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株式会社NTTドコモ

 様に導入

全契約回線の課金・決済システムのトラヒック情報を扱う
トラヒック DWH の更改に、SQL Server 2014 を採用
新たなビジネス創造と付加価値提供に向けた情報処理基盤を構築

写真:株式会社NTTドコモ

株式会社NTTドコモ

わが国最大手の移動体通信キャリアとして、「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」をスローガンに、携帯電話を始めとしたモバイル通信サービスの提供を進めてきた株式会社NTTドコモ。同社では 2015 年、課金および決済システムのトラヒック情報を扱う「トラヒック データ ウェアハウス」を Microsoft SQL Server 2014 によって刷新しました。この結果、お客様サービス向上に向けた 6,600 万件を超える契約回線の課金データの迅速な分析と活用が実現。さらにコスト構造の改革や、刻々と変化する経営ニーズに応える柔軟な情報基盤の整備が進んでいます。

<導入の背景とねらい>
省コストとユーザビリティ向上に向けて
DWH 処理 の抜本的な改革を決意

写真: 嶌村 友希 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
担当部長
嶌村 友希 氏

写真: 島本 進一 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
主査
島本 進一 氏

携帯電話からスマートフォン、タブレットといった端末の多様化や、次々に新しいサービスが生まれる中で、モバイル キャリアにも新たなサービスや顧客ニーズへの対応、それを支える適正かつ迅速なインフラの展開が必須課題となっています。その実現には、刻々と変化するユーザー ニーズをリアルタイムで把握し反映する、データ分析と活用のためのシステムが不可欠です。

そうした中、回線利用者の課金および決済を担う料金システム「MoBills (モービルス)」のバックエンドにあって、全契約回線の利用情報を集約する「トラヒック データ ウェアハウス (以下、トラヒック DWH)」を SQL Server 2014 によって更改。万全のセキュリティ対策を実施し、セキュアかつ柔軟で迅速なトラヒック データの分析基盤の構築と、システム コストの大幅な削減を実現したのが株式会社NTTドコモ (以下、NTTドコモ) です。

「当社では昨年度から、より大きな価値を提供する変革への取り組みが始まっています。その 1 つに、ドコモ アカウントの決済基盤の情報を活用して、商流を加速していくという方針が挙げられます。今回のトラヒック DWH の更改も、そうした決済情報を活用した新たなサービスおよび価値の創造に向けた試みの 1 つと位置付けられます」と語るのは、株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 担当部長 嶌村 友希 氏です。

MoBills は 6,600 万件を超える NTTドコモの契約回線すべての課金および決済基盤であり、MoBills のデータ分析基盤を担うトラヒック DWH に、今回 SQL Server 2014 が導入されました。このトラヒック DWH は、更改以前は異なる会社のデータベースとビジネス インテリジェンス (BI) 製品の組み合わせで、その上に業務アプリケーションを構築、運用されていました。しかし近年は、年を経るごとにさまざまな問題が浮上してきていたと株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 主査 島本 進一 氏は明かします。

「まずユーザー部門からは、検索やダウンロードが遅いといった利便性の面での指摘が挙がっていました。システムの能力が、既に現在のビジネスのスピードに追いついていなかったのです。それ以上に問題だったのは、開発を定期的に行っていくうえでの効率やコストの問題でした。例えば 1 つの帳票データの出力フォームに変更が生じた場合、見た目の変更箇所自体は小さくても、アプリケーション全体にわたる改修が必要で、開発と改修コストの高止まりが続いていました」。

旧トラヒック DWH では構築当時の IT 技術仕様や制約のため、MoBills の膨大なトラヒック データから必要なデータを切り出す際に、複数のサマリー処理を介する必要がありました。このため最終の出力帳票に変更が加えられると、中間処理を行うアプリケーションに変更が及び、それらの開発工数やテスト時間などのコストが大きく膨らんでいたのです。

「こうしたアプリケーションの多段構成が存在する限り、経営課題であるコスト改革を実現するのは困難であることは明白でした。そこでトラヒック DWH の処理方式そのものを抜本的に改革して、コスト削減とユーザーの利便性を一気に向上させようというのが、今回のプロジェクトのねらいでした」 (島本 氏) 。

<導入の経緯>
強力な検索機能とコスト パフォーマンスで
SQL Server 2014 の採用を決定

写真: 井上 晶記 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
担当課長
井上 晶記 氏

写真: 北山 健士郎 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
北山 健士郎 氏

写真: 森田 正範 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
担当課長
森田 正範 氏

写真: 川口 紀生 氏

株式会社NTTドコモ
情報システム部
料金システム担当
川口 紀生 氏

新しいトラヒック DWH の更改プロジェクトが始まったのは、2014 年 1 月。プロジェクト開始当初のグランド デザインの取りまとめにあたった株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 担当課長 井上 晶記 氏は、プロジェクトの開始に際して、従来からの課金情報の管理だけにとどまらず、今後の事業環境の変化に柔軟に対応し、よりビジネスの成長や拡大に貢献できるシステムへの変革を目指す、またとないチャンスだと考えたと明かします。

「もちろん既存のシステムをそのままアップデートすれば、安全ですし作業も楽にできることでしょう。しかし、つねに事業の将来を見据えながら、システム自体が柔軟に変化していかなくては、新しい価値も得られません。中期目標の達成という意味でも、経営層や現場からの多彩なデータ分析需要に即応できる柔軟なシステムの構築という新たなチャレンジが、私たちシステム担当者に求められていました」。

そこで新たな情報分析および活用基盤となる製品の比較検討を進め、SQL Server 2014 の採用を決定したのは 2014 年 4 月のことでした。株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 北山 健士郎 氏は、採用の決め手の 1 つにパワフルな検索機能を挙げます。

「従来の一般的な行テーブルと比べて飛躍的なクエリ パフォーマンスを実現し、SQL Server 2014 で更新処理も可能となった、カラム ストア インデックスに期待しました。この機能は実用上の制約も少なく、当社の要件に応じた自由度の高い、高速なデータ検索が可能になると評価したのです」。

もう 1 つの決め手は、優れたコスト パフォーマンスです。SQL Server 2014 ではデータベース エンジン本体のライセンスに、ETL ツールである Integration Services や分析ツールの Analysis Services、Reporting Services などがすべて含まれています。

「これらのツールが無償で同梱されていることが、バッチ処理を含む DWH 系の処理に適していると考えました。とりわけインメモリ データベース機能を使用できる OLAP ツールは、分析系や検索系の処理に非常に大きなコスト パフォーマンスをもたらす期待がありました。さらに、ツールがすべて製品本体に含まれていることで、データベースとツールの親和性という点でも優れていると判断したのです」 (北山 氏) 。

加えて、保守料金メニューが金額固定でなく従量制も選択できるという、日本マイクロソフトならではのサポート契約の柔軟さも高く評価されました。

採用決定後は急ピッチで設計、開発、試験などを進め、2014 年 12 月には旧システムと新システムとの突合テストを実施。品質が確実に担保されていることを確認して、翌 2015 年 2 月に運用が開始されました。全契約回線のトラヒックを扱う巨大な DWH が、高品質と安定稼働を担保しながらこれだけの短期間で移行完了した理由を、アプリケーション移行にあたった株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 担当課長 森田 正範 氏は、入念な検証によるものと語ります。

「構築過程では、品質をいかに担保するかを最重要テーマに据えました。具体的には、旧システムと新システムとの間で処理結果に対する突合を行い、帳票レベルで完全に一致するか 2 か月を費やして検証したのです。短期間の開発でありながら、あえて十分な検証時間を確保したことが、非常に高い品質の実現につながったと考えています」。

これに加えて井上 氏も、「限られた時間の中でこれだけの品質でプロジェクトを完遂できたのは、プロジェクトメンバー全員が前向きな新しいチャレンジという意識を共有しあい、最後まで高い士気と共感の下に進んでいったことが最大の理由です。また、日本マイクロソフトと密に連携を取りながらプロジェクトを進められたことも大きいと思います」と振り返ります。

<導入効果>
定期開発コストの大幅な抑制に加え
ソフトウェア保守費用は 75% の大幅な削減

今回、SQL Server 2014 によって更改された新しいトラヒック DWH は、規模の点でもミッション クリティカル度においても、SQL Server を導入するシステムとしては国内有数の DWH と言えます。その規模感について、株式会社NTTドコモ 情報システム部 料金システム担当 川口 紀生 氏は主要な数値を挙げて紹介します。

「NTTドコモ社内の全国約 20 部門が、トラヒック DWH のユーザーです。トラヒック DWH の規模を表す指標としては、1 日あたりに扱うトラヒック情報は十数億件に上ります。帳票データへのアクセスは、ユーザーごとに必要最低限で権限設定しており、月間最大 2,000 件程度。また多彩な分析軸を提供しており、ユーザーが利用する画面は約 160 種類に上ります。すべてのトラヒック データを網羅しているため、多いものでは 1 つの帳票を構成するレコード数が数千件に達するものもあります」。

今回の更改でもたらされたメリットの中でも筆頭に挙げられるのは、定期開発のコスト削減でした。SQL Server 2014 のカラム ストア インデックスによる検索は、旧トラヒック DWH では不可能だった大量のデータを高い性能で検索できるため、これまでのような多段処理が不要になり、それらの中間テーブル作成に必要だったアプリケーションの大部分が不要になったのです。

「この結果、中間テーブルとアプリケーション資材の数が、従来と比べて 3 〜 4 割まで削減できました」 (井上 氏) 。

テーブルの数が減った結果、それらのメンテナンス コストも従来比約 20% の削減効果が生まれています。さらに全体の開発規模が縮小し、構成するテーブル数も減少したため、そこに存在するバグや設定ミスによる故障など、数字に表れにくい部分の維持コストが減少していることが、2015 年 5 月の更改後最初の定期資材リリースでも確認されています。

またソフトウェア保守費用は、従来比約 75% という大幅な削減が実現しました。旧 DWH のデータベースと分析ツールの組み合わせを SQL Server 2014 に一本化した結果、分析ツールなどの別途費用が不要になったこと。従量課金制のプレミア サポート契約を利用して、本当に必要な部分に絞ってのサポート利用が可能になったことなどで、固定費の大部分が不要になったのです。

「コスト以外では、開発の過程で日本マイクロソフトのサポートを通じてスキル トランスファーを得られたことで、今後の開発やトラブル シューティングを、プロジェクト体制内で対応できる基礎固めができたのも今回の収穫でした」 (島本 氏) 。

さらに今後時間がたつにつれて、さらにシステムの安定度が増していけば、従量制の保守費用がさらに減っていくため、当初の目的であったコスト削減というテーマの実現に大きく貢献できると情報システム部では期待しています。

もちろんこうした一方では、ユーザーの利便性向上にもめざましい効果が現れてきていると、森田 氏は指摘します。

「トラヒック DWH では交換機や MoBills から 1 時間に 1 回データを受信して蓄積し、毎日午前 0 時からそれらのデータの処理を開始。翌朝 8 時までに、すべての帳票を最新のものに更新しています。一日十数億件のトラヒックを処理するために、もともと十分な余裕をみたサイジングを行っていますが、SQL Server 2014 でデータ処理の効率が向上した結果、この翌朝 8 時までに間に合わせる処理サイクルにも、さらなる余裕が与えられたと感じています」。

図: MoBillsにおけるトラヒック DWH の位置付けのイメージ図

MoBillsにおけるトラヒック DWH の位置付けのイメージ図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
新たな付加価値の提供に向けて
リアルタイム分析基盤への高度化を目指す

井上 氏は SQL Server 2014 によって更改された新しいトラヒック DWH の経験を活かし、今後は MoBills をリアルタイムにデータを分析・活用する基盤として、さらに成長させていきたいと展望を語ります。

「IoT 市場拡大の潮流がますます大きくなってゆく中、これまでデータ活用のための分析系システムと言えばバッチ処理が一般的でしたが、今後はモノの動きにあわせて、データが発生する都度データを分析し、アクションすることが重要になってきます。例えば、お客様の課金・決済データをリアルタイム分析して、即座にお客様ごとに最適な付加価値やサービスを提案していくことが、お客様の満足度を向上させ、当社のビジネスの拡大につながると考えています。そのためにも、トラヒック DWH などのデータ分析基盤をより高度化させ、膨大なデータをリアルタイムに分析・活用できる基盤に育てていきたいと考えています」。

一方で、川口 氏は社内のユーザーの利便性向上にも可能性を感じていると語ります。現在トラヒック DWH ではユーザー向けのフロント画面に Microsoft SharePoint を利用しているため、Microsoft Excel ベースの UI が容易に開発可能です。

「当社内でも Microsoft Office が多く導入されているため、今回のシステム更改後もフロント部分に関しては、ユーザーからの問い合わせがほとんどありませんでした。今回 SQL Server 2014 を評価したポイントにはこうした Office との親和性もあり、今後もセキュアでありながらエンド ユーザーにとって使いやすく、なおかつ高度な機能を提供できるものにしていきたいと願っています」。

嶌村 氏は、同社のビジネスの今後の展開について、「中期目標では、多様化する顧客ニーズに応えるため、あらゆる業態のパートナー企業とのコラボレーションを進めていくことがうたわれています。言うなれば、これまでの "競争" から "協力と創造" 、つまり "協創" へのステップアップです。そのための情報基盤を下支えする任務を担っているのが、私たち情報システム部と MoBills であり、そこでユーザーのダイレクトな利用動向を収集および分析を担う基盤となるのがトラヒック DWH なのです」と、改めて MoBills とトラヒック DWH の重要性を力強く語ります。

「通信事業における競争力の強化と、スマート ライフ領域におけるパートナーとの協創」を中期目標に掲げる同社では、現在 MoBills に続いて顧客管理システム「ALADIN」のデータ ウェアハウスにおいてもSQL Server 2014 による更改を進めており、さらなる顧客データの活用へ向けた基盤整備が期待されます。これら未来に向けた NTTドコモの多彩なチャレンジを、これからも SQL Server 2014 は支えていきます。

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