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インフォコム株式会社

 様に導入

危機管理ポータル「BCPortal」の基盤を自社データセンターから Azure へと移行
止まらないサービスで顧客の事業継続を強力に支援

写真:インフォコム株式会社

インフォコム株式会社

災害発生時にさまざまな情報を簡単に共有できる「BCPortal」を提供し、顧客の事業継続を支援しているインフォコム株式会社。ここではその基盤が、自社データセンターから Microsoft Azure へと移行されています。そのきっかけとなったのは、グループの事業構造改革の一環として、データセンター事業からの撤退が決まったこと。しかし負荷の予測が難しいサービスであることから、クラウドへの移行はそれ以前から検討されていたと言います。複数のクラウド サービスを比較検討した結果 Azure を採用することにした最大の理由は、オート スケール機能の装備と国内に 2 拠点のデータセンターが存在すること。2016 年 6 月には Azure への移行が完了し、負荷変動への柔軟な対応や管理コンソールによる環境構築の簡素化など、さまざまなメリットを享受しています。


<導入の背景とねらい>
阪神淡路大震災での活動がきっかけとなり安否確認システムが誕生、
その後顧客の事業継続をさらに支援するため「BCPortal」の提供を開始

写真:葉葺 真一 氏

インフォコム株式会社
サービスビジネス事業本部
モバイルクラウド事業部
部長
葉葺 真一 氏

大規模な自然災害が発生しても、事業を継続できる体制を確立すること。これは災害が多発する日本の企業にとって、きわめて重要な課題だと言えます。このようなニーズに対応するため、危機管理ポータル「BCPortal」を提供しているのが、インフォコム株式会社 (以下、インフォコム) です。

インフォコムは 1983 年に設立されたシステム インテグレーター。2001 年に株式会社帝人システムテクノロジーと合併し、新生インフォコムとなりました。現在では、国内 8 社、海外 2 社の合計 10 社で「インフォコム グループ」を構成しています。グループ全体の事業領域は、情報処理サービスの提供やソフトウェアの開発、Web 対応 ERP「GRANDIT」の開発/販売、ヘルスケア業界向けソリューションの開発/販売、携帯電話やスマートフォンへのコンテンツ配信や e-コマース、食品関連商材を中心とした e-コマースなど、多岐にわたっています。よく知られているサービスとしては、無料試し読みできる電子書籍漫画ストア「めちゃコミック」があります。

「私どもの組織はその中で、災害発生時の安否確認に貢献する『エマージェンシーコール』や、災害時のさまざまな情報を簡単に共有できる『BCPortal』、社内システムへのセキュアなリモート接続を可能にする『S-Proxy』などのサービスの開発と提供を行っています」と語るのは、インフォコム サービスビジネス事業本部 モバイルクラウド事業部 部長の葉葺 真一 氏。これらのビジネスは、1995 年 1 月の阪神淡路大震災の際、ボランティアで安否確認のための電話サイトを立ち上げ、当時の社員がその情報を記載したチラシを電柱に貼って回ったことがきっかけとなり、スタートしたと振り返ります。

この活動が多くの方から評価された結果、まず企業向けの「エマージェンシーコール」が誕生。東日本大震災の時には他社の類似サービスがほとんどダウンする中、エマージェンシーコールは問題なく稼働し、現在では 1,200 社、300 万ユーザーが利用していると言います。しかし安否確認はあくまでも初動対応に過ぎず、企業が災害時でも事業を継続するためには不十分だと判断。そこで東日本大震災の経験を活かし災害時の情報共有サービスを企画、2014 年 7 月に「BCPortal」としてリリースしたと説明します。

BCPortal の顧客の多くは、それまでのエマージェンシーコールのユーザー。現在のユーザー数は約 100 社、10 万 ID が登録されています。提供されている機能としては、社内外の関係者と情報共有するための「掲示板機能」、時系列で情報を記録するための「タイムライン機能」、特定メンバー間で双方向の情報交換を行う「グループトーク機能」、簡単な操作で状況入力と集計が行える「拠点情報入力」、防災情報を一元表示する「防災情報表示」、現場状況の画像収集を無人で定期的に行う「拠点画像配信」等があります。

BCPortal を導入しているある物流業のユーザーは、熊本地震の際に BCPortal で現地の情報共有や物流ルートの確保を行い、わずか 3 日で物流体制を復旧させることに成功。2016 年には熊本地震以外にも自然災害が多発しており、導入企業も急増しています。

これに伴い使い方も進化しており、自然災害発生時だけではなく、情報システム セキュリティなどの危機対応全般で活用するケースも増えています。たとえばある小売業のユーザーは日ごろからグループ トークを活用し、店舗や物流センターのスタッフが日常的な情報交換を気軽に行っています。またある建設業のユーザーでは、自社ホームページの中に BCPortal の機能を組み込み、従業員の家族がログインせずに、ある程度の情報にアクセスできるようにしています。

<導入の経緯>
負荷変動の予測が難しいためクラウドへの移行を検討、
オート スケール機能の装備と国内 2 拠点のデータセンターを評価し Azure を選択

写真:中川 友記 氏

インフォコム株式会社
サービスビジネス事業本部
モバイルクラウド事業部
危機管理ソリューション
営業グループ
課長
中川 友記 氏

2016 年 6 月には、このサービスを自社データセンターから Azure へと移行。その背景について、インフォコム サービスビジネス事業本部 モバイルクラウド事業部 危機管理ソリューション営業グループ 課長の中川 友記 氏は次のように説明します。

「BCPortal はもともと社内データセンターで運用していたのですが、グループの事業構造改革の一環として、データセンター事業からの撤退が決まっていました。これに関しては 2015 年 9 月に発表されており、2017 年 6 月にデータセンター サービスが終了する予定です。ただしこの話が出る以前から、クラウドへの移行は検討していました。エマージェンシーコールは機能がシンプルなこともあり、ユーザー数が増えても負荷の予測がある程度できましたが、 BCPortal はさまざまな機能を提供しており、それらの使い方も多様化しています。災害発生時にどれだけ負荷が上がるのかを予測することが難しく、運用上の不安があったのです。今後のユーザー数の増大に備えるには収容力の強化が必要ですが、自社データセンターでは収容力に限界があり、設備増強することも困難でした。そこで簡単にスケール アウトできるクラウドへと移行すべきだと判断しました」。

移行先のクラウド サービスとしては、Azure 以外にも AWS など、合計 4 つのサービスを比較検討。その結果 Azure を選択した最大の理由は、「リソース コントロールが柔軟にできることです」と、インフォコム サービスビジネス事業本部 モバイルクラウド事業部 デザイン&デベロップチーム 技師の山口 夏毅 氏は語ります。「スケール イン/アウトが柔軟にできないと、増設したサーバーがすべてコスト要因になってしまいます。しかし検討段階では、これが可能なクラウド サービスは Azure と AWS くらいしかありませんでした」。

これに加え「データセンターが国内の離れた場所に 2 拠点あることも、重要なポイントとなりました」と述べるのは、インフォコム サービスビジネス事業本部 モバイルクラウド事業部 副部長 兼 デザイン&デベロップチーム 課長の嘉門 健一郎 氏。「データセンターは国内で」という要望を持つ顧客は非常に多く、東西 2 拠点にデータセンターがある Azure は、このような要望に応えるうえでも、最適な選択肢だったと言います。

Azure 移行に向けた具体的な検討に着手したのは 2016 年 1 月。東西データセンターによる冗長化の作り込みに試行錯誤した結果、移行完了までに約半年の期間を要しました。以前の BCPortal は単一データセンターで運用されており、冗長化は行われていなかったからです。「構成などを変えずに移行するだけであれば、もっと早く移行できたはずです」と山口 氏は言います。

基盤障害発生時のサービス継続のイメージ:基盤での障害発生時には、バックアップ サイトが起動し、サービスを継続します。

Azure活用によって可能になった、東西データセンターによる冗長構成。本番サイトでの障害発生時にはバックアップ サイトが起動し、サービスを継続します。


アクセス集中による負荷の分散イメージ:アクセス集中時には拠点内のサーバ リソースを動的に追加しサービスを継続します。

Azure のオート スケール機能を活用した運用イメージ。アクセス集中時には拠点内のサーバー リソースが動的に追加され、負荷増大に対応します。

<導入効果>
アクセスが集中してもオート スケールで問題なく対応可能、
管理コンソールで環境構築を簡素化できたことで作業ミスも減少

写真:山口 夏毅 氏

インフォコム株式会社
サービスビジネス事業本部
モバイルクラウド事業部
デザイン&デベロップチーム
技師
山口 夏毅 氏

実際に Azure へと移行したことで、運用の柔軟性は飛躍的に向上しました。オート スケールによって、アクセスが集中しても問題なく対応できるようになったのです。

「自社データセンターで運用していた時には、状況によっては処理がスロー ダウンすることもあったのですが、Azure では同様のことが起きてもリソースに余裕があり、スロー ダウンが発生しません」と山口 氏。ユーザーの収容能力も増強でき、顧客が増えてもすぐに対応可能だと言います。開発やメンテナンスを行う時も、必要なリソースだけを起動できるのでムダがありません。そのため運用コストが節約できるのも、大きなメリットだと指摘します。

その一方で「マイクロソフトのエバンジェリストがついてくれて、何かあったらすぐに来てくれるのも助かります」と言うのは嘉門 氏です。他の海外のサービスでは問い合わせ窓口がわかりにくく、何かあった時には自力で調べなければならないことが多いのですが、Azure ならエバンジェリストが即時返答してくれると語ります。

営業活動も行いやすくなりました。「たとえば金融系のお客様では、金融庁の指示によってサービス提供事業者の現地視察が必要になっているのですが、マイクロソフトはこのような要望にも対応してくれます」と中川 氏。「Azure のデータセンターを視察したお客様は、マイクロソフトの安全基準が日本以上に厳しいことを知り、安心して採用してくださいます」。

環境構築を管理コンソールでスピーディに行えるのも、運用性向上に貢献しています。テンプレートを用意しておけば、本番と同じ構成の環境をすぐに立ち上げて、開発環境として利用可能。本番環境と同じ状況で開発ができることで、確信を持った開発が行えるようになりました。

「インフォコムでは安否確認システムとしては初めてとなる、IT サービス マネジメント システム (ITSMS) の国際規格『ISO 20000』を取得しており、厳格なプロセスに則り運用しています」と嘉門 氏。環境構築などの設定作業に手間がかかると作業ミスが発生しやすくなりますが、設定作業自体を簡素化できればこの問題も解消できると言います。

システム構成図:オート スケール機能を装備し、障害発生時には、バックアップ サイトが起動するよう、東西データセンターによる冗長化構成を構築し、BCPortal 運用基盤の安定稼働を実現しています。

システム構成図[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
IoT 機能などの周辺機能を拡充、開発基盤として
Azure の PaaS 機能活用も検討

写真:嘉門 健一郎 氏

インフォコム株式会社
サービスビジネス事業本部
モバイルクラウド事業部
副部長 兼 デザイン&デベロップチーム課長
嘉門 健一郎 氏

現在は Azure の IaaS 機能を使っていますが、今後の開発では PaaS 機能の活用も検討されています。これによって周辺サービスの開発が効率化できると期待されているからです。また機械学習の活用も視野に入っていると言います。

今後提供を予定している具体的な周辺サービスとしては、モノから自動的に情報を収集する、IoT 機能が挙げられています。現在の BCPortal は、人が手入力することで情報を収集するようになっていますが、被災地の状況を人が出向いて確認するのでは時間がかかってしまいます。センサーを使って情報を収集できれば、この時間を省くことができ、事業継続対応の着手を迅速化できます。既にプロト タイプの開発に着手しており、実際のサービスでは Azure IoT Suite を活用することも考えられています。またドローンで被災地を調査し、その情報を取り込むといったことも検討されています。

Azure は BCPortal のほか、S-Proxy でも活用されています。このサービスも自社データセンターから 2016 年 12 月に移行されています。

「実際に BCPortal で Azure を使うことで、止まらないサービス基盤が実現できることがわかりました」と葉葺氏。基盤に関する心配がなくなれば、サービス自体の開発に専念できると言います。「Azure に費やされるコストは、品質保証のための投資です。今後もお客様のご要望をお聞きしながら、Azure 上で新しいサービスをどんどん立ち上げたいと考えています」。

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