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株式会社さなる

 様に導入

生徒の学習意欲と学力向上を、自社開発による 30,000 台の Windows 8.1 タブレット デバイス導入で実現した佐鳴予備校。Windows 向け既存資産を有効利用することで、サービス イン時から大きな効果を実感

写真:株式会社さなる 佐鳴予備校

株式会社さなる 佐鳴予備校

「最大であるよりも最良であることを誇れ」という企業理念のもと教育事業をまい進する株式会社さなるは、小学生から高校生を対象に佐鳴予備校を展開しています。独自の教育方針で生徒の実績を伸ばす同社ですが、なかでも講義における ICT 活用を積極的に採用することで、生徒の学習意欲と学力の向上に成功しています。

1990 年代にコンピューターを用いたプリント学習 (学力トレーニング) を開始し、2000 年代には電子黒板システム (See-be) も採用するなど、いち早く教育シーンでの ICT 活用に取り組んできた佐鳴予備校。同校ではこれらの ICT 活用で蓄積してきた Windows OS 向けコンテンツを有効利用し、生徒の自発性をさらに向上するべく、オリジナル学習コンテンツ搭載の「さなる式タブレット」を活用した授業を 2016 年度よりスタートします。30,000 台という大規模導入について、コストだけではなく機能性と既存資産の有効利用を重要視し、さなる式タブレットでは Windows 8.1 が搭載されたタブレット製品が採用されています。

<導入の背景とねらい>
インタラクティブ性を持たせた授業と、帰宅後の学習支援の強化を目的に、自社開発によるタブレット デバイス導入を検討

2016 年に創立 51 年目を迎えた佐鳴予備校。静岡県浜松市で開かれた私塾からスタートした同校ですが、現在では小学生から高校生まで、年間約 30,000 人もの生徒が学習しています。

多くの生徒とその保護者から支持される予備校へ発展してきた理由について、佐鳴予備校を運営する株式会社さなる 本部運営管理室 山田 敦範 氏は次のように説明します。

写真:株式会社さなる 本部運営管理室 山田 敦範 氏

株式会社さなる
本部運営管理室
山田 敦範 氏



写真:株式会社さなる IT室 新井 強志 氏

株式会社さなる
IT室
新井 強志 氏



写真:株式会社さなる IT室・指導技術研究室 眞野 尚己 氏

株式会社さなる
IT室・指導技術研究室
眞野 尚己 氏

「佐鳴予備校の大きな特徴は、『最大であるよりも最良であることを誇れ』という企業理念を教育現場で実践してきたことです。生徒のためになる『最良の教育を与えたい』という熱い思いを、当校の教師は持っています。その思いのもと、日々教壇に立っていますので、それが生徒へも伝わっているのだと思います」(山田 氏)。

最良の教育を目指す佐鳴予備校の特徴は、入試のための詰め込み教育ではなく、「生徒がどれだけ自発的に勉強できるか。そのためにいかに楽しみながら勉強できるか」を心がけた授業を行っている点にあります。

「自発性は勉強だけでなく、その後の人生にも求められます。生徒の目の前にあるのは受験ですが、当校での教育を通じ、受験はもちろんその先の人生でも役に立つよう、授業を行っています」(山田 氏)。

同校では、生徒の自発性をさらに向上させ得るツールとして古くから ICT に注目しており、積極的に ICT の活用へ取り組んできました。同校の教育シーンにおける ICT の活用について、株式会社さなる IT室 新井 強志 氏は、次のように振り返ります。

「20 年前にコンピューターを用いたプリント学習『学力トレーニング』を取り入れましたが、当時はかなり先進的な取り組みだったと思います。2002 年には、マルチメディア教材をプロジェクターで投影しながら授業を行える、Windows をベースとした電子黒板『See-be システム』も導入しました。さらに 2010 年には映像授業を用いた総合自立学習システム『@will (アット・ウィル)』をリリース。どれも、生徒にとって、より効率的で効果的に学力を向上させることが狙いです」(新井 氏)。

教育シーンでの ICT 活用を積極的に進め、実績を出してきた佐鳴予備校ですが、2010 年からは新たな取り組みとして、タブレット デバイスの採用を検討してきたといいます。株式会社さなる IT室・指導技術研究室 眞野 尚己 氏は、タブレット デバイスを検討したねらいについて、次のように説明します。

「教師と生徒のコミュニケーションにインタラクティブ性を持たせること、帰宅後の学習を支援することの 2 点が、自発性をさらに伸ばせると考えました。そこへ向けた有効な ICT を検討していたのですが、2010 年の iPad の登場をきっかけとし、タブレット デバイスの配付がそれを担えるのではないかと考えたのです」(眞野 氏)。

タブレット デバイスの導入に際しまず検討されたのは、「どのようなコンテンツをもって最良の授業を提供するか」という点。しかしそこには、大きな壁があったといいます。眞野 氏と新井 氏、山田 氏の 3 名とも普段は教師として教壇に立っていますが、同校の教育現場をだれよりも理解しているがため、既存製品に納得できるものがなく、自社開発を行う必要があったのです。

「展示会などさまざまなイベントに足を運び、当校に合うソリューションがないか探しましたが、既存のパッケージでは合致するものがありませんでした。開発している方が教師ではないこともあり、どうしても現場が必要とする機能や使い勝手と製品との間にズレが生じるのだと思います」(眞野 氏)。

加えて、これまで採用してきた ICT と比べた、タブレットゆえの難しさもあったといいます。

「ICT の活用は、遊びと学習のバランスが非常に重要なのです。タブレット デバイスの場合それを配付するわけですから、生徒たちが喜ぶことは目に見えていました。だからこそ、遊びのツールになってしまう懸念があったのです。遊びがありつつも本質は学習への自発性と学力向上につながるツールでなくてはならず、そのバランスは私たちにしかわかりません。結果として、システムをわれわれで開発することに決定しました」(新井 氏)。

こうして、佐鳴予備校では 2010 年より、同校に最適なデバイス「さなる式タブレット」を開発するプロジェクトが開始されました。

<システム概要と導入の経緯>
コストよりも機能性を重視。ペン入力の精度と Windows OS ゆえの既存資産の有効利用が決め手に

開発に際し、システムの企画開発とそれを載せるデバイスの選定作業は同時並行で行われましたが、当初デバイスには Android タブレット の採用を検討していたと新井 氏は語ります。

「プロジェクトのきっかけとなったのは iPad ですが、操作性が良い半面、カスタマイズが難しい点がネックでした。Android はその点が柔軟でコストも低かったため、まずは Android デバイスの採用を前提に開発を進めました。Windows OS もカスタマイズ性に優れているものの、コスト面では Android に利があったのです」(新井 氏)。

しかし、Android デバイスではさなる式タブレットが求める要件に満たない点もあり、結果として開発と検討期間は長期となったといいます。

「さなる式タブレットは授業の中で使うことも想定していました。インタラクティブな授業を実現するべく、ストレスのないペン入力を求めていたのですが、さまざまなデバイスを試したものの、この点については期待値を超える Android デバイスがなかったのです。また、帰宅後の学習支援には動画などのコンテンツを用いることを構想していました。これまで See-be システム向けに作成した教材の有効利用も行いたいものの、同システムは Windows 向けであり、この点も企画や開発に時間を要した背景になります」(眞野 氏)。

「中途半端なモノは導入しないことが私たちの方針です。そのため、開発と検証を重ねているうち、気がつくと数年が経過していました」(新井 氏)。

ところが、プロジェクト開始から 3 年ほどが経過した 2014 年 5 月、開発速度を一気に加速する出来事があったと眞野 氏はいいます。

「ペン入力については妥協できないと思っていたころでした。東芝クライアントソリューション様より同年 12 月に発売する Windows タブレット デバイス『dynabook Tab S 80』を紹介いただく機会があったのですが、ペン入力を試してみると、書き心地が抜群に良かったのです」(眞野 氏)。

「本当に紙に書いているのと同じ感覚で書けるのです。このデバイスであれば、インタラクティブな授業を納得するレベルで実現できると確信し、その日のうちに理事長へ提案したことを覚えています」と、新井 氏も当時の衝撃を振り返ります。

デバイスを dynabook Tab S 80 にするということは、これまで Android 向けに開発していたシステムが Windows 向けに変わることを指します。そこには追加の開発コストが発生しますが、多少のコストや労力をかけてでも Windows OS に切り替えるメリットがあったと山田 氏は続けます。

「Windows OS であれば、See-be システムで使っている教材をそのまま活用できます。タブレット デバイス導入に際し、『コンテンツである教材』は成功の可否を握る重要要素となります。当然、新たなコンテンツを随時作成していくことになりますが、Windows であれば See-be システムと同じ要領で教材が作れるため、これまでの作成フローを踏襲できると考えたのです。加えて、教育現場のみでなく、多くの会社では Windows が標準的に使われていますので、受験の先にある生徒の人生を考えた際、Windows に触れる機会を増やすことはメリットになるとも考えました」(山田 氏)。

Windows OS がもたらすコンテンツ面のメリットと、優れたペン入力精度を評価し、佐鳴予備校では 2014 年 12 月、さなる式タブレットに Windows OS を採用することが決定。システム面の開発を経て、2015 年 6 月より中高一貫コースを受講する生徒への配付を開始し、2016 年 3 月からは、中学生と高校生の本科コース受講生徒全員へ、約 30,000 台の配付を予定しています。

<導入の効果>
反転学習で見えた学習意欲の向上と、暗記における有効性

創立 50 周年を迎えた 2015 年の 6 月、さなる式タブレットは、中高一貫コースを受講する生徒へまず配付され、反転学習の用途で用いられました。反転授業とは、あらかじめ、生徒には自宅で予習をしてきてもらい、教室では応用問題に取り組む形式の授業を指します。

さなる式タブレットには現在、家庭学習を支援する機能として「要点解説動画」「解説カメラ」「学習支援ツール」「学習ゲーム」など 6 つの機能が搭載されていますが、これらの機能を用いた反転授業によって、大きな成果が得られたと山田 氏は語ります。

「中高一貫コースを開始する前は、特進科として授業を行っていました。特進科では、ハイレベルな応用問題を講義形式で行っていたのですが、これまではついていけずに脱落してしまう生徒もいました。しかし映像を利用した反転授業を行った中高一貫コースでは脱落する人が激減し、積極的に空き時間を活用して勉強する生徒が増えたことが事実としてあります。また、『学年 1 位を取りたい』というような、意欲溢れた生徒が増えたとも感じています」(山田 氏)。

「反転授業用に新たに作ったコンテンツもありますが、これまで @will (アット・ウィル) システムで用いていたコンテンツも有効利用しています。そのこともあり、サービス イン当初から多岐に渡る領域のコンテンツをボリューム多く用意できました。Android を採用する場合、既存の Windows 向けコンテンツとの連携や、新たに Android 向けのものを制作しなければならなかったため、もっと工数やコストが発生していたかもしれません。結果として Windows OS のタブレットを採用したことは正解だったと感じています」(新井 氏)。

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さなる式タブレットでは、「要点解説動画」「解説カメラ」「学習支援ツール」「宿題」「学習スケジュール管理」「学習ゲーム」という 6 つの機能を搭載し、生徒の学習を支援する

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2015 年 6 月より反転授業で既に活用され、学習意欲の向上で大きな効果が出ている

さなる式タブレットの導入で特に効果が発揮された面として、眞野 氏は暗記における有効性を挙げます。

「さなる式タブレットには、グループメーカーというゲーム機能を搭載しています。これは遊び感覚で暗記ができる機能なのですが、空き時間ふと教室を覗いたところ、生徒どうしがグループメーカーの時間を競っていたのです。ただ競っているだけならそれは『遊びのツール』に過ぎませんが、実際にその分野についてテストをしたところ、平均学力も向上しているのがわかりました。時間をかけてシステムを作りこんだかいがありました」(眞野 氏)。

2016 年 3 月度からは、すべての中学生と高校生へ配付され、本格的な活用がはじまります。佐鳴予備校では、各校舎に設置されたサーバーからデバイスへコンテンツを配信するしくみを採用しており、サーバーへは校内の無線 LAN のみでなく、自宅のインターネットからもアクセスが可能です。アクセスが一挙集中する場合にもシステムが止まらないよう、各校舎に設置されているコンテンツ配信サーバーは、本部のデータセンターで冗長化されています。万が一、校舎のサーバーがダウンした場合でも即座にデータセンターのサーバーへ切り替えることで、授業の継続性を維持します。

「タブレット配付で生徒の学力や自発性は高められ、生徒もそれを実感してくれています。しかし、生徒の保護者は、いくら自発学習や学力に役立つといっても、ICT へ懸念を示される場合が多いです。インターネットで学習とは関係のない動画を見たりゲームで遊んだりしないのか……そのようなことが起こり得るデバイスでは、保護者の理解が得られませんし、効果も薄いでしょう。さなる式タブレットでは有害と思われるサイトや動画サイトなどはフィルタリング ソフトを用いて閲覧できないようにしています。また、自由にアプリをインストールしないよう、MDM ツールも導入することで、保護者にも納得いただけるデバイスにしています。これらのベンダー性ソフトがほぼすべて対応していることも、Windows OS を採用して良かった点だと感じています」(新井 氏)。

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各校舎に設置されたコンテンツ配信サーバーは本部のデータセンターで冗長化されている。校舎側のサーバーに障害が発生しても、自動でデータセンターのシステムへ切り替えることでデバイス活用の継続性を担保する

<今後の展望>
インタラクティブな授業実現へ向け機能拡張し、さらなる学習意欲と学力向上を目指す

タブレット デバイスという新たな ICT を授業に取り入れた佐鳴予備校は、最良の教育へ向け、今後も機能面のアップデートを行っていく予定です。

「まず検討しているのは、英語コンテンツの機能強化です。2020 年度の大学入試より、『読む』『聞く』『書く』『話す』という 4 技能が英語には問われることになります。現在まだ整備されていない『話す』技能を強化するべく、たとえば英語の発音がチェックできる機能を追加するなど、これから検討していきたいと思います」(眞野 氏)。

また、山田 氏は、30,000 人の生徒へ向けたインタラクティブな授業を実現するコンテンツの拡充も計画していると話します。

「同じ Windows を採用していますので、今後はさなる式タブレットと See-be システムを連携させたコンテンツの開発にも注力する予定です。いまでも、出題から回答までの速度を即座にランキング表示するような機能があるのですが、このような教師と生徒、インタラクティブなコミュニケーションができるコンテンツを増やしていきたいと思っています」(山田 氏)。

こうした機能は、生徒が使いこなすことでそのメリットが発揮されます。新井 氏は「生徒やその保護者が必ずしも IT に詳しいというわけではありません。中高一貫の生徒に配付した際には、『自宅の Wi-Fi につながらない』といった基本的な問い合わせも数件聞きました。機能面の拡充のみでなく、生徒やその保護者へのサポートも行い、さらに効果を高めていきたいと思います」と、浸透へ向けた活動も行っていくと意気込みます。

現場で教鞭をふるう教師も納得するさなる式タブレットを開発し、生徒の学習意欲と学力向上を実現した佐鳴予備校。2016 年度からは 30,000 台ものさなる式タブレットが配付され、さらに同校の教育は充実するでしょう。今後のさなる式タブレットの活躍に、期待が高まります。

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