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導入事例

 様に導入

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日産自動車株式会社

 様に導入

最先端の自動車技術の研究開発プロジェクトの管理に Project Online を採用
工数を可視化することで研究開発の質の向上と労働環境改善を実現

写真:日産自動車株式会社

日産自動車株式会社

日産自動車株式会社 (以下、日産自動車) の総合研究所実験試作部では、電動化や知能化などの最先端の自動車技術の開発および研究を行い、次世代の電気自動車や自動運転技術に向けた革新的な技術を実現しようとしています。街を変え、暮らしを変え、未来を変えるクルマを提案する日産自動車では、研究プロジェクトを一元管理して全工数を可視化するため、総合研究所 実験試作部 第三実験課に Microsoft Project Online を導入。効率的なプロジェクト進捗管理が行えることで研究の質が上がり、労働環境改善や働き方改革が見込めることを確認したうえで、総合研究所 実験試作部のすべての課に Project Online を展開しています。


<導入の背景とねらい>
プロジェクト マネジメントを推し進めて
EVM を活用できる統合的なプロジェクト管理ツールを求める

写真:田山 彰 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部
部長
田山 彰 氏

写真:福重 敏文 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部 第三実験課
課長
福重 敏文 氏

「総合研究所では、十年後の自動車技術を見据えた研究を行っています」と話す日産自動車株式会社 総合研究所 実験試作部 部長の田山 彰 氏は続けて、「日産自動車の R & D は製品開発、先行開発、研究の 3 つのフェーズに分かれています。総合研究所では、不確定要素が高く、価値が高い研究に取り組んで、その結果を先行開発につなげています」と説明します。日産自動車では「人々の生活を豊かに」というビジョンを掲げていますが、実験試作部ではさらに「夢をカタチに」というビジョンを持ち、研究者や技術者が将来役に立つモノを実験試作し、実証しているのです。

近年、新興国でも自動車産業が発展し、IT などの他の業種からも自動車産業に参入する中で、自動車産業の競争は激化してきています。また、電動化や知能化の技術が進む中、世界各国の価値観や好み、生活習慣までを考えた技術開発および研究が重要であり、非常に困難な課題であると、田山 氏は話を続けます。

電気自動車の中核となるバッテリー開発を行っている日産自動車株式会社 総合研究所 実験試作部 第三実験課 課長の福重 敏文 氏は、「これまでは、さまざまな研究実験課題や問題に対して、強いリーダーシップを持った人が解決したり、高度な技術を持った人に依存して解決していました。しかし、競争が激しくなる中で、これまでの仕事のやり方に限界を感じ、2012 年からはプロジェクト マネジメントを導入してきました。工数の可視化やプロジェクト マネジメントに対する意識改革を行うためにも、統合的にプロジェクトを管理できるツールが必要になってきたのです」と話します。

Microsoft Excel を使ってプロジェクトを管理していた実験試作部では、プロジェクトの適材適所にメンバーを配置し、効率的かつ迅速にプロジェクトを推し進めることが求められるようになりました。第三実験課に所属していた日産自動車株式会社 総合研究所 実験試作部 第一実験課 チーフの中村 泰隆 氏は、当時を振り返り、Excel では統合的な管理ができなかったと話します。「Excel でプロジェクトを組み立てても、各グループで状況に合わせた変更や改善が行われてしまうため、総合的に管理することができず、管理の手間もかかっていました。また、Excel では、納期が短くなったのに合わせて全体の工程を 30% 圧縮するなどの非現実的なガント チャートを描くこともできてしまうことも問題でした」。

工数管理ができ、ガント チャートやダイアグラムが組めるだけでなく、プロジェクトの進捗を予算や予定の観点から定量的に評価できる Earned Value Management (EVM) でプロジェクト管理を行いたいと実験試作部では、EVM の基準となるベース ラインを設定するためにも、新たな管理ツールが必要であると考えていました。Excel で EVM のベース ラインを算出し設定することは可能ですが、より簡便に、手間をかけずに管理することが求められていたのです。

<導入の経緯>
第三実験課からスモール スタートで始められる
クラウド サービスの Project Online を採用

写真:中村 泰隆 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部 第一実験課
チーフ
中村 泰隆 氏

写真:櫻井 大二朗 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部 第三実験課
リーダー
櫻井 大二朗 氏

2014 年から、新たなプロジェクト管理ツールの導入を検討し始めた日産自動車 総合研究所 実験試作部では、さまざまなツールの機能を洗い出して候補を絞り込みました。トライアルができることや Microsoft Office と連携ができることから、Microsoft Project の導入を考え始めます。「Project であれば、工数を可視化でき、メンバーがどの研究実験課題にどれくらいアサインされていることがわかるので、偏りなく仕事を割り振ることができると考えました」と日産自動車株式会社 総合研究所 実験試作部 第三実験課 リーダーの櫻井 大二朗 氏は話します。

最初は Microsoft Project Server の導入を検討していましたが、コスト面での問題が出てきたと、日産自動車株式会社 総合研究所実験試作部 第三実験課の西尾 直樹 氏は話を続けます。「オンプレミスでサーバーを構築するなら、外部の開発会社に依頼する必要があり、コストが膨らむことが予想されました。最初は、第三実験課で試験的に利用し、将来的に他の課でも利用することを計画していたので、最終的な利用人数を想定した構築ではコストがかかりすぎることも問題でした」。

日産自動車の IS 部門から、スモール スタートで始めるなら Project Online を使ってみたらどうかと提案された第三実験課では、マイクロソフトに相談しながら検討を続けていきます。「マイクロソフトの営業に評価用のクラウド環境を用意してもらい、3 か月くらいのトライアルで使ってみました。自分たちで使える汎用性があり、設定やメンテナンスも自分たちで行えると判断し、2015 年に導入を決断しました」と西尾 氏は話します。

一方で、秘匿性の高い研究開発を行う部門でクラウド サービスを利用することに抵抗はなかったかを中村 氏にたずねると、次のような答えが返ってきました。「クラウドは選択肢に入れていなかったのですが、IS 部門から提案を受けたことが決断できた要因の 1 つだと思います。技術的な情報はクラウドに送らずに、工程表をメインに秘匿レベルをルール化することで安心して使えると考えました。また、マイクロソフトのデータセンターで確保されているセキュリティ レベルを考えれば、外に出すことでセキュリティの不安が生まれるとは言えないと考えましたね」。

また、「Schedule Performance Index (SPI) を指標として EVM を使おうと考えていたのですが、しきい値をどれくらいに設定してよいかがわからず、最初は一律に 0.95 にしていました」と話す日産自動車株式会社 総合研究所 実験試作部 第三実験課の池澤 純 氏は、導入時のマイクロソフトのサポートが役に立ったと話します。プロジェクトの序盤で少しの遅れでもアラートが発生する状況ではプロジェクト マネージャーの負担が大きくなり、プロジェクトの終盤では、納期どおりに終わるように厳しく進捗を管理してアラートが出るようにする必要があると池澤 氏は説明します。そして、プロジェクトが進捗に沿ってしきい値が上がるような曲線を描くようにし、プロジェクト マネージャーやメンバーが納得できる設定が行えたと言います。

SPI とアラート閾値グラフの画面例

SPI とアラート閾値グラフ[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
適切なメンバーのアサインが可能となり、
研究実験課題の成功率や質が向上

写真:西尾 直樹 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部 第三実験課
西尾 直樹 氏

写真:池澤 純 氏

日産自動車株式会社
総合研究所
実験試作部 第三実験課
池澤 純 氏

Project Online を導入することによって、福重 氏は、「工数の透明性が増し、主体性を持った人財が増え、アウトプットの質が向上することが期待できますね」と話しています。第三実験課が抱えているプロジェクトを一元管理できて可視化することによって、新たな難しいプロジェクトが立ち上がったときに誰をアサインすればよいかを迅速に判断することができ、アサインする人が 1 か月にどれくらいのプロジェクトに関わっているかも管理することが可能となります。これによって、1 人のメンバーに偏ったスケジュールが組まれることがなくなり、労働環境も改善されることも大きな効果の 1 つだといいます。「実際に、Project Online を使い始めてから研究実験課題の成功率が 20% くらい向上していますね。研究実験課題の定義も倍に増やすことができ、より多くの研究を行って試行錯誤することができるようになりました。これによって、研究のアウトプットの質が上がったと感じています」と福重 氏は説明します。また、櫻井 氏も、「直接比率と間接比率が把握できるので、研究のアウトプットにかけている時間と、管理するための時間がわかり、管理に時間をかけすぎているので減らさなければならないというフィードバックが行えます。アサインされているメンバーの労働時間が増えすぎないように、他のメンバーをサポートさせたりすることも簡単に行えます」と話します。

プロジェクト管理の手間も、Excel で行っていたころに比べて、第三実験課だけで年間に約 600 時間の削減が行え、本来の研究に力を注ぐことができたと言います。また、中村 氏は、「適切にアラートを出せることで、納期ギリギリになって一気に仕事をしてしまう学生症候群のような状況がなくなり、アウトプットの品質を上げられることにつながっていると思います」と話します。他のプロジェクトや、自分が関わっている複数のプロジェクトの進捗状況もプロジェクト マネージャーに聞かなくてもすぐにわかるため、適切な助言や早目の対策ができることも、大きなメリットになっています。「問題が早期にわかり、問題が小さい時期に必要に応じて関係者を集めて情報共有し、対策を立てることができます。問題があることがわからないまま放置してしまい、結果的にどうすることもできない状態になってしまうことを避けられます。アラートもプロジェクト マネージャーに出すものと関係者全員に出すものに機械的に分けているので、プロジェクト マネージャーが抱え込んで手遅れになることなく、オープンに助け合うことができ、結果的に大きな問題になることがありません」 (中村 氏) 。

Project Online に入力された工数はグラフ化され、Excel でレポート化して表示させているという西尾 氏は、最初はすべてのデータを Excel にエクスポートして 15 分くらいかかってしまったと明かしてくれました。しかし、これらは Power Query を使って Project Online に接続し、必要な情報だけをエクスポートするようにすることで 3 分間で更新できるようになり、ほぼリアルタイムでメンバーの工数を Excel で表示できるようになったと言います。

プロジェクトセンターの画面例

プロジェクトセンター[拡大図] 新しいウィンドウ


リソース グラフの画面例

リソース グラフ[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
部内の他の課にも横展開することで
部全体での成果を生み出していく

第三実験課での Project Online の導入に確かな手応えを感じた実験試作部では、2017 年 3 月に部内の他の課のライセンスやアカウントを整備し、プロジェクト以外の日常業務の管理に Project Online を利用し始めていると言います。2017 年度に新たに始められるプロジェクトでは、Project Online で計画を入力して承認会議を経てスタートする体制が整えられ、他の課でも Project Online でのプロジェクト管理が進められていきます。

「今回の導入によって、工数の可視化、労働時間の平準化が実現でき、高付加価値のある研究や先行開発にシフトしていくことができるようになりました。今後は、すべての課で同じように工数の可視化を進めていくことが課題ですね。競争が激化する中では、80 年間自動車を作ってきた強みを活かしながら、迅速で質の高い研究開発を行っていくことが重要です。我々日産自動車だけでなく、パートナーとともにチームワークを組んで戦っていくには、情報共有をしっかりやっていけるように IT を活用していかなければなりません。また、今後は、我々が培ってきたノウハウや知恵、技術を若い世代に継承していけるような仕組みを作っていくことも課題となると思います」と田山 氏は話します。

「人々の生活を豊かに」をビジョンに、ゼロエミッション社会、事故や渋滞のない社会の実現を目指す日産自動車は、テクノロジーの進化とともに、新しいクルマと新しい生活を提案できるモノづくりを進めていきます。

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