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株式会社セブン&アイ・ホールディングス

 様に導入

セブン&アイ・ホールディングスの第 2 ステージに据えられた「omni7」に、Microsoft Azure を基盤とした Windows タブレット「EM10」を採用。クラウドならではの拡張性とオール イン ワン性を持った接客端末により、変化を続ける顧客ニーズに応える

写真:株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

コンビニエンス ストアや百貨店、専門店など、多彩な事業を展開するセブン&アイ・ホールディングス。国内約 19,000 店舗、世界 17 か国に約 61,000 店舗と、世界でも類を見ない規模の店舗数と流通網を有する同社は、セブン-イレブンの登場に続く「第 2 ステージ」と据えたオムニチャネル戦略「omni7 (オムニセブン)」を、2015 年 11 月よりサービス インしました。

「新しい買いもの習慣の構築」をスローガンとし、リアルとネットの融合により顧客ニーズへのさらなる対応を目指す omni7。同サービスでは接客端末を各店舗へ導入することで、omni7 が見据える買い物習慣の構築へ向けまい進しています。omni7 を推し進める 1 つのキーともいえる接客端末について、オール イン ワン性と拡張性を評価し採用されたのが、Microsoft Azure をシステム基盤としたエンパシ製 Windows Embedded タブレット デバイス「EM10」です。

<導入の背景とねらい>
「すべてのお店がお客様の身近になる」世界の実現へ向けた重大な役割として、接客端末の採用を検討

コンビニエンス ストアやスーパーのみでなく、百貨店やフード サービス、専門店など、多彩な事業を展開する株式会社セブン&アイ・ホールディングス (以下、セブン&アイ・ホールディングス)。国内に約 19,000 店舗、世界 17 か国に約 61,000 店舗と、世界でも類を見ない店舗数と流通網を有する同社は、総合流通サービス グループとして、顧客のニーズに応え続けています。

セブン&アイ・ホールディングスでは 2015 年 11 月、セブン-イレブンの登場に続く「第 2 ステージ」と据えたオムニチャネル戦略「omni7 (オムニセブン)」の提供を開始しました。omni7 は、セブン‐イレブンやイトーヨーカ堂、ロフト、赤ちゃん本舗といった、グループが取り扱うさまざまな商品を、いつでもどこでも購入できるようにする新しいサービスです。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス CI室 シニアオフィサー 原田 良治 氏は、同社のオムニチャネル戦略の特徴について、次のように説明します。

写真:株式会社セブン&アイ・ホールディングス CI室 シニアオフィサー 原田 良治 氏

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
CI室
シニアオフィサー
原田 良治 氏

「ネット上での完結を目指すのではなく、それを基盤としながらリアル店舗も含めたあらゆるチャネルを統合していこうというのが、オムニチャネルの基本的な考え方です。ネット通販を専門に行う企業と異なり、当社グループは世界に 50,000 を超える店舗と流通網を持っています。また、オムニチャネルが進んでいるアメリカであっても多くのケースが単一業態による展開なのに対して、当社グループは、百貨店から専門店までさまざまな業態があります。リアル店舗を発祥としている点と業態の多様性、これが omni7 の大きな特徴だといえます」(原田 氏)。

原田 氏が語る特徴を武器に、omni7 の戦略には「商品」「売場」「接客」と 3 つの柱が掲げられています。

まず「商品」とは、プライベート ブランドである「セブンプレミアム」を中心としたメーカーとの共同開発商品を展開する取り組みを指し、「良い商品」としての魅力を、omni7 を通じてこれまで以上に市場へ伝えていくねらいがあります。続いて「売場」は、ネットとリアルを融合することで、だれもがいつ、どこからでもどんな商品でも注文できる環境を整えるための取り組みを指します。ショッピング サイトを「omni7.jp」に統合しすべての商品を取り扱うようにすることで、リアル店舗でもネット上から在庫を確認し注文したり、そこでの商品受け取りができたりするようにしました。

これらの「商品」と「売場」をもって、1 人ひとりの顧客に合った「接客」を実現するべく、接客履歴や商品紹介のノウハウに関する情報共有が進められたといいます。また、接客端末を使った売場スタッフによる商品紹介や顧客への訪問販売のしくみも omni7 では整備され、システム面の整備のみでなく、グループ社員全員が一丸となりオムニチャネル戦略に取り組んでいます。

さまざまなシステム開発が並行し進められた omni7 のプロジェクトですが、ここであがった接客端末はその中でも、重要視して進められたシステムの 1 つだったと原田 氏は振り返ります。

「2013 年に行われたセブン-イレブン創業 40 周年記念式典で、当社会長 (当時) の鈴木 敏文から、オムニチャネル戦略によりセブン&アイ グループの第 2 ステージが始まることが宣言され、それがグループ社員全員で取り組む共通ミッションとなりました。当社の持つ多様な商品をどの売場でも購入でき、しかもそこで商品知識に長けたスタッフによる説明も受けられる。さらに高齢者や身体の不自由な方にはスタッフが訪問することで、自宅を売場にすることもできる。言うなれば『すべてのお店がお客様の身近になる』、そのような世界を構想していましたので、実現へ向けた接客端末とシステムは、omni7 における重大な役割になるとして検討を進めました」(原田 氏)。

<システム概要と導入の経緯、構築>
決済や管理機能も含めたオール イン ワン性を評価し、Microsoft Azure をシステム基盤とした Windows Embedded タブレット デバイス「EM10」を採用

omni7 のシステム基盤開発は、40 周年記念式典を経た 2013 年 8 月より、業務検討に 10 か月、システム開発に 15 か月と、延べ 2 年 1 か月にも及ぶプロジェクトで進められました。

写真:株式会社セブン&アイ・ホールディングス オムニチャネル・システム企画部 シニアオフィサー 伏見 一茂 氏

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
オムニチャネル・システム企画部
シニアオフィサー
伏見 一茂 氏

写真:株式会社エンパシ システム開発部 中 博俊 氏

株式会社エンパシ
システム開発部
中 博俊 氏

写真:株式会社エンパシ システム開発部 髙橋 直樹 氏

株式会社エンパシ
システム開発部
髙橋 直樹 氏

20 社を超えるマルチ ベンダーの中で開発が進められた同プロジェクトですが、接客端末の選定についてはスムーズに決定したと、株式会社セブン&アイ・ホールディングス オムニチャネル・システム企画部 シニアオフィサー 伏見 一茂 氏は語ります。

「接客端末においてもっとも重要なのは、決済も含めた各種機能がオール イン ワンで備わっていることです。運用をする中で必要な機能は増えていくものですが、外部機器の接続が必要な場合、スタッフの利便性を損ないスムーズな接客を行うことが難しくなってしまいます。接客においてはお客様の相談を受けながら商品を紹介しますので、そこでの操作性や安定性を妨げる要素は可能な限り排除したかったのです。また、店舗のみでなく、訪問販売も見据えていましたので、堅牢性も重要な要素でした。業務検討の期間にさまざまなベンダーの製品を検討しましたが、これらの要件を満たす製品は、エンパシさんの提供する『EM10』しかなかったのです」(伏見 氏)。

Omni7 の接客を担うデバイスとして求められるオール イン ワン性と堅牢性が評価され、セブン&アイ・ホールディングスでは業務検討の早いタイミングで、接客端末としてエンパシ製 Windows Embedded タブレット デバイス「EM10」の採用を決定します。伏見 氏は EM10 について、管理機能においてもクラウド基盤を用いることで、ワン パッケージのソリューションとして提供されている点も大きく評価したと続けます。

「セキュリティに必要なデバイス管理やユーザー管理といった機能を、既存の基幹系システムとは別にオンプレミスで構築する場合、コストや工数でかなりの負担となります。また、将来的にはデバイス上での決済も構想していましたが、エンパシさんは、それらをワン パッケージのソリューションとして提供しており、工数やコスト負担を取り除けると考えたのです。システム基盤にはクラウドを使っているので、スピーディな構築もできると期待しました」(伏見 氏)。

伏見 氏が期待した EM10 のシステム基盤には、日本マイクロソフトの Microsoft Azure が採用されています。接客端末のシステム構築をサポートする株式会社エンパシ システム開発部 中 博俊 氏と髙橋 直樹 氏は、Azure を採用した背景を次のように説明します。

「当社の EM10 では、ニーズに沿った開発と拡張ができることから Windows OS を選択しています。ですが、EM10 はデバイスだけで機能が成り立つのではなく、クラウド上の SaaS と組み合わせて初めて機能しますので、デバイスの機能を作りながらサービス側の機能も併せて開発できるプラットフォームが必要になります。Windows との親和性や各種開発の容易性を考慮すると、マイクロソフトの Azure は他社サービスと比べ明らかに優位性がありました」(中 氏)。

「EM10 は、すべてのクレジット カードに対応したマルチ決済機能も搭載した国産のオール イン ワン端末でもあり、厳格なセキュリティ基準に準拠しています。それを支えるクラウド サービスには、業務系での使用に足ることが第三者機関の認定を受けて証明されている必要があります。Azure は、たとえば「ISO/IEC 27018」のような第三者認証機関の認定を取得していますし、それはしっかりとした運用体制が構築されていることを意味します。Azure が 2016 年 2 月にクラウドセキュリティ ゴールドマークを日本で初めて取得したことも考えますと、Azure を採用した当社の選択は間違っていなかったのだと思います」(髙橋 氏)。

<導入の効果>
Windows との親和性により圧縮された開発工数をもって、サービス インへ向けたクオリティの向上を実現

2014 年 6 月より開発が進められた接客端末には、商品カタログなどのショッピング機能や店舗管理、ユーザー管理、デバイスとアプリケーション管理の機能が構築されました。EM10 と Azure を用いた開発面での効果として、伏見 氏は、開発工数削減によるサービス インまでのクオリティ向上を挙げます。

「管理面の機能がオール イン ワンで提供されているおかげで、開発期間であっても接客端末をどう使うかという点に集中することができました。サービス イン前に特定地域にデバイスを配布した実証実験を行ったのですが、システム開発にかかる工数を省けたことで、加盟店のオーナーさんがどう考えているか、訪問販売のシーンではどういう使われ方をするべきかなどを、何度も検証を重ねることができました」(伏見 氏)。

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Omni7 の接客端末に選定されたエンパシ「EM10」。Microsoft Azure を基盤とし、ショッピング機能のみでなく、店舗管理やユーザー管理といった、接客端末に必要な基幹系のシステムもクラウド上で運用されている

さらに伏見 氏は、開発期間にクラウドのメリットも実感できたと続けます。

「あるシステムを実装する際、当初の予定と異なるサーバーを新たに調達する必要が生じました。オンプレミスではサーバーの調達に数週間かかりますが、Azure 上ではサーバー 10 数台の調達であっても迅速に行うことができたのです。クラウドの利用は初めてでしたが、改めてそのすごさを実感することができました。サーバーを指先だけで調達し稼働させてしまえるのはやはり画期的で、時間や費用の面で大きな効果を得ることができました」(伏見 氏)。

「omni7 は当社の関わったプロジェクトの中でも規模の大きな案件でしたので、開発に苦労がなかったというと嘘になります。ですが、小さく開発して改良、拡張を加えていき、テストを繰り返すといった今回の構築手法にクラウドが最適だったこともあり、なんとかサービス インまでに作業を完了させることができました。また、マイクロソフトには設計の段階から支援いただけましたので、技術面での不安は除いた形で開発に取り組むことができました」(中 氏)。

omni7 がサービス インした 2015 年 11 月より、国内約 3 分の 1 となる 6,000 の店舗へ EM10 は無事配布され、同サービスの「接客」を担うデバイスとして機能を開始しています。

<今後の展望>
2016 年夏には全国展開を予定。決済機能など、全国の顧客ニーズに応える機能実装により、自由に買い物を楽しむことができる世界の構築を目指す

「新しい買いもの習慣の構築」をスローガンとし、2015 年 11 月よりサービス インした omni7。原田 氏は、ビジネス面や従業員の意識面ですでに、オムニチャネル戦略による効果がはっきり出ていると話します。

「お客様は商品を購入するための選択肢を選んでいるだけであって、購入場所としてネットとリアルの区別は行っていないことがわかってきました。たとえば、omni7 でネット上でのメッセージに力を入れた商品があるのですが、そうするとリアル店舗でその商品を見にくるお客様が増え、ネットのみでなく店舗での売上も向上したのです。こういった効果は売場のスタッフにとっても刺激になっているようで、オムニチャネル戦略を意識した接客が加速したと感じています」(原田 氏)。

また、伏見 氏は omni7 について、サービス イン後も店舗や顧客の意見を聞きながら、接客端末を含めた改善を繰り返していると続けます。

「接客端末について現在 6,000 店舗へ配置していますが、どのような接客を行えばお客様の要望に応えられるか、どのような機能を実装すべきかなどが把握できてきました。たとえば訪問販売の際、その場で決済まで行いたいという要望をいただくことが多く、nanacoカードとクレジット カードを統合した決済機能の実装を検討しています。こういった要望を持つ全国のお客様に応えるべく、2016 年夏までには接客端末の全店展開も完了させる予定です」(伏見 氏)。

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Omni7 上で PR を行った商品はネット上だけでなく、リアル店舗での注目度やそこでの販売にも効果を現している

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全国 6,000 店舗に配置され、売場のスタッフに活用されている接客端末。2016 年夏までには全店での展開が予定されている

「omni7 のサービス インは当社にとってゴールではなく、あくまでスタートに過ぎません。アジャイル開発のように、常に進化し続けていくことが大事です。お客様の商品購入への要望は絶えず変化しますので、同様に omni7 にも完成形はなく、今後も常に進化し続けていくものと捉えています。リアルとネットを意識することなく、あらゆる制約を超えて自由にお買い物を楽しむことができる世界へ向けて、これからも挑戦を続けていきたいと考えています」(原田 氏)。

少子高齢化に代表される社会の変化に伴い、顧客の生活にも変革が訪れつつある昨今。セブン&アイ・ホールディングスでは、同社が「第 2 ステージ」と据えたオムニチャネル戦略をもって、常に変化していく顧客ニーズに応えるべく進化を続けていきます。

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