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大手前大学

 様に導入

学生 1 人 1 台の端末提供を視野に Surface を導入
さまざまな学びの可能性を検証して理想のキャンパス作りを目指す

写真:大手前大学

大手前大学

学生のほとんどがスマートフォンを利用し、デバイスが多様化する中で、タブレット端末を大学教育に活かしていくことは非常に重要な課題となっています。学校法人 大手前学園が運営する大手前大学では、システムやサービス、インフラ面で ICT を充実させ、「教育基盤システム整備プロジェクト」を推し進めていく中で、タブレット端末として Windows RT 搭載の Microsoft Surface を採用。学生 1 人 1 台への提供を目指して、さまざまな取り組みを行っています。

<導入の背景とねらい>
3 年計画の ICT 整備プロジェクトの中で
学習に活用できるタブレット端末を検討

大手前大学
現代社会学部 准教授
情報メディアセンター長
畑 耕治郎 氏

兵庫県西宮市のさくら夙川キャンパスと兵庫県伊丹市のいたみ稲野キャンパスの 2 つのキャンパスを構える大手前大学は、現代社会学部、総合文化学部、メディア・芸術学部の 3 学部で、4 学年合計で約 2,500 名の学生が通う大学です。学部の枠を超えて自由に専攻を選択でき、途中で専攻を変えることができる「Myカリキュラムスタイル」を取り入れていることも、大手前大学の大きな特長の 1 つです。

大手前大学では、2008 年から全学で e ラーニング システムを整備し、学生ポートフォリオなどの授業支援システムを充実させるなど、大学教育における ICT 活用に取り組んできました。2012 年からは教育基盤システム整備プロジェクトを推進し、かねてより就業力育成支援室が中心となって取り組んできた「C-PLATS」と呼ばれる、就業力育成システムも実装。行動基盤、思考基盤、社会基盤などの 10 項目のスキルをチェックして問題解決力を身に付ける取り組みも行われています。

「これまで、学内にある学生や教育に関する豊富なデータを有効に活用できていないという課題がありました。そこで、ICT を使ってこれらの課題を解決していこうと提案し、教育基盤システム整備プロジェクトを推進してきました」と大手前大学 現代社会学部 准教授 情報メディアセンター長の 畑 耕治郎 氏は話します。

このプロジェクトによって、さくら夙川キャンパス全体で利用できる無線 LAN の整備を行ったことにより、学生 1 人 1 台のタブレット端末を利用してキャンパス内のどこでも学習できる環境を整えることを考え始めました。大学内では、PC 教室や図書館などにデスクトップ PC や貸し出し用のノート PC が用意されていますが、学期末やレポートの時期になると台数が足りなくなるため、台数を増やすためにも新たな学習モデルの実現が期待できるタブレット端末をできるだけ安価に導入することが必要となってきました。「教育やキャンパス ライフの中にあたり前のようにタブレット端末があり、PC 教室に移動したりせずに、使いたいときにすぐに利用できる環境を作りたいと考えたのです」と畑 氏は話します。

2013 年の夏ごろから検討を始めた大手前大学では、小型軽量、低価格、Microsoft Office の利用、学内システムとの親和性、運用/管理といったさまざまな要求仕様を比較しながら、今後利用するタブレット端末の選定を行っています。

<導入の経緯>
情報を得るだけでなく発信できるツールとして
タイプ カバー付きの Surface を採用

学校法人 大手前学園
情報メディアセンター
主任
西尾 信大 氏

学校法人 大手前学園
情報メディアセンター
主任
谷本 和也 氏

大手前大学
現代社会学部 准教授
学習支援センター
コーディネーター
石毛 弓 氏

さまざまな OS や機種を検討したと話す大手前学園 情報メディアセンター 主任の西尾 信大 氏は、最終的に Windows RT が搭載された Surface を選択した理由について、次のように話します。「iPad や Android 端末も検討しましたが、情報を得るツールとしては利用できても、ドキュメントを作り込んだり、情報発信するツールとはなりにくいという印象を得ました。学生がレポートやプレゼンテーションで利用する Office が利用できることや Flash コンテンツに対応できること、コスト面を考えると、安価に導入できる Surface が最適だと考えました。マイクロソフトが出している端末なので、将来的にも同じ仕様のパワーアップした製品が継続的に供給されるという期待もあります」。

また、畑 氏も次のように続けます。「ほとんどの学生がスマートフォンを持っていますが、それらの学生に大学から iPad や Android 端末を提供しても、スマートフォンと同じような使い方しかできないのではないかという不安がありました。その点、Surface であれば、閲覧するだけでなく、Microsoft PowerPoint や Microsoft Excel も使ってレポートや資料をしっかり作ることができ、スマートフォンとの差別化が図れます」。

将来的に学生 1 人 1 台のデバイスを提供することを目指し、2013 年 9 月に 55 台の Surface を検証用に導入。授業での利用や運用管理でさまざまな検証を行いました。その際に課題となったのは、Windows 8 搭載の Microsoft Surface PRO ではなく、コスト面で Surface を選択したことでした。大手前学園 情報メディアセンター主任の谷本 和也 氏は、次のように話します。「学生に貸し出す PC なので、返却後は環境を元に戻す必要があります。Windows 8 は環境復元ツールや管理ツールが充実していますが、Windows RT は新しい OS であるため、これらのツールはまだ提供されていませんでした。しかし、これまで蓄積してきた管理手法を活かせば、これらの問題も解決できると判断しました」。

具体的には、固定プロファイルを使って、前回利用したユーザーの情報が端末に残らないようにすることで、不特定多数のユーザーが利用できるようにしています。また、共有フォルダーなどにアクセスするために、バッチ ファイルで「net use」コマンドを利用し、個々のユーザーがネットワーク ドライブを利用できるように設定し、利用するデータをネットワーク上に置いて、ローカルのクライアントには情報が残らないようにしています。

オプションでタイプ カバーが利用できることも、Surface の利点の 1 つでした。「iPad や Android でキーボードを使うのであれば、別途 Bluetooth 機器やスタンドを用意しなければなりませんが、これらの別機器の管理や使い勝手は良いものとは言えません。Surface はスタンドが付いており、デザインが秀逸なカバーがそのままキーボードになるため、折りたたんで持ち運べることが先生にも好評でした」 (谷本 氏) 。

普段、さくら夙川キャンパスでは、カートに Surface を載せて充電し収納しています。また、いたみ稲野キャンパスで Surface が必要になったときには、市販のノート PC 用のトート バックに 5 ~ 6 台を入れてシャトル バスで持ち運びます。実際に、PC を使った授業などを行っている大手前大学 現代社会学部 准教授 学習支援センター コーディネーターの石毛 弓 氏は、以前に 50 台のノート PC をキャンパス間で移動させた苦労を振り返ります。「ノート PC といえども、さすがに 50 台ともなると、とてもシャトル バスでは運べないため、大き目の車に積み込んで、他の先生に運転をお願いしなければなりませんでした。Surface は、多くの台数が必要な場合もトート バックに分けてシャトル バスで運べるので便利ですね」。

<導入効果>
軽量かつコンパクトでキーボードが使え
さまざまな使い方でグループ作業が行える

大手前大学では、導入した Surface を既に授業でも利用し、その効果を実感しています。「授業の前半は対面でのディベートを行い、後半は Surface でオンライン上の掲示板を使ったディベートを行いました。学生からは、口頭でディベートしてメモを取るよりも、文字情報を目で見たほうが理解でき、整理しやすいといった反応が出てきました」と石毛 氏は話します。グループどうしのディベートで PC を使う場合、デスクトップ PC では個々の席が離れているため話し合いが行いにくく、ノート PC であっても大きさや電源コードなどで使いづらくなります。しかし、Surface は学生達がそれぞれの役割の中でキーボード入力したり、タブレットとして使って画面を見せ合ったり、さまざまな使い方ができるため、「グループで顔を突き合わせて 1 つのことを行うのに適している端末だと感じました」と石毛 氏は説明します。

最初は学生が操作に迷って授業が進まなくなることが不安だったと話す石毛 氏は、学生達がすぐに端末を利用できるようになったことを明かします。「タブレット端末を使ったことがある学生は少なかったのですが、すぐに使えるようになりました。PC が苦手な学生も、すぐに使えて触りながら操作を覚えていきました」。また、次の授業では、前半にオンラインによるディベートを行い、後半に対面でのディベートを行ったところ、多くの学生はそのまま Surface を利用してメモ帳代わりに使ったり、相手が言っていることが正しいかなどをその場でデータと照らし合わせたり、検索するなどの使いこなしができていたと言います。

他の先生の授業では、専門知識を検索できるアプリや辞書、電子書籍などのアプリを事前にインストールして活用しています。これらのアプリが充実してきたことも、今後の教育での活用に期待できると西尾 氏は話します。「検討し始めた 2013 年夏ごろは、正直に言って、まだストア アプリが少ないという印象でした。しかし、最近はかなりアプリの数や種類が充実してきているので、さまざまな利用ができそうです」。

利用した学生からは、「これから授業でどのように活用してくれるかが楽しみ」「初めて触ってみたけど、すぐに使えた」といった好意的な意見が多いと畑 氏は話します。「学生には概ね評判がよく、Surface を使った授業には全員が賛成で、Surface が欲しくなったという声も多く聞かれました」。

また、授業で Surface を使う前と使った後にアンケートを取っており、実際に使った後では、「タッチ パネルでの文字入力は不便」といったキーボードが必要であるという意見が増えたり、「教科書やメモは、紙とタブレットのどちらでもよい」という意見が増えていることも、非常に興味深い結果となっています。

Surface 利用前に比べ、利用後はタッチ パネルでの文字入力が不便という回答が増え、キーボードが必要と感じていることがうかがえる


Surface 利用後は、タブレットを教科書やノートの代わりに利用できると考える人が増えている

<今後の展望>
理想のキャンパス作りを目指して

大手前大学では、既に整備している仮想デスクトップ環境 (VDI) を Surface で利用することも考えています。「VDI では、統計解析ソフトや画像処理ソフトなどの専門的なアプリケーションをサーバー側で動かして利用しています。基礎学習を目的として Surface を導入しましたが、VDI を利用することによって、メディア・芸術系の授業でも Surface を活用できるような取り組みも行っていきたい」と谷本 氏は話します。

2013 年 9 月から約半年間、55 台で検証を行ってきた大手前大学では、2014 年 3 月末までにさらに 40 台の Surface 2 を導入し、学生 1 人 1 台へのデバイス提供の新たな検証ステージを開始します。「Surface 2 は、処理能力が向上し、2 段階で角度を変えられるので、さらに活用が拡がることを期待しています。2014 年 4 月以降は、さらにさまざまな場面で Surface を活用し検証を行っていく予定です」。

無線 LAN と Surface、クラウドなどを利用することによって、理想としてきたキャンパスを実証実験し、現実へと近づけることができるようになったと話す畑 氏は、将来展望を次のように話します。「個々の学生がデバイスを保有することで学内のあらゆる場所が学習の場となりえます。また、じっくりと大きな画面で学習したい場合は、オープン スペースなどに大画面のモニターだけを設置しておけば、Surface を繋ぎ、クラウドのデータや VDI のアプリケーションを使って学習するといった形も考えられます。我々は、単に ICT を整備するだけでなく、ICT で学習しやすいキャンパス作りを行っていかなければなりませんが、無線 LAN と Surface によって大きく理想のキャンパスに近づいてきたと思います」。

今後も、最新の技術やデバイスを利用して、大手前大学は学習しやすいキャンパスを学生に提供し、広く複合的領域を学習できる「リベラルアーツ」型教育の中で優れた人材を輩出していきます。

タブレットとしての利用や、キーボードを使って情報発信ツールとしての利用もできる Surface は、たとえば、1 人が情報を検索し、もう 1 人がそれを参照しながらキーボード入力するなど、役割分担によって楽しく効率的なグループ学習を実現


キャンパス内には、グループ学習に適した自習室や PC が設置されたオープン スペースが多数あり、無線 LAN 環境も完備し、Surface やノート PC はどこでも利用できる

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