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秋山土建株式会社

 様に導入

日々の正確な進捗管理と、正確な収益の把握。Microsoft Project Online を活用することで、大企業と同等の実績管理を実現し、さらなる競争力を獲得

霊峰・富士山をいただく山梨県富士吉田市で、100 年以上の歴史を誇る秋山土建株式会社は、かねてより ICT 活用に積極的に取り組み、業務の効率化を図ってきました。そして 2014 年 11 月、各地に点在する施工現場事務所と本社をリアルタイムでつなぎ、「人」と「モノ」と「お金」の管理を明確にする実績管理環境を実現するために導入されたのが、Microsoft Office 365 に連なるビジネス向けクラウド サービスである、Microsoft Project Online with Project Pro for Office 365 でした。

<背景とねらい>
即時的な収益管理と、シニア人材活用にもつながる "業務の可視化" を 30 年にわたって追求

写真:秋山 隆信 氏

秋山土建株式会社
オーナー
秋山 隆信 氏

写真:桑原 誠 氏

秋山土建株式会社
経理部 経理課長
桑原 誠 氏

写真:奥脇 高広 氏

AFPサポート有限会社
代表取締役
奥脇 高広 氏

秋山土建株式会社 (以下、秋山土建) は、創業以来 100 年以上にわたって山梨県富士吉田市を拠点とし、「優良工事の推進」を社是に掲げ数多くの施工実績を積み重ねてきました。
特に、世界文化遺産に指定され、多くの観光客を集める富士山については、5 合目から山頂に至る登山道の修繕・補修を山梨県から 1980 年以来、続けて受注。毎年の安全パトロールに勤しんでいます。

常に「時代にあった施工」を心がけてきた秋山土建は、1999 年に「ISO9001 (品質マネジメントシステム)」、「ISO14001 (環境マネジメントシステム)」そして「OHSAS18001 (労働安全衛性)」の認証を取得。優良工事を推進しています。
同時に、「業務の効率化に向けた、積極的な ICT 活用」にも、長年にわたって取り組み続けてきました。同社 オーナーである秋山 隆信 氏は、次のように話します。

「仕事が増えれば、事務や経理などのバックオフィス業務も増えていきます。もちろん、ISO の運用にも手がかかります。しかし、仕事が増えるのに合わせて人員を増強していては、利益率が下がるだけです。長く働いてくれている社員の給与を増やすためには、より多くの仕事を一定の人数でこなしていく必要があります。そのために活用できるツールは、積極的に活用する。それが、会社の競争力強化にもつながると考えて、さまざまな取り組みを行ってきました」。

秋山土建では、土木工事積算システムの「Gaia」と、Oracle を使って独自に開発した実行予算システムおよび会計システムを長年にわたって活用してきました。さらに、ISO の運用も最初期から電子化を図るなど、あらゆる面で効率化を推進してきましたが、それでもオーナーの理想に対して、"埋められない壁" があったと言います。

「仕事はすべて、『人』と『モノ』と『お金』の管理です。これを正確に、効率よく進められる環境があればいい。そのために、積算システムと実行予算システムおよび会計システムのほかに、さまざまなプロジェクト管理ツールも利用してきました。しかし、従来の環境では、『時間』という軸が満たせませんでした。仕事の受注から資材の発注など行いますが、支払いベースで実績を見ていくと、コストの発生から利益の確定までにどうしても 1 ~ 2 か月の遅れが生じてしまうのです。この時間差をなくすことのできるシステム環境を、長年模索してきました」。

模索を続けた背景には、収益管理のみならず、「長期的な人材活用」にも活かすねらいがあったと、秋山 氏は続けます。

「各現場の業務がシステムとネットワークを通じて可視化されてくれば、ベテランが本社に居ながら、すべての現場を掌握して指揮することも可能になります。今は、少子高齢化の時代。人材雇用も昔とは異なります。当社の場合、私が生まれる前から勤めていただいている方もいるぐらい人を大事にしてきましたが、これからは、どの会社でもシニア人材を活かす仕組みづくりが重要になるでしょう。その点、ICT をうまく活用すれば、ベテランの経験や知識を、より広く活かせるようになるでしょう」。

これらの理想を実現するカギが「クラウド サービスにある」と直感していたという秋山 氏は、2014 年になって、「ようやく期待通りのサービスに出会えた」と言います。それが、マイクロソフトのクラウド サービス、Microsoft Project Online with Project Pro for Office 365 でした。

「実は、Microsoft Project に関しては、ずっと前のバージョンである『98』から何世代か試してきたのですが、各現場事務所とネットワークをつないで運用するには、まだハードルが高かったように思います。それでも、少しでも効率化を図るために、上に立つ者が活用する管理ツールとして、『2007』まで代々の Project を利用していました。そして、2014 年になって出会ったのが、クラウド サービス版の Microsoft Project だったのです」。

ポイントは、クラウド サービスならではの展開の容易さです。

「私たちの業務は、常に外で行われます。システムで進捗を管理しようと思っても、場所に縛られてしまっては意味がありません。1 日の作業が終わって、本社に帰ってきてから PC に入力しろと言っても、それは残業を増やすだけです。その点、クラウドであれば、サーバーを設置する必要もなく、どこにでも素早く展開できます。私たちの業務に合わせて、場所を選ばずに利用できることが、とても重要なポイントでした」(秋山 氏)。

<導入経緯とシステム概要>
土木工事積算システム「Gaia」のデータを Microsoft Project Online に統合し、
入力した日々の実績を会計システムに同期

秋山土建がこれまで、Microsoft Project の利用を続けてきたのは、「『人』と『モノ』と『お金』の管理に適していたから」だと、秋山 氏は強調します。

「プロジェクトごとにタスクを設定して、リソース (人員や資材) を割り振っていくと、各現場 (プロジェクト) の進捗と、コストが紐づいて整理されますので、非常にわかりやすいと思います。そもそも、私たちの業務は、積算の段階からタスクやリソースがきちんと分解されていますので、こうしたプロジェクト管理ツールに落とし込むのが簡単なのです。今から 30 年近く前に、初めて購入した PC に付属していた同様のツールを見た時に、『これなら、仕事の管理が効率化できる!』と興奮したのを、今でもよく覚えていますよ」。

そして今、Microsoft Project Online with Project Pro for Office 365 の登場によって、「全拠点をリアルタイムでつなぎ、日次で実績を確認できる環境」が実現しています。

まず、積算システムである Gaia から Excel 形式で書き出したデータから、実行予算システムで予算作成を行い、Excel 形式にて Microsoft Project のファイル テンプレートに統合して(プロジェクト)計画を作成します。各タスクには、必要な資材をリソースとして割り振る形で計画が自動作成される仕組みとなっています。

こうして作られた WBS (Work Breakdown Structure) に対し、各現場作業担当者は拠点から VPN 経由で、本社内では LAN 経由の端末から日々の出来高を入力し、上長の承認を得ることで独自会計システムと自動的に同期します。この仕組みによって、経理担当が本社に居ながらにして各拠点と会社全体のコストを日々把握できるようになっています。

図.システム概要図

図.システム概要図 [拡大図] 新しいウィンドウ

このシステムを実現するに際してはユーザビリティーにも十分な配慮を行っていると説明するのは、秋山土建のグループ会社としてグループ全体のシステムを構築・運用している AFPサポート有限会社の代表取締役、奥脇 高広 氏です。

「現場に出ている人たちに Microsoft Project Onlineを毎日操作してもらうには、ユーザー インターフェイスを簡素化する必要がありました。そこで、今回のシステム構築を請け負ってくれたシンメトリー・コンサルティング株式会社さんに相談をして、オリジナルの入力フォームを作成してもらいました」。

Microsoft Project Onlineのフォーマットでは、1 つのタスク・リソースに関する情報が複数のセルやタブにまたがって管理されているため、デフォルトのまま日々の情報を入力しようとすると、まず Microsoft Project の操作を覚える必要があり、こうしたツールを使い慣れていない現場の人には大きな負担になることが予想されました。

そこで、導入をサポートしたシンメトリー・コンサルティング 代表 大山 敏且 氏は、AFPサポートの担当者である萱沼 晶純 氏と綿密なコミュニケーションを取りながら、要望を整理。リソース (資材) ごとの実績入力に必要な情報を一か所にまとめた、「出来高入力」という入力フォームを作成。また、膨大なセル数に分かれて管理されているリソース (資材) についても同様に、「リソース登録」のフォームを作成。メニューを選ぶと現れるポップアップ ウィンドウ内に必要な情報を登録すれば、膨大な項目数が管理された Microsoft Project のシート内に、正確に反映されるようになっています。

「Microsoft Project Online のようなクラウド製品の場合、カスタマイズが難しいという認識を持ちがちですが、視点を変えることで、クラウド製品でも容易にカスタマイズが行えます。今回のようなカスタマイズ方法を取ることで、データ連携 / 帳票出力 / データ分析時においてレスポンス問題や自由度を高めることができます。また、今回の構築に関しては、萱沼 様を始め、皆様が非常に Microsoft Project という製品の特性を理解されていたので、本当にスムーズに進めさせていただくことができました。しかも、今回のように情報入力の手間を簡素化すると、導入後の活用がスムーズにいくケースが多いのです」(大山 氏)。

萱沼 氏も、カスタマイズの有効性について、次のように話します。

「実は数年前に Project Server 2007 を使って、今回と同じように Gaia や会計システムと連携する仕組みを構築したことがあるのですが、その時には現場から『覚える事が多く、余計な仕事を増やさないで欲しい』という声も上がりました。しかし、今回は現場の要望を聞き入れて、入力作業を簡素化するカスタマイズを行ったため、不満の声は上がりませんでした。実際の活用も、スムーズに進んでいます」。

<導入の効果>
「収益確保」、「信頼関係の向上」、「人材の活性化」など、さまざまな効果を実感

写真:萱沼 晶純 氏

AFPサポート有限会社
萱沼 晶純 氏

写真:大山 敏且 氏

シンメトリー・コンサルティング株式会社
代表
大山 敏且 氏

Microsoft Project Online with Project Pro for Office 365 を活用した今回のシステム構築による効果は多岐にわたっています。

第 1 に挙げられるメリットは、「収益管理の透明化」でしょう。
グループ全体の経理を担当している、秋山土建 経理部 経理課長 桑原 誠 氏は、「計画と実績の対比が、日次で把握できるため、収支のズレを適宜正していくことも可能になった」と説明します。

「従来の環境においては、どうしても現場が完了した後でなければ、正確な収支が把握できませんでした。しかし、今は計画と進捗実績の対比を、毎日把握できます。そして、各現場の予算にズレが生じているかどうかも把握できます。たとえば、現場の状況に応じて、少し早い段階で資材を多めに調達することもありますが、この環境下ではしっかりと管理できますので、どんぶり勘定には終わりません。あるいは、予定よりも多くの資材が消費されている場合でも、すぐに原因を確認し、対応策を立てることができます。こうした管理によって、最終の利益を守ることできるのは、非常に大きなメリットだと思います」。

第 2 のメリットが「現場および会社全体への影響」です。秋山 氏は次のように説明します。

「現場がきちんと管理されていることで、いくつもの好影響が生まれます。まずは、クライアントへの進捗説明がスムーズになり、企業間の信頼関係が増します。さらに、現場の人間にも、具体的な達成感が生まれ、資材等のコスト意識まで芽生えるだろうと期待しています。現場で資材を調達しても、帳簿を細かく見るわけではありませんから、通常はコストを管理する意識までは育ちません。しかし、この Microsoft Project の画面を見ると、すべてが紐づいて管理されていますので、自分たちの実績がすべて把握できます。活用の度合いが深まると共に、資材調達時に “無駄” が発生することもなくなるでしょう」。

加えて、従業員たちが上司に向けて「自分たちの実績をアピールする材料にもなる」と、秋山 氏は続けます。

「日々の進捗管理については、もともと報告義務のあるものです。従来は上司から『どうなっている?』と聞かれると口頭で答える必要がありましたが、今は Microsoft Project の画面上にすべてが記録されています。口頭での報告よりも、明確だし、間違いもありません。後々に『言った、言わない』の行き違いも発生しませんから、コミュニケーションが円滑に済みます。優秀な従業員が正当な評価を受けることにもつながるでしょう。そう考えると、現場にとっても有効な仕組みだと思いますよ」。

秋山 氏はさらに、「このクラウド サービスがなかったら、同じ管理は絶対にできなかった」と言います。

「最初に PC を使い始めてから、約 30 年。ずーっと、ずーっと待っていた仕組みが、クラウドによって実現できました。そもそも、当社は大企業には程遠い規模です。ICT へ投資できる金額も限られています。それが今、無理なく投資できるコストで、大企業と同等のシステムを活用できています。これは、非常にありがたい話です。もしも、このシステムで実現したプロジェクト管理を、Excel や PowerPoint などのツールで実現しようと思っても無理ですよ。人手がかかり過ぎて、コストも何も釣り合いません。それだけ、このサービスが優れていると実感しています」。

<導入効果と今後の展望>
地域一丸となって、新たな競争力を育む協業管理など、クラウド サービスだからこそ広がる可能性

秋山土建では、Project Online というクラウド サービスの活用によって、「システム活用の可能性は、今後さらに広がっていくだろう」と、奥脇 氏は言います。

「Microsoft Project Online のようなクラウド サービスがあることで、かつてないほど、手軽かつ迅速にシステム環境を充実させられるようになりました。いわば、『各社の考え方次第』で、利益向上に貢献する ICT 活用ができる時代になったのだと思います。当グループも、今後、Microsoft Office 365 を使って情報共有環境を整えるなど、活用をより深めていく予定です。Project Online に関しても、会計システムと同期するネットワーク環境の課題さえクリアできれば、スマートフォンやタブレットなどの端末を使って、施工現場の只中から情報を登録することができるようになるでしょう。可能性は、まだまだ大きく広がっていると思います」。

そして秋山 氏は、「ICT 活用のアイデアを練ることには、力を注ぎ込むだけの価値がある」と締めくくります。

「今、日本では、労働人口が減り続け、国内の市場も縮小の一途をたどる状況にあると感じています。そうした条件下で、企業として利益を拡大し、発展を続けていくためには、"効率化" に、今以上に積極的に取り組む必要があるでしょう。ICT の活用範囲はかつてなく広がっていて、その恩恵も増しています。重要なのは、それをどのように活用するかです。」

氏は、クラウドを活用すれば、地域一丸となって競争力の強化を図ることも「夢ではない」と続けます。

「たとえば、Microsoft Project Online はクラウドですから、すぐにでもライセンスを増やして、この地域一帯の同業他社と共同活用することだって可能です。そうなれば何ができるか? 1つには、各社が持つ重機の稼働状況をシェアすることが考えられます。そうなれば、お互いに計画を立てて重機の貸し借りを行うことが可能になります。価格は、地域で事前に協議すればいい。これはまだ私個人の夢ですが、今の世の中、これぐらい大胆な変革を起こさないといけないのかもしれません。そのためのサービスは揃っていて、後は、私たちの考え方次第……そんな時代が、すでに来ているのだと思います」。

全員の集合写真

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