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導入事例

 様に導入

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  • コスト
  • iPad

十八銀行

 様に導入

お客さま接点の拡大に向けたサービスの深化に、Windows 8.1 タブレットを活用。外出先での高いセキュリティと、利便性・業務拡張性を両立したタブレットを起爆剤として、実質営業力を 30% 向上

写真: 十八銀行

十八銀行

長崎の地域経済と共に歩んできた十八銀行は、揺るぎない経営基盤の構築と、地域活力の創造への主体的な取り組みを志す新中期経営計画「CS 3」を推進。地域ならびにお客さまとのつながりを深化させ、ともに成長していくための大きな一歩として「営業力の強化」を実現するために Windows プラットフォームを活用した営業支援システム「FACE」を新たに自行開発。タブレット端末と併せて活用することで、渉外係とお客さまの接点拡大を図るワークスタイル変革を検討。長期にわたって同行の「お客さまとのつながりの深化」をサポートする最適な選択肢として採用されたのは、充実した標準機能と十分な拡張性を備えた Windows 8.1 Pro 搭載タブレットでした。

<導入の背景とねらい>
従来の営業活動に潜んでいた 3 つの課題解消に向け、独自の営業支援システムを開発

写真: 桑原 和彦 氏

十八銀行
システム部
部長
桑原 和彦 氏

写真: 篠倉 久 氏

十八銀行
システム部
企画推進課
課長
篠倉 久 氏

写真: 綾部 壮通 氏

十八銀行
システム部
業務役
綾部 壮通 氏

1877 年 (明治 10 年) 9 月に設立されて以来、長崎の地域経済と共に長い歴史を歩んできた十八銀行は今、新たに策定した中期経営計画「CS 3(シーエスキューブ)」に基づき、地域活力の創造への主体的な取り組みと、お客さま満足度の向上に資するさまざまな活動を促進させています。

「CS 3」は、地域の銀行としての自覚と責任を持って地域活力の創造に取り組む「Commitment」を筆頭に、お客さまとの接点を拡大する「Communication」、地域の新規事業創出に挑戦する「Challenge」という 3 つの「C」。そして、何事にもスピード感をもっと取り組む「Speed」、付加価値の高いサービスを提供する「Solution」、そして誠実な応対を示す「Sincerity」の 3 つの「S」。これらの「C」と「S」を確実に実行し、奥行きのある 「CS = Customer Satisfaction」を、2014 年度からの 5 か年で実現させることを目標としています。

十八銀行 システム部 部長 桑原 和彦 氏は、次のように説明します。

「今は日本全体で人口減少が進み、経済状況が縮小する流れにあり、長崎も例外ではありません。しかし、その一方で『長崎の教会群』の世界遺産登録推進や、『世界新三大夜景』の認定、『ながさき海洋・環境産業拠点特区』の指定獲得、そして『九州新幹線』の長崎ルート着工など、長崎の地域経済には明るい材料も揃っています。こうした明るい材料を、確実に地域活性化へと結びつけていくためにも、地域の銀行としての自覚と責任を持って、地域ならびにお客さまとのつながりを深化させていく努力が肝要であると思います」。

十八銀行では、2014 年 4 月から 2017 年 3 月の 3 年間を、CS 3の 1st Stage = 地域ならびにお客さまとのつながりを深化させるステージとして定義。重点的に取り組む事項として、「質の高い商品・サービスの提供」や「地域と連携した経済活性化への貢献」、そして「営業力の強化」など 5 つの項目を掲げています。

「営業力の強化」に関しては特に「実質営業力 30% アップ」という数値が示されており、具体的な取り組みが、すでにスタートしています。

それが、自行開発による営業支援システム「FACE (Fitting Action and Check system for Excellent business [優れた、質の高い営業を行うために、最適な行動とチェックをサポートするシステム]の略)」と、タブレット端末の活用です。

同 システム部 企画推進課 課長 篠倉 久 氏は、「FACE」およびタブレット端末導入に至った背景について、次のように振り返ります。
「従来環境における渉外係の営業活動について、課題が 3 つありました。1 つ目は、事前の提案資料準備や内部事務に時間が取られてしまい、実際の営業活動に振り向ける時間が少なくなってしまうということ。2 つ目は、移動時間の長さと、移動効率の悪さ。そして、3 つ目が、お客さまのニーズに応える上で重要となる、提案スキルのばらつきでした。この 3 点を克服するために、各営業店に詳細なヒアリングを行い、営業支援システムを開発すると共に、このシステムを外出先からでも自由に活用するためにタブレット端末の導入を計画したのです」。

しかし、タブレット端末の導入には、「賛否あった」と桑原 氏は言います。
「銀行業務の実用に耐えるタブレット端末となれば、安価なものではありません。どのような目的で、どこまで活用を深めていくことができるか、詳細に検討することは当然でしょう。当行でも『導入は、まだ早い』とする慎重な意見が聞かれました。しかし、お客さまへの提案資料が電子化されれば、営業活動に向けた事前準備も効率化されます。カタログ類などの資料をすべてオンラインで引き出すことができれば、機会損失も減るでしょう。さらに、CRM (Customer Relationship Management : 顧客管理システム) の活用によって、お客さまとの接点を深めることができます。このメリットを最大化するために、タブレット端末の導入が決まったのです」。

さらに、「どのようなタブレットを導入するかが重要なポイントであった」と、篠倉 氏は続けます。
「実は、『iPad を導入したものの行内の業務システムが利用できず、その後の活用に悩んでいる』という他行の事例も見聞していました。そうした話も踏まえ、投資対効果を最大化するには、幅広い用途に対応できるよう、十分な拡張性を備えていることが絶対条件と考えたのです」。

こうして、最適なタブレット端末を求めた十八銀行が選択したのが、Windows 8.1 Pro を搭載したタブレット端末だったのです。

「タブレットですから、ペンや指先のタッチによる、軽快な操作性にこだわりました。さらに CS 3を実践し、お客さまとの接点を深化させていくことを考えれば、PC と遜色ない機能の充実と、豊富な周辺機器の活用が必須となります。さらにセキュリティ施策の充実など、多様なニーズを満たすには、Windows 8 以外の選択肢はありませんでした」(篠倉 氏)。

Windows タブレットの採用理由

  1. Windows プラットフォームの堅牢なセキュリティと管理性
  2. Windows OS 標準機能の活用によるコスト削減
  3. タブレット端末としての拡張性および将来性

<システム概要と導入の経緯>
Windows の機能を活かした多層防御でタブレットをセキュアに活用

こうして十八銀行では、Windows 8.1 Pro を搭載した、富士通株式会社製の 12.5インチ タブレット ARROWS Tab Q704/H を 300 台、100 店舗に導入。共用端末として、お客さま先に出向く渉外係が、入れ替わり活用しています。

セキュリティにも十分に留意し、多層防御型の対策を実施。認証用に IC カードリーダーを内蔵し、使用権限を与えられた渉外係が ID カードを差し込み、パスワードを入力しなければ利用できないようになっています。
また、ハードディスク は Windows 標準機能の BitLocker ですべて暗号化。さらに端末内には一切のデータは残さないシンクライアント方式を採用。その上で Windows Server の Remote Desktop Services を活用し、サーバー上で稼働する営業支援システム「FACE」に、セキュアに接続しています (システム概念図参照)。

通信には、NTT ドコモの高速通信サービス「docomo LTE Xi (クロッシィ)」を専用回線として活用。Remote Desktop Services による性能とエクスペリエンス機能の最適化とあわせ、ストレスのないリモート アクセスを可能にしています。

同 システム部 業務役 綾部 壮通 氏は、こうした製品選びにもこだわったと話します。
「液晶画面が大きいことを前提に、オンライン接続しながらもバッテリーで 8 時間は稼働させられること。さらに、IC カードリーダーの組み込みや、さまざまな周辺機器を接続できる USB 端子を備えていること。通信回線についても複数の帯域を受信できることなど、将来の活用拡大まで見据えたスペックを求めて、複数の製品を比較した結果、富士通製のタブレットを採用しています」。

このタブレット環境から接続して活用する十八銀行の営業支援システム「FACE」は、2012 年 5 月から、各営業店を対象に行ったヒアリング調査に基づいて、2013 年 1 月から 3 月にかけて試行版を開発。この試行版を、4 店舗で約 4 か月活用した結果をフィードバックして、同年 10 月から本格的な開発を開始。翌 2014 年 4 月からのサービスインを迎えています。

この FACE は、Windows Server 上にマイクロソフトの開発環境である .Net Framework を活用して十八ソフトウェア株式会社と共に、自行開発されています。Web 基盤には Windows Server の Internet Information Services (IIS)、認証基盤には Active Directory を活用、そしてデータベースには Microsoft SQL Server を採用するなど、従来 UNIX などが混在していた環境から、システム全体をマイクロソフトのテクノロジーで統一することで行内の IT 資産をスリム化。安全性が高く、問題の切り分けが容易、かつサポート窓口を絞り込んだ運用が行えるシステム環境を実現しています。

シンクライアント方式のジレンマを、マイクロソフト コンサルティング サービスにより解消
高いセキュリティを保持しつつ、広範囲な周辺機器やアプリケーションとの連携を可能に

図: タブレット背面のスロットに、IC カードを挿入

タブレット背面のスロットに、IC カードを挿入

十八銀行では、FACE の自行開発を貫くことで開発費用の大幅な削減を実現していますが、実は、マイクロソフトの .NET Framework を活用した本格的なシステム開発は、「今回が初めてだった」と綾部 氏は言います。

「開発をお願いしたグループ会社の十八ソフトウェアにとっても、.NET による大規模なシステム開発は今回が初めてであり、多少の戸惑いもありました。それでも 自行開発を貫いた理由として 1つには、Visual Studio という統合開発ツールが整っており、利便性が高かったということが挙げられます。実際、開発生産性は高く、6か月間という短期間でのサービスインを実現できました」。

この開発生産性の高さに加えて、十八銀行が Windows タブレットと.NET 環境での開発を選択したことにはもう 1 つ、先を見据えたねらいがありました。それが、タブレットをはじめとするさまざまなデバイスを活用した業務改革と顧客サービスの向上です。
十八銀行では現在、タブレットの活用方法を、外出先からの「FACE」などへのアクセスに限定していますが、将来的には、CS 3で掲げる顧客接点の強化を推進するため、タブレットのさまざまな応用を視野に入れているのだと言います。

「当行がWindows 8 搭載タブレットを選択した最大の理由は、拡張性の豊かさにあります。その点、Web開発の ASP.NET とタブレットに最適化されたストア・アプリを自由に開発できるように、ナレッジを行内に蓄積させることは重要な第一ステップでした」。

しかし、十八銀行がさらなるタブレット活用による業務革新に向けたアプリ開発・活用を行うには、解決すべき大きな課題もありました。それが、シンクライアント方式の採用による制限を、いかに回避するかという問題でした。

「銀行業務に活用するデバイスには、非常に高いセキュリティが不可欠です。特に外出先で利用するタブレットは勿論、万が一の場合にもデータ漏えいなどは許されませんので、デバイス上にデータを持たないシンクライアント方式を採用することが、必須条件となります。そこで今回導入した Windows タブレットでは、リモートデスクトップ接続で行内のサーバーへリモート アクセスし FACE を活用しています。しかし、シンクライアント方式でデータを保護できる一方で、タブレットの本体機能と分離されているため、タブレット本来の利便性 (ペン入力やカメラなど) を十分に活用できないことや、タブレット上のアプリや周辺機器との連携が行えないなどの問題がありました。タブレットを活用した BPR (Business Process Re-engineering) には当初より注目しており、特に Windows 対応として多彩に流通している USB 周辺機器を是が非にも活用したいと考えていましたので、これらの課題を解消し、Windows タブレットの機能をフルに活用するために、マイクロソフト コンサルティング サービスに相談を行いました」(綾部 氏)。

マイクロソフト コンサルティング サービスでは、アプリケーション連携のアーキテクチャの技術検証を実施。わずか 1 か月で十八銀行が抱えた前述のジレンマを解消しています。この連携アーキテクチャにより、シンクライアント上のアプリケーションから、タブレット上のアプリや接続されている多様な周辺機器を利用できるようになり、タブレット活用の幅が大きく広がっています。

「コンサルティング サービスの技術力の高さには、大変満足しています。おかげでシステム拡張を検討できるようになり、今後、渉外業務以外にもタブレットを応用できる下地ができ上がりました。お客さまとのつながりを深化する新しいサービス開発にも、さらにチャレンジをしていきたいと考えています」(綾部 氏)。

<導入効果>
詳細なヒアリングに基づき、磨き上げた機能で実質営業力を 30% 向上

「FACE」および、Windows 8.1 Pro 搭載タブレットの活用は、2014 年 4 月から本格的に開始されており、すでに十八銀行にとって明確なメリットを生み出していると、桑原 氏は言います。

「4 月の本格導入に先だって、4 店舗で試験導入したのですが、この 4 店舗においてすでに、CS 3に掲げられた実質営業力の 30% 向上につながる成果が確認されています。また、この期間中に寄せられた改善要望にも非常にスピーディーに応え、FACE の機能を磨き込むことができた開発生産性の高さにも、感心しました」。

FACE には、顧客情報から交渉・取引履歴、そして付帯サービスまで表示されます。地図情報も連携しており、渉外係が担当するお客さまを、効率よく訪問することを助けています。また、預かり資産業務でも訪問先で取引が完結できるようになっています。

また、渉外係のスキル平準化に向けたナレッジ共有の第一歩として、事前に日々の「行動計画」を入力し、その結果を登録する運用を行っています。これによって、日々の業務報告作業をスムーズにすると共に、事前の予定と、実際の結果を確認し、その差異が生まれた理由を検討することで、スキル育成にも結びつけられています。

「スキルの共有と育成に関しては、まだまだ試行錯誤の段階にありますが、このシステムによって個々のスキルを組織として共有できるようしたいと考えています」(綾部 氏)。

タブレットの導入は、各店舗において非常に好意的に受け入れられ、「台数増加の要望も、多く寄せられている」と、桑原 氏は言います。

「現在、渉外係 1 人に 1 台、という状態にはなっていないこともあり、『台数を増やして欲しい』という声が、すでにいくつも届いています。現場への詳細なヒアリングを基に FACE を作り込んだことが、功を奏しているのは間違いありません。その上で、現場の渉外係が、自分のデスクにある行内業務用 Windows PC と、外出用の Windows タブレットを使い分け、その利便性を実感してくれた結果だと受け止めています」。

<今後の展望>
渉外係の業務から、営業店の窓口業務まであらゆる顧客接点にデジタル化のメリットを

十八銀行のタブレット活用は、しかし、「まだ始まったばかり」だと、桑原 氏は話します。
「ワークスタイルの変革、そして、お客さま接点の強化という目的において、タブレットが効力を発揮できる場所は、行内に、まだまだ数多く存在しています。たとえば、お客さまが来店されて、窓口に向かわれる前に伝票の記入をお願いしていますが、必要なアプリケーションを追加開発して、FACE と連携させることで、この作業を電子化することも可能です。それは、PC よりも携帯しやすく、ペン入力が行える Windows タブレットだからこそ考えられるプランです。伝票記入作業に負担を感じられているお客さまにも、ご満足いただけるサービスが実現できるのではないでしょうか」。

Windows タブレットの拡張性の高さから考えられるこうしたプランは、さらに多くのメリットにつながっていくだろうと、桑原 氏は続けます。
「伝票が電子化されれば、その後のシステム入力といったオペレーションも削減されるでしょう。さらに、ペーパーレスが進めば、店舗内のキャビネットも減らせることになるでしょう。また、タブレットで実現できる業務が増えれば、時と場所を選ばずに契約申し込みを完了することも不可能ではありません。もちろん、実現までにはコンプライアンス上クリアすべき課題などがいくつかあります。しかし、まったくの夢物語ではなくなりました。その意義は、大きいと思います」。

最後に、桑原 氏は次のように言います。
「私たち地方銀行は今、大きく変わらなければいけない時代に直面しています。サービスの充実や、地域およびお客さまとの接点を深めていくために必要な変化を可能にするために、IT 活用もより積極的に行う必要があるでしょう。今回の営業支援システムおよびタブレット導入というソリューションも、一昔前には想像もできなかったことです。しかも、Windows プラットフォームに統一することで、導入・開発コストを大幅に抑えることもできました。今後も、マイクロソフトをはじめとする IT パートナー各社のサービスとサポートに期待しています」。

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