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導入事例

 様に導入

  • 効率化

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

 様に導入

患者情報と未収金情報の一元的な管理をはじめ、従来の医事会計システムではカバーできない院内の情報共有に、Microsoft Dynamics CRM を活用

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

急性期医療に重点を置いて地域医療の中核を担う、社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院では、病院経営における重要課題の 1 つである医業未収金を減らすため、患者の費用負担を軽減する「限度額適用認定証」の説明を徹底するなど、さまざまな改善策に取り組んでいます。そして 2011 年、同院では未収金の発生理由から督促履歴、そして入金管理までを一元的に管理するために、医事会計システムの一環として、CRM (Customer Relationship Management) を活用した独自の未収金管理システムを構築しています。そして、このシステムを実現するために選ばれたのが、Microsoft Dynamics CRM でした。

<導入の背景とねらい>
より良い医療を提供するために看過できない経営課題である医業未収金の管理を効率化

社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院 (以下、済生会熊本病院) は、やさしさとぬくもりのある質の高い医療を提供するという理念の下、「救急医療」、「高度医療」、「地域医療と予防医学」、「医療人の育成」という 4 つの基本方針に沿って地域の医療機関との連携を図りながら、長きにわたり地域社会に貢献。特に救急医療に関しては「断らない救急」をモットーに、24 時間 365 日の受け入れ態勢を目指すなど、重点的に取り組んでいます。

その一方、救急医療とは切っても切り離せない課題の 1 つとして、「医業未収金」に取り組んできたと、済生会熊本病院 医療連携部 副部長 医療支援部 事務次長 兼 医事室長 成松 隆一 氏は説明します。
「当院の入院患者さんの半分は、救急で運ばれた方々です。事故や急な病で何の準備もなく、平均 10 日前後在院されることになりますので、入院費用が即座にはご用意できないケースも多分に出てきます。『後日医療費をお支払いただく』という、当院にとって未収金が常に発生しやすい環境にあります。」

社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
医療連携部 副部長
医療支援部
事務次長 兼 医事室長
成松 隆一 氏

社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
医療支援部
診療報酬管理室 室長
松下 龍之介 氏

医業未収金は全国的に深刻な問題で、四病院団体協議会(社団法人日本医療法人協会、社団法人日本精神科病院協会、社団法人日本病院会、社団法人全日本病院協会で構成) が 2010 年に公表した調査結果では、全国 5,529 の病院における 2008 年度の未収金総額は 284 億円にも及んだと推計されています。
済生会熊本病院では、患者への負担を軽減し、この未収金を少しでも解消するために、救急患者への「限度額適用認定証※」の案内を 100% 徹底させるなど、さまざまな取り組みを実施。さらに未収金を効率よく管理するために、従来より医事会計システムに独自の「未収金管理システム」を追加して運用してきました。

しかし 2011 年に新たに電子カルテ システムを導入するに併せて、未収金管理システムも刷新する必要が生じました。そこで、2011 年 3 月から新「未収金管理システム」についての議論が始められたと、同院 医療支援部 診療報酬管理室 室長 松下 龍之介 氏は振り返ります。
「未収金の問題はこれまで大きな問題として扱われてこなかったため、医事会計システムを提供する IT パートナーさんたちも、注力してこなかったという現実があります。しかし、未収の金額は決して少なくありません。未収金をきちんと回収できれば、たとえば先進医療機器を購入して、地域の皆さまに、より充実した医療を提供することも可能です。ただ、独自のシステムを作って未収金管理を厳密に行おうとすると、管理項目を増やしていく必要があるのですが、従前のシステムにはカスタマイズ性が欠けていました。そうした中、新たなシステムの基盤として候補に浮上したのが Microsoft Dynamics CRM でした。」

同院が、Microsoft Dynamics CRM を認識したのは、マイクロソフトが設立した医療向け IT 協議会「Connected Health A Round Table (CHART)」の席上で行われた、株式会社CSK Win テクノロジ (以下、CSK Win テクノロジ) による、未収金管理テンプレートの説明会においてでした。

「2010 年に開催された CHART で、本当にタイミングよくテンプレートの説明がありました。そして何度か話をする中で、確かに CRM 的な側面が必要であることを感じ、院内に紹介することになりました。」(松下 氏)
そして、2011 年 7 月、同院の新未収金管理システムを実現するプラットフォームとして、Microsoft Dynamics CRM の採用が決定。CSK Win テクノロジと、地元熊本において手厚いサポートを提供することのできる株式会社KIS (以下、KIS) とが密接に協力する開発体制を敷くことで、短期でのシステム構築を完了。2011 年 10 月 1 日から活用を開始しています。

※健康保険に加入する 70 歳未満の入院患者に適用される (厚生労働大臣が定める在宅医学総合管理もしくは在宅末期医療総合診療を受ける場合は、通院の場合でも利用可能)。医療機関の窓口で提示することで、入院費用の窓口負担額が所得区分によって定められる自己負担額までで済む。

<システム概要と導入経緯>
CSK Win テクノロジ提供のテンプレートを活用。カスタマイズの容易さで 3 か月の短期構築を実現

社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
医療支援部
医療情報システム室
室長 内重 烈 氏

済生会熊本病院が活用している新未収金管理システムは、Microsoft Dynamics CRM をベースとして CSK Win テクノロジが開発した未収金管理テンプレートをカスタマイズして開発した Web システムです。
KIS が独自に開発した仕組みを活用し、医事会計システムの入金、請求情報をほぼリアルタイムで反映。未収金を正確に抽出すると共に、支払誓約書に記載された未収金発生理由や、期日、督促履歴など多岐にわたる患者情報と関連付けて管理できます。また、全体概要がひと目で把握できるダッシュボードも用意。「高度な検索機能」によって、任意の項目による集計も自由に行えるようになっています。

同院 医療支援部 医事室 診療情報管理士 福島 志保 氏は、次のように説明します。
「当院では、2 か月周期で、未収金の督促を行っています。支払誓約書に記載された情報に基づき、最初の督促は電話で行っています。しかし、患者さん本人や親族の方などに電話させていただき、連絡がつかない場合には督促状を郵送させていただいています。
この督促作業にも労力がかかりますし、患者さんにとっても、保険金や年金を受給されるタイミングとずれて督促があると負担に感じられるでしょう。そこで、誓約書に記載された未収金発生理由などの情報を管理し、督促などのアクションと関連付けることが重要になっています。

未収金管理テンプレートの特長

未収金管理テンプレートの特長 [拡大する]新しいウィンドウ

また、未収金発生後の入金の有無に関して、以前は未収金管理と医事会計の 2 つのシステムよりデータを一旦抽出し、突合した上で、集計していたのですが、今は Microsoft Dynamics CRM ひとつで入金関連データも抽出できるようになっていますので、非常に効率的です。」

この未収金管理システムは、KIS と CSK Win テクノロジの密接なパートナーシップにより、わずか 3 か月という短期開発を実現し、先行する電子カルテ システムと同日の 2011 年 10 月 1 日にサービスインを果たしています。今回、初めてMicrosoft Dynamics CRM による開発を経験した KIS 公共・ソリューションシステム事業部 第一システム部 主任 杉本 高広 氏は、プロジェクト開始当初こそ不安だったものの「思ったより開発しやすかった」と振り返ります。
「当初は、SFA (Sales Force Automation) のパッケージの一種というイメージだったのですが、実際に開発してみると、"メンテナンス性の高いプラットフォーム" という印象でした。CSK Win テクノロジさんの未収金テンプレートのカスタマイズでも、項目の並び替えや、集計時の抽出条件の変更など、済生会熊本病院様からいただくさまざまなご要望に対する修正が容易でした。『今日相談して、明日には修正版を見ていただく』というスピード感で作業でき、非常に効率が良かったです。」

<導入効果>
事務作業時間を約 40% 短縮

社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
医療支援部 医事室
診療情報管理士
福島 志保 氏

済生会熊本病院の未収金管理システムが、Microsoft Dynamics CRM ベースで生まれ変わってから、まだ 4 か月。未収金回収についての、従来比の成果の把握は難しいものの、業務のオペレーションについて福島 氏は「感覚的には、従来の 6 割くらいの時間で終わるようになった。」と話します。
「未収金自体、会計システムとの連携によって正確に抽出されるようになっていますし、督促状の印刷についても、対象者ごとに文面を変更して設定したリストを、1 つのデータとして Excel に落とし込んで、一括で印刷しています。そして、督促を行った後は、誓約書に記載された未収金発生理由と金額の内訳、そして督促の実績などをレポートにまとめて提出するのですが、こうした作業などは大分楽になったと感じています。」

CSK Win テクノロジ 代表取締役社長 古宮 浩行 氏は、「済生会熊本病院様の発想が、すべて患者さんの役に立つことを起点としているため、CRM 上に反映しやすかった。」と話します。
「高度な検索機能も、Excel との連携機能なども、当初のコンセプト通りに活用いただいています。Microsoft Dynamics CRM は応用性が高く、『何でも管理できる』という側面があります。そこで、目的に沿ったシステムの立ち上げが簡単に行え、メンテナンスも容易にできるようにさまざまなテンプレートを開発してきました。未収金管理のテンプレートもその 1 つで、今回きちんとお役に立つことができて本当に良かったです。」

<今後の展望>
未収金管理以外にも CRM を適用。さまざまな情報共有に長期的に活用

社会福祉法人 恩賜財団
済生会熊本病院
医療支援部
医療情報システム室
主任 齋藤 祥史 氏

済生会熊本病院の未収金管理システムは、今後も KIS や CSK Win テクノロジとの協力体制の下、継続的に改良を加えていく予定であると、医療支援部 医療情報システム室 齋藤 祥史 氏は説明します。
「未収金管理にあたる会計チームの作業をより効率よくサポートするために、画面遷移の際のレスポンス向上やダッシュボードの活用など、Microsoft Dynamics CRM の機能をフルに活用し、今後もシステムの改修に、継続的にあたっていきます。」

福島 氏もまた、「ソーシャルワーカーとのスムーズな情報共有によって、より患者さんにやさしい未収金管理を実施できればいい」と、今後の機能拡張に期待を寄せています。

そして、Microsoft Dynamics CRM そのものも、より広い業務に活用していく予定であると同院 医療支援部 医療情報システム 室長 内重 烈 氏は説明します。
「Microsoft Dynamics CRM を、未収金管理だけではなく、院内 CRM の標準的なプラットフォームとして継続活用していきたいと思っています。たとえば、医療費公費負担制度に関する患者さんの申請から認可の状況などは複数の部署で情報共有をしなければならないのですが、現行の医事会計システムでは請求情報のみしか管理できません。しかし、CRM を活用すればうまく情報共有できるでしょう。
さらに、交通事故の場合に発生する、患者さんと担当する保険会社の情報や実際の診療費の請求状況の管理なども CRM で行う予定です。このほか、診療機材購買業務においては、取引先の管理から案件管理、業者との交渉履歴や文書管理までも CRM でデータベース化し、診療機材購買業務の全体を管理できないか、という要望があり、すでに要件定義の打ち合わせを開始し、2012 年中にはシステムが構築できるように進めています。
こうして、電子カルテや医事会計システムではカバーできない院内の情報共有を、Microsoft Dynamics CRM で実現していき、ゆくゆくは大きなデータベースとして活用できればよいと思います。また、KIS さんと CSK Win テクノロジさんとの連携によって、しっかりとサポートしていただける体制が整っていることも、非常にありがたいと思います。」

株式会社CSK Win テクノロジ

株式会社CSK Win テクノロジ
代表取締役社長
古宮 浩行 氏 (中央)

企画推進部 グローバル企画課 課長
川邉 りか 氏 (右)

第二開発部 第三開発課
曽我 美保 氏 (左)

株式会社KIS

株式会社KIS
公共・ソリューションシステム事業部
公共営業部
メディアカルITグループ 課長
江藤 敏二 氏 (左)

公共・ソリューションシステム事業部
第一システム部 主任
杉本 高広 氏 (右)

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