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導入事例

 様に導入

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  • コスト

ルネサス エレクトロニクス株式会社

 様に導入

Office 365 で全世界 2 万 2,000 名のコミュニケーション基盤を確立
社員の意識改革とワーク スタイル変革で "マーケット イン" 志向の企業文化を醸成、より高度なプロフェッショナル サービスの提供を目指す

写真:ルネサス エレクトロニクス株式会社

ルネサス エレクトロニクス株式会社

「車載制御」「車載情報」「産業および家電」「OA & ICT」「汎用製品」という 5 つの強力なアプリケーション製品群を武器に、マーケット イン志向のソリューション提供を柱とした事業構造へとシフトしつつあるルネサス エレクトロニクス株式会社。ここではこの取り組みを加速するために、Microsoft Office 365 が活用されています。全世界の拠点を 1 テナント化し、さまざまなコミュニケーション機能を統合した基盤を確立。これによって社員のワーク スタイル変革と意識改革を進めつつあるのです。また Office 365 の透明性の高い契約内容や、EU データ保護指令等に対応したオプション契約によって、各国が要求する情報保護等への要求にも短期間で対応。IT コストの変動費化によって、組織の急激かつ大規模な変化にも、柔軟に対応できるようになっています。

<導入の背景とねらい>
急変する市場環境に対応するため事業構造を大きく転換
社員の意識変革のためのコミュニケーション基盤が必要に

ルネサス エレクトロニクス株式会社
取締役執行役員常務 兼 CFO
兼 企画本部長
柴田 英利 氏

急激に変化する市場に、いかにして迅速かつ的確に追随・予測して手を打てるか。これは現代の企業にとって、最も重要な経営課題の 1 つです。そのためにはビジネス活動を支えるコミュニケーション基盤にも、変化を効果的に支える機能群と、高い柔軟性が求められます。この要求への対応を、Office 365 へのシフトで実現しているのが、ルネサス エレクトロニクス株式会社 (以下、ルネサス エレクトロニクス) です。

同社は 2010 年 4 月に、ルネサス テクノロジと NECエレクトロニクスの経営統合によって誕生した、大手半導体専業メーカー。「車載制御」「車載情報」「産業および家電」「OA & ICT」「汎用品」という 5 つのアプリケーション製品群を事業の柱にグローバルなビジネス展開を行っており、車載マイコン事業では世界シェア No.1 となっています。

「半導体は長年にわたってさまざまな技術革新の推進力となってきましたが、21 世紀に入ってからは顧客産業のイノベーション スピードが、半導体業界の進化を凌駕し続けてきました」と、半導体業界の状況を語るのは、ルネサス エレクトロニクス株式会社で取締役執行役員常務 兼 CFO 兼 企画本部長を務める柴田 英利 氏です。その結果、ハイテクを代表してきた半導体業界全体が、大きな岐路に立たされていると言います。「自動車や産業分野を筆頭にさまざまな分野で制御と IT の融合が進んでおり、半導体メーカーにはアプリケーション レベルのソリューションが求められるようになってきました。私どもも事業構造そのものを、根本から見直していかなければならなかったのです」。

以前のルネサス エレクトロニクスでは、性能や信頼性に優れたマイコンなどのデバイスを顧客ニーズに応じた高いサポート力で提供することが、競争力の源泉になっていました。しかしこれからは、より上位のアプリケーションにビジネスの中心を移していく必要があったと、柴田 氏は説明します。そのために 2013 年 12 月に実施されたのが、アプリケーション中心の企業組織への移行でした。現在のルネサス エレクトロニクスは、「車載制御」「車載情報」「産業および家電」「OA & ICT」「汎用製品」という、5 つのアプリケーション群を事業の柱に据えています。

その一方で同社は、収益体質の改善というテーマにも、積極的に取り組んでいます。2013 年の経営体制変更に伴い、収益体質を変えるための変革プランの実行に着手。このプランには、「マーケット イン志向」「徹底した収益志向や意思決定の迅速化などの内部運営の改善」「さらに強固な財務体質の構築」という、3 つの課題が掲げられています。

「これらの課題を解決するうえで、IT が担う役割は非常に大きいと考えています」と柴田 氏。構造改革の実施では俯瞰的な目線で業務プロセスを捉え、 "あるべき姿" に向けてプロセスを整理かつ統合することが求められますが、IT ソリューションはそのための推進力になると語ります。また構造改革の実施では事業ポートフォリオの見直しといった取り組みも必要ですが、それ以上に重要なのが社員個々の意識改革と生産性向上だとも指摘します。そのためには働き方を変革できる、コミュニケーション基盤の存在が必須条件になるのです。

「以前のコミュニケーション基盤は、メールとスケジューラーが統合されておらず、各グループ会社のしくみもバラバラだったため、効率的とは言えない状況でした。より強いルネサスになるためには、この状況を変える必要があったのです」 (柴田 氏) 。

<導入の経緯>
使い勝手やコスト構造から Office 365 を選択
情報保護などに関する明快な契約内容も高く評価

ルネサス エレクトロニクス株式会社
企画本部
情報システム統括部
統括部長
田尻 昌三 氏

ルネサス エレクトロニクス株式会社
企画本部
情報システム統括部
インフラ企画部
部長
諏訪部 泉 氏

ルネサス エレクトロニクスにおける以前のコミュニケーション基盤は、スケジュール管理はオンプレミスの Microsoft Exchange Server、メールはこれとは別のシステムを使用しており、海外ではオンプレミスの Lotus Notes も併用されていました。当時の状況についてルネサス エレクトロニクス株式会社 企画本部 情報システム統括部 統括部長の田尻 昌三 氏は、「機能が分断されているうえ、海外グループ会社の基盤も個別に構築されていたため、情報共有に時間と手間がかかっていました」と振り返ります。またシステムをオンプレミスで構築していたことで、運用コストが固定的になっていたことも大きな問題でした。「事業領域のシフトに伴い、人員配置もドラスティックに変化します。この変化に合わせ、IT 運用コストも変動費化すべきだと考えました」 (田尻 氏) 。

これらの問題を解決するため、2013 年 5 月に次世代コミュニケーション基盤の検討に着手。「この段階で既に、Office 365 が優位でした」と語るのは、ルネサス エレクトロニクス株式会社 企画本部 情報システム統括部 インフラ企画部 部長の諏訪部 泉 氏です。そしてその理由は、大きく 3 つあったと説明します。

まず第 1 は使い勝手です。「実は数年前に、Exchange と他の製品との比較を詳細に行ったことがあるのですが。社内ユーザーのニーズとのフィット & ギャップを分析した結果、Exchange が最もユーザー ニーズに合致することがわかりました」と諏訪部 氏。この経験から今回の検討でも、「短期に導入するためにはマイクロソフトを選択すべき」だという方針が、強かったと言います。

第 2 はクラウド サービスであることです。「当初はオンプレミスでの構築も検討しましたが、IT コストの変動費化という目的を達成するには、クラウド サービスの利用が最適だと考えました」と田尻 氏。また Office 365 なら、TCO を圧縮しながら新たな機能が利用できる点も、評価ポイントになったと語ります。

そして第 3 の理由は契約内容でした。Office 365 の契約内容は透明性が高く、クラウドに格納された情報の取り扱いやサービス稼働率等についても明確に規定されています。この内容が、情報の機密性や個人情報保護、高い信頼性が求められる企業ユースに適していると判断されたのです。またオプションとして、EU のデータ保護指令におけるモデル条項の契約も可能でした。グローバルにビジネスを展開するルネサス エレクトロニクスにとって、このようなオプション契約の存在も、重要な判断材料になったと諏訪部 氏は指摘します。

2013 年 7 月には正式に Office 365 の採用を決定。移行プロジェクトがキックオフされます。そしてまず初めに、オンプレミスの Exchange を利用していた北米販社への先行導入を、2013 年 9 月に実施しています。これと並行して、全世界 1 テナントとして運営するためのシステム構築や運用設計、ネットワーク増強などを実施。2013 年 12 月に国内 1 万 8,000 人を対象にした Exchange Online、2014 年 1 月に Lync Online の提供を開始しています。さらに、2014 年 3 月中旬にはアジア販社、3 月末には欧州販社への展開も実施。当初の計画では、アジア地域への展開は 3 月末、欧州地域は 5 ~ 7 月を予定していましたが、現地からの強い要望があったため、前倒しで展開することになったのです。

契約ライセンス数は全世界合計で 2 万 2,000。契約プランは E1/E3/K1 が併用されています。コンプライアンスのためにアーカイブ機能が必要な地域では E3、その必要がなくコストを下げたい地域は E1、工場では K1 が使用されています。

導入コンサルティングとシステム構築のパートナーとしては、移行前のシステム構成や運用を熟知している 日本電気株式会社 (以下、NEC) が参画。NEC のデータセンターに Active Directory Federation Services (ADFS) を設置し、社内認証基盤との連携を実現しています。また従来システムからのスムーズな移行を考慮し、データセンターにメール中継サーバーを設置、社外からのメールはこの中継サーバーでいったん受け、Office 365 へと配送するしくみも構築。コンプライアンスを考慮した、 Office 365 へのアクセス制限なども実現しています。

ルネサス エレクトロニクスにおける Office 365 の展開スケジュール。キックオフからわずか 2 か月で米国販社に先行導入、5 か月後には国内 1 万 8,000 ユーザーへの展開を実施しています。 [拡大図]新しいウィンドウ

<導入効果>
全世界でシームレスに仕事ができる基盤を確立
コストの変動費化も実現、グローバル統制も容易に

ルネサス エレクトロニクス株式会社
企画本部
情報システム統括部
インフラ企画部
ネットワーク企画課
丸山 圭二 氏

「実際に Office 365 への移行を行ってみて、サービス立ち上げの早さに驚きました」。このように語るのは、ルネサス エレクトロニクス株式会社 企画本部 情報システム統括部 インフラ企画部 ネットワーク企画課の丸山 圭二 氏です。日本国内への本格導入を実施したのは、プロジェクトをキックオフしてから 5 か月後。北米販社への先行導入はわずか 2 か月後というスピード導入です。「各国が要求する情報保護への対応などを考えれば、これだけのスピード導入をオンプレミスで実現するのは不可能です。また今回の導入では、Office 365 に起因するトラブルも皆無でした。そのためアジア販社や欧州販社からの導入前倒し要求にも、安心して対応できたのです」。

クラウド化によってコスト構造も大きく変わりました。オンプレミスでは固定費になってしまうコストの多くを、変動費化できたのです。また、SharePoint Online や Lync Online など、新たに利用できる機能が増えたため、投資効果も大きく向上したと評価されています。これらの各種サービスを統合プラットフォームとして利用できる点が Office 365 の大きな魅力となり、海外拠点独自のシステム サービスが不要になったことで、グローバル統制も行いやすくなりました。

サーバー メンテナンスも不要です。これに伴い、IT 部門が行うべき業務内容も、社内の IT リテラシー向上など、より戦略的な取り組みへとシフトしています。その一環として行われているのが「Office 365 活用セミナー」です。「このセミナーはまだ始まったばかりですが、マイクロソフトの協力の下、今後国内 15 拠点以上で開催する予定です」と丸山 氏。この他にも、Office 365 を有効活用するための社内メルマガ「Office 365 通信」を、2 か月に 1 回程度のペースで発行していると言います。

もちろんメリットはこれだけではありません。複数のコミュニケーション手段が全世界レベルで 1 つの基盤上に統合され、ユーザーの利便性が向上したことも重要な効果です。

「Office 365 はメールとスケジューラー、Web 会議を一体化して使えますが、これを使い始めた時はこれまでの非効率さを改めて実感しました」と田尻 氏。諏訪部 氏も「以前はメールで会議参加者のスケジュール調整をし、その後で Outlook による会議予約を行っていましたが、今では会議開催メールだけで完結するので、非常に便利になりました」と語ります。また OneDrive が使用できることも、ユーザーのフットワークを軽くしていると指摘。複数のオフィスを行き来して業務を行う場合でも、OneDrive 上に必要なファイルを置いておくことで、自分の PC を持ち運ぶ必要をなくすことも可能と言います。

Lync Online によって、地域間のコミュニケーションも活発化しつつあります。以前は地域ごとに異なる Web 会議システムやテレ カンファレンス システムが導入されており、これらの相互運用が困難でした。そのためグローバルな情報伝達は、メールの添付ファイルで行う必要があったのです。しかし今では Web 会議や IM が世界レベルで Lync Online に統一されているため、いつでもすぐに地域をまたいだコミュニケーションが行えます。

「これまでのコミュニケーションは、日本、米国、欧州、アジアと地域ごとに閉じていましたが、今では地域を意識することなく、リアルタイムでつながることができます。もちろん時差や言語の問題はありますが、全世界でシームレスに仕事ができる基盤が、Office 365 によって確立できたのです」 (柴田 氏) 。

Office 365 への移行後のシステム構成。既存システムからのスムーズな移行を考慮し、NEC のデータセンターに用意したルネサス エレクトロニクスのプライベート クラウド内にメール中継サーバーを設置、社外からのメールをいったんここで受け、Office 365 へと配送しています。またコンプライアンス遵守のためにインターネットから Office 365 への直接アクセスは制限しており、認証は ADFS を利用し社内認証と連携させています。

<今後の展望>
Office 365 がもたらす革新性を取り入れ
ワーク スタイル変革を積極的に推進

今後は Office 365 のメリットをさらに引きだすため、ユーザーの生産性向上に向けた啓蒙や教育活動を拡大していく計画です。また、OneDrive や SharePoint Online の活用も、積極的に後押ししていくと言います。これらに関しては利用ガイドを作成しており、2014 年 8 月からグループ全体にこれを展開していく予定になっています。

モバイル活用も推進していく計画です。既に会社支給のスマートフォンに対しては、ActiveSync を利用した Office 365 へのアクセスを許可していますが、今後はこれを BYOD に拡大していくことも検討されています。「セキュリティを高めるための MAM (Mobile Application Management)、MCM (Mobile Contents Management) ツールを選定中ですが、2014 年 9 月までに選定作業を終え、早ければ 10 月からトライアルを開始したいと考えています」 (田尻 氏) 。

これまで社内で行われていた BI (Business Intelligence) 活用を、Office 365 と連携させる取り組みも始まっています。Power BI for Office 365 が試験的に導入されており、将来はこれによってグローバルな KPI を見るためのしくみを作ることも、視野に入っています。

「Office 365 をはじめとする現在の IT の革新性は、多くの社員の常識を超越したレベルにまで進んでいます」と柴田 氏。「これらを意識的に取り入れることでワーク スタイルを変革し、単なるメーカーからプロフェッショナル サービス企業への変貌を遂げていきたいと考えています」。

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