在宅療養を総合的にサポートする仕組みを持つ「訪問診療所」

「笑顔のおうちクリニック」について教えてください

杉浦 : 「笑顔のおうちクリニック」は、2011年に開業した訪問診療専門のクリニックです。患者様と直接契約し、医師が定期的にお宅を訪問します。当医院では、「在宅療養を支援する」ことをコンセプトにしています。そのため、診療するだけではなく、薬局や看護ステーションなど、患者様が必要とするサービス機関と連携し、患者様の在宅療養を総合的にサポートする仕組みを整えています。おかげさまで患者様の数と売上は急激に伸びています。スタッフは19名で、シフト勤務制です。

患者様のお宅を訪問し診療をおこなう訪問診療専門クリニック。
薬局や看護ステーションと連携し、在宅療養を総合的にサポートしている。

院内の情報を共有するためにチャットワークを導入

なぜチャットワークを導入しようと思ったのですか?

杉浦 : メール以外の方法で「院内の情報を共有するツール」がほしいと思っていたからです。メールでは事足りないし、アナログでやるには手間がかかりすぎます。サイボウズのような複雑な管理ツールはたくさんありましたが、スタッフにとって扱いが難しいので導入するつもりはありませんでした。当医院にとって必要なのは、必要な情報をシェアするコミュニケーション機能と、「誰々さん、何々をいつまでにやっておいて」というタスク機能、外出先と事務所内の両方で使えるクラウドツールであることの3つです。これらは仕事の根幹であり、チャットワークはすべて備えていたので導入を決めました。

チャットワーク導入前はどのように情報共有をしていたのですか?

杉浦 : 導入前は「紙」が中心でした。稟議書に印鑑を押して回す方法に加え、付箋などのアナログなやり方を工夫して運用していました。しかし、本当にやりたいことができませんでした。また、メールは良くないと思っていたので使っていませんでした。

メールが良くない理由は二つあります。ひとつ目は、タスク管理機能がないので依頼がうまくいかないことです。二つ目は、医療機関はセキュリティを重視するため、暗号化されていない通信のメールは使えないことです。その点、チャットワークはSSL通信(クレジットカードを認証する時に使われる安全性の高い通信方法)だからセキュリティ面も安心でした。

45歳・アナログな事務長も大絶賛。「スタッフを楽にするためのIT」

院内では、どのようにチャットワークを活用していますか?

杉浦 : ひとつ目は、朝・夕に予定表と業務日報を書きます。

仲間の行動予定をシェアすること、タイムカードの代わりにすることが主な目的です。新しいツールを定着させるには毎日使うための仕組みが必要です。当医院では、「日報+タイムカード」として毎日使うことで、チャットワークの使い方を覚えてもらいながら、全員の予定もシェアできる仕組みを作りました。

二つ目は、目的別にグループチャットを作ってコミュニケーションをとっています。

「このテーマは使いづらそうだな」「このスレッド読んでないよね」という場合はグループチャットのテーマをメンテナンスしています。そのため、自然に患者様が増えて、取り扱う情報量が増えていますが、情報過多による混乱やタスク漏れなく業務を回すことができています。

業務日報を毎日義務付けることが導入のコツと杉浦院長は力説する。
グループチャット「業務日報(朝)」の説明文。チームの仲間がどこで何をしているかを把握すること、タイムカードの役割を担っていると記述されている。
具体的にはどのようにグループチャットをメンテナンスしているのですか?

杉浦 : 「綺麗に情報が整理されている」状態になるよう工夫しています。「綺麗に情報が整理」というのは、「1日に、3~20個の投稿があるグループチャット」と定義しています。投稿が少なすぎても、多すぎても処理漏れを起こす原因になります。ひとつのスレッドに投稿が100も200もあったらメールと変わらないので意味がありません。チャットワークはメールと違い、グループチャットを適度な投稿量になるよう整理整頓できます。これで処理漏れをなくせます。この運用方法は、近いうちに東京にもクリニックを出す予定があり、オフィスが2か所になった時に役に立つと考えています。

また、通常のコミュニケーションはチャットワークでおこない、FAXはオールスキャンしてクラウドストレージに保存しています。ペーパレスも目指していて、7割達成できているのはチャットワークのおかげです。

事務長の福本さんは、チャットワークの導入に抵抗はありませんでしたか?

福本 : 私はアナログなのですが・・・、チャットワークは使ってみたらとても良かったです。これまでタスクは、メモを書いて消していましたが、今はチャットワークで管理しています。

私ぐらいの年齢の管理職は新しいツールを拒絶しがちですが、仕事ができる人なら45歳を過ぎてもやれば絶対できると思います。拒否するとしたら、やりたくない気持ちが強いのでしょう。実際に使ってみると、過去より本当に良くなったと実感できました。iPhoneでもチャットワークを自分なりに使いこなしています。45歳を過ぎると多少物忘れをすることもあるのですが、チャットワークで院内の情報やタスクを閲覧できて助けられています。チャットワークは「スタッフを楽にするためのITツール」です。

「私はアナログなのですが...チャットワーク、使ったら本当に良いんですよ!」と事務長 福元博樹様 45歳。

「診療中に電話が鳴らなくなったことは、とても良い!」

訪問診療中に役立っている点はありますか?

杉浦 : 診療中に患者様の前で電話が鳴らなくなりました。これまでは外出中の医師と、内勤者の連絡には電話を使っていました。チャットワーク導入前は、診療中に患者様の前で電話が鳴りますし、診療からオフィスに帰ってくると質問攻めでした。これを、緊急のものを除いてチャットワークで連絡をするというルールに変更しました。すると、私は移動中にチャットワークを見て、メッセージがあれば外から中に連絡を入れるようになりました。これにより、患者様と会話の途中にバンバン鳴っていた電話が鳴らなくなりました。患者様は会話の途中で電話が鳴ると話す気が失せてしまいます。訪問している時はその患者様のための時間ですし、お金が発生している時間でもあります。そういう時に電話をするのが極度に減ったのは良いことです。

また、スタッフにとっても「これはチャットワークの連絡で十分」なのか、「電話が良い」のか考えるきっかけにもなり、物事の重要度と緊急度を分けて情報を伝えるという文化が社内にできました。

患者様270名の情報を、連携機関とチャットワークで共有

薬局などの連携機関とチャットワークで情報共有もしているそうですね

杉浦 : はい。当医院の患者様約270名について、薬局などの協力企業とチャットワークで連携を組んでいます。チャットワークでつながっている提携先は14機関で、うち3つが薬局です。残り6つが訪問看護ステーション、5つが介護施設です。医療界では、患者様の最新情報は電子カルテにあるので、現在は、電子カルテを書いた後、チャットワークに転記しています。普通の方にとって在宅診療は遠い存在です。在宅療養とは、患者様のお家に、中区から医者、東区から看護師、西区からヘルパーさんが来るということであり、全員違う日時に訪問するということです。このことから、連携が非常に難しいという事情があります。そこで当医院では、安全で希望通りの医療を提供するために、連携機関との情報共有にもチャットワークを使い始めました。薬局・看護師らと、一人の患者様の情報を、ひとつのグループチャットで共有するという使い方です。

在宅診療に携わる者は、熱心な方ほど、担当の患者様がどんな診察を受け、どんな処方がされたのかを知りたいと思っています。これを従来の電話やFAXでやろうとすると紙だらけになっていまいます。連携機関と患者様の情報を共有できるという意味で、チャットワークを開発してくれたことに感謝しています。もっと患者様の情報を連携機関と共有できるようになれば、さらに患者様を増やせるでしょう。今後の目標は、全連携機関、全チャットワーク導入です。

介護業界は1人の患者様に何人も取り巻きがいます。医療界にはチャットワークはすごく合います。無かったら紙だらけですし、重なった情報もたくさんありますが、皆がチャットワークで共通の情報をシェアすると紙は要らなくなります。

患者様に関わる人々が「信頼の環」を作るためのツール

チャットワークは訪問診療所にとって何のツールと言えるでしょうか?

杉浦 : 訪問医療にとってチャットワークは「信頼の環」です。患者様を中心に、関わる人が環を作るのに必要なものですね。

在宅診療をおこなうためには、1人の患者様に対して距離のある複数の機関が対応します。この時一番問題なのは、情報が上手く噛み合わないことです。チャットワークが在宅に向いていると言えるのは、それをかなり低減できるからです。距離があっても、暗号化された情報で安全にやり取りできるので「チーム医療」を提供できるようになる点が一番大きいですね。

また、医療界のIT化は遅れているのが現状で、現場では「言った、言わない」が横行しています。この問題を解決するのがチャットワークです。「簡単に使えて、すぐにベネフィットを感じられるもの。」その希望のド真ん中だったからチャットワークを使っていいます。

チャットワークで提携機関と情報共有し、ボタンひとつで24時間対応する「あんしん笑顔ネットワーク」サービスをスタートした。
最後に、情報共有ツールを検討している医療機関に一言お願いします

杉浦 : チャットワークは無料プランから始められます。当医院では、まず3か月間試し、院内の業務効率化に成功しました。次のステップとして連携機関との利用を進めました。連携機関に「試してほしい」と伝える時、無料で試してもらうことができるのも利点です。この取り組みをさらに進め「あんしん笑顔ネットワーク」という、ボタンひとつでヘルパー・看護師・医師がかけつける24時間対応のサービスを開始することになりました。

チャットワークは、訪問医療関係者にとって欠かせないツールです。