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株式会社情報基盤開発

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東大発ベンチャーが提供するデータ入力支援サービス「AltPaper」
スピード、コスト、安全性を満たすインフラ基盤として Azure を採用

画像読み取り技術を用いたデータ入力業務支援事業を手がける、東京大学発ベンチャーの株式会社情報基盤開発。アンケート用紙などの帳票設計、印刷、自動入力・集計を可能にするデータ入力業務支援ソフトウェア「AltPaper」を提供する同社は、日本マイクロソフトが 2015 年 5 月に開催した技術カンファレンス「de:code 2015」の来場者アンケート集計に AltPaper を導入。そのインフラ基盤として、スピード、コスト、安全性すべてを実現できる Microsoft Azure が採用されました。

写真:株式会社情報基盤開発外観






紙アンケートの自動集計サービス「AltPaper」

写真:業種イメージ

<導入背景とねらい>
データ入力業務支援ソフトウェア「AltPaper」を Azure 上に構築、マイクロソフトのイベントで活用

写真:株式会社情報基盤開発 最高財務責任者 千保 理 氏

株式会社情報基盤開発
最高財務責任者
千保 理 氏

株式会社情報基盤開発 (以下、情報基盤開発) は、2004 年 8 月、東京大学のメンバーが中心となって設立されたベンチャー企業です。鉄道会社向けに橋梁の点検結果を蓄積・分析するシステムの開発・運用から事業をスタートし、現在では「情報を価値に変えるサービスを提供する企業」というコーポレート ビジョンの下、さまざまな事業を展開しています。

現在、同社が特に注力しているのがデータ入力業務の支援事業です。主力製品の「AltPaper」は、2004 年 10 月、独立行政法人情報処理推進機構の「未踏ソフトウェア創造事業」に採択されたアイデアから開発されました。同製品の特長について、株式会社情報基盤開発 最高財務責任者 千保 理 氏は以下のように語ります。

「AltPaper は、画像読み取り技術を用いたデータ入力業務支援ソフトウェアです。特長は、マーク シートをはじめ、さまざまな種類のアンケート用紙を Word 内の機能だけで作成できる点です。選択式か自由記入式か、あるいは単一回答か複数回答かを選択したり、選択肢の数を決めたりといった帳票のレイアウトを、使い慣れた Word の画面から自由に作成できます。

作成した帳票は、専用紙でなく普通のコピー用紙で印刷が可能です。回答後の用紙をスキャンすると、デジタル データとして自動生成されたデータベースに登録され、グラフや DB の形式で出力することができます」(千保氏)

一般的に、マーク シートは分厚く特殊な加工が施された専用の用紙で作られています。そのため既存のマーク シート システムを導入する際は、アンケート画面を作るソフトウェア、専用の用紙を読み取る機械、用紙のデザイン費や運用費など、およそ 1 千万円以上の導入コストが発生していました。

しかし AltPaper では、特殊な読み取り機械を用意する必要はありません。また、帳票作成と同時に集計担当者用の入力画面が自動生成されるため、アプリケーション開発にかかるコストが削減されます。専用紙をストックし保管するコストも不要になります。

さらに、既存のシステムはアンケート画面設計、データの定義、DB の設定といった各工程にさまざまな人がかかわるため、1 枚の帳票を作るだけでもリードタイムが発生していました。AltPaper では、Word の機能さえ使えれば、2、3 時間程度で簡単にアンケート帳票が作成可能になります。

同社が Microsoft Azure の利用を検討したのは 2015 年 4 月中旬のこと。日本マイクロソフトが同年 5 月に開催した技術カンファレンス「de:code 2015」の来場者アンケート集計に AltPaper を提供することが契機でした。

「de:code 2015 では、イベントの来場者アンケートに AltPaper を用いた入力代行サービスを利用していただき、それまで手作業で 7 日間かけて行っていた集計、入力作業は 1 日、つまり 7 分の 1 まで短縮されました」(千保氏)

<導入の経緯>
ストレージの信頼性と、OS を問わないサポートの安心感が Azure 採用の決め手

写真:株式会社情報基盤開発 最高技術責任者 葛上 昌司 氏

株式会社情報基盤開発
最高技術責任者
葛上 昌司 氏

同社では、これまで AltPaper をクラウド上で構築する際、他社のクラウド サービスを使っていました。株式会社情報基盤開発 最高技術責任者 葛上 昌司 氏は、Azure 導入を決めたポイントについて 2 点挙げています。

1 つ目は、他社サービスと比較したときにストレージ耐性が高く、障害に強いという点です。

「他社のクラウド サービスでは、可用性や安定稼働を担保するために意識して明示的に取り組まないとサービス レベルを保てない面があり、ダウンタイムをゼロに近づけようとすると、相当のエンジニア パワーが必要でした。その点、Azure に関する高い技術を持っていなくても、適正なインフラの構築、運用が可能だったのです」(葛上氏)

2 つ目は、Azure では Windows は元より Linux も安定稼働する点です。同社では、画像処理ソフトウェア開発を Linux 環境で行っており、過去のソフトウェア資産を活用するためには、Linux が安定して稼働することもクラウド選定の重要な条件でした。

「画像処理ソフトウェアは、微妙なセットアップで計算のルーティンが狂い、精度に影響が出る可能性があります。そのため、一度作った高品質なソフトウェアは、なるべく作ったときの環境を再現して稼働させたいのです」(葛上氏)

さらに、ビジネスの継続性の観点でも Azure に優位性があったと千保氏は語ります。

「お客様によっては、365 日 24 時間 AltPaper が稼働しているケースもあります。ミッション クリティカルなシステムを運用するという点で、国内に堅牢なデータ センターを有する Azure に優位性がありました」(千保氏)

<導入の成果>
安定的かつ迅速な開発を実現、顧客のリソースに合わせた最適な環境を提案可能に

写真:東京大学アントレプレナープラザ

東京大学アントレプレナープラザ

導入の効果は、AltPaper の構築を安定的かつ迅速に行えるようになった点が挙げられます。

Azure には、サービスの安定性を自動的にチェックし、弱い部分をサジェストしてくれる機能があります。この機能によって、サービスの中でも、ボトルネックになる可能性のある箇所を把握し、想定以上のスピード感でリリースできたと葛上氏は語ります。

「de:code 2015 で使ったサービスを従来のインフラ環境で構築した場合、おそらく開発期間は約 3 倍程度かかったでしょう。目に見えないインフラの安全性に関するチェックも、Azure のチェック機能のおかげで、安全かつスピーディに開発ができました」(葛上氏)

de:code 2015 で利用するシステムのリソースが不足したときには、サービスの利点が活かされました。稼働日の前日に計算処理するサーバーのリソースを 5 倍にしても問題なく動作したといい、安定的かつスケーラブルな運用が実証されました。

また、インフラ基盤の選択肢として Azure が加わったことで、顧客に対する提案の幅が広がりました。葛上氏は「コストを抑えつつ、安全性を担保させたいというお客様にとって Azure は最適でしょう」と自信を見せます。

さらに、AltPaper と BI ツール「Power BI」を連携すれば、使い慣れた Excel の UI に BI 機能を追加し、幅広いユーザーがビッグ データを活用できるようになります。集計だけでなく分析を省力化してお客様に利便性を提供できる点が、Azure 導入の大きな効果だと千保氏は語ります。

「AltPaper は、紙を使ったアンケートということで、店頭で実施する満足度調査などに強みを発揮するサービスです。特に、価格が高く、個人の嗜好が強い、自動車や不動産、旅行といった業種で、上述した Power BI などを活用すれば、よりビジネスと直結した CS アンケートが実現できるでしょう」(千保氏)

<今後の展開>
顧客の購買行動と CS アンケートを結合・分析して新たな価値を提供へ

Azure を活かした今後のビジネス展開について、千保氏は以下のように語ります。

「Azure によって、売上分析と CS アンケートを結合したシステムを提案することが可能です。たとえば、ある車種を買ったお客様の満足度や、どこに満足して購入に踏み切ったのかという、購買行動と CS アンケートの結果を結合して分析するといったことも可能になります」(千保氏)

また、2015 年の 12 月からストレス チェック義務化法が施行され、50 人以上の企業で、ストレス チェック診断サービスが義務化されます。同社ではこれを契機に、50 人から 100 人くらいの中小、中堅事業者向けに、マーク シートを使った集計サービスを展開することも視野に入れています。

「工場や百貨店など、一人ひとりに PC 端末が支給されていないような環境は紙のアンケートのニーズが高いです。こういった場所に対して、ストレス チェック診断の集計サービスを展開していきたいと考えています」(千保氏)

Azure の安全性、コスト パフォーマンスの優位性を高く評価する葛上氏。今後はパフォーマンス面でのさらなる進化を期待しています。

「我々のサービスは画像を扱うので、データ容量も大きく、DB の負荷も高くなります。パフォーマンスが向上された高性能な SSD ベースのストレージが日本リージョンでもサポートされると、さらに弊社のビジネスで Azure の活用領域が広がっていくことでしょう」(葛上氏)

ビジネス面では、今後は情報系のアンケートだけにとどまらない、基幹系システムとの連携がテーマになると千保氏は語ります。たとえば、契約書や申込書といった帳票を AltPaper で作成、販売管理システムなどに取り込むことで営業・マーケティング活動を自動化することもできるといいます。

「システム基盤をマイクロソフト製品で構築しているお客様はたくさんいるので、そういったお客様に、我々のデータ入力サービスを組み込むことで利便性を提供できると思っています。今後も、マイクロソフトには技術サポートを始め、お力添えをいただきたいです」(千保氏)

紙にまつわるさまざまな課題をビジネス チャンスにつなげる、というビジョンを掲げた情報基盤開発。同社のビジネスをさらに進化させるために、マイクロソフトに求められる役割は、ますます大きくなっていくことでしょう。

写真:集合写真

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