経験がモノをいう不動産業では、ベテランに情報が集中してしまう

西武開発 本社(左)/西武開発とグループ会社の連携により、住宅を中心としたサービスを展開予定(右)
貴社はどのような事業をおこなわれているのですか。

田形: 当社は32年前に現社長によって創業された 不動産仲介・売買をコア事業とする会社です。都心に近い埼玉県は、不動産業者がひしめきあう激戦区ですが、経営陣、スタッフ一丸となって顧客サービスを充実させていった結果、おかげさまで 現在では営業職だけで120名、全社員数で200人強のスタッフが在籍するまでに成長させていくことができました。

また、西武開発の支店は16店舗(2016年6月現在)あり、今後も拡充を続けていく予定です。また、2014年には3社目のグループ会社として株式会社リビングコンシェルジュ(損保・生保・住宅ローンフラット35の代理店業務をおこなっている)を設立。

このことによって、グループ全体で不動産・金融・保険のワンストップサービスの提供が可能となりました。また今後は、家具や家電の販売などを始めとした、当社で住宅をお世話させていただいた地域のお客様の「暮らし」に対してトータルサポートサービスをご提供できる体制をさらに強化していきたいと考えています。

不動産仲介業の皆さんは、普段どのように業務をおこなわれているのでしょうか。

田形: 意外に思われるかもしれませんが、不動産仲介業では、いまだに紙ベースの資料が多く使われています。たとえば物件の情報はファックスで送られてきます。ファックスで届く山のような物件情報をそれこそ一軒一軒に電話をして、まだ売れていないか確認し、それらの情報を支店で共有、お客様にご提案というかなりアナログな業務がまだまだ多い業界です。

なるほど、ファックスや電話でのやり取りなど、アナログなやり方がいまだに多く残っている業種なんですね。

田形: そうなんです。 社内の情報共有・交換においてもやはり電話がメインです。社外とは電話とFAX、支店間では電話とメールとFAXを併用するといった具合です。そのため、 社内での情報共有は決して十分とはいえず、業務パフォーマンスに対して業務経験年数がモノをいう状況になっています。業務経験浅いスタッフにもっと情報やノウハウが共有されれば、この状況を打破できるのではないかと常々思っていました。

たとえば、ひとくちに住宅ローンといっても数々の商品があり、お客様の状況よってその都度、いくつかの金融機関を選択肢としてご提案していかなければならないので、こういった住宅ローンの情報(知識)も接客をする上で必要不可欠です。しかし、ベテランスタッフにとっては当たり前の知識でも、業務経験の浅いスタッフには、お客様にとってどのローンを組むのが最適かを見極めることは、なかなか難しいといえます。

目の前のお客様にとって最適な住宅ローンのご提案等、従来、これらの活きた情報(知識)は経験して学んでいくものとされてきたため、若手にはあまり共有されておらず、若手はその都度先輩や上司に聞くことになります。 勤続年数が長いほど業績が良かったりするのは、不動産取引のノウハウを経験によって自分の中に蓄積していくからだと思います。

また、昔は広告などで物件情報をあまり出しすぎないで、いってみれば、チラ見せの情報で興味を持ってもらい来店して頂こうという手法が業界ではスタンダードでしたが、 近年ではお客様が物件を探すツールとしてWebサイトを活用するのが当たり前になりました。不動産情報を検索したり、紹介したりするサイトはみなさんもご覧になったことがあると思いますが、現在ではかつてとは真逆で、それぞれの物件について画像など数多くの情報を公開すればするほどお客様から信頼される傾向にあります。 お客様からのアプローチが主にインターネットとなってからは、われわれも積極的に情報を提供し続けることが非常に重要となってきました。

ITを活用しないと仕事にならないという状況なのですね。

田形: そうですね。顧客管理はもちろんのこと、チラシやWebでご紹介させていただく物件に関してあらゆる角度から撮影した写真の整理や見やすく加工もしなくてはいけないので、社員一人に一台はPCを支給しています。そういった点からIT活用の素地はある程度作ってきたつもりでいましたので、前々からコミュニケーションツールの導入は考えていました。SFA(営業支援システム)的な商品を候補に考えたこともありますが、多機能過ぎてすぐに根付くか判断が難しい。いくら素晴らしいソフトやハードを導入してもそれを使いこなせる「ヒト」がいないと何の意味もないと思います。 そんな時、偶然知人からチャットワークの話を聞いたのです。

チャットワークの導入で、ベテランと若手がスムーズに情報を共有

チャットワークのどのような点に注目したのでしょうか。

田形: チャットワークがどのようなサービスか見せてもらったとき、これならすぐに浸透すると直感しました。会話調で話を進めることができ、使い方もすぐに覚えられるので、 事前にいくつかのグループチャットを用意するなど導入環境を作ってあげればみんな使ってくれるだろうと思いました。

現在では、FacebookやLINEといった一般向けコミュニケーションツールは十分浸透していると思います。西武開発のスタッフの中にも、プライベートでこれらを利用する社員は多くいました。むしろ、こうしたライトな会話が楽しめるツールは使い慣れているのです。

たとえば、堅苦しくないチャットなら、上司に相談や意見が言いやすいのではないか。企業全体の円滑なコミュニケーションをする上で、発言するハードルを下げ、意見やアイディアをボトムアップしやすいのではないかと考えました。

その予感は当たりましたか。

田形: 2015年末には 試験的に3部署で導入しましたが、おかげさまで狙い通り、すぐに好反応が返ってきました。それから間もなく、西武開発および リビングコンシェルジュの全部署にチャットワークを導入したのです。スタッフたちは、ツールに触れるとすぐに「チャットワークは使いやすい」と言っていました。 操作も簡単ですし、メールのような堅苦しいあいさつ文もいらない。全社的に使われ始めるのにそんなに時間はかかりませんでした。

たとえば、住宅ローンに関する情報などは「住宅ローン相談室」というグループチャットで相談できるようにしました。すると、若手を中心に相談が書き込まれ、それにベテランが答えるという流れが自然に出来上がり、そこにさまざまな種類のローン情報などがたまるようになりました。チャットワークのメッセージ検索機能でこれらを検索すれば、既存のナレッジとして身に付けることができます。毎回 ベテランの先輩に恐る恐る電話するのに比べ、格段に早く情報を入手することができ、さらに他のスタッフにも共有できますから、以前に増してお客様に対して、スピーディーで的確なアドバイスが提供できるようになったと考えています。

まさに情報共有の代表的な成功例ですね。

田形: また、物件に興味を持ってもらうには、Webサイト上に物件の写真をたくさんアップする必要があります。多い時だと、週に数日は物件の撮影にかかりっきりということもあります。ただ、みんながみんな撮影上手なわけではないので、どうやったらうまく撮影できるのかを覚えないといけません。そんなときにチャットワーク上で、どのように撮影すればよいかを質問すると、ベテランから、そこは脚立を使ったほうがいい、そっちはこういう設定で撮影すればいいなどと回答が得られるのです。

こうした使われ方は一例ですが、ほかにも多店舗展開しているので、 横連携がしやすいように用意した店長チャットや、デスクワーク中心で支店間のコミュニケーションが少なくなりがちな事務員さんチャットなどもあります。ほかにも用途別のグループチャットが複数ありますが、最近ではログもたまってきているので、 メッセージ検索で必要な情報を探すという使い方、いわゆるナレッジデータベースとしても活用され始めています。

情報が命の不動産業とチャットワークは相性がよい

田形様が作成された操作マニュアルの一部。運用ルールを決めることで、社内へ浸透しやすい環境を作った。
導入から約半年という短期間で、チャットワークを広く浸透させることに成功した秘訣は何でしょうか。特別な運用ルールなどは設けているのでしょうか。

田形: トップダウンで、チャットワークを導入。全社会議でその決定事項を伝えるとともに、簡単な操作マニュアルを作って配布しました。同時に運用ルールも、もちろん決めました。

しかし、ルールといっても難しいものではありません。 「内容を確認したら必ず返信すること」「送り主は返信がなければ未確認と考えること」「重要なものや急ぎのものは電話を併用すること」という3つだけです。チャットワークはLINEのように既読、未読が分からないので、そこを運用で補完するような感じです。あとは、自然と文化を形成できると思っていたので、これで十分でした。

誰でも守れるというのがポイントですね。それだったら自分にもできる、と思ってもらえる。

田形: ええ、まさに思った通りでした。 現在では、上司と部下の関係でも相談や意見が出やすい環境になりましたし、情報がどこか一か所に偏るとこういうこともなくなっています。

ただ、チャットワークの利用が活発なのが、若手とベテランで、なぜかミドル層の反応がイマイチという部分があります。おそらく、単にツールの中でどんな発言をすればよいか見極めている最中だと思いますが、働き盛りの彼らも積極的に使いだすと、また違った形で情報共有が活発になると思います。

また、 チャットワークのモバイルアプリにある新機能「位置情報機能」は、われわれのような毎日のように外に出る営業スタッフ多い会社には大変ありがたいですね。これから新人が営業ルートを覚える時の活動状況の報告ツールとして活用できないかテスト中です。

この他、現在では社外のビジネスパートナーにもチャットワークを導入してもらうことで、楽に早く情報共有ができるような体制になっています。メール文化にある形式ばかりの堅苦しい「お世話になっております」「よろしくお願いします」等が不要な分、楽に、そして早く情報が届くので時間の節約になります。 私たちのような不動産業は情報が「命」ですから、チャットワークとは非常に相性が良いと思います。

導入時のトップダウンによる使用命令にはみんなが納得してくれましたが、もし今チャットワークを辞めるといったら、逆に大変なブーイングをもらうでしょうね(笑)。

最後にチャットワークの導入を検討している企業にアドバイスをお願いします。

田形: チャットワークを導入するにあたって特にデメリットはないと思います。本格的なSFAツールなどに比べるとコストはかなり抑えられますし、小さなグループからで良いですから、まずは使ってみることをお勧めします。

営業スタッフは、出先でもスマートフォンのチャットワークアプリを確認。