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導入事例

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ぴあ株式会社

 様に導入

Windows Azure と DO!BOOK[SV] による電子書籍クラウド サービスを活用し、「ぴあ」を復刊。大容量のログを収集、分析することで次代の出版ビジネスに布石

書棚のようなデザインを採用した「ぴあ+ 〈plus〉」

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今週見られる映画情報のみを一冊にまとめた「通常号」

今週見られる映画情報のみを一冊にまとめた「通常号」

ぴあ株式会社では、2011 年 12 月より電子書籍サービス「ぴあ+ 〈plus〉」の試験運用を開始しています。スマートフォンやスレート端末の急速な普及によって、ユーザビリティが多様化する中にあって、デジタルネットワーク社会に相応しい情報・サービス提供のあり方を模索する同社では、「ぴあ+ 〈plus〉」が読者にどのように読まれているかのログを収集、ノウハウを蓄積しています。電子書籍市場が確立されておらず、サービス開始に際して多額のコストはかけられないという制約が存在する中、「ぴあ+ 〈plus〉」の実現を可能にしたのが Windows Azure Platform をベースとした電子書籍クラウドサービス「DO!BOOK[SV]」でした。

<導入の背景とねらい>
最新の電子媒体における「最適な情報の見せ方」を模索するために
ネット版「ぴあ」の提供を開始

ぴあ株式会社
メディア局 映画グループ グループ長
兼「ぴあ映画生活」編集長
岡 政人 氏

ぴあ株式会社 (以下、ぴあ) では、40 年近い年月に渡って愛されたエンタテインメント情報誌「ぴあ」を、インターネットの普及を背景に「情報誌としての役割を終えた」として 2011 年 7 月に休刊。映画情報の提供に関しては、国内最大級の映画情報サイト「ぴあ映画生活」に、その役割を託すことになりました。

しかし、2011 年 4 月に「ぴあ」休刊を発表した直後から、復刊を望む読者の声が予想以上に届いていたと、ぴあ メディア局 映画グループ グループ長 兼「ぴあ映画生活」編集長 岡 政人 氏は振り返ります。
「『ぴあ』は、複数の映画館と上映作品、そして上映時間までをカレンダー形式で徹底的に一覧表示させることにこだわった情報誌でした。東京などは映画館が多いですから、誌面を眺めれば "この劇場とあの劇場ならばどちらが都合が合うか" という具合に横断的に情報を俯瞰して探せます。『ぴあ映画生活』でも内容としては同じ情報を網羅しているのですが、"観たい作品も映画館も決まっていない" 時は『ぴあ』のスケジュール表の方が探しやすかったため、"スケジュール表がなくなると困る" という声が非常に多く寄せられたのです」。

こうした声に後押しされ、同社では「ぴあ」のネット化について検討を開始したと、岡 氏は説明を続けます。それは、PC だけではなく、スマートフォンやスレート端末などのマルチデバイス対応を前提として、雑誌を最適な形でネット化する方法を模索する取り組みでもありました。
「たとえば『ぴあ映画生活』のスマートフォン版では、PC 版や携帯版とは違い、作品情報を一画面に大量に並べて表示しています。指で画面を素早くスクロールできるので、ページが上下に極端に長くともストレスなく閲覧できるからです。情報の一覧性という意味では紙に近いです。そういった、デバイス別の見せ方の違いを深く追求してきた経験から、『ぴあ』のネット化も、見せ方のバリエーションとして、従来の Web 版とはまた別の可能性があると考えたのです」。

こうして「ぴあ」休刊からわずか 5 か月後、12 月 16 日に「ぴあ+ 〈plus〉」の名称で、ネット版「ぴあ」の試験運用を開始。この短期間でネット化できたのは、日本デジタルオフィス株式会社 (以下、日本デジタルオフィス) が提供する DO!BOOK[SV] との出会いがあったからだと、岡 氏は強調します。
「DO!BOOK[SV] には、PDF を登録し、必要な設定を行うだけで電子書籍を公開できる手軽さと、将来的なビジネス展開にも役立つ充実した機能が揃っていました。さらに、従量課金で活用できる Windows Azure Platform がサービス提供基盤となっていることで、『ぴあ+ 〈plus〉』をスモールスタートさせることにも適していました」。

<Windows Azure Platform のメリット>
必須となるデータ分析を見越し、SQL Azure に、大容量のデータを蓄積

DO!BOOK[SV] コンテンツメンテナンス画面 (イメージ)

DO!BOOK[SV] コンテンツメンテナンス画面 (イメージ)
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ぴあが、Windows Azure Platform を活用した電子書籍クラウド サービス DO!BOOK[SV] の採用を最終決定したのが、2011 年 11 月のことでした。12 月 15 日に控えた「【スタジオジブリ公認】電子ジブリぴあ」公開と、翌 16 日の「Weekly ぴあ+ 創刊号」公開まで 2 か月足らずの期間しかありませんでしたが、無事にサービスインを果たしています。

「ぴあ+ 〈plus〉」には、東京エリアの映画情報を中心とした「通常号」のほか、大阪エリアと名古屋エリアの「映画館スケジュール」、や新作チラシ集等の「増刊号」、そしてさまざまな映画とタイアップした「特別号」などが揃っています。こうして多彩なラインアップの揃う「ぴあ+ 〈plus〉」を、HTML5 を採用したマルチデバイス対応の Web コンテンツとして幅広い読者に向けて公開されています。
各号は、雑誌「ぴあ」制作時のノウハウをそのままに、ぴあ社内で PDF を作成。DO!BOOK[SV] のフォルダに PDF をドラック & ドロップするだけで自動的に、「目次」や「ページ一覧」、そして SNS (Social Networking Service) 連携機能などを有した電子書籍が生成され、公開できるようになっています。
そして「ぴあ+ 〈plus〉」の試験運用を次の一手へとつなげるために重要となっているのが、膨大なログデータを保存しておける SQL Azure の存在でした。日本デジタルオフィス 代表取締役社長 濱田 潔 氏は、次のように説明します。
「SQL Azure には、ページを表示したサイズや、"どこ" を "どれだけの時間" 参照していたかといったログデータをすべて保存しています。データ量は膨大ですが、SQL Azure であれば容量を気にすることなく、蓄積していくことができます。今は DO!BOOK[SV] の分析機能がヒートマップとアイトラッキングに絞られていますが、今後はもっと多彩な分析にログデータを活かせるように検討を進めているところです。将来的にはたとえば "Facebook ユーザーのうち、20 代と 30 代が読んでいる箇所がここ" という具合にデータを抽出することも可能でしょう」。

岡 氏も、今後のデータ分析に大きな期待を寄せています。
「『ぴあ+ 〈plus〉』は、紙媒体の単純な代替ではなく、新しい広告モデルを模索する取り組みでもあります。DO!BOOK[SV] でログデータを詳細に分析することで広告の掲載方法や画面上の位置、そしてクリエイティブの手法などさまざまなナレッジを得ることができるのではないかと期待しています。今、こうした分析のために SQL Azure に蓄積しているデータは、オンプレミスでサーバー実機を調達していた場合、とても予算内では対応できないほどの量になっています。Windows Azure Platform を活用した DO!BOOK[SV] だからこそ、できたチャレンジだと思います」。

<導入効果と、今後の展望>
人気の投稿コーナーを SNS 連携によって復活させるなど、新しい魅力で競争力を強化

「ぴあ+ 〈plus〉」は、Windows Azure Platform をサービス提供基盤としており、アクセス数の急増にも耐えられる利点を持っています。そのため、映画のプロモーションなどに多彩に応用できるのではないかと、岡 氏は話します。「たとえば、スレート端末を来館者の閲覧用として映画館に配布することで、ペーパーレスかつインタラクティブな広告商品を展開することも考えられます。あるいは、映画のパンフレットを電子書籍化して販売することも考えられるでしょう。こうした可能性を活かし、まずは『ぴあ映画生活』の広告モデルに、新しい価値を付加することができるのではないかと期待しています」。

こうして新しい広告モデルの確立を目指す一方で、ネット版ならではの「楽しさ」を読者に提供することも忘れてはいません。2012 年春には、雑誌「ぴあ」の人気コーナーであった「はみだし YOU と PIA」を SNS 連携によって復活させる予定とのこと。
「単に誌面の焼き直しではなく、Facebook や Twitter と連携した形での新しい読者交流の場として復活させる予定です。こうした新コンテンツの開発やデザインの工夫を重ねることで、より魅力的な『ぴあ+ 〈plus〉』にしていきたいと思います。将来的には日本デジタルオフィスさんに、Windows Azure 上に独自の決済サービスを構築いただき、ネット版『ぴあ』各誌を販売できるようになれば理想的です。濱田さんからは、Windows Azure Platform であれば、オンプレミスの Microsoft SQL Server と SQL Azure との連携が容易であるため、決済用のパッケージに、出版社ごとのニーズに合わせたカスタマイズを加えてサービス提供することも難しくないと聞いています。これが実現されれば、新しいビジネスモデルの可能性が出てくるはずです」(岡 氏)。

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