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導入事例

 様に導入

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楽天株式会社

 様に導入

グローバルに急拡大する "楽天主義" の実践を支えるクラウド サービスに、Office 365 を採用。プロフェッショナリズムの徹底を支援する柔軟かつセキュアなプラットフォーム構築で、増え続ける人員、世界の拠点への対応をさらにスピード化

「世界一のインターネット・サービス企業」を目指し、グローバルなビジネス展開を加速させている楽天株式会社。"スピード" を重視する同グループでは、国内における人員の増強と、M&A により増え続ける海外拠点を統合するメッセージング環境を、コストを抑えると同時にスピーディに整えていくために、Microsoft Office 365 の Exchange Online を採用。さらに、インターネット経由でどこからでも利用できる Exchange Online をよりセキュアに利用するために、Active Directory フェデレーション サービス (AD FS) を活用することで、社内の認証基盤とリモートで連携。VPN 経由で Exchange Online にアクセスするセキュアな環境を実現しています。

<導入の背景>
「スピード!! スピード!! スピード!!」――"楽天主義" に資するクラウド活用へ

楽天株式会社 (以下、楽天) を中核として E コマース、トラベル、ポータル、金融、電子書籍など、さまざまなサービスをグループに加え、あらゆるサービスをネット上からワンストップでユーザーに提供する体制を強化している楽天グループ。他に類を見ないエコ システム=「楽天経済圏」を実現している同グループは、「世界一のインターネット・サービス企業」を目指して、2008 年からグローバルへの進出を本格化。台湾、タイ、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、ブラジルと、時を重ねるごとに、着々と世界の市場へと進出。そのビジネスを勢いよく拡大しています。

楽天株式会社
Executive Officer &
Vice Executive Director
Jonathan Levine

ビジネスの拡大を受けて、国内の人材募集も加速。「人は財なり」をモットーに、新卒・中途を合わせ、優秀な人材を大量に採用し続け、日本国内だけで従業員数 10,000 人を突破しています。
そして、この人材流入の多さに、ダイレクトに影響を受けていたのが、メール システムでした。たとえば 100 ユーザー分のアカウントとメール ボックスを追加するために、数千万単位の予算をかけてサーバーとストレージ、そして必要なライセンスを調達し、3 か月単位のプロジェクトに取り組むという、大きな負担が生じていました。

この課題を解決する最善の方法がパブリック クラウド サービスの活用であったと、楽天 Executive Officer & Vice Executive Director Jonathan Levine 氏は話します。

「メールは、企業活動にとって、電気や水、そして空気のように、なくてはならないインフラです。しかし、オンプレミスのまま、必要十分なインフラを維持するには、多大なコストがかかります。グループ情報システム部のメンバーも、メール システムの運用管理に、非常に多くの時間を割いてきました。しかし、SaaS (Software as a Service) のクラウドならば、必要なインフラを、より早く、より簡単に手に入れることができます。蛇口をひねれば水が出るように、サービスを購入するだけで、楽天グループを支えるメッセージング インフラがすぐに整うのです」。

SaaS の採用を決めた楽天では、Microsoft の Office 365 と Google Apps を詳細に比較。その結果、「ログの取得とセキュリティの徹底」、「ユーザビリティの高さ」、「中国を含むグローバルでの活用」という 3 点を主な理由として、Office 365 の Exchange Online を採用しています。
Levine 氏は次のように話します。
「当グループの根幹を成す "楽天主義" にある『成功のコンセプト』の 5 つ目に、『スピード!! スピード!! スピード!!』という項目が挙げられていますが、この言葉こそ、当社の IT 戦略に大きく関わっています。インターネット サービスを提供する業界では、スピードこそが競争を優位に進めるために、欠かせない要素だからです。そして、SaaS のクラウド サービスを活用することで、情報システム部の負担を減らすことができ、そのリソースをそのほかの、コアな業務に充てられるようになりました。つまり、インフラ整備にかかる時間を短縮しただけではなく、業務全体のスピードを高めることができたのです」。

<システム概要>
社外からのアクセスをセキュアにし、ストレスレスなワーク スタイルを創出

楽天がメッセージング環境をオンプレミスからクラウドへ移行するにあたり、もっとも重要視したことが、「セキュリティに、わずかな隙間も作りたくない」ということでした。
通常、Exchange Online には、インターネットを経由すれば、どこからでも、どの端末からでもアクセスできるようになっています。そこで楽天では、Exchange Online へのアクセスを VPN 経由に限定し、より優れたセキュリティを実現するために、マイクロソフトの サポート サービスの協力を得ながら、Active Directory フェデレーション サービス (AD FS) を活用し、社内の Active Directory と認証連携を実現。会社から支給したノート PC を使って社外からログインしてきたユーザーがすべて、VPN 環境にリモート アクセスした安全な状態で Exchange Online を利用できる環境を整えています。

楽天株式会社
グローバル情報システム部 副部長
塩谷 克利 氏

そのため、ユーザーである 10,000 人以上の従業員は、社内システムにログインするための ID とパスワードを入力するだけで Exchange Online にアクセスでき、安心して、どこからでもメールを利用できるようになっています。さらに、私物端末である iPhone や Windows Phone のアクティブシンク機能も AD FS で認証連携し、セキュアにメール利用できるようになっています (私物のスマートフォンの利用には、事前の申請が必要)。

Office 365 の Exchange Online による楽天のメッセージング環境

  • AD FS を活用し、社内の認証基盤と連携。どこからアクセスしても VPN 経由でメールを利用
  • スマートフォンも Exchange Online とのアクティブシンク機能を使い、AD FS と連携

こうして、セキュアに、フリーロケーションで活用できるメッセージング環境を構築することのできるサービスは、Exchange Online だけだった、と楽天 グローバル情報システム部 副部長 塩谷 克利 氏は話します。

「グローバルで SaaS のクラウド サービスを提供している IT パートナーは限られています。そこで、Google Apps と詳細に比較検討しましたが、当社の要望するセキュリティ要件を満たすことができるのは、Office 365 だけでした。AD FS を使った今回の仕組みのように、ユーザーに意識させず、システム側で最低限の安全を保証することは非常に重要です。セキュリティの遵守を『人に依存』してしまうと、ユーザーの負担になりますし、いざ何かが起きた場合には誰かを疑わなくてはなりません。そうした状態は、お互いに不幸ですから」。

さらに塩谷 氏は、長期的な視野をもって Office 365 を選択したことを強調します。
「場当り的な戦略は、時が経つと大きな歪みを生んでしまいます。ですから、Office 365 に限らず、すべてのソリューション選択に際しては、ある程度将来的な展望も踏まえた上でも選定を行っています。Office 365 でいえば、まずグローバルで活用できる、スタンダードなサービスであるということ。インターフェイスも多言語に対応していますし、サポート体制もグローバルで整えられています。そして、当社がグローバル戦略を強めていく中で頼りにする IT パートナーとして、マイクロソフトが非常に心強い存在だということも挙げられます」。

<導入効果>
秒間 100 通ものメールが飛び交う環境の運用負荷を劇的に軽減

Office 365 の Exchange Online 導入後の状況について楽天 グローバル情報システム部 インフラサービス課 磯田 典宏 氏は、「秒間 100 通以上が流れているメールを、何の問題なく支えている」と話します。
「正確に言えば、秒間 100 通というのは、5 ~ 6 年前に測定したピーク時の数値です。従業員数が 10,000 を超えた今は、もっと多くなっているでしょう。それだけでの規模で、問題なく稼働しているということになります」。

楽天株式会社
グローバル情報システム部
インフラサービス課
磯田 典宏 氏

楽天株式会社
グローバル情報システム部
インフラサービス課
五十嵐 洋行 氏

さらに磯田 氏は、「ユーザーにとっての一番のメリットは、メールボックス容量が大幅に増えたこと」にあると続けます。
「オンプレミスでメッセージング環境を構築していた時には、1 人あたりのメールボックスが 350 MB しかありませんでした。しかし、今は 25 GB もの大容量を提供できています。また、1 通あたりの送信サイズも制限していたのですが、今はあまり容量を気にすることなく、ファイルを添付できるようになりました。ユーザーにとっては、非常に大きな変化だと思います」。

そして、メールボックス容量の変化は、管理する側にとっても非常にメリットが大きかったと、グローバル情報システム部 インフラサービス課 五十嵐 洋行 氏は言います。
「メールボックスが 350 MB しかなかった時には、常にユーザーに対して『メールを削除してください』とアラートしていました。そうしてユーザーには、大切なメールをローカルの HDD に保存して、サーバー上のメールを削除してもらいながら、私たちの部門で、毎週のようにメール ボックスの容量を均等に戻すためにメンテナンスを行っていました。しかし、今はメールボックスの容量に余裕があります。稼働も安定していますので、私たちがメンテナンスに手を焼くことはほとんどなくなりました」。

また、「ユーザー数が増えた場合でも、これまでのように大規模なプロジェクトを組む必要もなく、Office 365 のライセンス数を増やすだけで済みます。ストレージの心配もありません。これまで、ユーザーの増員に合わせてインフラを拡張するために 3 か月を要していたのが、今では 1 ~ 2 週間で完了するのです。今は、新卒採用者だけでも約 400 名が入社してきますので、増設にかかる時間とコストが大幅に軽減されたのは非常にありがたいです」と、磯田 氏は笑顔をのぞかせます。

Levine 氏は言います。
「今までメール システムの保守やサポート対応に費やされてきた労力は劇的に減りました。まだ "ノータッチ" とまでは行きませんが、ほとんど手がかからなくなったことは事実です。データセンターにメンテナンスのために待機していたスタッフが、解放されたのです。そのおかげで私とチームは、メール関連の課題にとらわれず、ビジネスにどれだけの価値を実現できるか、どれだけビジネスを前進させるかを自由に考えることができます。Office 365 の導入は、時間と人的なリソースを、ビジネスのコアとなる業務に注力するために優先的に振り分けることに貢献しています」。

<今後の展望>
テクノロジーとサービスの進歩に柔軟に対応し、常に "ベスト" の選択を

楽天グループのコミュニケーションを支える情報共有基盤には、Microsoft SharePoint Server や Microsoft Lync Server の前身である Microsoft Office Communications Server がオンプレミスで活用されています。共に、Office 365 のサービスとしてもラインアップされていますが、「Office 365 の他のサービスについては、まだ評価中」であると、Levine 氏は言います。
「今、オンプレミスで稼働していた社内システムを、プライベート クラウド環境へ移行することを推奨しています。ポータルやワークフローといった活用に関しては SharePoint Server も、プライベート クラウドへ移行することで大幅にコストを削減することができるでしょう。しかし、ストレージの確保が重要なシステムになると、プライベート クラウドでスケール メリットを得ることが難しくなります。Exchange Online を採用したのも、ストレージ調達に関するコスト メリットが明確だったからです。SharePoint も、ファイル サーバーとしての側面が大きなウェイトを占めれば、Office 365 を利用する方がコスト メリットが大きいのかもしれません。さらに、社外に出してよいデータと、社内で厳重に管理すべきデータをきちんと分類し、セキュリティや監査に関する要件をクリアすることがクラウド サービス採用の大前提になります」。

しかし、「現状における判断は、あくまでも現状におけるものでしかない」と塩谷 氏は強調します。
「"楽天主義" の『成功のコンセプト』の中で『スピード!! スピード!! スピード!!』が引き合いに出されることが多いのですが、私たちグループ情報システム部にとって、『常に改善、常に前進』、『Professionalism の徹底』という 2 つのコンセプトもとても重要です。プロフェッショナルとして、現状に満足することなく、改善を積み重ねていくのは当然のことです。これは、今後のクラウド活用についても同じことです。SharePoint Online と Lync Online を使用していないのは、あくまでも現状の判断です。今後のアップデートによる機能の追加など、状況が変われば、判断も変わります。私たちとしても、運用と保守のフェーズを外部化できるシステムは、どんどんと外部化して、私たち自身のリソースを、よりコアな業務へと集中させ、『考える集団』という形に発展させることができれば、より生産性が高まっていくだろうと期待しています」。

明確なクラウド活用のビジョンを持ち、常に改善と前進を心掛けている楽天では、Windows Azure についても検討していると、Levine 氏は話します。
「今回導入した AD FS を提供する Active Directory サービスはオンプレミスで稼働しているのですが、これもクラウド化して、重要課題である BCP (Business Continuity Plan) の強化を図りたいと思います。その候補として、Windows Azure も検討しています。Azure についてはまだ検討を開始したばかりですが、PaaS (Platform as a Service) というアイデアは、非常に魅力的だと思います。将来的に追求していきたいと思います」。

最後に、Levine 氏は言います。
「私は、マイクロソフトにいつも期待してきました。今後も、それは変わらないでしょう。そして、マイクロソフトがクラウド サービスのプロバイダーとなる以上、企業ごとの特性に応じたカスタマイズの必要性やパッケージとしての柔軟性などを巡って、マイクロソフトによる製品の定義と管理の方法、そして顧客である当社や他の企業との対話が非常に重要になります。誰にとっても役立つと思われる要素をまず見極め、それ以外の要素については顧客と連携しながら必要性を検討していく。そのような製品管理とパートナーシップがクラウドの時代に必要になっていくことでしょう。さらに言えば、マイクロソフトは、自社の製品、サービスを活用して、世界中の拠点を支えています。これは、当社にとっても、非常に参考になる事例です。今後の、マイクロソフトとのパートナーシップの中で、さまざまなアイデアとサポートが得られることを楽しみにしています」。

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