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独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

 様に導入

運用中の電子カルテ システムの端末を Windows 10 へアップグレード。更新プログラムの適用を確実に行うことで、セキュリティ向上と運用コストの削減を両立!

独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センターは、香川県のみならず徳島県西部と愛媛県東部まで幅広い地域に、高度な小児医療を提供しています。同院では、より安全かつ効率的な電子カルテ システムの運用を目指し、運用中のシステムはそのままに、2016 年 11 月に端末の OS を Windows 10 に統一。統合前の病院から引き継いだ旧資産に存在していた脆弱性を一掃し、セキュリティ向上と運用コストの削減を実現しました。

<背景とねらい>
統合前の IT 資産を利用した複数の OS / ハードウェア混在環境から、より安全・安心な環境へ

写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 外観
写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 内観

外観だけでなく院内もホスピタルアートで明るく彩られている

独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター (以下、四国こどもとおとなの医療センター) は、四国 4 県の県庁所在地から 2 時間以内で到着できる好立地に、2013 年に善通寺病院と香川小児病院を統合し、設立されました。
香川県の災害拠点病院の 1 つに指定されているほか、香川県総合周産期母子医療センター、小児救命救急センター、地方循環器病センター、がん診療施設、そしてエイズ拠点病院として 48 の診療科と 689 の病床を備え、地域一帯の高度で専門的な医療を担っています。

「あたたかいこころと思いやり」をもって患者と共に歩むことを理念に掲げる同院では、地域の健康に貢献する取り組みを積極的に推進。地域と共に成長する病院づくりを目指した「虹色ボランティア」の募集や、「MAMA ENE HOSPITAL (母なる自然エネルギーに包まれた病院)」というコンセプトに沿って院内を明るく彩る "ホスピタルアート" など、ユニークな試みが行われています。

このように目的に対して最善と思われる策を積極的に採用する四国こどもとおとなの医療センターの姿勢は、医療情報システムに関しても発揮されています。
その好例が、2016 年 11 月に、運用中の電子カルテ システムを止めることなく、690 台の電子カルテ端末を企業向けにデザインされた Windows 10 サービシング モデルの「CBB (Current Branch for Business)」に切り替えたプロジェクトです。

写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 副院長 横田 一郎 氏

独立行政法人 国立病院機構
四国こどもとおとなの医療センター
副院長
横田 一郎 氏

院内で従来使用してきた Windows の旧バージョンから、Windows 10 へとアップグレードしたことは、「セキュリティの向上と、運用コストの削減という 2 つの狙いがあった」と、同院の副院長であり、電子カルテ運用委員会 委員長を務める横田 一郎 氏は説明します。

「電子カルテ システムは当院が設立した 2013 年に導入したのですが、システムに接続する端末に関しては、可能な限り統合前の資産を利用することになりました。そのため院内 730 台の PC は、10 数の異なる機種でバージョンの異なる Windows が稼働していました。Web ベースの電子カルテ システムを導入しましたので、端末側を統一せずともシステムを活用できたのです。しかし、実際に運用を開始してみると、課題が山積みでした。第一に、サポート期限の切れた OS では、適切なセキュリティ レベルを保つことができません。第二に、院内の IT 推進室に、端末の操作方法やトラブルに関して問い合わせがあっても、機種や OS の違いがあるために電話で説明できることは少なく、非常に労力がかかっていたのです。」

四国こどもとおとなの医療センターには、「診療情報 IT 推進室」が設置されていますが、IT 専任のスタッフは 2 名しかいません。限られた労力で、医療活動を支えるシステムを円滑にサポートするためには、システムの構成と運用管理方法を可能な限りシンプルに整理する必要があります。
旧式の PC や OS が混在する環境は、利用者にとっても、管理者にとっても望ましいものではありませんでした。 "できれば、電子カルテ端末を最新のものに統一したい"……開院当初からあったこの想いが、現実味を帯びたのは「Windows 10 への無償アップグレード」が発表された時でした。

横田 氏は言います。
「私たちが実現したかったことは、電子カルテ端末を "より安全に" "より快適に" 活用できる環境です。そこへ Windows が将来にわたって『10』で統一されること。そして、無償でアップグレードできることが公表されました。IT にかかるコストを削減しながら、より確かなセキュリティ対策が実現できるのであれば、無視することはできません。しかるべき検証を経て、当院の電子カルテ端末を Windows 10 へと切り替えたのです。」

<Windows 10 CBB 導入の経緯と概要>
段階的な環境整備と、使いやすさが受け入れられて Windows 10 への移行をスムーズに完了

写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 診療情報 IT 推進室 松原 始朗 氏

独立行政法人 国立病院機構
四国こどもとおとなの医療センター
診療情報 IT 推進室
松原 始朗 氏

写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 診療情報 IT 推進室 地藤 真弓 氏

独立行政法人 国立病院機構
四国こどもとおとなの医療センター
診療情報 IT 推進室
地藤 真弓 氏

四国こどもとおとなの医療センターにおける電子カルテ端末の切り替えは、診療情報 IT 推進室の松原 始朗 氏と地藤 真弓 氏による確かな検証と、周到な準備を基に進められました。
プロジェクトはまず、電子カルテ端末として利用していた 10 数の機種が Windows 10 にアップグレードできるかどうか確認するところからスタート。地藤 氏の地道な確認作業により、9 機種 690 台が Windows 10 へ移行可能であることが分かりました。

そして、Windows 10 への切り替えについては、「実にスムーズに終わった」と松原 氏は説明します。
「Windows 10 のパフォーマンスや使い勝手については、このプロジェクトを開始する以前から確認していました。実は、院内にある情報系の端末に関しては、利用者の責任において Windows 10 へのアップグレードを許可していたのです。おかげで、電子カルテ端末のアップデートに際しても、特に混乱は生じませんでした。操作性に関しては、10 の方が、8 よりも使いやすいという声をよく聞くほど、好評です。」

プロジェクトがスムーズに完了した背景にはさらに、以下の 3 つの施策が有効に働いています。

  1. Windows 10 導入前に、プリンターサーバーを立ち上げて共有化するなど、周辺環境の利便性を整えた
  2. 導入は、「医療クラーク (医師事務作業補助者) 用端末」→「病棟端末」→「部門端末」→「医師用端末」の順に実施。段階的に問題を確認し、改修しながら展開を進めた
  3. Windows 10 のイメージ ファイルと電子カルテのセットアップ バッチを作成し、自動的に展開した

松原 氏は言います。
「導入後の評価は、細かな使い勝手にも左右されます。Windows 10 をインストールした後、個別にプリンタードライバーをインストールして回るのでは、手間がかかりますし、ユーザーにとっても不便です。そこでプリンターのネットワークを先に整えて共有化することで、ユーザー自身が Windows 10 の管理画面から近くにあるプリンターを探して、設定できるようにしたのです。おかげで『今度の環境は使いやすいね』と喜ばれました。」

特に重要だったことは、「展開の順番だった」と松原 氏は続けます。
「展開は、医療行為への影響が少ない場所から進めました。そして、最初に医療クラークの方々の端末に展開したことには、3 つの狙いがあります。まず、電子カルテの使い方が医師と似ているため、検証環境に適していること。第 2 に、医師の傍にいるために、Windows 10 端末の操作性などが医師にも伝わりやすいこと。最後に、医師の端末に展開した後、操作などで何か分からないことがあれば、すぐ傍にいるクラークに質問してもらえるだろうということです。」

展開時には "第 3 の IT 担当者" として Premier サポートをフルに活用

そして、IT 推進室にとって一番の関心事が、3 番目の「展開の自動化」でした。

「この施策は、プロジェクト完了後の業務にも大きな成果をもたらすものでした。院内では、主にノート PC を活用しているのですが、携帯する分ハードディスクが損傷する可能性も高く、故障からの復旧作業に以前から手を焼いていたのです。OS を入れ直し、電子カルテ システムなどのインストールし、Windows Update を適用し、アンチウイルスソフトを入れるだけで 1 日仕事になってしまいます。これと同等の作業が、Windows 10 の展開時にも繰り返されます。何とか効率化する手立てを見つけなければ、たった 2 人で 690 台……しかも、多忙な医療スタッフに負担をかけずに展開することはできません。そこで、マイクロソフトの Premier サポートに相談したのです。」(松原 氏)

Premier サポートは、お客様のシステム計画と製品ライフサイクルに沿ったエンドツーエンドの IT 運用支援を提供する有償のサポート サービスです。
四国こどもとおとなの医療センターでは、サーバー ハードウェアのリプレースを行った 2014 年に電子カルテの安定稼働に向けたサポートを得るべく契約して以来、継続して活用しています。

今回のプロジェクトにおいては、Premier サポートの協力を得ながら、USB デバイスに、システム準備 (Sysprep) ツールを使って Windows のインストール イメージを構築。地藤 氏が作成した電子カルテ システムのセットアップ バッチと共に、ネットワーク経由で対象となる端末に展開していきました。

実は、松原 氏は前職が IT 企業のシステム エンジニアであり、地藤 氏はほかの病院で大規模な電子カルテの運用に携わっていました。こうした豊富な経験を持つ 2 名にとっても、Premier サポートの価値は高いと言います。
「電子カルテなどの運用費は、病院側の負担になります。私たちとしてはメンテナンス費用などの削減に向けて努力するほかありません。そのためには、少人数ながらも外部に完全に依存することなく、自分たちで医療情報システムをコントロールすることが重要です。しかし当然ながら、製品やサービスに関しては提供者であるメーカーがノウハウを持っています。それがマイクロソフトの製品・サービスであれば、必要に応じて Premier サポートを頼ることで私たちの時間と労力を節約し、短期間で、より良いシステムが完成します。しかも、共同プロジェクトで得たナレッジは、私たちの中にも残っていくのです。Win-Win の、とても良い関係が築けていると思います。」

写真:利用イメージ

2015 年からは、電子カルテ端末として Surface も活用

写真:利用イメージ

院内には Wi-Fi が完備されており、ほとんどの端末は自由に移動して業務できるようになっている

<Windows 10 CBB 運用の効果>
安心できる環境の維持へ! 大型アップデートも 2 か月の検証期間を経て確実に適用

四国こどもとおとなの医療センターの電子カルテ端末における Windows 10 運用の最大の特徴は、「院内に Windows Server Update Services (WSUS) サーバーを立てて、きちんと Windows 10 の更新プログラムを適用している」点にあります。目的は、重要な個人情報を扱う電子カルテ端末のセキュリティ向上です。

「当院では、今後重要なシステムで不具合が生じる場合でも、更新プログラムの適用を完全に見送ることはしない方針です。アップデート検証時に問題が生じた際には、Premier サポートおよび該当システムを提供しているメーカーに相談し、問題解決を図っていきたいと考えています。そのようにしてセキュリティの穴を埋める努力を続けなければ、いざインシデントが発生した際に、責任の所在を明確にすることができなくなるでしょう。当院では、これまでインシデントが発生した例はありません。しかし、海外の病院では電子ファイルを暗号化して人質に取るランサムウェアの被害例が報告されています。サイバー空間の脅威を真剣に考えるならば、端末の OS も常に脆弱性を克服した最新のバージョンに保つことが重要です。」(松原 氏)

写真:独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

四国こどもとおとなの医療センターでは、すべての更新プログラムを検証してから院内に展開していますが、特に大きな変更=機能更新プログラムに関しては、2 か月間の検証期間を設けた後、電子カルテ運用委員会の中でテスト展開を実施。ここで問題が発見されなければ、初期展開時と同様にクラーク用端末から順に展開。何重にも安全を確認していく運用プランが定められています。

「この運用に沿って行けば、機能更新プログラムがリリースされてから半年程で全端末への適用が終わると思います。運用のサイクルが途切れないように、ルールを明確にしておくことが重要だったのです。」(松原 氏)

トラブルからの復旧時間も、4 分の 1 に短縮! 医療情報システムの運用負荷を大幅に削減

そして、「運用コスト削減」の成果も確実に表れていると、地藤 氏は言います。

「今までは、Windows 7 や 8、8.1 などバージョンごとに操作マニュアルを内製していましたが、今は 1 つで足りるようになりました。しかも Windows 10 導入後には、操作研修さえ必要ありませんでした。紙の操作マニュアルは配布しましたが、それ以前に段階的に導入を進めていったことが功を奏していたのです。医師は全員、1 人 1 台の端末を『マイカルテ』として携帯しているのですが、病棟の端末が Windows 10 になっているのを見て、『自分の端末はいつ Windows 10 になるのか!?』と、催促してきたほど使いやすさへの期待が浸透していました。」

さらに、USB デバイスからインストールのイメージを復元できることで、ノート PC の復旧にかかる時間が劇的に削減。かつて丸一日を要していた作業が、今では約 2 時間で完了。
また、WSUS を立てていることで、更新プログラムの適用漏れもなくなり、院内の端末を巡回確認する必要もなくなったと言います。

「私たちの運用・保守作業について、大幅に負荷が軽減されたことは、間違いのない事実です。サポートの問い合わせも、電話口で解決できるようになりました。すべての面で、当初期待した通りの成果が生まれています。」(松原 氏)

<今後の展望>
災害時の医療継続や、病病連携の強化など新たなテクノロジー活用の可能性を検討

四国こどもとおとなの医療センターのシステム環境は、今後も進化を続けていくことでしょう。しかし今は、「可能性を検討している段階」だと、松原 氏は説明します。
「実は今回、Windows 10 にアップデートすることができなかった端末=古い OS でしか動かないアプリケーションは、仮想デスクトップで利用しています。今後は仮想化技術をサーバーシステムに取り入れたり、災害時の医療継続などを考慮して、Azure 活用も視野に入れていますが、今はまだ可能性の 1 つに留まっています。いずれにしても、テクノロジーの進歩が激しい今、私たち IT 推進室としては、当院の目指す方向性に対して医療情報システムが足かせとならないように準備していきたいと思います。」

最後に、横田 氏は次のように締めくくります。
「今後は、病病連携や病診連携の充実が、ますます求められるようになると思います。その中で、医療情報システムにどのような要件が求められてくるか分かりませんが、クラウドや SDN (Software-Defined Networking) など、さまざまな可能性がすでに世の中には存在しています。私たちも、いろいろな可能性を検討し、地域の健康により一層貢献できるよう努力していきたいと思います。」

写真:3 名様集合写真
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/mt574263(v=vs.85).aspx新しいウィンドウ

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