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導入事例

 様に導入

  • 効率化
  • オンデマンド
  • コスト

野村證券株式会社

 様に導入

基幹システムの全面刷新に合わせ、Microsoft SQL Server 2008 R2 によるデータ ウェアハウスを新規導入
バック オフィス業務の大幅なコスト削減と、業務データ活用の機動力アップを実現

野村證券株式会社

野村證券株式会社

バック オフィス業務において、いかにビジネスへの貢献度とコスト ダウンを両立させていくかは、今日の企業経営を考えるうえで大きな課題です。2010 年から基幹システムの抜本的な改革に取り組んできた野村證券株式会社では、2013 年 1 月、これまで個別に運用されてきた各基幹系業務システムを、株式会社野村総合研究所 (NRI) の提供する ASP サービス「総合証券バックオフィスシステムTHE STAR」に全面的に移行。同時にそのデータ活用のため、SQL Server 2008 R2 によるデータ ウェアハウスを構築して、現場の要望に迅速に応えるサービスやツール提供と、大幅なコスト ダウンに成功しています。

<導入の背景とねらい>
バックオフィス業務の ASP 移行に合わせ
データ活用に向けた DWH 構築を決定

和田 正一 氏

野村證券株式会社
業務企画室
室長
和田 正一 氏

永井 久 氏

野村證券株式会社
IT 基盤戦略部
次長
兼 業務基盤一課長
永井 久 氏

山田 弘樹 氏

野村證券株式会社
IT 基盤戦略部
業務基盤二課
山田 弘樹 氏

一般にバック オフィス業務は単なるコストと捉えられがちですが、IT がビジネスの中の重要な要素となった現在、そこに集積される膨大なデータは貴重な情報資産であり、次代のバック オフィス業務用システムには、効率化や省コストだけでなく、それらを新たなビジネスに結びつける機能までが期待されます。野村證券株式会社 (以下、野村證券) では、そうした観点から、個別最適の進んだ旧来の業務システムを全面的に ASP サービス「総合証券バックオフィスシステムTHE STAR」に移行してシステム運用の大幅なスピードアップと省コストを実現。さらに SQL Server 2008 R2 による データ ウェアハウスを構築して、これまでの基幹システムでは実現できなかった、より柔軟でビジネス オンデマンドなデータ利用と、お客様サービスの基盤となるさまざまな業務処理の効率化を実現しています。

「今回のデータ ウェアハウス構築は、全社的な基幹システムの刷新という大きなプロジェクトの中の 1 つです。この背景には、これまで非効率を指摘されてきた既存のバック オフィス業務システムを全面的に刷新し、将来の成長の礎となる効率的かつ省コストな新しいシステムを立ち上げようという IT 投資戦略がありました」と、野村證券株式会社 業務企画室 室長 和田 正一 氏は明かします。

野村證券では長年にわたり、自社開発による個別の基幹業務システムが運用されてきました。メイン フレームの時代からクライアント/サーバーへと、その時代ごとに追加、改修を重ねてきたことから、近年はシステムの老朽化やコストの増大が大きな問題になってきたと言います。「激しく変化するビジネスにシステムが追いついていけないことと、改修のたびに膨大な時間と費用がかかることが問題になっていました。加えて、古い時代のシステムを知るベンダーが少なくなっており、将来的に性能や安定性、セキュリティといったことが担保できなくなる懸念もありました」 (和田 氏) 。

証券業務では、税制などの法改正のたびごとにシステム改修が行われます。しかし、もともと大規模なうえに、繰り返し機能追加や拡張を重ねてきたシステムは、1 か所を変更すれば他の箇所にも影響がおよび、結果的に作業工数も膨大になります。このため新たなサービスや商品を打ち出そうとしても、毎回システムの変更や開発に時間がかかるため、早急な改善を望む声が挙がっていました。和田 氏は、「そこで基幹システムのコアな部分については、証券業界で大きな実績を持つ ASP サービスである THE STAR に移行して、システムの安定稼働や可用性向上の確保と大幅なコストダウンを実現することに決めたのです」と語ります。

移行にあたっては、 1 つ重要な課題がありました。既存の業務システムは自社で個別に運用していたため、必要なデータがあれば個々に抽出して利用できました。しかし、当然ながら ASP ではシステム管理の形態上、利用者側の都合で勝手にデータを引き出したり、サービスを追加したりすることはできません。そこで ASP 化による効率化と省コストというメリットを享受する一方で、より自社の業務に即した柔軟なデータ利用のしくみを併行で検討しようという動きが出てきました。「それでたどり着いた結論が、新しく THE STAR の外部にデータ ウェアハウスを構築して、社内で自由にデータ加工が行える、ビジネス オンデマンドなしくみを作ろうということだったのです。もともと THE STAR には、内部のさまざまな業務データをバッチ用のフラット ファイルとして出力する機能が備わっています。それを使って必要なデータをデータ ウェアハウスに取り込み、社内の要望に応じて Web システムやツールとして提供できるようにすれば、ビジネスに対する機動性も上がるしコストも抑えられるという判断でした」と、データ ウェアハウス構築のリーダーを務めた野村證券株式会社 IT 基盤戦略部 次長 兼 業務基盤一課長 永井 久 氏はねらいを語ります。

<導入の経緯>
実機検証でパフォーマンス向上を確信
さらに劇的なコスト ダウンで採用を決定

THE STAR への移行プロジェクトが始まったのは、2010 年 7 月でした。当時の活動について、一連の実務を担ってきた野村證券株式会社 IT 基盤戦略部 業務基盤二課 山田 弘樹 氏は振り返ります。「まず、既存のシステム群と THE STAR との機能を比較した、"フィット & ギャップ" 分析を行いました。既存システムの機能には、そのまま THE STAR に移行できないものもあります。そこで "できる業務" と "できない業務" を洗い出し、THE STAR をカスタマイズするのか、新しいデータ ウェアハウス側で実現するのかといった切り分けから始めたのです」。

今回のデータ ウェアハウス構築を初期の段階からサポートしてきたのは、リコージャパン株式会社と、リコーITソリューションズ株式会社です。リコーは以前、野村證券の他部門へのシステム導入で非常に高い評価を得ていたことから、このデータ ウェアハウス構築プロジェクトに推薦を受け、企画準備からカット オーバー後の管理、運用までを一貫して支援してきました。

坂巻 裕司 氏

リコーITソリューションズ
株式会社
ITソリューション事業部
プロジェクト統括センター
プロジェクト統括室
野村證券担当グループ
坂巻 裕司 氏

2011 年初頭から、いよいよ具体的な製品選択に入ります。複数の大手ベンダーのデータベース製品を、レスポンスやコスト、管理/運用といったさまざまな観点から比較検討して、最終的に SQL Server 2008 R2 がもっともメリットが大きいと判断され採用が決定したと言います。中でも大きな決め手となったのは、リコーと日本マイクロソフトの緊密な連携による実機検証の結果でした。システム インテグレーターとベンダーによる協働とあって、検証途中で出てきた課題や疑問についても、ソフトウェア ベンダー自身でなければ知り得ない知見に即した回答やアドバイスを利用できたことが、検証の精度を飛躍的に向上させる結果につながりました。検証にあたったリコーITソリューションズ株式会社 ITソリューション事業部 プロジェクト統括センター プロジェクト統括室 野村證券担当グループ 坂巻 裕司 氏は、「テスト用のデータを、本番を想定したデータ量まで増幅させ、その取り込み処理を、日本マイクロソフトの検証環境を借りて実施しました。こうしたチーム ワークの存在が、私たちに難度の高い検証でもためらわずに実行できる自信を与えてくれました」と語ります。

THE STAR には野村證券の大多数のお客様の口座のバック オフィス業務が集中しており、新しいデータ ウェアハウスが日々受け取るデータ量もかなりの規模になります。このため実機検証では、こうした本番運用と同様の大規模データの取り込みやバッチ処理など、実際の業務に即したテストが繰り返されました。これらの結果を受け取った山田 氏は、「私自身 SQL Server を中心としたシステム構築は初めてとあって、正直なところ若干の懸念はありました。しかしこの検証結果を見て、パフォーマンスにはまったく問題がないことが判断できたため、安心して導入してみようという気持ちになれました」と語ります。

もう 1 つ、圧倒的なコスト削減効果も採用の重要な決め手になりました。「以前から使ってきた大手ベンダー製品と見積もりを比較した結果、この先数年間のライセンス コストなどを含めても、SQL Server を利用するほうが大幅なコスト ダウンになることがわかりました。そもそも社内的にもバック オフィス業務用のシステムには、他のシステムにもまして厳しいコスト抑制が要求されます。そうした経営からの要請という点でも、これほどの費用削減効果は大きなメリットと評価しました」 (山田 氏)。この他にも山田 氏は、SQL Server ならば、バック オフィス業務で日常使われている Microsoft Office 製品とも親和性が高く、将来にわたるコスト ダウンの基盤という観点からも有利だと判断したと明かします。

2011 年 3 月からは構築が開始されます。基幹システム全面刷新とあって設計に半年以上の時間を費やし、開発と入念なテストが繰り返された結果、2012 年 10 月に先行リリース。そして 2013 年 1 月の THE STAR のカット オーバーと合わせて、全面運用が開始されました。

<導入効果>
ユーザー数約 1 万名、総データ件数約 15 億 7,400 万件
全社のバック オフィス業務を支える DWH が誕生

新しい基幹システムでは、THE STAR の外部に、対お客様営業用の「フロント」、バック オフィス業務用の「ミドル バック」と呼ばれる 2 つのデータ ウェアハウスが設けられています。この内の「ミドル バック」が、今回完成した SQL Server 2008 R2 による新しいデータ ウェアハウスです。「ミドル バック」には、THE STAR から取り出された契約属性や取引情報といったデータがバッチ ファイルで日々取り込まれ、蓄積されていきます。そしてこれらのデータは適宜加工され、社内からの要望に応じた Web サービスやツールとして提供、活用されていきます (図参照)。

野村證券本社および支店のバックオフィス業務のデータを集中的に扱うとあって、ユーザー数は約 1 万名、総データ件数はおよそ 15億 7,400 万件にのぼります。これらのデータは約 500 万件のお客様口座にひもづけられ、お客様の属性情報約 11 億 5,200 万件、預かりデータ約 2 億 2,100 万件、取引データ約 9,300 万件、そして銘柄情報約 37 万件という、わが国を代表する証券会社にふさわしいスケールを誇っています。

今後の新システム活用では、この「ミドル バック」に蓄積され続けている膨大な情報を、日々の業務の効率化や新しいお客様へのサービス提供、ひいては新たなビジネス チャンスにいかに役立てていくかが最重要の課題だと永井 氏は強調します。「本格稼働からようやく半年ですが、社内からはいろいろな新規アプリケーションやサービスの要望が寄せられています。それらに応えて "ミドルバック" のデータベースを活用した改善策が既にいくつか実施されており、導入効果が目に見える形で出てきていると実感しています」。

そうした具体例の 1 つとして、お客様宛帳票の発送サービスの拡充があります。これまでお客様宛の帳票は、口座の契約者本人には標準サービスとして送られていました。この発送対象を、取引の代理人などにも拡げたいという要望が、業務の現場から出てきていたのです。「ご本人向けの通知の元となったデータは、もともと "ミドル バック" 内に保存されています。そこで、それを加工して代理人向けの帳票も作れるサービスを、2013 年の夏~秋をめどにリリース予定で新たに開発しています」 (永井 氏)。

一方では、2014 年 1 月からの NISA (少額投資非課税制度) 導入を見据えた取り組みへの応用も始まっていると、山田 氏は明かします。社内では既に、およそ半年後の制度実施に向けた THE STAR 本体の更改が 2013 年夏から開始されています。この一連の作業に「ミドル バック」から NISA 関連の情報を提供し、お客様への提供や最新情報の管理などに随時活用しているのです。「THE STAR の外側にデータ ウェアハウスを設けたことで、より迅速で自由度の高いデータ利用が可能になりました。ここで開発した新しいシステムやツールを活用することで、NISA についてもできるだけ機会を逃さないようにお客様にアプローチしようという取り組みが、今まさに動き始めています」 (山田 氏) 。

システム構成概略図

システム構成概略図[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
将来に向け、より多彩でオンデマンドな
システム & サービスの提供を目指す

久保 和正 氏

リコージャパン株式会社
MA 事業本部
金融事業部
金融第一営業部
第二担当室
アシスタントマネージャー
久保 和正 氏

永井 氏は今回のシステム刷新で、バック オフィス業務のコスト コントロールの選択幅が一挙に拡がったと指摘します。「今までは既存の基幹システムしかなかったため、何か新しいことに取り組む際にも、今あるそれをどう使うかだったのです。それが THE STAR と "ミドルバック" の二本立てになったことで、THE STAR だけですべてをまかなうのではなく、今回のデータ ウェアハウスを活用しながら、これまでは考えられなかった新しい選択肢を探りつつ、より最適なコスト バランスの下で多様なシステムやサービスを検討する道が開けたと感じています」。

山田 氏も、こうした選択の拡がりがもたらすシステムの可能性や、バック オフィス業務におけるコストの削減には大きな期待を抱いていると言います。野村證券では、各営業店や協力会社など、さまざまなところに分散してバック オフィス業務を行っていますが、それぞれの事情に即したサービスやツールを提供しようにも、これまでは定型的な動きしかできず、機動性も十分とは言えませんでした。「それが、かなり身軽に動けるしくみができたので、うまく活用してバック オフィス業務の効率化を図りたいと思います。そこで節約できたコストを、フロント側への経営資源の集中化、つまり、間接業務の無駄をなくして本来お金をかけるべきところにかけていくきっかけ作りにできたらと考えています」 (山田 氏) 。

一方、リコージャパン株式会社 MA 事業本部 金融事業部 金融第一営業部 第二担当室 アシスタントマネージャー 久保 和正 氏は、「今回のプロジェクトでは、企画から運用までを通してお手伝いさせていただく経験を通じて、リコーグループとして人を育てていただけたと感じています。ここで蓄積した知見やノウハウを基に、これからのシステムの発展やさらなる活用についても、精一杯貢献していきたいと願っています」と抱負を語ります。

こうしたさまざまな展望に対し、「今回のプロジェクトでは、将来にわたってビジネスの成長に貢献できるバック オフィス業務基盤を構築すると同時に、これまでの業務が滞りなく完全に移行できること、何らかのマイナス面を生じないことを重要なポイントと考えていました。それが実現できた今、今後どのようなプラスをこのシステムで実現できるかが大きな目標となるでしょう」と語る和田 氏。

証券業界におけるリーディング カンパニーの地位をさらに高めるべく、新しいデータ ウェアハウスが野村證券の成長を力強く支えていきます。

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