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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • コミュニケーション
  • 効率化
  • 最適化
  • コスト

アサヒビール株式会社

 様に導入

アサヒグループで活用する動画プラットフォーム「ASAHI MOVIE CHANNEL」を、Windows Azure 上に構築。
海外拠点とのリソース共有まで行うグローバル インフラとして活用し、マーケティング活動を促進

アサヒ グループでは、お客様との接点をより細やかなものとするために、映像コンテンツを積極的に活用。グループの中核を担うアサヒビール株式会社 (以下、アサヒビール) が活用していた動画ポータルを、アサヒグループ全体で活用できる、スケールの大きなプラットフォームとして再構築するプロジェクトが進行。2011 年 12 月に「ASAHI MOVIE CHANNEL」としてサービスインしています。数百を超える映像コンテンツをグローバルに配信するこの動画ポータルのプラットフォームとして活用されているのが、マイクロソフトのパブリック クラウド サービス Windows Azure なのです。

<導入の背景とねらい>
魅力的な動画ポータルを形成し、コストを削減しながらパフォーマンスを高める

「その感動を、わかちあう。」というコーポレート メッセージを掲げ、人々の記憶に残る「共感性」を大切にしたマーケティング コミュニケーションを展開しているアサヒ グループでは、お客様との接点をより細やかにし、ブランディングの向上を図るために、積極的に映像コンテンツを活用しています。その一環として、グループの中核を担うアサヒビール株式会社 (以下、アサヒビール) が、活用していた動画ポータルを、拡大を続けるアサヒグループ全体で活用できる、スケールの大きなプラットフォームとして再構築するプロジェクトが進行。2011 年 12 月に「ASAHI MOVIE CHANNEL」としてサービスインしています。

アサヒビール株式会社
マーケティング本部
宣伝部 担当部長
尾関 博 氏

この「ASAHI MOVIE CHANNEL」には、「アサヒ スーパードライ」や「クリア アサヒ」といったアサヒビール主力ブランドの TV CM のほか、メイキング映像や Web 限定の特別 CM、お酒にまつわる世界の情報などが収められています。さらにアサヒ飲料株式会社の缶コーヒー「ワンダ」や、アサヒフードアンドヘルスケア株式会社の「ディアナチュラ」などの主力商品 CM の掲載も進んでおり、グループ全体で活用するプラットフォームへと成長を続けています。

2011 年のプロジェクト開始当時、数多くの人気 CM を掲載し、日々多数のアクセスを受けることになる、この「ASAHI MOVIE CHANNEL」の構築に際しては大きく分けて 3 つの課題があったと、アサヒビール マーケティング本部 宣伝部 担当部長 尾関 博 氏は言います。それが、「品質の向上と、コスト削減の両立」、「グループ間で施策が集中する際にも、トラフィックの増加に耐えられるスケービリティの確保」、そして「アサヒグループのグローバル戦略において、柔軟に活用できるプラットフォームであること」の 3 点でした。

「私たちが最初に考えたことは、『いかにして数々の映像コンテンツを、魅力的な形で提供するか』ということです。プラットフォームに関して言えば、『映像が、ストレスなく再生されること』が最低条件になります。そのためにはサーバーとネットワークのリソース確保が重要です。アサヒビール 1 社のみの運営であれば、プロモーションのタイミングも調整が容易ですから、サーバー リソースの確保などについて、従来からのデータセンター活用で問題はありませんでした。しかし、アサヒ飲料などグループ全体に活用を広げ、それぞれのタイミングでプロモーションを展開していくようになった場合、サーバー リソースの調整は容易ではありません。そこで浮上したのが、クラウド サービスの活用です。クラウド サービスであれば、オンプレミスにデータセンターを構築するよりも、イニシャルコストを抑えることができるのも、大きなポイントでした」。

そして、クラウド サービスの選定に際し、もっとも重要となったことが「グローバルでのブランド管理の観点から、日本の本社が主導して、グローバルにプラットフォームを提供することでした」と、尾関 氏は続けます。

「アサヒグループでは、海外のグループ企業が、効果的な Web マーケティングを展開できるよう、自由に使えるプラットフォームとして、『ASAHI MOVIE CHANNEL』のリソースをグローバルに提供することも視野に入れていました。運用責任は日本にあり、現地施策に対するサポートも、日本から提供します。しかし日本国内にサーバーを設置すれば、海外ユーザーからのアクセスに対してレスポンスの問題が生じ、快適な Web 体験を提供することができなくなります。私たちが必要としていたのは、日本から世界へ、確かなサポートと快適なアクセスを保証できるプラットフォームだったのです」。

そして、上記条件に当てはまるものとして高く評価されたのが、マイクロソフトのパブリック クラウド サービスである Windows Azure を使った、株式会社FIXER (以下、FIXER) によるソリューション提案でした。

<Windows Azure 採用の経緯とシステム概要>
マーケティング施策に応じてインスタンスをリアルタイムでコントロールし、機会損失を防止

株式会社FIXER
アカウント マネージャー
小笠原 尚久 氏

株式会社FIXER
システム エンジニア
山下 晃 氏

株式会社FIXER
アシスタント ディレクター
佐藤 雅也 氏

FIXER から Windows Azure 活用の提案を受けたアサヒビールが、特に評価したポイントが、グローバルなサービス / サポート体制だったと言います。
「アサヒグループとしてグローバルにビジネスを展開していく上で、重要拠点である中国、およびアジア・オセアニア地域への対応が欠かせませんでしたし、ヨーロッパ、アメリカと広範囲のアクセスに最適化する必要がありました。そこで、どこにデータセンターを置くべきなのかと相談していたのですが、Windows Azure ならば海外に複数の拠点があるので、『悩む必要はない』と。しかも、基本的な運用管理はマイクロソフトが行っているので、安心できるというのもポイントでした」。

元々 Web コンサルティングなどを行っていた FIXER では、クラウド サービスの領域に本格的に注力する際に、Windows Azure をプラットフォームとして選択。導入設計・運用・保守までを一貫して行う「cloud.config」というサービスを提供しています。このサービス提供を通して、日本マイクロソフトとの密接なリレーションシップが出来上がっていることも、尾関 氏たちの目に、頼もしく映ったと言います。
「提案を行ってくれた FIXER さんと日本マイクロソフトとのパイプも太いという安心感もありました。私自身、以前、IT 部門在籍時にマイクロソフトさんと仕事をして、その凄さは知っていますので」。

FIXER のアカウント マネージャーである小笠原 尚久 氏は、さまざまにあるクラウド サービスの中から Windows Azure を推奨した理由として、第 1 に「PaaS (Platform as a Service) のクラウド サービスであること」を挙げています。
「サービスの提供基盤としてクラウドを選択する場合に、サーバー リソースのみを提供する IaaS (Infrastructure as a Service) と、すでにサーバー OS などのプラットフォーム環境が整えられている PaaS の 2 種類があります。Windows Azure も PaaS であり、オンプレミスで馴染みの深い Windows Server と近しいプラットフォーム環境がすでに整えられています。基本的なセキュリティなどの運用管理は、マイクロソフトの方で行っていますので、当社、そしてお客様はシステムやアプリケーションの開発に専念できます。その分、スピーディーにサービスを構築できる強みがあります」。

さらに、小笠原 氏は「機会損失のリスクも、より確実に抑えられる」と続けます。
「キャンペーンの立ち上げ時やテレビ CM 放映開始の時期など、アクセスが集中するタイミングはある程度予測できます。
Windows Azure では、インスタンスの追加も、削減も、Web コンソールを操作するだけであっという間に完了しますので、リソース不足で機会損失を起こしてしまうリスクがほとんどありません。これも Windows Azure ならではの長所です」。

完成した「ASAHI MOVIE CHANNEL」には、2011 年当時、Windows Azure 上でオープンソースを使った CMS (Content Management System) ツールである Movable Type を活用した “数少ない事例” という、大きな特徴がありました。
アサヒビールでは、管理する TV CM の数が多いため、更新作業を効率化するために従来の動画ポータルを他社動画配信サービスを使って構築しており、「ASAHI MOVIE CHANNEL」でもそのシステムを継承することが求められていたのです。
構築を担当した FIXER システム エンジニア 山下 晃 氏は次のように話します。
「Windows Azure 上で Movable Type を動かしたケースが少なかったためにドキュメントが不足していたため、当社内で検証工夫を重ねていきました。オンプレミスの環境でテストしてから、Windows Azure での動作確認へと進行していったのですが、"オンプレミスの Windows Server と Windows Azure の環境が近しいために比較的開発がしやすい" というメリットが功を奏し、開発はスケジュール通りに進行できました」。

<Windows Azure 採用の効果>
トータル コストを 3 割削減しながら、記録的なアクセス数に耐えるプラットフォームを実現

「ASAHI MOVIE CHANNEL」に Windows Azure を採用した結果、「固定費はリニューアル前の半分、変動費を含めて 3 割程度のコスト削減につながっている」と言います。

こうして構築された「ASAHI MOVIE CHANNEL」のサービスインから今日に至るまで、さまざまな TV CM が話題となり、多くのアクセスを生んできました。たとえば「アサヒ スーパードライ」では、日本の人気アーティストの主演で、世界的な映画監督を起用。圧倒的なスケールの映像をお茶の間に届け、話題を呼びました。また、アサヒ飲料の「ワンダ モーニングショット」では、圧倒的な人気を誇るアイドル グループを起用し、"1 日に 90 種類の CM をオンエア" するという世界記録まで樹立。TV CM の放送枠では繰り返し露出することが難しい、90 人分のバージョンを視聴するために想定を大きく上回るアクセスが発生したと言います。

そして、いずれの場合にも「大きなトラブルは、1 つも起きなかった」と尾関 氏は振り返ります。
「『ワンダ』は、90 種類の CM を公開した時はかなりのアクセスが集まりましたし、今もいろいろなキャンペーンが好評となっています。『アサヒ スーパードライ』に関しては "映像の迫力" がテーマとなっていましたので、著名映画監督らしい絵作りで、アメリカの荒野をフィルムに収め、15 秒、30 秒、60 秒のほかに、90 秒、120 秒という長尺の作品まで公開しました。さすがに 120 秒になると地上波で提供する数も限られます。オウンド メディア (Owned Media) である ASAHI MOVIE CHANNEL がしっかりとしていればこそ、こうした施策が実現できたのだと思います。お陰さまでアクセス数も順調に推移していました」。

また、山下 氏やアシスタント ディレクター 佐藤 雅也 氏などによる FIXER の開発チームが工夫し、操作性向上のためにインターフェイスを整理したという Movable Type の使用感も、日々の業務に貢献していると、尾関 氏は言います。
「『クリア アサヒ』の TV CM は、3 人のタレントさんを起用して、3 つのストーリーを同時並行で展開するシリーズを今も継続しています。このシリーズも頻繁に更新されるのですが、3 人同時のバージョンと、1 人ずつのバージョンがあり、さらに 15 秒、30 秒、60 秒とバリエーションが増えていきますので、公開作業も楽ではありません。完成して、納品されてきた映像を、予定の時刻までに間違いなくアップしなければなりませんので、システムの使いやすさというのは、とても重要になっています。その点、従来の仕組みをほぼそのまま活かしていただいた上に、いくつかの工夫も追加していただき、とても良かったと思います」。

ソーシャル ネットワーク対応を含め、グローバルでの躍進を後押しするクラウド活用へ

アサヒグループでは、「ASAHI MOVIE CHANNEL」を国内で活用するだけではなく、すでにグローバルに運用されています。
「プラットフォームを提供するだけではなく、たとえば日本で撮影したビールの "シズル感" などを表す映像コンテンツを提供し、新たな販売チャネルを獲得するためのコミュニケーションに利用してもらっています。そのほか、どのような各国独自の映像コンテンツや、アプリケーションを公開するためのインフラとして、Windows Azure のリソースを、私たちの管理の下で解放しています。インフラさえ準備されていれば、各拠点は施策のみに集中できますので、グローバルにおけるビジネスのスピードが変わってきます」と尾関 氏。

さらに Windows Azure 活用が進んでいる同社の他の好例として、2012 年 7 月から公開中の Facebook アプリケーション「Face Party」の存在を挙げて、説明を続けます。
「パブリック クラウドの潤沢なリソースを活用しているお陰で、さまざまな施策を、従来よりも気楽にスタートできるようになりました。たとえば今、Facebook アプリケーションとして『Face Party』というものを、世界公開しています。これは、誕生日を迎えたご友人を主役として、その方が承認されているご友人の名前とプロフィールのアイコン画像を読み込んで、『みんなで誕生日パーティーを行っているムービー』を作成し、送ることができるサービスになっています。使っていただいたお客様からは、非常に高評価をいただいています。こうしたアイデアを形にする際に、今までであればサーバーの調達から始めなければなりませんでしたが、今は Windows Azure がありますので、悩む必要がありません。企画・立案から開発、提供までのスピードがまるで違います。非常に楽ですよ」。

この「Face Party」も、各国拠点が作成している Facebook ページにて「使いたい」という相談が、いくつも寄せられていると尾関 氏。さらに、各拠点オリジナルのアプリケーション開発においても、日本からサポートを提供する場合があると締めくくります。
「Facebook などソーシャル ネットワーク向けアプリケーションの提供基盤として Windows Azure を提供するだけではなく、現地の IT パートナーが Windows Azure の利用に慣れない場合など、FIXER さんに遠隔からのサポートをお願いするケースもあります。私たちとしては、こうしてインフラとサポートの両面からサポートすることでグローバルのニーズに応え、ブランディング展開や、トリプル メディアを意識した立体的なキャンペーンの展開を、より広く行っていきたいと思います」。

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