以外にはありません。Notes ではバージョンアップのハードルが高いと言われていますが、マイクロソフト製品ならその不安も軽減すると思います」。

これらに加え「サーバーまでマイクロソフト製品に統合することで、ライセンスの有効活用が可能になり、ライセンス管理も容易になります」と言うのは、旭化成グループの IT 資産の管理を担当する、旭化成株式会社 情報システム部 課長の廣井 裕司 氏です。「クライアントとしては全社的に Windows と Microsoft Office を利用しています。既にこれらのエンタープライズ アグリーメントを契約しているのであれば、サーバーもマイクロソフト製品にするのが合理的です」。

旭化成ではコミュニケーション基盤の移行に先立ち、2010 年 4 月に、Active Directory と Microsoft System Center Configuration Manager (SCCM) の導入に着手、2011 年 4 月にサービスを開始しています。これと並行してコミュニケーション基盤の移行計画を作成。2010 年 7 月に経営戦略会議の承認を受け、同年 10 月に構築プロジェクトがスタートします。

導入対象となった製品は、Microsoft SharePoint Server 2010、Microsoft Exchange Server 2010、Microsoft Lync Server 2010、Active Directory Rights Management Services (RMS) の 4 製品。2011 年 1 月までに要件定義を完了し、その後、設計/開発/構築フェーズへと進んでいきます。同年 11 月には RMS の構築が完了。情報漏えい対策基盤を確立しています。

2012 年 5 月には社内 Web 基盤として SharePoint Server 2010、在籍確認やインスタント メッセージングの基盤として Lync Server 2010、メール基盤として Exchange Server 2010 の稼働を開始しています。

移行スケジュール

移行スケジュール[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
約 26,000 名のメール環境をわずか 1 日で切り替え
その成功を支えたのは、利用するユーザーの視点に立った綿密な事前準備

このプロジェクトで注目したいのが、メール環境の切り替えをわずか 1 日 (2012 年 5 月 19 日) で行っていることです。旧メール サーバーの機能上の制約によって、メール アドレスを変更することなく複数サーバーを併存させることが不可能だったからです。ユーザー数は約 26,000 名、拠点数は約 300 拠点、これだけ大規模なメール環境一斉切り替えを支えたのは、新しいコミュニケーション基盤を利用するユーザーの視点に立った事前の綿密な準備でした。

「単に "5 月 19 日に切り替えます" と言っても、社員全員にきちんと伝えるのは簡単ではありません」と言うのは、旭化成株式会社 生産技術本部 生産技術センター 情報通信技術部 部長の吉田 滋 氏です。きちんと伝わっていなければ、切り替え当日に混乱が発生し、業務に影響を与える危険性もあります。このような状況を回避するために行ったのが、認知を広げるためのプロモーション活動と、切り替えを円滑に進めるための講習会だったと説明します。

プロモーションへの取り組みが始まったのは 2011 年 8 月。社外のデザイナーやコピーライターとチームを組み、「ルックちゃん」というキャラクターを作り、これを活用したポスターや配布物を制作します。配布物は、クライアント PC への Microsoft Outlook 2010 導入やメール サーバー切り替えのための手順書、その作業に必要なファイル一式を格納したソフトウェア DVD などで構成。2011 年 11 月には、ポスターの掲示と配布物の展開が始まっています。

これと同時に、メール環境切り替えのための講習会も全国でスタート。NTTコム チェオ株式会社の協力の下、合計 476 回に上るセッションを開催しています。さらに、ユーザーからの質問を受け付ける特設ヘルプ デスクも用意。これに関しては NTTコミュニケーションズ株式会社の支援を受けています。

2012 年 3 月からは、各ユーザーによる新たな電子メール プロファイルの作成がスタート。事前資料や講習会で説明した手順に従って、各ユーザーがプロファイルを作成するという方法が取られました。「全社員が各自で作業を行う必要がありましたが、事前に丁寧に対応したこともあり、混乱なく切り替えを完了できました」と吉田 氏。切り替え前の 2 か月間は 1,000 件を超える問い合わせがありましたが、切り替え時にはほとんどなかったと言います。

こうして実現されたマイクロソフト製品への移行によって、どのような効果がもたらされているのでしょうか。

まず組織の壁を超えた情報共有が容易になりました。例えば SharePoint Server では、チームで情報を共有するためのコミュニティ サイトが多数立ち上げられていますが、フラットかつオープンな構成になっているため、複数の組織をまたいだコミュニティを簡単に作ることができます。メンバーの追加も容易なため、ダイナミックに変化するコミュニティを作ることも可能です。

SharePoint Server 上では、グループ全体に対する情報発信を目的としたポータル サイトも作られています。以前はホームページ制作ツールの利用や外注制作が多く、サイト構築のハードルが高くなりがちでしたが、SharePoint Server では Web ブラウザー上で編集が行えるため、手軽に情報発信を行えるようになりました。

グループ全体でのスケジュール共有によって、他の社員の予定も把握しやすくなりました。Outlook で入力したスケジュール情報は Lync のプレゼンス機能とも連動しており、相手が今どのような状況なのかもひとめで確認できます。またメール検索は添付ファイル内も含めた検索が行えるため、目的のメールを確実に見つけだせるようになったことも、ユーザーの利便性を高めています。

システム運用面でも、今回の移行は大きな意味を持っています。その 1 つとして挙げられているのが、DR (Disaster Recovery) の実現です。「一般に DR の導入はコスト高になりがちですが、Exchange Server 2010 には冗長性を高める機能 (DAG、Database Availability Group) が搭載されており、これを活用することにより低コストで DR を実現できます」と説明するのは、旭化成グループの IT 開発や保守および運用を担当する、AJS株式会社の岸 健一 氏です。AJS株式会社は要件定義の段階で Exchange Server 2010 の DR 化を提案。遠隔地の 2 拠点にサーバーを設置することで、災害への備えを強化しています。

なお要件定義フェーズではマイクロソフト コンサルティング サービス (MCS) が活用されていますが、これもシステム移行を円滑に進めるうえで、重要な役割を果たしたと岸 氏は指摘します。「試行環境の構築や技術面での調査で大変お世話になりました。これはプレミア サポートにも通じるのですが、製品に関する徹底した対応は、マイクロソフトならではの特長だと思います」 (岸 氏)。

「ルックちゃん」を活用した事前準備ツール

「ルックちゃん」を活用した事前準備ツール

<今後の展望>
ビジネス インテリジェンスの活用を検討
Lync の機能活用による出張削減にも期待

2012 年 8 月現在、Notes ベースの情報共有サイトもまだ一部残されていますが、2013 年 3 月までには SharePoint Server へと移行する予定です。現時点で SharePoint Server 上で構築されているコミュニティ サイトは約 150、情報発信系サイトは約 280 ですが、今後半年間で大幅に増えることが予想されています。また見える化ポータルとしてビジネス インテリジェンス機能の活用も検討されています。「このような機能を工場などに紹介することで、生産現場の見える化や安全活動に活かしていきたいと考えています」と高橋 氏は説明します。

Lync の活用も、今後さらに発展させていく計画です。現在はスケジュールと連携したプレゼンス機能が主な用途となっており、一部ユーザーがインスタント メッセージングを使っている状況ですが、画面共有機能や Web 会議機能、内線電話機能にも期待が寄せられています。これらのリアルタイム コミュニケーションを積極的に活用することで、出張を減らしながら、拠点間の連携を強化できるからです。

コミュニケーションを活性化するために必要な機能が統合されている点にも大きく期待しています。さまざまな情報がポータルに集まってくると、そのポータルで情報を検索する機会が増えてきます。ポータルに登録されているファイルを見つけることができるだけでも、十分価値はあるのですが、プレゼンス機能との統合により、ファイルの作成者がだれか、今、取り込み中なのかどうなのかがひとめでわかり、そこからすぐにインスタント メッセージングや電話といったコミュニケーションをとることができます。ポータルを介して人と人がつながり、そこに新しいアイデアが生まれるといった新しいコミュニケーションの形が取れるようになると、これまでとは違ったワーク スタイルが実現できると期待しています。

「組織の壁を超えたやり取りが手軽に行えることで、社員の意識が変わり、ワーク スタイルも変わっていくでしょう」と市原 氏。「この基盤でグループ全体のシナジーを高めることで、新たな社会的価値創造のスピードも高まっていくはずです」。

コメント