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導入事例

 様に導入

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  • 効率化
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株式会社乃村工藝社

 様に導入

Microsoft Office 365 と Microsoft SharePoint を連携させたプロジェクト情報共有システムを構築
今後、間接業務負担の 30% 削減でクリエイティブな活動時間の増大を目指す

株式会社乃村工藝社

空間創造事業と空間活性化事業を展開し、年間 7,000 を超えるプロジェクトを遂行している株式会社 乃村工藝社。ここではプロジェクト内の情報共有や、プロジェクト完了後の情報蓄積のため、Office 365 と SharePoint を連携させた「JOB ルーム」と呼ばれるシステムが構築されています。JOB とは個々のプロジェクトを意味し、これらに関するあらゆる情報をメンバーに限定集約すると共に、チャット ルームなどによってコミュニケーションを効率化、情報管理の属人性を排除し、情報共有と情報活用を円滑に行うことを可能にしているのです。コミュニケーション基盤を Office 365 でクラウド化したことも、利便性向上に大きな貢献を果たしています。目指されているのは間接業務負担の 30% 削減。クリエイティブな活動により多くの時間を投入できるようになると期待されています。また将来は、JOB ルームに蓄積された膨大な情報をデータベースとして整理し、より高品質な提案につなげていくことも視野に入っています。

<導入の背景とねらい>
年間 7,000 を超えるプロジェクトを遂行、
チーム内の情報共有と過去の資料蓄積および活用が大きな課題に

株式会社乃村工藝社
執行役員
コーポレート本部
副本部長
山崎 昭彦 氏

株式会社乃村工藝社
コーポレート本部
事業管理部 JMM管理課
担当部長
田中 良志 氏

企業を取り巻く環境の変化が激しくなったことで、現在では企業組織にも高い流動性が求められるようになってきました。組織構成を柔軟に変化させることで、市場や社会環境の変化に迅速に対応し、新たなビジネス チャンスを獲得しやすくなるからです。組織の流動化には、他の企業を買収および統合するといった大規模な変化だけではなく、社内組織の統廃合やプロジェクト型ビジネスへのシフトなど、さまざまなアプローチがあります。しかしこのような流動化を進めていくと、新たな課題も顕在化します。それは変化し続ける組織やチームの中で、いかにして情報を共有し続けていくかという課題です。たとえばプロジェクト型ビジネスにシフトした場合には、プロジェクトが完了してチームが解散した時点で、チーム内に蓄積された情報が散逸する可能性があります。また社内組織の統廃合を行った場合にも、蓄積された情報の所在が不明になる危険性があります。

このような課題を、Office 365 をオンプレミスの SharePoint と連携させることで解決を図っているのが、株式会社乃村工藝社 (以下、乃村工藝社) です。

同社は空間創造事業と空間活性化事業を展開する、他に類を見ないユニークな企業。大正から昭和初期に大衆娯楽として人気のあった菊人形を、大規模な装置と仕掛けを使って演出するといった取り組みからスタートし、その後もさまざまな商業施設、企業 PR 施設、イベント会場や博物館や美術館などの空間演出や運営に携わっています。最近の実績としては、東京ソラマチ商業施設のデザイン/設計/制作/施工、東北自動車道 羽生パーキング エリア「鬼平江戸処」の業態開発支援/建築設計/施工/運営、「進撃の巨人展」の企画/デザイン/設計/施工などが知られています。企画/設計/施工のみならず施設運営まで手掛けており、運営ノウハウを企画/設計にフィードバックすることで、顧客の視点で「空間の力」を生み出している点が、高く評価されています。

「業務は基本的にプロジェクト単位で行っており、参加メンバーもプロジェクトごとに異なっています」と語るのは、乃村工藝社 執行役員 コーポレート本部 副本部長の山崎 昭彦 氏。約 860 名 (2015 年 2 月 28 日現在) の社員で、年間 7,000 件を超えるプロジェクトを遂行していると言います。「プロジェクトには複数の職種の社員が参加しており、職種ごとに指揮系統が異なります。また国内 8 社、海外 2 社のグループ会社の社員がプロジェクトに参画することも珍しくありません」。

プロジェクト メンバー間の情報共有手段としては、以前は Lotus Notes やファイル サーバー上の共有フォルダーを使用していましたが、「目的の情報へのアクセスに手間がかかり、複数の Notes DB や共有フォルダーにファイルが散在しやすいという問題を抱えていました」と、乃村工藝社 コーポレート本部 事業管理部 JMM管理課 担当部長 田中 良志 氏は振り返ります。また共有フォルダーの作成やアクセス権の設定には書類による申請が必要で、使いはじめるまでに手間と時間がかかっていたことも大きな問題でした。その結果、資料データの保管場所は個人 PC や個人メールが中心になってしまい、チーム内の情報共有が思うように進まなかったと説明します。「過去のプロジェクトの資料が必要になった場合には、まずはだれがその資料を持っているのかを探し出し、その人に問い合わせる必要がありました。そのため資料探しに必要以上に時間を費やすことが多かったのです」。

このような情報共有および情報蓄積の問題を解決するために、乃村工藝社は Office 365 と SharePoint を連携させた「JOB ルーム」という仕組みを構築。資料やメール、チャットのやり取りなど、プロジェクト (JOB) に関するあらゆる情報を一元的に集約すると共に、チャットルームなどによって効率的なコミュニケーションも可能にし、収益性の把握や過去のプロジェクト情報の検索も、簡単に行えるようにしています。プロジェクトごとに情報共有とコミュニケーションを行える場を IT で作り上げ、それを継続的に利用することで、情報管理の属人性を排除し、全社規模で情報蓄積を行えるようにしているのです。

<導入の経緯>
若手社員の提案から JOB ルームの構築へ、
プロジェクトに関する多様な情報を 1 か所に集約

株式会社乃村工藝社
コーポレート本部
経営企画部 情報システム課
課長
石松 昇 氏

株式会社乃村工藝社
コーポレート本部
経営企画部 企画課
チーフ
増田 泰二 氏

乃村工藝社における JOB ルーム立ち上げのきっかけになったのは、ある若手社員の取り組みでした。2010 年に、情報共有の仕組みに関する企画書を作成して情報システム部門に相談を持ちかけ、当時使用されていた Notes DB の上に情報共有の仕組みを作り、自身が抱える多数のプロジェクトにて実際に運用してみたのです。運用を数年間繰り返し行いながら改良を続けた後、改めて企画書を作成して、会社に提案を持ちかけたのです。

この提案を行ったのは、乃村工藝社 コーポレート本部 経営企画部 企画課 チーフの増田 泰二 氏。増田 氏の提案は社内で大きな注目を集め、会社の未来について主体的に考えた社員に与えられる「NOMURA FUTURE AWARD」の優秀賞を 2014 年 2 月に受賞。その翌月には構築プロジェクトが正式に発足します。

「この時情報システム部門の担当者からは、SharePoint と Office 365 を組み合わせて使う方がいいのではないかと指摘されました」と増田 氏は振り返ります。その後、複数の製品を比較した結果、マイクロソフト製品なら図面や文書の管理が容易なうえ、Office との親和性が高いため、このような目的に最適だと評価したと説明します。「また、2014 年夏にはマイクロソフトの品川オフィスを見学したのですが、その働き方には共感できる点が数多くありました。マイクロソフトは単に IT 製品を売っているのではなく、新しい働き方も積極的に提案している点が、他の IT ベンダーと大きく異なっていると感じました」。

その後、前述のような採用製品や実現方式の検討を行い、Office 365 と SharePoint の採用を決定、JOB ルームを構築します。さらに 2015 年 3 月には社内各部門のパワー ユーザーを巻き込んだデモやパイロット展開を実施、5 月に社員への説明会を開催し、2015 年 6 月から全社への本格展開が始まっています。

「新規プロジェクトが発足した時、JOB リーダー (プロジェクト リーダー) が SharePoint にプロジェクト登録すると、基幹システムにプロジェクト情報が連携するとともに、自動的に JOB ルームが作成されます」と説明するのは、乃村工藝社 コーポレート本部 経営企画部 情報システム課 課長の石松 昇 氏。その後 JOB リーダーがプロジェクトの参加メンバーを追加することで、基幹システムに原価投入や JOB ルームでの情報共有が可能になります。JOB ルームの画面には、資料および情報の保管スペースのほか、JOB 情報のサマリー、メンバーどうしのチャット スペース、JOB と関連性の高いシステムへのリンク集が用意されており、これらをひと目で把握できるようになっています。

JOB ルームへの資料保管は、1 ファイル 400 MB までという上限が設定されているものの、全体としての保管容量は無制限となっており、大量の資料を蓄積できるようになっています。保管時にはカテゴリー設定や説明コメントを付けることができ、時系列での一覧表示はもちろんのこと、カテゴリー指定による絞り込み表示も可能です。JOB ルームは Microsoft Exchange Online と連携しており、送受信したメールや添付ファイルを Microsoft Outlook の操作で JOB ルームに登録することや、資料登録時に通知メールを関係者に送信することも可能です。また保管場所は「推進中共有資料」と「保管必須資料」に分けられており、保管必須資料はプロジェクト終了後も重要資料として保管されるようになっています。

JOB 情報のサマリーには、原価管理を行うための投入率 (これまでに発生した費用と予算の比率) や、受注予定日/完了予定日、JOB の代表的な写真 (施工対象の物件写真など)、JOB ルームへのアクセス可能者 (プロジェクト メンバー、決済者、JOB リーダーが任意でアクセスを許可した社員) とその在席情報が表示されています。投入率などの情報は基幹システムと連動しており、投入率によって注意喚起を促したり、警告を発する機能も備わっています。またアクセス可能者の在席情報は Microsoft Lync Online (Skype for Business) のプレゼンス機能と連動しており、ここからインスタント メッセージング (IM) によるテキスト チャットや Web 会議を行うことも可能です。

「JOB ルーム」のシステム構成。Office 365 と SharePoint を連携させ、さらに基幹システムとも連動させることで、JOB (プロジェクト) に関するあらゆる情報の蓄積、共有とコミュニケーションを促進する基盤を確立しています。 [拡大図] 新しいウィンドウ


JOB ルームの画面構成。資料および情報の保管スペースのほか、基幹システムと連動した JOB 情報サマリー、Skype for Business と連動したアクセス可能者一覧、メンバーズ チャット、関連システムのリンク集などが、1 つの画面に集約されています。また Exchange Online とも連動しており、Outlook 操作によるメールや添付ファイルの保管や、資料保管時の通知メール送信も可能です。[拡大図] 新しいウィンドウ


<導入の効果>
情報共有や引き継ぎの手間が大幅に簡略化、
コミュニケーション基盤のクラウド化も利便性向上に貢献

JOB ルームの運営が始まったことで、プロジェクト チーム内の情報共有は、以前に比べて大幅に効率化されようとしています。

まず情報共有を始めるまでのプロセスがシンプルになりました。以前は共有フォルダーの作成やアクセス権の設定は書類による申請が必要でしたが、現在では JOB 登録と同時に JOB ルームが自動生成されるため、申請は不要です。またアクセス権も JOB メンバー登録と同時に自動設定され、JOB リーダーがアクセス権の追加や変更を行うことも可能。IT 担当者の手を借りることなく、JOB ルームの運営が行えるのです。「IT 部門の作業負担も大幅に軽減されます」と石松 氏は指摘します。

情報共有が容易になった結果、情報管理の属人性も排除可能になりました。以前は個人PC や個人メールで管理されていた情報が、今後は JOB ルームで共有されていきます。またメンバーどうしのコミュニケーションも JOB ルームのチャットで行うことができるため、やり取りの履歴も残ります。そのため途中でメンバーが追加された場合でも、これまでの経緯をすぐに調べることができます。

資料保管のルールがシステム化されたことも、情報共有および情報活用の効率を高めています。保管資料は保管時の日時とカテゴリーで整理でき、説明用のコメントも残せます。メール文書と一緒にファイルを保存しておけば、どのような経緯でそのファイルが作成されたのかを知ることもできます。プロジェクト完了後も残すべき重要資料は「保管必須資料」として保存することで、社内の共有財産として蓄積されていきます。

メンバーが入れ替わる際の引き継ぎも容易になりました。「以前は簡単な引き継ぎ打ち合わせを行い、使うかどうかわからない紙資料を大量に後任に渡しており、十分な理解に達しないまま引き継いだ結果、その後も前任者への合わせが発生しやすいという状況でした」と増田 氏。しかし今後は、JOB ルームの鍵 (アクセス権) を渡すだけで、すべての情報を引き継ぐことが可能です。また引き継ぎ前に JOB ルームを覗いてもらうことで、引き継ぎ前の段階でプロジェクトへの理解を深めることもできると言います。

「乃村工藝社では約 8 割の社員がタブレットを持ち歩いており、これにリモート デスクトップの画面を表示させることで、社外から社内システムにアクセスすることも可能です」と言うのは田中 氏です。企画担当者やデザイナーは、大量の資料を客先や施工現場に持ち込むことが多々ありますが、現在は外出先でも JOB ルームから必要な資料を取り出せるため、紙の資料を持ち歩く必要がなくなっています。

コミュニケーション手段にクラウド サービスを利用していることも、ワーク スタイル変革に大きな貢献を果たしていると増田 氏は指摘します。会社のメールは外出先でも確認でき、社内外を問わず日常的に IM を使っている社員も少なくありません。また離れた場所で図面を共有しながら打ち合わせを行いたい場合には、Skype for Business のデスクトップ共有が便利だと言います。 「今回構築した仕組みによって、今後、間接業務負荷の 30% 削減を目指しています。これによって社員がより多くの時間を、クリエイティブな活動へと投入できるようになると期待しています」 (山崎 氏) 。

JOB ルーム導入による変化。情報共有のための事前準備が不要になり、情報管理の属人性を排除することが可能になりました。情報の引き継ぎも、JOB ルームの鍵 (アクセス権) を後任に渡すだけなので、簡単に行なえます。[拡大図] 新しいウィンドウ


<今後の展望>
JOB ルーム構築は IT 刷新の第 1 ステップ、
今後も継続的にワーク スタイル変革を推進

「今回は IT の刷新の中心的な存在として JOB ルームを構築しましたが、これは最初のステップに過ぎません」と増田 氏。今後も継続的に、利便性や生産性の向上、モバイル環境の改善、情報共有型のワーク スタイルへの変革、さらには情報とシステムを活用した人財育成も推進していくと語ります。

その一方で石松 氏は「JOB ルームに蓄積された膨大な情報は、会社にとって強力な武器になるはずです」とも指摘します。たとえば、蓄積された情報を顧客ごとに整理しておけば、顧客に関するデータベースとして活用できます。また案件の種類ごとに情報を整理すれば、類似案件でどのような提案が高く評価されたのかも把握できます。このような情報をベースにプロジェクトを始めることができれば、より高品質で的確な提案が可能になるはずだと言います。

「クリエイティブな仕事の本質は、人と人とが直接出会い、同じ時間を過ごすことで新たなものを生み出していくことです」と山崎 氏。また個人が新たな発想を生み出すには、さまざまな現場を経験するチャンスを提供することも重要だと語ります。「乃村工藝社における IT 刷新は、その時間とチャンスを作り出すための取り組みです。マイクロソフトのソリューションは、多様な機能をシームレスに活用でき、学習のための時間やコストも最小化できます。今後もぜひこれを、うまく活用したいと考えています」。

株式会社乃村工藝社 (本社イルミネーション)


株式会社乃村工藝社 (本社ディスプレイ ギャラリー)

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