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東北電化工業株式会社

 様に導入

老朽化した Notes/Domino から情報共有基盤を Office 365 へと移行
利便性は以前よりも飛躍的に向上、働き方改革やコミュニケーション活性化への効果も

東北電化工業株式会社

東北電化工業株式会社

山形県を中心に電気工事事業などを展開し、確かな技術力とサービスを追求し続けることで、地域の発展に貢献し続けている東北電化工業株式会社。同社では 2000 年に導入した Lotus Notes/Domino から Microsoft Office 365 への移行が、2014 ~ 2015 年にかけて実施されました。これによってポータルやメールの利便性は飛躍的に向上。Microsoft OneDrive for Business や Microsoft Yammer を活用することで、働き方改革や異なる職種間のコミュニケーション活性化も始まっています。実際に移行に携わった担当者によれば「Office 365 は Notes とはまったく異なるシステムではありますが、Notes でできていたことのほとんどが実現可能」とのこと。今後も Office 365 の機能を積極的に活用していく方針だと語ります。

<導入の背景とねらい>
使用バージョンのサポート切れを契機に Notes からの脱却を決意、
情報共有基盤をクラウドへ

導入から長い年月が経過し老朽化した Lotus Notes/Domino (以下、Notes) から、クラウドをベースにした新たな情報共有基盤へと移行したい。このように考えている日本企業は、決して少なくないはずです。しかし「これまでに構築した業務アプリケーションや DB を移行できないのではないか」と、二の足を踏んでいるケースも多いのではないでしょうか。この課題に正面から立ち向かい、見事成功させているのが、東北電化工業株式会社 (以下、東北電化工業) です。

写真:東北電化工業株式会社 執行役員 管理本部 経営企画部長 大山 昭 氏

東北電化工業株式会社
執行役員 管理本部
経営企画部長
大山 昭 氏

同社は 1945 年 8 月、戦後の混乱期のなか山形市に電気工事業を興し、現在では県内外 19 拠点、関連会社 9 社を有する、山形県を代表する中堅企業です。屋内配線などの電気設備工事や情報通信設備工事、空調/給排水衛生設備工事を主力事業にする一方で、最近では再生可能エネルギー関連のコンサルティングや工事へも事業を拡大、メガ ソーラー発電所や新電力事業にも参画しています。また技術者の育成にも注力し、技能五輪への出場や社内競技大会の開催など技術力向上への取り組みを積極的に実施、さらにはワーク スタイル変革に向けた IT 活用も加速しています。

「当社が Notes を導入したのは 2000 年でした」と振り返るのは、東北電化工業株式会社 執行役員 管理本部 経営企画部長の大山 昭 氏。Notes で業務通知や掲示板、ドキュメント共有を行っていたほか、メールを自動送信するワーク フローによる承認プロセスも実装していたと言います。またメールは、社内は Notes メール、社外はレンタル サーバーの POP メールと、2 種類を使い分けていたと語ります。

このような環境からの脱却が迫られることになったのは、Notes 導入から 14 年が経過した 2014 年。利用中のバージョンの Notes のサポートが終了することになったことが契機になったと説明します。

写真:東北電化工業株式会社 管理本部 経営企画部 情報企画課 主任 友部 奈津美 氏

東北電化工業株式会社
管理本部 経営企画部
情報企画課 主任
友部 奈津美 氏

「Notes を使い続けるにはバージョンアップが必要でしたが、Notes が稼働するサーバーも Windows Server 2003 で、サポート終了が迫っており、サーバーごとリプレースする必要がありました」と語るのは、東北電化工業株式会社 管理本部 経営企画部 情報企画課 主任の友部 奈津美 氏。また Notes 運用では、DB 開発/管理やユーザー登録、ACL (Access Control List) 管理の負担が大きく、Notes をバージョンアップし使い続けるとなると、永続的にシステム部門に負荷がかかることが予想されたと言います。

これに加え、従来のシステムは社外での利用ができず、メール容量に制限があったことも、大きな課題になっていました。社外向けに使っていた POP メールは PC を入れ替えるたびにデータの移行が必要になるうえ、レンタル サーバーの迷惑メール対策が弱く、毎日多くの迷惑メールが届くという問題も抱えていました。社内外で使い分けられていたメールを統合し、これらの問題を解消することも求められていたのです。

そこで東北電化工業では、クラウドへの移行を前提とした次期情報基盤の検討に着手。その結果採用が決まったのが、Office 365 だったのです。

<導入の経緯>
5 つのポイントを評価し Office 365 の採用を決定
Notes との差異を解消する手段としては InfoPath を活用

「Office 365 導入の決め手は、大きく 5 つありました」と友部 氏。着目したポイントは、メール、管理性、開発生産性、ライセンス、そして製品構成だったと説明します。

まずメールに関しては、ブラウザーとリッチ クライアント (Microsoft Outlook) の両方が使えることを高く評価。特に Outlook は、ビジュアルと使い勝手が共に良く、移行に対する利用者の抵抗が小さくなるだろうと考えたと言います。もちろん Microsoft Exchange Online であれば、社内外のメール統合も容易に実現できます。

管理性では、Microsoft Active Directory との連携が可能な点が魅力だったと指摘します。これならユーザー情報のみならず、サイトへのアクセス権限やメールの一斉送信も、Active Directory のセキュリティ グループや配布グループで設定可能になります。

開発生産性では、高度なスクリプトの知識がなくてもサイトを構築できる点を評価。設定やカスタマイズを日本語で行えることも、ハードルを下げる要因になったと言います。また既存の Notes では基幹システムと連携するアプリケーションもありましたが、これも Office 365 であれば実現可能だと判断されました。

ライセンスは、既に Office のライセンス (ESA : Enterprise Subscription Agreement) を保有しており、今後も Office を使い続けることが必須条件だったことが、Office 365 の採用を後押ししました。またちょうどこのころに ESA の更新時期が来ていたため、Office 365 への移行のハードルも低くなっていました。

そして製品構成では、クラウドで提供されていることに加え、将来的にも使いたい製品群がすべて含まれた「オール イン ワン」の構成であることを高く評価。また他社が提供する同様のクラウド製品はコンシューマー向けのイメージが強かったのに対し、マイクロソフトは企業向けのイメージが確立されていたため、信頼性の面でも優位だったと語ります。

Office 365 への移行プロジェクトが動き出したのは 2014 年 10 月。まずは既存の Notes DB とアプリケーションの棚卸しを実施し、本当に必要なものはどれなのか、統廃合できるものはないか、スクリプトやワーク フローの内容はどうなっているのかなどが調査されました。その結果、2014 年 11 月には「既存 DB のうち必要なものは約 40 DB」であることが判明。さらに Microsoft SharePoint Online での開発方法の検討も進められていきます。2014 年 12 月には移行対象となる DB ごとに主幹部門を設け、データ移行方法を検討。これと並行して SharePoint Online によるアプリケーション開発もスタートします。さらに 2015 年 2 月には主幹部門の代表者を対象に、SharePoint Online の事前研修会を実施。その後本格的なデータ移行が始まることになります。

Notes の DB/アプリケーションを SharePoint Online へと移行する際に、最も配慮されたのが Notes との差異の解消でした。そのために活用されたのが InfoPath です。これによって Notes に近いユーザー インターフェイスを実現し、切り替え直後から抵抗なく使ってもらうことが可能になりました。またメール自動送信を行うワークフローは、SharePoint Designer で実現しています。

Notes メールの移行に向けた取り組みも、2014 年 11 月に始まっています。まず「既存メールは移行しない」ことを基本方針として明確化、2015 年 2 月に「必要なメールは各自フォルダーなどに保存すること」と数回にわたってアナウンスした後、2015 年 4 月にメール システムを切り替え、Notes のメール サービスを停止しています。

社外向けの POP メールは移行する方針で動き出したものの、一部の固有メールの影響で移行が中断するという現象が発生。最終的に2015 年 3 月、POPメールも移行しないことを決定しました。PC 内にダウンロードされたメールは引き続き閲覧可能でしたが、PC 入れ替えのタイミングが来ても、既存メールの移行を希望するユーザーは皆無だったと言います。

図1.SharePoint 運用開始までのプロセス:東北電化工業における Notes から SharePoint への移行プロセス。データ移行の準備は約 4 か月、開発開始までの準備は約 2 か月で完了しています。

東北電化工業における Notes から SharePoint への移行プロセス。データ移行の準備は約 4 か月、開発開始までの準備は約 2 か月で完了しています。 [拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
Notes でできていたことをほぼすべて実現
OneDrive for Business や Yammer の活用で
働き方改革やコミュニケーション活性化への効果も

「Office 365 は Notes とはまったく異なるシステムですが、Notes でできていたことのほとんどが実現可能でした」と友部 氏。移行作業は主幹部門との連携体制を整えたことで、想定よりもスムーズに実施することができたと言います。現在では SharePoint Online で構築したポータルに、無事故日数、本日のメッセージ、基幹システムと連携した工事予算/決算情報、会社の月間スケジュール、管理職の週間スケジュール、ドキュメント ライブラリ、告知/通達、共通重要情報、入札情報などが掲載されています。告知/通達と共通重要情報、入札情報に関しては、情報登録時に「メール送信」のチェックを入れることで、ワークフローによるメール自動送信が行われるようになっています。「InfoPath を使えば Notes と同じような画面を作ることができます。ドキュメント ライブラリも、SharePoint Online の方が Notes よりも見やすいと思います」。

またメールは Exchange Online のメール ボックスの容量が大きいため、定期的にメールを削除する必要がなくなりました。社外とのメール履歴を記録として利用している社員もいるため、その効果は大きいと言います。もちろん外出先でもメールを確認できますし、PC を入れ替える際にメール データをコピーする必要はありません。「PC 故障など不測の事態が起きてもデータは失われず、安心して利用できています」と大山 氏。

さらに友部 氏は、ビジネス シーンで活用できる機能が数多く用意されていることも、利便性向上につながっていると指摘。移行当初は Exchange Online と SharePoint Online の利用に限定していましたが、他にも以下の機能を活用し始めています。

OneDrive for Business
ユーザーの PC 入れ替え時、新旧 PC 間のデータ移行を OneDrive for Business で実施するよう促し、2015 年 12 月から利用を開始。東北電化工業では希望者に対してタブレット/スマートフォンを配布していますが、現在ではこれらのスマート デバイスと PC を併用するためのファイル基盤として、欠かせない存在になっています。なおタブレットでも Office や基幹システム、CAD ソフトなどの通常業務を行うことを大前提としていたため、Windows タブレットである Microsoft Surface を採用しています。

Yammer
東北電化工業では、人材育成の一環として技能五輪に参加しています。2016 年 9 月に山形大会が開催された際、全社一丸となって出場選手を応援しようと、競技の様子をリアルタイムで発信しました。業務の都合上、会場で応援できなかった社員たちから「臨場感があってよかった!」と好評を受け、これを機に Yammer の活用が広がりました。現在では社内外行事への参加時や、施工現場の竣工時に写真を掲載する社員が増えており、社内のコミュニケーション ツールとして定着しつつあります。

「これらのツールによって働き方が徐々に変わってきています」と大山 氏。必要な情報にどこからでもアクセスできるようになったことでレスポンスが早くなり、施工品質向上、お客様満足度向上にもつながっていると言います。「これまで施工現場から事務所に戻って行っていた事務仕事も、施工現場や車の中で済ますことができます。また施工図面に変更が発生した場合でも、工務職の社員 (主に社内で現場管理を行う社員) が現場に行くことなく、データを送信するだけで対応できます。このような形で時間を節約することで、業務時間内により多くの仕事をこなせるようになりました」。

また施工現場で作業を行う工事職の社員もスマート デバイスを持つようになり、そこから情報共有が行えるようになりました。その結果、職種間の垣根が低くなり、それぞれの業務の幅が広がりつつあります。コミュニケーションも活性化され、お互いに協力し合う企業文化も育まれていると語ります。

図2.SharePoint の画面例:SharePoint Online で構築されたポータル画面と、InfoPath で作成された画面例。InfoPath を活用することで Notes と同様の画面を再現でき、使い勝手も良いと言います。

ポータルのトップ画面例 [拡大図] 新しいウィンドウ



図2.SharePoint の画面例:SharePoint Online で構築されたポータル画面と、InfoPath で作成された画面例。InfoPath を活用することで Notes と同様の画面を再現でき、使い勝手も良いと言います。

InfoPath で作成せれた画面例 [拡大図] 新しいウィンドウ



図2.SharePoint の画面例:SharePoint Online で構築されたポータル画面と、InfoPath で作成された画面例。InfoPath を活用することで Notes と同様の画面を再現でき、使い勝手も良いと言います。

SharePoint Online で構築されたポータル画面と、InfoPath で作成された画面例。InfoPath を活用することで Notes と同様の画面を再現でき、使い勝手も良いと言います。 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
今後は Web 会議を積極的に活用、
新機能である Teams の検証も年内に実施

スマート デバイスで Office 365 を活用している社員数は、現時点では約 200 名。今は試行段階ですが、その結果によっては、近い将来全社展開を行う考えです。また今後は Skype for Business の Web 会議機能も積極的に活用していく方針であり、一部のユーザーで試験運用を開始しました。さらに Office 365 の新機能である Teams についても、施工現場単位でのドキュメントやタスクの共有に活用できないか、年内に検証を行うことが検討されています。

また、今後利用を拡大していくうえでのセキュリティ対策強化は必須です。現在もセキュリティ ツールを利用し、IP 制御や証明書を使った端末制限などを講じていますが、今まで以上に柔軟にセキュアな環境を構築していかなければなりません。包括的なセキュリティ対策がとれる EMS (Enterprise Mobility + Security) には非常に興味があると友部 氏は言います。「当社の運用にうまくマッチングさせられるか今年度以降の検討事項とし、引き続き情報収集を行ってきたいと考えています」。

さらに、「Notes からの移行を躊躇している方がもしいらっしゃるのであれば、ハードルはそれほど高くないので大丈夫ですよ、と申し上げたいと思います」と友部 氏。大山 氏も、今回の移行は情報資産棚卸しのいい機会になったと語ります。「移行完了からまだ 2 年程度ですが、もう Notes に戻ることは考えられません。今のほうが圧倒的に使いやすい環境になっているからです」と大山 氏は、Office 365 への移行成果を評価しています。

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