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第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会

 様に導入

2017 冬季アジア札幌大会情報システムに Azure を採用
コストを抑えたシステム運用を実現、Web アクセス増にも柔軟に対応

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会

2017 年 2 月 19 日~ 26 日に札幌市および帯広市で開催された 2017 冬季アジア札幌大会では、競技大会情報システムにパブリック クラウドを採用し、アジア競技大会で初めてクラウド コンピューティングを利用したケースとして、大きな注目を集めました。2015 年 4 月から大会準備を行ってきた第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会では、準備を含めても短期間のイベントであることやスケーリングの柔軟性、コストなどを考え、大会の運営に必要な競技管理システムや競技結果配信システム、競技映像のストリーミングなどを行う情報システムの基盤として Microsoft Azure を採用。大会を円滑に運営し、成功させました。

<導入の背景とねらい>
限られた期間・予算の中で
柔軟に対応できるクラウド活用を決断

写真:第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 専務理事 事務総長 生島 典明 氏

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
専務理事 事務総長
生島 典明 氏

札幌市では、1986 年の第 1 回大会、1990 年の第 2 回大会のアジア冬季競技大会が開催されており、2017 年の第 8 回大会は 3 回目の開催となります。「2011 年にカザフスタンで行われた第 7 回大会の開幕直前、急きょ札幌での開催が決まりました。慌ただしい中、実際に大会準備を始めてみると、アジアの経済成長が著しく中東の国にもスケートリンクができるなど、アジアのウインター スポーツ熱が高くなっていることに気付きました。せっかく開催するのであれば、札幌の冬や雪のすばらしさをアジアにアピールし、札幌がアジアのウインター スポーツのメッカであるというブランドをしっかりと作って、アジアの成長の力や若いエネルギーを道内や札幌に導き入れるような象徴的な大会にしよう、と目標を掲げました。また、札幌は 2026 年以降の冬季オリンピック・パラリンピックへの立候補を検討しているので、その招致活動を成功させるためにも、2017 冬季アジア札幌大会を成功させることが重要でした」と第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 専務理事 事務総長の生島 典明 氏は話します。また、国際スポーツ大会の運営コストに厳しい目が向けられている中、2017 冬季アジア札幌大会では、できる限り 1972 年の札幌オリンピックの施設をレガシーとして活用することを重視したと言います。

一方で、アジア・オリンピック評議会 (Olympic Council of Asia: OCA) のガイドライン (IT and TVG Guidelines / The Official OCA Guidelines for IT&T Department for the 8th Asian Winter Games Sapporo 2017) に従って、IT システムやインフラを整備し、競技大会の選手・連盟を支援する管理システム Games Management System (GMS) 、各競技会場の結果をリアルタイムで公開するシステム Games Results System (GRS) 、競技情報や結果をメディアなどに配信する Games Distribution System (GDS) 、競技会場の競技審判を支援する監視システム Games Support System (GSS) を作り、大会を円滑に運営していく必要がありました。これらのシステムをクラウドで設計し構築していくことを推進したのは、第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 CIO補佐監の浦山 清治 氏です。

写真:第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 CIO補佐監 浦山 清治 氏

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
CIO補佐監
浦山 清治 氏

写真:第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務課長 小林 毅久 氏

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
総務課長
小林 毅久 氏

「OCA の公式ガイドラインからは、SAWGISの『基本計画』『実施計画』の策定と、データセンターに大規模システム用の物理サーバー機器を調達する必要がありました。短期間の運用に数十億もの開発予算を確保することは困難であったため、パブリック クラウドを効率的に活用してサーバーレスと月額利用料金のシステムに設計することで、あとは競技大会アプリケーション設計と運用予算だけで乗り切れると考えました」と浦山 氏は、クラウドを設計してきた実績から説明します。

また、第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務課長 小林 毅久 氏も「大会までの準備期間が短く、サーバー室などを用意するのも困難でした。また、仮に用意できたとしても大会期間が過ぎてしまえばサーバーなどは役目を終えてしまうため、浦山 氏のアドバイスを受けながら Azure のクラウド サービスを利用することが一番だと考えました」と話しています。

<導入の経緯>
クラウド サービス セキュリティや個人情報の保護を考えて
国際評価基準の Azure を採用

写真:第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務部総務課 放送業務係長 吉田 匡雄 氏

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
総務部総務課
放送業務係長
吉田 匡雄 氏

写真:第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務部総務課 総務係 箭原 圭 氏

第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会
総務部総務課
総務係
箭原 圭 氏

Azure の IaaS を採用した理由を浦山 氏は、次のように話します。「Azure であれば、情報セキュリティ管理システムのである ISO/IEC 27017:2015 (CSS) と ISO/IEC 27018:2014 (PII) の国際評価基準を取得しているのでクラウド セキュリティや個人情報の保護の面でも安心でした。また、Microsoft Office 365 も組織委員会側で使われ、クラウド製品に使い慣れていたことや、日本マイクロソフトの Azure サービスや技術者の支援が多いことも選択の理由のひとつでした」。

今回の構築で初めて Azure に触れたという第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務部総務課 放送業務係長の吉田 匡雄 氏は、「テスト段階で使ってみて、これまでの Windows Server の構築や運用の延長線上で使えると感じました。スケーリングも簡単に行え、権限付与もこれまでと変わりません。OCA からは競技映像のストリーミング配信を行うことを求められていましたが、Azure であれば視聴数に合わせて柔軟な配信ができると思いました」と説明します。また、第8回札幌アジア冬季競技大会組織委員会 総務部総務課 総務係の箭原 圭 氏も、次のように話します。「コストを抑えて短期で本番環境を用意できることはもちろん、テスト環境を簡単に用意できる点が良かったですね。ハードのメンテナンスも意識しなくてよいことも、大会中の運用負荷の低減になったと思います」。

写真:東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 第四営業部門 ビジネス営業担当 担当課長 小川 雅人 氏

東日本電信電話株式会社
ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部
第四営業部門
ビジネス営業担当
担当課長
小川 雅人 氏

写真:東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 システムサービス部門 SE第1担当 担当課長 松本 茂 氏

東日本電信電話株式会社
ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部
システムサービス部門
SE第1担当
担当課長
松本 茂 氏

本大会のゴールド パートナーで、ネットワーク構築および大会のシステム運用に関わった東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 第四営業部門 ビジネス営業担当 担当課長の小川 雅人 氏は、「敷設した回線のトラフィックやアクセス数など、どれくらいの利用規模になるのかが予想できない中で、Azure であれば柔軟な対応ができると考えました。Azure を利用するのは初めてでしたが、競技大会のクラウド プラットフォームの設計は『SAWGIS 実施計画』で、ほぼ決まっていたので、それに従ってチャレンジしてみようと考えました」と言います。一方、「一般的に、Azure はセキュリティ面に認証を取得しているので問題がないと言われていますが、組織委員会が納得するものをクラウドで担保できるか、最初は不安でした」と話す東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 システムサービス部門 SE第1担当 担当課長の松本 茂 氏は、「構築と検証を重ね、十分にセキュリティを担保できると感じるようになりました」と当時を振り返っています。

吉田 氏が「日本マイクロソフトのサポートを受けながら構築と運用ができたことは非常に良かったですね」と話すように、クラウド プラットフォームでの構築が初めてだったため、技術支援部門の存在が大きかったとのこと。「ホスティングしたシステムを診断していただいて、我々のシステムのウィーク ポイントがわかったうえで運用できたので、その部分を集中して監視できる体制を整えられました」と吉田 氏が話せば、松本 氏も「エンジニアの方々のスキルが非常に高く、こちらがやりたいことをしっかりと把握したうえで構成などをアドバイスしてくれました」と話しています。

第8回札幌アジア冬季競技大会情報システム (SAWGIS) :大会の運営に必要な基幹システムや競技結果の配信システム、競技映像のストリーミングなどを行うシステムの基盤として Microsoft Azure が採用されました。

第8回札幌アジア冬季競技大会情報システム (SAWGIS) [拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
1/10 のコストで構築/運用でき
柔軟な対応で安定した稼動を実現

Azure を採用することによって、大会のプラットフォームをオンプレミスで構築した場合と比較して構築および運用コストは 1/10 程度に抑えられたと浦山 氏は説明します。「クラウドが一般的に使われるようになった現在、これまでの IT 構築は、クラウドで考える予算に変える時期にきているでしょう。これからのエンジニアは、サービス設計、クラウド プラットフォームのデザイン力が求められます。要望に合わせた IT 支出予算 (CAPEX) でサービスを創っていくことがクラウド コンピューティングでは求められます。本大会は、このサービスだけで運用できることを実証しました」 (浦山 氏) 。

また、Azure Media Services のライブとビデオ オンデマンド (VOD) のストリーミング サービス配信では、Azure の柔軟性とマイクロソフトのサポートが役に立ったと吉田 氏は話します。「マイクロソフトの方は、大会期間中も待機をしてくれて、的確なアドバイスをしてくれました。大会が進むにつれて、ストリーミングの視聴数も右肩上がりとなる一方で、当初は予定がなかった競技もできる限り配信するようにしました。これも、クラウドならではのメリットだと思います。バイアスロンなどは、ドローンを使った配信専用動画が非常に好評を博し、ウインター スポーツの裾野を広げることに少しでも貢献できたのではないかと考えています」。

人気競技の配信時に予想を超える要求がありましたが、配信を中断することはありませんでした。「配信能力をその場で増強することができたので、その後は安定して配信することができました。どれくらいのリソースが必要かを日本マイクロソフトの方がその場で計算してサポートしてくれたのも助かりました」と松本 氏は話します。あらかじめ視聴が増えそうな場合は前日にミーティングを行い、状況に応じてスケーリングすることで、適切なコストで配信できたことを吉田 氏も評価しています。また、競技結果のデータが予想以上に多かったときや、Web (ホームページ) へのアクセスが一時的に増えた場合にも柔軟に対応できたと言います。

<今後の展望>
レガシーを活用し、コストを抑えた運営を継承

写真:東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 第一営業部門 公共営業担当 主査 新見 敏之 氏

東日本電信電話株式会社
ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部
第一営業部門
公共営業担当
主査
新見 敏之 氏

「結果的にはトラブルもなく、本大会を成功裏に終えることができました」と話す東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 第一営業部門 公共営業担当 主査の新見 敏之 氏は、今回の Azure の運用経験が今後のビジネスにも役立つという手応えを感じていると言います。「今後は、より Azure の機能を営業も含めて熟知するようにし、人材も育成していくことで、我々としてもビジネス チャンスが広がると考えています」と新見 氏は話します。

また、浦山 氏は、「2018 年 8 月にインドネシア・ジャカルタ特別州と南スマトラ州パレンバン市で開催される第18回アジア競技大会 (Jakarta-Palembang 2018) での OCA のガイドラインに新たなクラウド ソリューションとして『Core Hosting Services (Cloud Solution)』が追加されました。このことはクラウド サービスでの設計と運用で成功裏に終えた第8回札幌アジア冬季競技大会の実績と組織委員会 (SAWGOC) の運用効果が、アジア競技大会の今後にクラウド サービスが必須であると OCA が認めたことを示しています」と話します。

札幌市では、今後も 2019 年のラグビー ワールドカップや 2020 年東京オリンピックのサッカー競技などが開催されます。2026 年以降の冬季オリンピック・パラリンピック招致も進められており、これらの大会やイベントでも今回のクラウドを活用したモデルを生かすことができるのではないかと期待されています。「IT システムも含めた 2017 冬季アジア札幌大会の運営は、多くのコストをかけずに国際総合スポーツ大会を開催できる事例として多くの人に評価していただきました。もっとうまくやれたのでは、といった反省はありますが、レガシーの活用とコストを抑える方法というものをアジアや世界に遺すことはできたと思います。Azure によって大会が適切に運営されたと証明できたことに非常に意味があったと思っていますし、日本マイクロソフトがサポートしてくれることで大きな安心感をもつことができました。北海道全体で人口が減少して札幌も自然減となっている中で、ウインター スポーツでの活性化は、経済の面でも大きな力になると思っています。2026 年以降の冬季オリンピック・パラリンピックも同じような形で成果を出せるように開催できたらいいですね」と生島 氏は話しました。

第8回札幌アジア冬季競技大会の写真
第8回札幌アジア冬季競技大会の写真

 

写真:取材にご協力いただいた皆様

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