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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 最適化
  • ビッグデータ

オムロン株式会社

 様に導入

Excel を前面に活用した「Sysmac & SQL 直結ソリューション」で、製造現場のビッグ データからものづくりのプロセスをリアルタイムにトレース。潜在的な改善ポイントまで可視化し、"現場主導の改善サイクル" を効果的にサポート

写真: オムロン株式会社

オムロン株式会社

世界 40 か国、160 拠点以上で事業を展開するインダストリアル オートメーション ビジネス (以下、IAB) を筆頭に、グローバル社会に貢献するオムロン株式会社。同社ではさらなる競争力獲得に向けて、国内外の製造ラインの改善活動にも注力。現場主導による改善の PDCA サイクルを最適化するために、2014 年から 1 つの先進的な取り組みを開始しています。それが、自社開発の 統合型 FA コントローラ (※注) である「Sysmac」とデータベースを直結させ、リアルタイムに製品個体単位の製造プロセスをトレースするビッグ データ活用です。そして、この取り組みに最適なテクノロジーとして採択されたのが、Microsoft Excel をフロントとして Microsoft SQL Server を活用する、マイクロソフトのビッグ データ活用ソリューションでした。

注 :Sysmacの核となるマシンオートメーションコントローラ NJ シリーズは、従来の PLC とモーション制御機能を一つのコントローラに統合した FA コントローラ。

<導入の背景とねらい>
「経験と勘」から「明確な事実」に基づく改善へのシフトを可能にする
"ビッグ データのセルフ活用" へ

写真: 竹内 勝 氏

オムロン株式会社
オートメーション
システム統轄
事業部長
竹内 勝 氏

写真: 甲野 勝巳 氏

オムロン株式会社
オートメーション
システム統轄事業部
草津工場 製造部長
甲野 勝巳 氏

写真: 水野 伸二 氏

オムロン株式会社
オートメーション
システム統轄事業部
草津工場 製造部
製造 1 課
水野 伸二 氏

写真: 水島 謙二 氏

オムロン株式会社
オートメーション
システム統轄事業部
草津工場 製造部
実装課
水島 謙二 氏

オムロン株式会社 (以下、オムロン) では、2011 年に公表した中長期経営ビジョン「VG2020」に基づき、2013 年までの最初の 3 年間を「グローバルでの収益・成長構造づくり」の期間として、基幹事業である IAB を中心に厳しい経済環境下においても競争力のある商品の開発や新興国におけるチャネル網の整備など、さらなる発展に向けた基盤整備に積極的に取り組んできました。

「機械にできることは機械にまかせ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」という思想のもと、FA (Factory Automation) のパイオニアとして "自動化" 領域の拡大に努めてきたオムロンでは、お客様に提供すべき価値を、「3 つのスピードと、3 つの安心」というキーワードで表していると、オムロン オートメーションシステム統轄事業部長 竹内 勝 氏は説明します。

「モノづくりの革新は、生産性の向上に尽きるでしょう。そのために当社は、オートメーション システムに必要な ILO + S、つまり Input、Logic、Output、Safety に関する製品のすべてを揃えた上で、トータルなソリューションを設計し、お客様に新しい価値を提供しています。その価値を支えるのが、『製品のスループットの速さ』と『お客様のご要望に応える早さ』、そして『世の中の変化を製品に反映する早さ』という 3 つのスピードと、『接続すれば動く』、『稼働状況がわかる』、『仕様通りに動く』という 3 つの安心になります。これらの価値を備えることで、製造ラインのタクト タイム短縮に貢献するソリューションの提供に努めています」。

「生産性の向上」という課題は、もちろん、オムロン自体にとっても無縁ではありません。PLC (Programmable Logic Controller) を中心に据えた FA ソリューションをお客様に提供する一方で、自社工場の製造ラインの効率改善も余念なく積み重ねられてきました。
しかし、市場や製品の変化なども含め「改善の努力目標は、どこまで行っても尽きることがない」と、竹内 氏は言います。
「当社の工場においても、改善の余地はまだまだ多く残されていると思っています。製造現場の改善活動には、熟練者の経験や勘が大きな役割を担います。しかし、生産効率を妨げるボトルネックの中には、熟練者も気付かない改善ポイントも潜んでいます。そうした状況を克服し、さらなる改善を進めるためには、客観的なデータが必要でした」。

このニーズを満たすためにオムロンは、自社で開発した統合型 FA コントローラである「Sysmac」シリーズの新たな応用に乗り出します。それが、製造工程の各装置のログを製品個体に紐づけてデータベースに集約し、リアルタイムで自由にグラフ化できるソリューションの開発でした。竹内 氏は次のように説明します。
「Sysmac は 1972 年に、他社に先駆けて開発した PLC の製品シリーズで、進化を重ねながら続いているブランドですが、2011 年にアーキテクチャを根本から見直し、PLC とモーション制御を統合したマシンオートメーションコントローラとして刷新しています。この変革によって、Sysmac とデータベースを直結させて、リアルタイムでデータを分析活用することが可能になったのです。BI (Business Intelligence) と言うと面倒なものと敬遠される方もおられるかもしれませんが、私たちが目指したのは、統合型 FA コントローラをベースとして製造の 3 現主義を満たす、リアルタイムな製造工程の可視化であり、製造現場にいる従業員自身の手で容易にデータをグラフ化できるソリューションの実現でした」。

オムロン オートメーションシステム統轄事業部 草津工場 製造部長 甲野 勝巳 氏もまた、このソリューションの重要性について、次のように話します。

「製造の現場では、皆が生産性向上を図るべく、努力を重ねています。そして、常に『もっと改善できるはずだ』と感じながら、その手掛かりがどこにあるのか、手探りを続けていました。どこかに潜在化した課題があるはずだと思いながらも、熟練者の経験と勘に頼るほかなかったのです。しかし、ライン上の各装置から 3 現主義 (現場、現物、現実) を満たすデータ、つまり "製造ラインの現実" を自分たちの手で、自由に取り出して分析・グラフ化し、生産状況を俯瞰できれば、状況は劇的に変わります。皆、率先して改善に取り組んでくれるでしょう」。

こうして製造ラインに余計な負荷をかけることなく、素早く、簡単に生産状況を可視化できるしくみを実現するために最適な BI ソリューションを模索したオムロンでは、「製造現場での自由なデータ活用」を最優先項目として、さまざまなテクノロジーを検討。その結果、白羽の矢が立てられたのが Microsoft SQL Server を中核としたマイクロソフトのビッグ データ活用ソリューションでした。

<システム導入の経緯と概要>
PowerPivot for Excel の活用により
Excel で大量のデータをストレスなく分析

写真: 髙宮 健仁 氏

株式会社富士通
システムズ・イースト
組立産業
ソリューション本部
組立産業第一事業部
コンバージェンス
ソリューション部
プロジェクト課長
髙宮 健仁 氏

写真: 西村 威彦 氏

株式会社富士通
システムズ・イースト
組立産業
ソリューション本部
組立産業第一事業部
コンバージェンス
ソリューション部
西村 威彦 氏

オムロンが開発した「Sysmac & SQL 直結ソリューション」は、Sysmac と SQL Server をリアルタイムに直結。製造ラインを流れる製品個体をキーとして工程上にある全装置のログ データを紐づけて収集。プロセス全体を一気通貫に可視化できるようになっています。

製品個体単位で収集されたログ データは、リアルタイムでグラフ化され、Microsoft SharePoint Server を活用したポータル サイトなどに表示されるほか、SQL Server のアドイン機能である PowerPivot for Excel を利用して、Microsoft Excel にエクスポート可能。Excel の操作性はそのままに、100 万レコードを超えるデータ処理を行う BI ツールへと変化させる PowerPivot の活用によって、製造ラインからリアルタイムに書き出される膨大なデータを、自由な観点からグラフ化し、分析できるようになっています (図参照)。

社員自身の手でデータ分析が行えるこのビッグデータ活用ソリューションの対象ユーザーを拡大する際には、ビジネス用クラウド サービス「Microsoft Office 365」に新たにラインアップされた Power BI for Office 365 を併用することでネットワークへの設備投資もなく、ユーザー ライセンス数の増減も、無駄なくスピーディーに行えます。また、クラウドを活用したビッグ データ共有が可能になるため、拠点を超えた分析活用がスムーズになります。

こうしてさまざまな利点を備えた「Sysmac & SQL 直結ソリューション」が実現した背景には、株式会社富士通システムズ・イースト (以下、富士通システムズ・イースト) による、親密なサポートが存在しています。同社 組立産業ソリューション本部 コンバージェンスソリューション部 プロジェクト課長 髙宮 健仁 氏は、このソリューションの特徴は「製造現場にいる従業員が、ひと目で製造ラインの稼働状況を把握できることにある」と強調します。
「このソリューションの重要な点は、製造ラインに従事する方々に直接ビッグデータを活用していただくことにあります。その点において、世界に 10 億のユーザーを擁する Excel を使って縦横にデータ分析が行える SQL Server をデータベースとして採用するのが最善でした。さらに、デフォルトで表示されるレポートをどのような表現にまとめるかを迷ったのですが、『大切なことは、製品個体ごとに紐づけられたデータによって可視化された事実を、ありのままに提示すること』と考えました。そこでまずは、縦軸を時間、横軸を工程の動きとした折れ線グラフを作成するところから始めたのです。Sysmac から収集されるデータは整形されていますが、Sysmac 以外から収集されるデータには整理が必要で、弊社独自技術を活用しました」。

プロトタイプとなるこの折れ線グラフを「初めて見た時には、本当に驚いた」と振り返るのは、オムロン オートメーションシステム統轄事業部 草津工場 製造部 製造 1 課水野 伸二 氏です。

「正直な話『ビッグ データ活用で製造ラインを可視化する』と言われても、現場を管理する私たちには、あまりピンと来ていなかったのです。しかし、富士通システムズ・イーストさんが作成した折れ線グラフを見た時には、本当に驚きました。まるで監視カメラで見ていたかのように、製造ラインの動きが可視化されていたのです。ずっと求めていた改善の手掛かりを突き付けられて、興奮したほどです。しかも、当社の製造ラインについて何も知らないはずの担当者さんに、『この日は、こういうことがありませんでしたか?』と、その日の生産状況を言い当てられたのです。その日から、俄然としてソリューションへの期待が高まりました」。

図: データ フローとソフトウェア機能構成

データ フローとソフトウェア機能構成[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入の効果>
改善点の検討にかかるリソースを 6 分の 1 に削減。
海外製造拠点の遠隔支援も可能に

図: 画面キャプチャ

画面キャプチャ[拡大図] 新しいウィンドウ

同じく草津工場 製造部で実装課水島 謙二 氏も、「Sysmac & SQL 直結ソリューション」によって Excel 上にグラフ化されたデータを見た時に、「今後の改善活動に向けて、大きな手応えを感じた」と振り返ります。

「従来、改善ポイントを探るために、設備系や監視系に記録されたエラー ログから、その原因となるものをそれぞれの熟練者に推測してもらっていました。しかしエラー ログは所詮、瞬間を記録した "現実の断片" でしかありません。そのため、原因追求にも限界がありました。しかし Excel に描かれたグラフは、製造ライン上にバラバラに存在していたデータをきれいにまとめ直し、製造ラインの流れそのものを視覚化していますので、推測の必要がありません。今まで改善ポイントをピックアップするまでにかけていたマンパワーを、6 分の 1 程度まで減らせると実感しています」。

さらに「最初にグラフを見た時は、機器の切り替えなどによるラインの停止時間が想像していた以上に多く発生しており、甲野に見せるのをためらってしまいました」と水野 氏が笑顔で語るほど、明確で客観的な事実を突きつけるデータ グラフは、改善ポイントを洗い出すと同時に、現場の努力成果も美しく描き出してくれると言います。

「改善すべきポイントがきっちりと描き出される反面、私たちの目標通りに稼働している時間帯のグラフは、非常に美しい線を描いてくれます。これはやはり、現場で日々改善に励む従業員にとって、よい刺激になります。やはり、改善成果が上長の目にも、はっきりと映るわけですからね。現場の改善活動には、従業員の積極的な協力が欠かせません。その点においても、長所と短所が公正に可視化されることは、非常に価値があると思います」(水野 氏)。

甲野 氏も、今後のデータ活用が「楽しみで仕方がない」と続けます。

「水野、水島の 2 人とも話していたのですが、これほど明確に生産状況を表したデータ グラフを見せられたことで、私たち現場サイドからも『これがわかるのであれば、あそこと、ここのデータも連携させて検証したい』といったアイデアが、どんどんと出てきています。Excel を使いますから、操作を新しく覚える必要もありません。それに、取り扱うデータ量が増えても SQL Server のカラム ストア インデックスを追加実装することで、データの圧縮率が大幅に高まりますので、パフォーマンスの心配もありません」。
こうしてオムロン草津工場において、今後の改善に向けた確かな成果を導き出している、「Sysmac & SQL 直結ソリューション」は、既存拠点の改善スピードを早めるだけではなく、グローバル規模で、新規の生産拠点立ち上げの迅速化にも貢献できるだろうと、甲野 氏は続けます。

「過去、海外の生産拠点立ち上げに何度も立ち会ってきました。そこで発生するトラブルはほとんどの場合 "国内拠点で発生した事例" とまったく同じものでした。既存の製造ラインで潜在化してしまった改善ポイントが、新拠点立ち上げの際に顕在してしまうのでしょう。ですから、3 現主義に則したビッグ データ活用によって改善ポイントの顕在化が進めば、同じトラブルを招くリスクも減らしていけるはずです。さらに、海外拠点の Sysmacからデータさえ受け取れば、グローバルに同じレベルで品質と、更に生産性向上に向けた改善ができ、世界中どこにいてもリアルタイムに現場が見え、どこからでも改善ができるようになります。こうした活用で、グローバルでのビジネス拡大のスピードアップに貢献することも可能でしょう」。

<今後の展望>
「人」と「データ」を適切に仲介し
グローバルでのビジネスを加速

オムロンでは今後、「Sysmac & SQL 直結ソリューション」の社内活用を拡大していくと共に、お客様へのサービス提供も視野に入れ、同社が唱える「3 つのスピードと 3 つの安心」をより確実に満たすソリューションへと成長させていく予定であると言います。

竹内 氏は、次のように締めくくります。

「製造ラインには昔からビッグ データが存在していますが、それをきちんと活用できる環境が整っていませんでした。データは、現場を支える人々によって読み解かれ、活用されるまでは意味を成しません。必要なことは、『人とデータの間を、最善な形でつなぐ環境』だったのです。当社の草津工場ではすでに、このデータ活用をもって、個人の経験と勘だけでは捉えることのできなかった "製造ラインの現実" を把握し、改善の PDCA (Plan - Do - Check - Action) サイクルに役立てています。この活用が進めば、甲野の話したように海外拠点立ち上げのスピード感も増していくでしょう。グローバルにビジネスを拡大させると言っても、キーとなる人材は限られています。従来、現場に赴かなければ見えなかったことが、データを通して遠隔地から把握できるようになれば、ビジネスをドライブさせていく勢いも、増していくことと期待しています」。

Sysmac は、オムロン株式会社製 FA 機器製品の日本及びその他の国における商標または登録商標です。

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