「ユニバーサル先進国・日本」の実現を目指すベンチャー企業

ミライロについて教えてください。

垣内 : 障害者の視点を価値に変える「バリアバリュー」という考えのもと、9つの事業をおこなっている会社です。たとえば、「設計・改修サポート事業」では、車イスで生活しているスタッフや全盲のスタッフが、ホテルや大学などの施設を実際に視察し、誰にとっても使いやすい施設環境への改善策を提案しています。障害者の視点で考えられたユニバーサルデザイン(※)は、障害者以外にもベビーカーの方など誰にとっても優しいことからとてもニーズがあり、日本のみならず中国からも問い合わせがあります。おかげ様で、創業2期目・3期目と売上が急拡大しています。お客様はユー・エス・ジェイ様や大阪大学様、結婚式場のブラス様など、幅広い業種のお客様があり、社員8名フル稼働で案件を進めています。

※ユニバーサルデザイン(Universal Design、UD)とは、文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力のいかんを問わずに利用できる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう。参考:ウィキペディア

ミライロのサービスのひとつ、ユニバーサルマナー研修の様子
「みんなの夢AWARD3」優勝。垣内様の語る「世界に誇れるユニバーサル先進国・日本を実現する」という夢に8,000人の観客と50社以上の協賛企業が共感した
垣内社長のことを教えてください。

垣内 : 私は先天性の骨形成不全症で、幼稚園のころから現在まで、車イスで生活しています。私が起業した理由でもあるのですが、17歳の時、神経系の病により、話すことや動くことが不自由になり、一時期は死のうとまで考えていました。今は治療で落ち着いていますが、45歳ぐらいで発症するだろうと言われています。今日(取材当日)から45歳まで残り7,717日であり、ミライロを創業して1,000日目です。この限りある時間の中で何ができるのかを考えた時に、ユニバーサルデザインを広げていくことは自分の将来の子供のためにもなりますし、日本中・世界中のためにもなる。

ボランティアや社会起業ではなく、事業としてやることが自分の使命だと思い起業しました。人生の長さは変えられないけれど、人生の幅は変えられるとそんな風に思うのです。すでに人生の折り返し地点が来ていると思っているので、自分を高めていこうとか、仕事はできるだけこなさなきゃいけないとか、できるだけスピーディーにしていきたいなどと考えるうえで、私は時間に対してはケチなほうだと思っています。チャットワークと出会えたことは、私の人生の幅を広げる一助になってくれたと思っています。

垣内様は障害者の新しい働き方を考案、発信している

急激な成長に社員全員キャパオーバーし、効率化が必要に

チャットワークを導入しようと思ったきっかけは?

垣内 : 2012年に仕事が急激に増え、キャパオーバーしたため、効率的な働き方が必要になりました。情報管理をこまめにするスタッフは良いのですが、情報管理をしないスタッフもいて、彼らの仕事は煩雑でした。クライアントが5~6社のうちはそれでも回っていましたが、20、30、40、50社と増えてくると、それぞれの企業ごとに情報管理・情報整理ができていないことが明らかな問題となりました。

たとえば、当社には商品がいろいろあります。ひとつのクライアントであっても建物の仕事をする時もあれば研修をする時もあります。Gmailのフィルターで顧客別にラベル分けをしていても、ひとつのフォルダに複数のプロジェクト情報が入ってしまい、何がどの連絡だったか分からなくなるという具合です。さらに、TO・CCを入れるのが面倒だったので、ほとんどの情報をメーリングリストでひとまず共有しており、読む必要のないメールも届いていました。そこで、Googleドライブで顧客情報を管理して進捗を追ったり、ガントチャートを作ってみるなどしましたが、ITツールがいくつかに分かれると、スタッフによって情報管理における差が出てきて、「これ、できていないのか?」「見積出したのか?」「研修スケジュールどうなっているんだ?」と聞かなければいけませんでした。

そんな折、チャットワークの山本社長にお会いする機会があり、業務の効率化についていろいろ教えてくださる中でチャットワークをご紹介いただいたのがきっかけです。

メールは受注キャパ6社、チャットワークは27社

チャットワーク導入後、どのような変化がありましたか?

垣内 : もともと同時進行できる企業のキャパが7社ぐらいでしたが、この1年で圧倒的に飛躍を遂げて、現在は27社の企業様とプロジェクト進行ができるようになりました。昔と比べると3~4倍ぐらいまでキャパは広がってきました。最小限の人員と時間配分で仕事を進められるようになり、小さな組織だからこそチャットワークが必要だったなと思っています。会社として案件が増え、規模が大きくなっていく中で、チャットワークが寄与しているところが大きいと思います。

ミライロでは、チャットワークを導入すると、1年後には4倍の仕事を進行できるようになった
効率化できた点について詳しく教えてください。

垣内 : まず確認のための電話やメール・ミスが圧倒的に減りました。次に、以前はひとつの会社のプロジェクトに4~5人必要だったのが、3人で済む、または3人の入れ替わりで済むようになりました。一人ひとりの無駄が減り、人員をいつ・どれだけプロジェクトに関わらせていくかも簡単になりました。

なぜひとりひとりの無駄が減ったとお考えですか?

垣内 : コミュニケーションが増えたこと、情報をチャットワークに一元化できたからだと思います。これまでは「コミュニケーションをもっととらないと」、「タスクを紙に書かないと」など、色んなものを複合的にやる必要がありました。今はチャットワークひとつでできるようになり、ガントチャートがなくても自然に仕事ができています。使い込むうちに勝手に最適化されていたという感じですね。これにより社内のコミュニケーションが活発になり、伝達不足が圧倒的になくなったなと感じています。

チャットワーク画面の右上に、各プロジェクトの情報を集約している
どのような方法で、人員の適時・適材・適所をおこなっているのですか?

垣内 : チャットワークは「A社のプロジェクトIII」というふうに、プロジェクトグループ分けが簡単です。その中に、グループメンバーを必要に応じて出し入れします。当社では建築・接客研修・デザインと担当が別れるので、すべての情報を全員が見る必要がありません。ただでさえパンクしているのに、全部のメールまで見ないといけないのは無駄ですが、チャットワークはその時々の状況に応じてメンバー管理ができるので、この時にはAさんに入ってもらう、こうなったらBさんに入ってもらうという操作ができます。

各プロフェッショナルが適切な形で適切なプロジェクトに関わってもらうことができますので、必要最低限の労力でプロジェクトを進行できるようになりました。今となると、なぜ使ってなかったんだろうな?無かったころはどうやって仕事をしていたんだろう?という感覚を得るくらい当然のツールになっています。会社だけじゃなく、家族で使っているというスタッフもいるんですよ。

視覚障害者にとってチャットワークが有益な点

視覚障害の方にチャットワークが有益とのことですが、詳しく教えてください。

垣内 : 視覚障害の方に対してチャットワークが有益だと思う点は、スマートフォン・タブレット用アプリの使い勝手が良いことです。PCはマルチタスクでいくつも画面が開き、マウスによる操作も入ってきますが、スマートフォンはシングルタスクなので一画面一ソフトです。すると、スクリーンリーダー(※)で読み上げがしやすいのです。ソフトがいくつも開いていると、読み上げができないとか、操作が難しいといったことがあります。実は視覚障害の方のiPhone使用率がとても高いのですが、なぜかというと使いやすいからです。元々、彼らにとってPCは使いにくかったのかもしれません。スマートフォンやタブレットが使いやすいとなった時に、チャットワークというツールがまた光ってくると感じています。

当社には、一緒にプロジェクトを進行している弱視の方が東京にいます。視力は低いですが、チャットワークでコミュニケーションをとることができています。東京と大阪で離れていますが大丈夫です。

※スクリーンリーダー:画面に表示された情報を音声で読み上げるソフトウェア。視覚障害を持っていてもPCを使用することができる。そのことが視覚障害者の就労支援に生かすことができるものと期待されている。

ミライロでは障害のあるスタッフがチャットワークやITツールを組み合わせ、障害があってもデスクワークができることを体現している

チャットワークは「障害者の働き方」そのものを変えるツール

チャットワークはミライロにとって何のツールと言えるでしょうか?

垣内 : チャットワークは、「障害者の働き方」そのものを変えるツールであり、仕事量が増えて対応できなくなるという不安を払拭するツールです。

垣内 : 世間は障害者がどれだけのことをできるかを知らないだけで、それを伝えることができれば障害者の雇用はもっと増えます。

先日、全盲のインターン生が40社受けて不採用になりました。ところが、PCを面接に持参して素早くキーボードを打てることを証明すると大手企業に合格しました。膝が曲がらないため通勤が難しいスタッフもいますが、在宅でもチャットワークがあればタスクの管理や連絡ができるので、家にいながらでも仕事をしています。これまで移動は、障害者や高齢者にとって高いハードルでした。障害者のことが知られていないこともハードルです。それらをITで、チャットワークを使って解決できます。私たちが東京や自宅と離れた場所どうしで仕事をし、そのことを体現できています。

私はこの4月から約1ヶ月の入院が決まっており、業務量がますます増えることなどの不安はありますが、チャットワークがあることで病室でも仕事はちゃんとできるだろうなという安心感があります。

障害のある方の働き方を変えるとは、感動的ですね!

垣内 : チャットワークさんがITを駆使していろいろな中小企業さんに業務の効率化について発信されているように、当社は障害のあるスタッフがたくさんいるので、チャットワークやITツールを駆使して「障害者がこうやったら働けるよ」という情報を発信していきたいと思います。たとえば、全盲の方の仕事というのは、これまでは大手企業ではデスクワークなんて考えられなかったのですが、今はスクリーンリーダーなど一定の環境さえ整えたら彼らの働き方を変えることができます。チャットワークを通じて当社の働き方を、がさっと変えていただきました。これからは社会全体の障害者の働き方を変えたいと思っています。

最後に、障害のある方に一言メッセージをお願いします。

垣内 : 障害があると働けないことに対する不安があると思います。でも障害があることをマイナスであったり、ハンデであったり、不幸なことなんて思わないでほしいと思っています。

なぜなら環境は変わっていきますし、チャットワークをはじめ障害者の可能性を広げるツールも出てきています。それらの組み合わせ次第でいくらでも可能性は広がっていきます。これを実際にやっている私たちだからこそ、いつでも相談してもらいたいと思いますし、チャットワークもぜひ使ってもらいたいなと思っています。