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導入事例

 様に導入

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  • 最適化
  • コスト

楽天ショウタイム株式会社

 様に導入

動画配信サービスの基幹システムを「Microsoft Azure Media Services」に全面移行した楽天ショウタイム。ストレージと運用面で 5 分の 3 にまで圧縮されたトータル コストをもって、さらなるサービス品質向上に取り組む

12 万以上の映像コンテンツをユーザーへ提供し、幅広い層から高い支持を集める楽天SHOWTIME (ショウタイム)。同サービス上では日々、何千万人もの楽天会員が膨大な量のコンテンツへアクセスしています。

運営会社である楽天ショウタイムでは、これらのコンテンツを効率的にかつ安定して配信する基幹システムを、2013 年から 2016 年にかけてクラウド上へ全面移行しました。同取り組みは、ストレージや運用などのトータル コストを従来比で 5 分の 3 まで削減し、サービス品質や価値の向上にも大きな効果を上げています。その基幹システムについて、同社のシステム構想との合致性を評価し採用されたのが、日本マイクロソフトが提供する Microsoft Azure Media Services です。

楽天ショウタイム株式会社

楽天ショウタイム株式会社

<導入背景とねらい>
視聴するデバイスの多様化にともない、ストレージ容量と運用工数の最適化が課題に

写真:楽天ショウタイム株式会社 執行役員 システム部 部長 濱田 修 氏

楽天ショウタイム株式会社
執行役員 システム部 部長
濱田 修 氏

写真:楽天ショウタイム株式会社 システム部 インフラ運用グループ マネージャー 齋藤 裕 氏

楽天ショウタイム株式会社
システム部 インフラ運用グループ マネージャー
齋藤 裕 氏

ハリウッド映画や邦画、海外ドラマからアニメにいたるまで、幅広いコンテンツを取り揃える楽天ショウタイム株式会社。月額会費制を敷くサービス事業社が市場に多いなか、同社ではコンテンツごとの課金モデルを採用した「楽天SHOWTIME」を提供し、人気を博しています。

楽天SHOWTIME が支持される理由としては、まず、課金モデルゆえにコンテンツが豊富にあり、最新作がより早く見られる事があげられます。さらに楽天のサービスである楽天ポイントが使える点も重要です。そしてそれらのコンテンツは、PC やスマートフォンのみでなく、テレビやゲーム機などあらゆるデバイスで閲覧でき、ユーザーは求める動画をいつどこでも楽しむことが可能です。

ところが、同サービスが評価される理由たる「コンテンツの質と量」「マルチ デバイス対応」の 2 点について、その維持において従来のシステムではさまざまな課題があったといいます。楽天ショウタイム株式会社 執行役員 システム部 部長 濱田 修 氏は、当時抱えていた課題についてつぎのように説明します。

「いかに豊富なコンテンツを取り揃えていても、快適に視聴いただけなければユーザー価値には繋がりません。お客さまはテレビや PC だけでなく、スマートフォン、タブレット、そしてゲーム機など、さまざまなデバイスで当社サービスを利用されます。快適に映像コンテンツを視聴いただき、当社サービスの強みであるコンテンツの質と量をより楽しんでいただくためには、従来のシステムでは課題があったのです」 (濱田 氏)。

楽天ショウタイムでは、これまで、コンテンツ保存用のストレージと、Windows Media Server による基幹システムをオンプレミスに構築し、ユーザーへの配信を行っていました。しかし、視聴デバイスの多様化にともない、動画コンテンツの容量と管理工数は増加の一途をたどっていたといいます。

「たとえば、動画の配信形式には、MSS (Microsoft Smooth Streaming)、HDS (Adobe HTTP Dynamic Streaming)、HLS (Apple HTTP Live Streaming) などがあり、デバイスごとに最適な配信形式が異なっています。また、配信ビットレートも、ユーザーやデバイスのネットワーク環境を考慮し、低ビットレートから高ビットレートまで数種類のファイルにわかれています。1 つの動画コンテンツを配信する場合、これらの配信形式やビットレートごとに異なったファイルを用意する必要があるのです。仮に動画コンテンツのファイル容量が 1 つあたり 1 GB であっても、実際にはその 何十倍もの保存容量が必要になります。さらに、各ファイルを準備し管理する作業量も多大なものでした」 (濱田 氏)。

当時の運用状況について、楽天ショウタイム株式会社 システム部 インフラ運用グループ マネージャー 齋藤 裕 氏はつぎのように振り返ります。

「負荷が増えるたびにサーバーを増強していたのですが、管理しなければならない総ファイル数が 1 億を超えてくると、オンプレミスでの管理が限界になってきました。コンテンツのジャンルごとにストレージを分けて運用していましたが、増強の速度にストレージ容量が追いつかなかったり、特定のストレージにファイルが偏ったりといった問題が発生し、適切な運用モデルから乖離しはじめたのです。」 (齋藤 氏)。

くわえてもう 1 つ、大きな課題として、DRM と呼ばれるデジタル著作権管理のシステムも、デバイスごとに異なったものを採用しなければならないことがありました。

「DRM の暗号化方式についても、Microsoft PlayReady や Google Widevine などの種類があり、こちらについても配信するデバイスごとに異なった方式を採用する必要があります。配信形式やビットレートと同様、異なる DRM 方式ごとにファイルを用意しなければならず、管理側にとっては大きな工数負荷になっていました」 (齋藤 氏)。

「今後、見たいコンテンツを支払いたい課金形態のもとで選ぶ世の中になっていきます。ストレージ コストや複数 DRM への対応という課題を解決することは、そこへ投じていたリソースをサービスに還元できることを意味します。先々を見通した場合、『見たいコンテンツを常に取り揃えられる』基盤を構築することが急務と考え、2013 年より具体的な検討を開始しました」 (濱田 氏)。

<システム概要と導入の経緯、構築>
楽天ショウタイムの構想と Microsoft Azure Media Services のロードマップが合致し、採用を決定

写真:日本マイクロソフト株式会社 クラウド&ソリューションビジネス統括本部 Azure ソリューション技術部 クラウドソリューションアーキテクト 川崎 庸市 氏

日本マイクロソフト株式会社
クラウド&ソリューションビジネス統括本部 Azure ソリューション技術部 クラウドソリューションアーキテクト
川崎 庸市 氏

写真:日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 テクニカルエバンジェリスト 畠山 大有 氏

日本マイクロソフト株式会社
デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 テクニカルエバンジェリスト
畠山 大有 氏

あらたな動画配信の基幹システムとして、楽天ショウタイムではまず、ストレージのクラウド化をすすめたといいます。

「オンプレミスと異なり、クラウドは容量を柔軟にサイジングできます。コスト最適化のアプローチとしてまずは、ジャンルごとにわけたストレージを段階的に、クラウドへ移行していきました。サービスの根幹たるコンテンツが保存されますので、信頼性と柔軟性が高い事業社の中から、いくつかのクラウド サービスを併用して利用しました。Microsoft Azure Storage も、その中の 1 つとして採用したのです」 (齋藤 氏)。

しかしストレージのクラウド化は、根本的な課題解決には結びつかなかったと、濱田 氏はつづけます。

「コンテンツ増強時の対応や、偏りが発生するストレージ容量のコスト調整はたしかに行えました。しかし、配信形式やビットレート、DRM ごとにファイルを準備するという運用は依然変わりません。総容量や運用工数の削減を行うためには、配信システムを変更しなければなりませんが、当時私どもの課題を解決するソリューションは見当たらなかったのです。配信システムを自社で開発することも視野に入れ、最適なシステムについて構想しつづけていました」 (濱田 氏)。

そんな折、密にかかわるようになった日本マイクロソフトより招待を受けた顧客向けプログラム「Executive Briefing Center (EBC) 」への参加が、大きな転機となったといいます。EBC では、当時、米国マイクロソフトが開発を進めていたコンテンツ配信システムである Microsoft Azure Media Services のロードマップが開発マネージャーより示されましたが、そのアプローチが、濱田 氏の構想と大きく合致していたのです。

「感銘を受けたのは『Dynamic Packaging』と呼ばれるもので、これは自動的に配信するデバイスやビットレートに合わせて動画ファイルをトランスコードする技術になります。動画ファイルは視聴先に最適化した形へ自動変換のうえ配信されます。さらに DRM についても『Dynamic Encryption』という技術によって、配信時に事前設定した方式で暗号化がされます。その結果、ストレージ側で用意する動画ファイルは 1 つでよく、DRM に関する作業も必要なくなります。当社のビジョンと合致しているうえ、それを実現するための技術のロードマップも具体的で、『求めていたのはこれだ』と思いました。マイクロソフト様へは、もともとメディアに強いという印象を抱いていましたので、これまでにないサービスを展開していくことにも信頼と確信も持つことができました。少し大げさかもしれませんが、その場で採用を決めたと言っても過言ではありません」 (濱田 氏)。

「複数社のクラウド サービスを併用していたストレージ面も、Azure Media Services の採用を契機に、Azure Storage への統一化を決定しました。2013 年のタイミングではまだロードマップの提示まででしたので、マイクロソフト様のロードマップとサービスの提供状況を考慮して切り替えを進めることとなりました」 (齋藤 氏)。

ロードマップが具体的に実装された 2015 年 3 月より、楽天ショウタイムでは、基幹システムの切り替えへ向けた検証が開始されました。ただ、それまでの期間も同社では、日本マイクロソフトのソリューションアーキテクトやエバンジェリストらと密に連携し、スムーズに切り替え作業が開始できるよう準備をすすめたといいます。両社の取り組みについて、日本マイクロソフト側の担当者である日本マイクロソフト株式会社 クラウド&ソリューションビジネス統括本部 Azure ソリューション技術部 クラウドソリューションアーキテクト 川崎 庸市 氏は、当時を振り返ります。

「楽天ショウタイム様は、メディア事業にまつわるビジネスや技術について深い見識をお持ちでした。お客さまが求めていることを詳しくヒアリングし、必要な技術や実装方法の支援を継続的に行わせていただきましたが、米国本社へもニーズを伝えることで、当社サービスの開発面においてもよい影響を与えてくださったと感じています」 (川崎 氏)。

米国マイクロソフトのエンジニアも、楽天ショウタイムの取り組みには高い関心を持っていました。米国本社との橋渡し役を担う日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 テクニカルエバンジェリスト 畠山 大有 氏は、つぎのようにつづけます。

「これほどのシステム規模で単一の動画配信サービスを展開している企業は、グローバルでもあまり例がありません。開発チームにとっても、サービスの提供や実装方法についてのフィードバックは非常に参考になります。ご要望をいただいた点をできるだけサービスに反映できるよう務めることで、Azure Media Services 自体もより使いやすいものになっていると思います」 (畠山 氏)。

ベンダーとの密な連携もあり、検証作業はスムーズに終了。2015 年 8 月からは Azure への移行作業が開始され、同年 12 月までには、ほぼすべてのコンテンツと基幹システムの移行が完了しました。過去のコンテンツのみでなく、現在新規に提供されるコンテンツもすべて、Azure 上の新たなプラットフォームから配信されています。

図:システム構成図

Azure Media Services を利用することで、ストレージ側で用意する動画ファイルはオリジナルのもの 1 つでよくなる[拡大図]新しいウィンドウ

<導入の効果>
5 分の 3 にまで削減されたトータル コストがもたらす、サービス品質の向上

Azure Media Services と Azure Storage への移行は、想定以上に大きな効果をもたらしました。まずあげられる点に、ストレージ容量の圧縮があります。

「1 つの動画ファイルから複数の配信形式、DRM 方式を自動的にトランスコードのうえで配信できるようになりましたので、保存容量を劇的に圧縮することができました。具体的には、従来の 4 分の 1 ほどまでストレージ コストを削減できたと考えています」 (濱田 氏)。

ファイル管理における運用工数も考慮すると、その効果はさらに高いと齋藤 氏はつづけます。

「毎月、数千本以上の新たなコンテンツが配信開始されますが、その 1 つひとつについて配信形式や DRM 方式ごとに別のファイルを準備する作業がなくなりました。また、配信で何かトラブルがあった場合、従来ですと配信時に作成するビットレートや配信形式ごとのどのファイルに問題があるのか、保存しているオリジナルのファイルそのものに問題があるのかといった『問題の特定』が必要でした。現在は、動画ファイル 1 つだけを確認し対応すればよく、運用面での工数削減は大きなものだと感じます。トータル コストでみると、5 分の 3 にまで圧縮できたのではないでしょうか」 (齋藤 氏)。

「運用の最適化は、サービス品質へ還元することができます。たとえば配信時のトラブルについても、問題特定までのリード タイムを短くできれば、お客さまの動画視聴を安定化できます。コンテンツの配信準備が簡略化できれば、定期的に、まとまった数のコンテンツを新たに提供しやすくなります。Azure を採用したことで、『見たいコンテンツを常に取り揃えられる』基盤の構築が行えたのだと実感しています」 (濱田 氏)。

<今後の展望>
日本マイクロソフトと連携し、新たなビジネス展開を計画

日本マイクロソフトとビジョンを共有することで、先進的な取り組みを進められるようになったことも大きなメリットだと濱田 氏はつづけます。

「楽天ショウタイムでは現在、ライブ配信についての取り組みを強化していますが、インフラや技術面についてマイクロソフト様へ協力いただき作業を進めています。具体的には、ライブ配信のワークフローの簡素化や、ライブ配信の最中に広告を入れるしくみづくりなどがあげられます。リクエストも多々出させていただいていますが、それに対する回答も早く正確ですので、厚く信頼できるパートナーとして、一緒に新たなビジネスを進められるのです」 (濱田 氏)。

「単なる顧客とベンダーの関係ではなく、ともに市場を開拓していくパートナーとして捉えていただけるよう、マイクロソフトとしてはサービスの改良と技術支援をもって取り組んでいきたいと思います」 (畠山 氏)。

Azure Media Services と Azure Storage の採用により、コンテンツ拡充とサービス品質向上のさらなる加速が期待される楽天ショウタイム。「『このサイトで提供していないコンテンツがない』ことを目指します」という濱田 氏の力強い目標へ向け、同社サービスは Azure を活用し、より高い価値を提供していきます。

集合写真

写真左より:日本マイクロソフト 川崎 氏、飯田 氏、楽天ショウタイム 濱田 氏、齋藤 氏、日本マイクロソフト 畠山 氏

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