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導入事例

 様に導入

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  • 効率化
  • 最適化
  • コスト
  • 人工知能

愛知県国民健康保険団体連合会

 様に導入

月 400 万件以上更新されるデータを SQL Server で円滑活用。Excel をフロントとした BI ポータルで保険者のニーズに応え、データヘルス計画推進を強力に支援

豊かな産業を有し、約 744 万人が暮らす愛知県において、国保事業等に従事する愛知県国民健康保険団体連合会では、「データヘルス計画」の推進に向けて、独自のデータベース構築を検討。Excel とのシームレスな連携と、年間 5,000 万件近い膨大なデータを支えるパフォーマンスを必要条件として複数のテクノロジーを比較検討した結果、同 連合会が選択したソリューションが、SQL Server と SharePoint Server、Lync Server を活用した "誰にでも活用できる BI ポータル" でした。

<導入の背景とねらい>
60 保険者のデータ分析ニーズに応え、PDCA サイクルを最適化する BI の実現へ

写真: 河合 美子 氏

愛知県国民健康保険団体連合会
保健事業担当部長
河合 美子 氏

写真: 古田 眞由美 氏

愛知県国民健康保険団体連合会
事業部 事業課 課長
古田 眞由美 氏

愛知県国民健康保険団体連合会 (以下、愛知県国保連合会) は、県内 54 の市町村と 6 つの国民健康保険組合、合わせて 60 の保険者 (国民健康保険事業の運営主体) と共同して国保事業等を行っています。

1961 年 4 月の国民皆保険制度発足以来、半世紀にわたって運用を重ねてきた国保保健事業には、統一された医療費分析システムがありませんでした。愛知県においても、「60 保険者に帳票のニーズを問えば、60 通りの回答が考えられる」と言われています。かねてから保険者事務電算化共同処理業務に積極的に取り組んできた愛知県国保連合会では、こうした保険者ごとのニーズに柔軟に応えるべく、国民健康保険中央会から提供される標準システムに加えて、愛知県国保連合会独自のサブシステムを開発して、大規模保険者から小規模保険者までの多様なニーズを把握し、随時成果物の提供を行ってきました。

そして 2014 年、愛知県国保連合会では診療報酬明細書や特定健診・特定保健指導、介護給付費などのデータをフルに活用した BI (Business Intelligence) を実践するために、新しいサブシステムの運用を開始しています。

それが、「AI Cube (アイキューブ)」と名付けられたポータル サイトです。

AI Cube は、2013 年 6 月に閣議決定された「日本再興戦略」で示される新しい国保事業「データヘルス計画」を推進するために準備されたものであり、国民健康保険中央会が 2013 年 10 月から稼働を開始した国保データベース システム (以下、KDB) のサブシステムとして開発したものです。

この AI Cube のねらいについて、保健事業担当部長 河合 美子 氏は次のように話します。
「KDB は、国や県のレベルなど、大きな枠でデータを見るには有効です。しかし、愛知県 60 保険者それぞれが実施している保健事業を評価する PDCA (Plan-Do-Check-Action) サイクルに活かすための、細やかなデータ分析のニーズは満たせません。そこで、各保険者が安全かつ自由にデータを分析、活用できるポータル サイトの構築に至ったのです。」

AI Cube の開発は、愛知県国保連合会にとっても大きな変化だったと、事業課 課長 古田 眞由美 氏は話します。
「愛知県国保連合会では 2008 年から、『県』、『医療圏』、そして『保険者』に範囲を区切った各種の統計データを、厚さ 3 cm 近い冊子にまとめて配布しており、2010 年からは PDF ファイルに変換し、媒体に収録して配布していました。しかし、データの二次加工ができないこと、同じグラフで条件を変えて見ることができないことなど、保健事業の PDCA にどこまで貢献できているか、わかりません。この AI Cube は、既存の帳票をベースに開発を行い、以前はできなかった二次加工の活用、帳票の条件の変更など、保険者が容易に操作できるようになったことは、『データ分析に基づく、効率的・効果的な保健事業』の実施に向け、大きな一歩となりました。」

そしてこの、AI Cube を実現するために、愛知県国保連合会が選択したテクノロジーこそが、Microsoft SQL Server と Microsoft SharePoint Server だったのです。

<システム概要と導入の経緯>
誰でもデータ分析が行える環境を目指して Excel とのシームレスな連携を重視

写真: 石黒 靖規 氏

愛知県国民健康保険団体連合会
事業部 事業課 課長補佐
石黒 靖規 氏

写真: 鈴木 尚次郎 氏

愛知県国民健康保険団体連合会
事業部 事業課 主任
鈴木 尚次郎 氏

図: AI Cube トップページ

AI Cube トップページ [拡大図] 新しいウィンドウ

図: 帳票選択画面

帳票選択画面 [拡大図] 新しいウィンドウ

図: Web Report

Web Report [拡大図] 新しいウィンドウ

図: Excel Service

Excel Service [拡大図] 新しいウィンドウ

AI Cube は、データベースに SQL Server を採用し、SharePoint Server で構築したポータル サイトです。
提供する BI サービスは「Web Report」と「Excel Service」の 2 種類に分かれており、どちらも SharePoint Server の標準機能を活用し、Excel とシームレスに連携しています。

「Web Report」では、自保険者のみのデータが、個人情報まで参照可能。集計値の元となる詳細データまでドリルスルーできます。一方の「Excel Service」では、愛知県内の国保の被保険者の匿名データを活用し、他保険者や県、医療圏とデータの比較が行えるようになっています。また、双方のサービスは、処理年月や男女別等の切替ができ、任意の条件でグラフを見ることができます。

どちらも、容易な操作で Excel と連携し、使い慣れた操作でデータを分析活用できる点がポイントとなっています。「Web Report」では必要なデータをExcel に簡単にエクスポートでき、「Excel Service」ではブラウザ内でExcel 機能を使用したデータ分析ができるだけでなく Excel を起動して使用することもできます。この Excel 連携の容易さこそが、「マイクロソフトの製品を選んだ、最大のポイントでした。」と、事業課 課長補佐 石黒 靖規 氏は説明します。

「『データヘルス計画』に資する BI 環境を実現するデータベースに、当初は他の製品を検討していました。しかし、保険者による自発的な BI を実現するためには Excel との連携が必須なのですが、いったん CSV データを書き出してから Excel に取り込むような仕様になってしまうと、その操作方法を周知する必要が生じます。さらに、導入・保守料が高いという問題がありました。そうした課題に悩んでいた 2013 年 5 月にマイクロソフトのフォーラムに参加したところ、SQL Server と SharePoint を活用した BI ポータルの実例があることを知ったのです。」

月 400 万を超えるデータ件数に対応できるかマイクロソフト コンサルティング サービスと共に実証実験

多くの保険者が使い慣れている Excel を使って、自由なデータ活用が行える BI 環境の構築例は、愛知県国保連合会が求める機能を満たしていたと、石黒 氏は話します。しかし、採用に向けた検討は、慎重に行われました。

「愛知県ではレセプトと特定健診データだけで月に約 300 万件。これに介護保険のデータを加えると、月に 400 万件を超えるデータが発生します。これだけのデータを格納して、さらに Web 画面上でレスポンス良く統計データを表示できるだけのパフォーマンスが得られるのかどうかは重要事項でした。そこで、マイクロソフトに確認を求めたのです。」

SQL Server の実績などから、ある程度の手応えを得た愛知県国保連合会では、マイクロソフト コンサルティング サービスを活用。2013 年 10 月に POC (システム構成検証 : Proof-of-Concept Workshop) を実施して、実機環境においてパフォーマンスを確認し、本格採用を決定しています。

その後、委託電算会社が作成するデータベースやキューブなどに対する設計・最適化の支援も、マイクロソフト コンサルティング サービスにて実施。2008 年から蓄積された膨大なデータをすべて移行完了した状態でも、ストレスなく、快適に Web Report および Excel Service を利用できる環境を実現しています。

そしてもう 1 点、マイクロソフトとのコミュニケーションを通じて、AI Cube に採用が決まったテクノロジーがあります。それが、Microsoft Lync でした。石黒 氏は、次のように振り返ります。

「SharePoint を通じて、簡単な操作で Excel にデータを書き出すことができるといっても、すべての保険者に活用していただくためにはサポートの充実が欠かせません。遠隔でのサポートをいかに効率化させるかが、当時の懸念材料でした。ポータルにマニュアルを掲載しますが、それだけでは十分に伝えきることは難しく、電話対応では解決までにかなりの時間を要します。そこで、何か良い手はないかと考えている時に、Lync がマイクロソフトのオフィス内で活用されている様子を知り、参考にしたのです。」

愛知県国保連合会が注目したのは、Lync の「デスクトップとプログラムの共有」機能を活用した、リモート ヘルプの有用性でした。

「Lync では、IM (インスタント メッセージ) や音声通話も行えます。その上、デスクトップの共有まで行えるため、私たちがヘッドセットを付けて先方と会話しながら、PC の操作権限をもらって、直接問題を解決することができます。問い合わせをされた保険者の方は、要望を伝えた後は基本的に画面を眺めているだけでサポートを完了させることができます。これは、非常に便利であると思い、10 月の時点で急遽 AI Cube の仕様に加えました。」

こうして 2013 年 10 月に主な仕様が確定した AI Cube の開発はスピーディーに進行。2014 年 2 月からは、保険者への説明会も順次開始し、翌 3 月に無事サービス インを迎えています。

「POC の実施からサービス インに至るまで、マイクロソフト コンサルティング サービスからの導入支援には、非常に満足しています。プロジェクトが短期に完了し、SQL Server のパフォーマンスを十二分に引き出すことができたことは、とても感謝しています。」と石黒 氏は話します。

<導入効果>
導入費用を抑えることで実現した AI Cube と KDB の両輪活用でデータヘルス計画を推進

AI Cube 稼働によって得られたメリットは大きいと、石黒 氏は話します。

「第一に、簡単な操作でデータを分析できるようになったことは、保険者にとって大きなメリットだと思います。AI Cube には、事前に保険者とも協議して決めた帳票類が収められていますので、メニューに沿って帳票を表示した後、処理年月や性別、入院 / 外来などのパラメータを選択するだけで必要なデータが得られるようになっています。帳票のバリエーションについては、外部の専門家からも『必要十分なものが揃っている』と評価していただきました。データヘルス計画の推進に際して、KDB と AI Cube の両輪を揃えることができたのは、非常に心強いです。」

しかも、マイクロソフトのテクノロジーをフルに活用することで、全体のコストも抑えることができたと、石黒 氏は続けます。
「もともと、Core CAL スイート (クライアント アクセス ライセンス) を保有していましたので、今回のプロジェクトにおいては、一部のライセンスを追加するだけで足りました。データベースについても、Oracle を導入する場合の試算よりコストを抑えることができています。そして、重要な点は、この環境を 60 の保険者が等しく活用できることにあります。実は保健事業の計画を策定する際に、業者から各保険者へ BI ソリューションの売り込みも行われていますが、AI Cube があれば、そのようなソリューションも不要になります。県全体でのコスト削減と考えれば、費用対効果は十分にあったと思われます。」

コンテンツの追加も容易な SharePoint と Lync による円滑サポートで保険者の活用を促進

写真: ヘルプデスク イメージ

ヘルプデスク イメージ

SharePoint や Lync などの機能についても、「満足している」と話すのは、事業課 主任 鈴木 尚次郎 氏です。
「AI Cube は、外部とは遮断された専用回線で運用していますので、日常的に活用していただくためには、ポータル サイトとしての機能と情報の充実が重要です。そこで、連絡事項などの『お知らせ』を掲載しているほか、国からの通知や厚生労働省から発表される研究成果などをまとめた『トピックス』や、愛知県国保連合会の保健事業関連の『スケジュール表』といったコンテンツを提供しています。今後、さらにコンテンツを追加していく予定があるのですが、SharePoint は操作が簡単なので、私たち自身でも手を加えることができます。これは、非常に助かります。」

また、Lync を活用したリモート サポートも、すでに好評を得ていると、鈴木 氏は続けます。
「私自身、何度かサポート対応をさせていただきましたが、好評ですね。保険者さんにお願いする操作は、ほんの 2つほどボタンをクリックしてもらうだけで、後は、私たちの方で、直接保険者さんに置かれた PC 端末を操作します。ヘッドセットの向こうから、PC を取り囲んでいる方々の声が聞こえることもありました。非常に手間なく完了しますので、もう何度もお問い合わせいただいている方もいらっしゃいます。こうして AI Cube の活用が進めばうれしいです。」

<今後の展望>
連合会と保険者をつなぐ "ホットライン" として AI Cube のコンテンツをさらに充実

写真: 愛知県国民健康保険団体連合会

愛知県国民健康保険団体連合会

AI Cube の名称は、AI (Artificial Intelligence : 人工知能) と、愛知の「愛」を掛けたものであり、「人工知能のように、進化するデータ分析」という願いが込められています。そして、その名の通りに進化させていく予定であると、河合 氏は言います。
「AI Cube は、保険者にとって、誰でも BI が行える場所であると共に、私たち連合会とのホットラインとしても活用されるとうれしいです。その意味では、こちらから情報を発信するコンテンツが、まだ十分ではありません。しかし、拡張性に優れている点を活かし、今後、保険者の方々のご意見もいただきながら、より良いシステムへと進化させていきたいと思います。」

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