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導入事例

 様に導入

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  • コミュニケーション
  • 効率化
  • 最適化
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株式会社ニトリ

 様に導入

住まいの豊かさを提供するニトリ グループの積極的な世界戦略と、継続的なイノベーションを支えるグローバルな情報基盤として、Office 365 を導入

写真: 株式会社ニトリ

株式会社ニトリ

「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで広く親しまれている株式会社ニトリは、第 2 期 30 年計画のゴールである 2032 年度 世界 3,000 店舗達成に向けて、アメリカへの本格進出など、たゆまぬ変革を続けています。ローコスト開発と競合他社との差別化という相反するニーズを追求する同社では、変化の激しいグローバル市場に対応しながらも、継続的なイノベーションを起こし続けていくために、本部機能の効率化を強く意識。生産性を向上させるための取り組みの一環として、12 年来利用し続けてきた社内の情報基盤刷新を決断。グローバル展開を本格化したニトリ グループを支える新たな情報基盤として選ばれたのが、Microsoft Office 365 でした。

<導入の背景とねらい>
第 2 期 30 年計画達成に向けたイノベーションの実現に向け、
海外展開も容易なクラウド活用を選択

写真: 金平 嘉宏 氏

株式会社ニトリ
常務執行役員
業務システム室室長
金平 嘉宏 氏

写真: 清水 聡 氏

株式会社ニトリ
業務システム室
清水 聡 氏

写真: 玉山 久義 氏

株式会社ニトリ
業務システム室
玉山 久義 氏

写真: 荒井 俊典 氏

株式会社ニトリ
情報システム改革室
技術チーム
荒井 俊典 氏

写真: 佐野  智幸 氏

株式会社ニトリ
情報システム改革室
技術チーム
佐野 智幸 氏

株式会社ニトリ (以下、ニトリ) では、「欧米並みの住まいの豊かさを、世界の人々に提供する」という創業以来変わらぬ "ロマン" を掲げ、大型家具から暮らしを彩るインテリア用品まで住宅内すべての空間をトータル コーディネートする「ワンハウス・トータル・コーディネーション・マーチャンダイジング思想 (O.T.C.M.思想)」の下に、『お、ねだん以上。』の機能・品質とトータル コーディネーションを追及しています。

ニトリ 常務執行役員 業務システム室室長 金平 嘉宏 氏は、「住まいの豊かさを考えた時に、"コーディネートする楽しさ" は欠かすことのできない要素」であると説明します。
「今の日本には、機能性に優れた商品が溢れています。しかし、普通に買い物をして家に並べてみると、色合いや風合い、デザインに一貫性がなくなってしまうことが多いでしょう。社長の似鳥や私たちが子供のころにアメリカのホームドラマで見た住空間は、もっと調和がとれていて、落ち着きがありました。落ち着きのある空間に暮らすと、気持ちも豊かになります。それが、コーディネートの効力です。当社では、同じ場所で一緒に使用されることを想定してデザインされた豊富な商品が、手頃な値段で揃えることができることを目指しています」。

この理念に基づいて、ニトリではお客様のお住まいをイメージしやすい「ルーム形式」で商品を展示する大型店から、ショッピングセンター内に出店しているインテリア中心の小型店など多彩な店舗を展開。
「たとえば、ダイニング テーブル セットを探しに来たお客様のご予算が 5 万円だったとして、その時に 3 ~ 4 万円ぐらいで購入できれば、そこに組み合わせるテーブル クロスやダイニング ラグなども選んでいただくことが可能です。そのために、お手軽な価格と確かな品質を両立させたうえで、コーディネートしていただきやすいシリーズ展開まで心がけているのです」と金平 氏。こうした同社のねらいが市場に高く評価され 2013 年には海外 14 店舗を含む 300 店舗達成に至るまで成長を続けています。

しかし、ニトリが 2003 年から取り組んでいる "ビジョン" (第 2 期 30 年計画) に定められた目標ははるかに大きく、2022 年には 1,000 店舗、売上高 1 兆円の達成を目指し、30 年計画の締めくくりとなる 2032 年には 3,000 店舗、売上高 3 兆円の達成を期しています。

ニトリでは、この目標達成のために「さらに大きなイノベーションを起こさなければならない」と、金平 氏は話します。

「当社では『お、ねだん以上。』を追求するために、従来の製造小売業の枠から一歩進んで、物流機能まで備えた "製造物流小売業" を確立するなど、多くの変革を行ってきました。しかし、これは現在までの話です。将来にわたる発展が、これで保証されたわけではありません。当社はすでに、日本の 47 都道府県すべてに出店を果たしています。今後 1,000 店、3,000 店という目標を達成するためには、当然ながら海外戦略を強化していく必要があります。海外拠点との連携を密にするには、グローバルに展開可能な情報基盤が必要です。さらに、商品開発力も高め、より機能とデザインの優れた商品を提供していくためには、肥大化する本部機能を効率化し、社内の生産性を高める必要があります。そのためにも、"革新的" なシステムを活用し、自らが変革していかなければなりません」。

「12 年前は Notes だけでメールも社内ポータル サイトも文書管理も補えるだろうと想定していたのですが、会社の急な成長速度に追いつかず、個別にシステムを追加導入し、文書管理や TV 会議などのニーズを補った結果、複雑化してしまい、運用管理などに情報システム部門のリソースが割かれてきました。以前から基盤の刷新を検討していましたが、オンプレミスで構築すれば、またサーバーやソフトウェア ライセンスの管理が負担となりますし、数年後には陳腐化を免れません。それに、海外拠点への横展開と一元的な管理を行うことが困難であることは明白です。そうした課題を一気に解決する選択肢が "クラウド サービス" だったのです」 ニトリ 情報システム改革室 技術チーム 荒井 俊典 氏。

こうして、ニトリではクラウド サービスの本格的な検討を開始。アメリカへの本格的な進出を含めグローバル戦略を加速している同社のニーズに沿って、「さまざまな機能を、トータルにコーディネートして提供してくれるグローバルなクラウド サービス」である Microsoft Office 365 と他社のクラウド サービスを徹底的に比較。20 以上の項目に分けて検討した結果、「世界中でも問題なく利用できること」や「オンプレミスを含め、エンタープライズ システムの導入実績が豊富にある」などの事実を評価。2013 年春に Office 365 の採用を決定しています。

中でもニトリが特に評価したのが、Office 365 に含まれる SharePoint Online の存在でした。

ニトリ 業務システム室 清水 聡 氏は、この決定について次のように振り返ります。
「当社が求めたのは、明確に "業務改善" に役立つ情報基盤です。Office 365 では、SharePoint Online を中核として、あらゆる情報をグループ内でシームレスに共有することができます。しかも、部門ポータルの作成や、現場-本部間での親密な意見交換を支えるための新しいしくみ作りなどが、エンド ユーザー自身の手による比較的簡単な設定で行えるため、情報システム部門の手を借りずに改善していくことが可能です。この点を、当社では最も高く評価しました」。

こうしたカスタマイズに対するユーザーからのニーズは、創業時からの企業文化に根差したものです。
「当社は、迅速に変化を重ねることで成長してきた企業です。『まずは、やってみる。そして、走りながら改善を重ねる』という企業文化です。ですから、ニトリのシステムは、運用開始後にもエンド ユーザーの要望を組み込み、改良を重ねていくことが前提となっています。他社のサービスの場合には、こうした改善にプログラミング レベルでの対応が必要となっていたため、スピード感のある改善が期待できず、情報システム部門のリソースを裂くか、外注によるコスト アップも避けられないと判断しました」。

<システム導入の経緯と概要>
個別最適により複雑化していた情報システムを
わずか 3 か月で、グローバルに全体最適された環境に刷新

小売、製造、物流と、グローバルに広がるニトリ グループ全体の "改善" を促進するべく、12 年間利用を続けてきたNotes に別れを告げ、従業員 17,000 名が利用する情報基盤を Office 365 へと切り替えるプロジェクトは、大きく 4 つの段階に分けてプランされました。

そして、このプランを実現するために割かれたニトリの人員は、わずかに数名。クラウドならではの省力化メリットを存分に活かした体制でありながら、「ニトリらしい」スピード感でスケジュールが消化されていきました。

2013 年 5 月中旬のプロジェクト スタートからわずか 3 か月後の 8 月中旬には、第 1 段階としてニトリ本部および店舗や出向社員を含む全員への Exchange Online および Lync Online 導入を完了。続く 3 か月間で、既存の情報共有のシステムであるポータル サイト、文書管理ソフト、店舗のオペレーション マニュアル共有のシステム及び「現場から本部へ改善提案を行うためのしくみ」を SharePoint Online へ移行を完了させています。さらに 2014 年初頭には、第 3 段階として新しい改善のしくみの構築です。既に社内ナレッジ共有施策となる「FAQ サイト」を SharePoint Online 上に構築し、順次拡大しているところです。さらに次の段階である、グローバルに広がるニトリ グループ全体での情報共有へと第 4 段階まで着手している状態です。

これは「予定を前倒しするスピード進行であり、また切替時にも思いのほか問い合わせの数は少なく、スムーズに新・情報基盤が受け入れられた」と、ニトリ 情報システム改革室 技術チーム 佐野 智幸 氏は振り返ります。

「当初の予定では第 1 段階だけで 4 か月かける予定でいました。まずは本部のテスト ユーザーを移行させ、その検証の後に本部全体の導入を行い、最後に各店舗の切り替えに着手する予定だったのです。しかし、最終的には 8 月に本部も店舗も海外への出向者も全て一気に切り替えてしまい、3 か月で無事完了しました。この成功の背景には、メーリング ソフトとして必ずしも Microsoft Outlook を PC にインストールしなくとも、Web ブラウザ経由で利用できる OWA (Outlook Web App) だけで十分に実用に耐えるといった Office 365 の品質の高さや、導入に助力していただいたパートナーのソフトバンク・テクノロジー株式会社の存在もありました」。

こうしてでき上がったニトリの新情報基盤の概要は、次の通りです。

日常業務に欠かすことのできないメール システムには Exchange Online を活用。ユーザー 1 人あたり 50 GB のメール ボックスに加えて Exchange Online Archiving まで提供することで、ユーザーがメールの管理に困らないだけの潤沢な容量を確保。さらに社内のコラボレーションを円滑にするべく、メールとスケジュール管理、そして会議室予約機能までがシームレスに連携しています。

そして Lync Online によって、全社員のプレゼンス (在席情報) が表示されるようになり、相手の状態を確認した上で、メールやインスタント メッセージ、そして電話などのコミュニケーション手段を選択できるようになっています。また、各個人の PC から海外との Lync 会議も行われる環境となっています。
さらに Office 365 を活用したニトリの新・情報基盤では、ポータル サイトや店舗のオペレーション マニュアル管理など、各情報システムへの入り口が SharePoint に統一された上、ドキュメントの全文検索も可能になり、必要な情報へスピーディーに到達できる環境が整いました。さらに各情報システムがシームレスに連携できています。

これら、Office 365 が提供する情報共有環境へのアクセスをセキュアにするために、ニトリではソフトバンク・テクノロジーの提供する Office 365 向けのセキュリティ ソリューション「Online Service Gate」を採用。Office 365 環境へのアクセスを管理側で制限できるようにしています。

<Office 365 導入の効果>
Office 365 の活用によって継続的な業務改善を実践。
さらにランニングを含めたコストもシステム関連費用のみで回収

ニトリにおける Office 365 活用が開始されてから今日まで、想定通りの効果が発揮できていると、ニトリ 業務システム室 玉山 久義 氏は話します。
「従前の情報基盤が抱えていた、個別最適化の進行、既存システムの海外展開、社内の改修要望にもすぐに応えることができないといった複数の課題は、ほぼすべて解消することができました (図 1 参照)。特に、SharePoint Online は私達ユーザー部門の業務改善ツールとなっています」。

「ポータルの運用においても、旧ポータルの文書による配信のみから、動画、数表、アニメーションといった様々な表現方法が追加され、密度の高い情報共有へと改善しています。また、マニュアル システムや『現場からの問題提起・改善提案』も情報システム部門の労力を掛けず移行・運用しており、簡易なアンケート機能は手間の多い従来の専用システムからの発信ではなく、ユーザー自身で作成し、発信する運用も始まっています。また、新たに『FAQ サイト』を構築していますが、これにも情報システム部門無しで構築しています」。

「今後は海外を含むグループ会社への水平展開を進めて行きます。ニトリで作成したポータルなどのサイトは、簡易にグループ会社にも展開できるので、さらに効果を発揮させていきます。グループ会社との進捗管理、協業ベンダーとの外部共有サイトなど部門や会社の壁を越えて共有するしくみも活用し、『情報の流れを変革』していきます」。

このほか「Lync Online でも効果を発揮している」と、清水 氏と玉山 氏は声を揃えます。

「Office 365 導入後に社員からの反響が予想以上に大きかったのが、Lync Online です。ビデオ会議もできますし、Web カメラを使わずともインスタント メッセージを使ってグループ参加のミーティングが行えます。そこではデスクトップ画面を共有して資料を確認することもでき、ミーティングの理解度を高めるのに有効です。今後は、Lync による国内および海外との Web 会議利用を本格化させ、全店会議も実施予定です。共同編集による打ち合わせ効率化、出張コスト削減にも取り組んでいきます」。

さらに「コスト メリットに関しては、明確な数値効果が出ている」と続けます。

「既に TV 会議システムの保守や旧メールサーバーの保守料など、旧環境のランニング コスト削減によって、Office 365 導入から 3 年間にかかるコストが回収できる見込みが立っています。もし、別のソリューションを選択し、個別に導入していたら今の倍の費用が掛かり、サービス間がシームレスに連携することもできませんでした」。

Office 365 について、荒井 氏は「海外展開も容易なこのサービスがいつまでも陳腐化せず、常に最新の機能を活用し続けられることこそが、最大のポイント」であると強調します。
「Office 365 の各サービスは、自動的に最新バージョンへとアップデートされていきますし、サーバー ハードウェアもマイクロソフトの手によって更改されていきます。そのため当社がシステムの陳腐化を心配する必要がありません。素晴らしいことです。それに、クラウドですから新たに海外拠点を増やすとなっても、すぐにライセンスを拡張して導入することができます。今回の情報基盤刷新は当社にとって 12 年振りの大変革になりましたが、将来にわたって、長く、安心して活用できる基盤になったと思います」。

図 1 : 主な導入効果と、今後期待される効果

図 1 : 主な導入効果と、今後期待される効果[拡大図] 新しいウィンドウ

画面キャプチャ

画面キャプチャ[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
CYOD などにも積極的に取り組み
3S 主義の理想に適う情報基盤を徹底活用

ニトリでは今後、ワーク スタイルの変革を推進するために、情報システム改革室が選定したモバイル端末を社員に提供する CYOD (Choose Your Own Device) の運用なども視野に入れ、Office 365 のさらなる活用深化を計画しています。
金平 氏は今回の Office 365 導入を、チェーンストアにおける「3S 主義 (シンプリフィケーション : 単純化、スタンダーディション : 標準化、スペシャリゼーション : 専門特殊化)」になぞらえて、次のように総括しています。
「今回のプロジェクトを一言でまとめれば『ローコストな開発と、競合他社との差別化という相反するニーズを追求し続けるために革新的なシステムを導入した』ということに尽きます。そして、Office 365 の何が良かったのか? それは、シンプルで使いやすく、他社と比べても魅力ある機能が揃っているということになるでしょう。3S 主義で唱えていることと同じです。現場における活用と改善を促すためには、『しくみ』が複雑になってはいけないのです」。

常に最新の機能を、全体最適されたシンプルなしくみの中で活用できる――。この強みが、さらなるニトリの変革を支える源泉につながると、金平 氏は続けます。

「今後、当社は小商圏フォーマット出店の加速や海外出店プロトタイプ作りである台湾多店化、創業以来の夢であった米国出店と、さらなる挑戦が続きます。その中にあって、Office 365 は、当社の継続的な成長を支える源泉の 1 つとして確実に評価できると思います。第一に、情報システム部門を日々の運用保守業務から解放し、将来を見据えた戦略的システム提案に、全力を傾けられるようにしたこと。そして、システム改修にエンド ユーザーの参加を促し、業務改善のスピード アップに寄与できること――。当社の "ロマン" と "ビジョン" の追求は、こうした新しいテクノロジーによる成果を活かし、今後ますます加速して行きます」。

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