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導入事例

 様に導入

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  • 生産管理
  • 販売管理

日本精化株式会社

 様に導入

生産から会計まで、すべての業務の統合管理を目指して Microsoft Dynamics AX による ERP を導入
経営データの可視化と共有、業務の標準化、原価計算の改善、そして内部統制対応の負荷軽減までをトータルに実現

日本精化株式会社

日本精化株式会社

日本精化株式会社は、防虫剤や医薬品の原料となる樟脳の製造に事業の端を発する、わが国でも屈指の歴史を持つ化学メーカーです。現在は天然素材による高品質な化粧品原料や、独自の技術力を駆使した医薬品原料を得意分野とするファイン ケミカル メーカーとして、幅広い分野に製品を供給しています。同社では営業から販売、会計、生産、原価管理に至る全社的な管理システムを、Microsoft Dynamics AX によって刷新。積年の課題であった「経営情報の可視化と共有」、「業務の標準化」、「原価計算の改善」そして「内部統制対応の効率化」のための ERP 基盤を確立しました。

<導入の背景とねらい>
経営情報の活用基盤創出に向け
ERP による業務システム統合を決意

現在の製造業では、業務に関わる情報をいかに「見える化」し、かつ共有化するかが、市場ニーズに対応した生産体制や迅速な経営判断を実現するうえで不可欠とされています。また一方では、製造業独自の業務要件を IT に置き換えていく難しさも、常に指摘されてきました。こうした製造業における情報活用の課題を、Microsoft Dynamics AX の導入によって解決したのが日本精化株式会社 (以下、日本精化) です。

医薬品や化粧品原料などの製造実績から得た高い有機合成技術力を基に、多彩な分野にファイン ケミカル製品を展開してきた同社では、以前から各業務システムを連携させ、データ活用を促進し、事業の効率化を実現したいと考えてきました。しかし従来の情報管理システムは業務分野ごとに個別に運用され、互いのデータが必要な場合も必要最小限のデータを伝送するのみで、日常的に経営管理や分析に活用できるレベルではありませんでした。同社では、この打開策として ERP の導入を決意したと、日本精化株式会社 大倉 善弘 氏は語ります。

「プロジェクト開始にあたっては、次の 4 つの解決課題を掲げました。1、経営情報を可視化し、共有して管理効率の向上と判断の早期化を促進する。2、システム統合による業務の標準化を実現する。3、原価計算をシステム化し、原価要素別の実際原価の把握やシミュレーションを可能にする。4、システムを一元化してデータの整合性を保ち、システム外での整合性チェックや承認などの内部統制対応の負荷を軽減する、です。特に原価計算には製造業特有の難しさがあり、特定の個人のスキルに実務を大きく依存していました。それをシステム化して、誰でも簡単かつ正確に予定値と実績値との比較や、原価変動のシミュレーションが行えるようにしたいというねらいがありました」。

システム刷新の背景には、既存の個別に導入したパッケージや自社開発のアプリケーションの陳腐化といった事情もありました。しかし何よりもこれら 4 つの課題の解決が最優先であり、それには既存のシステムの入れ替えではなく、全社で統合運用できる ERP が必要でした。

<導入の経緯>
カスタマイズを最小化できる点で
Microsoft Dynamics AX を選択

日本精化が次期システムの具体的な検討に着手したのは、2009 年 4 月でした。当初はスクラッチ開発かパッケージ利用かを検討しましたが、ERP のすべてを作り込んでいく時間とコストが無駄なこと。また何よりも、標準化されたシステムを導入したいとの意図からパッケージを選択し、インターネットなどから調査したパッケージを各ベンダーにご紹介いただきながら製品の選択を進めていきました。そうした中で Microsoft Dynamics AX に着目した理由を、「プロセス製造業に適応できる製品だったこと」と、日本精化株式会社 伊達 忠弘 氏は明かします。

「当社はプロセス製造業なので、パッケージにも他の一般の製造業にはない特殊な管理項目が要求されてきます。しかしそれに対応した ERP 製品は少なく、さらに大規模導入向けの高コストなものを除くと 5 社しか残りませんでした。その中から最終的に Microsoft Dynamics AX を選択したのです」。

決め手となったのは、プロセス製造業に必要な機能を追加するカスタマイズが、最も少なく済む点でした。たとえばプロセス製造業の原価計算では、生産工程で発生する連産品や副産物、廃棄物等、他の製造業では出てこない項目の管理が必要です。

「2010 年 1 月に各ベンダーにプレゼンを依頼した際、当社の要件を満たすにはどれくらいのカスタマイズが必要かを聞いたところ、Microsoft Dynamics AX が最も少なかったのです」 (伊達 氏)。

カスタマイズを最小限に抑えることができた理由に、今回の Microsoft Dynamics AX 導入をサポートしてきた、横河ソリューションズ株式会社 (以下、横河ソリューションズ) が独自開発したソリューションの存在があります。この「Dynamics AX プロセス製造業向けソリューション 日本的商習慣対応機能」には、標準の Microsoft Dynamics AX ではサポートされていない、わが国のプロセス製造業向け機能が追加され、カスタマイズを最小限にとどめる効果があります。特に原価管理については、制度会計としての実際原価計算、標準原価をサポートするだけでなく、管理会計としての予算原価管理にも対応しています。

他の候補のパッケージ製品と比較検討した結果、一番条件に近いと感じ、2010 年 2 月 に採用を決定してプロジェクトを始動。着実に開発を進め、2011 年 4 月に本稼働を開始しました。

「システムの開発にあたっては、社員の 1 人 1 人から業務改善案を出してもらい、Microsoft Dynamics AX でできることとそうでないことを仕分けしながら、優先順位をつけていきました。これによって新しいシステムを導入するという意識が盛り上がり、全社的な協力体制ができたと思っています」 (伊達 氏)。

一方、実装段階では基本的に Microsoft Dynamics AX の基本機能を生かすことを心掛けました。カスタマイズを加えすぎると業務間でデータの整合性が失われ、内部統制対応に問題を生じるからです。このため、可能な限り Microsoft Dynamics AX 内部で作業が完結することを目指し、帳票も Microsoft Dynamics AX で発行から承認までを実施して、標準化と効率化の両立を目指しました。

新しく建設した多目的生産設備 (外観および生産設備)

新しく建設した多目的生産設備 (外観および生産設備)

<導入効果>
経営データ活用に向けた布石は完了
標準化や新企画への余力も生まれる

新しいシステムの導入規模は、同時 40 ユーザー、端末台数は約 130 台。Microsoft Dynamics AX の、全パッケージが導入されています。システムの構成は「会計管理」、「原価管理」、「生産管理」、「販売管理」、「購買管理」の 5 つの業務管理システムが「新基幹システム」として Microsoft Dynamics AX の配下に統合されています。外部の既存システムとして「固定資産管理」と「人事・給与」の 2 本のパッケージがある他は、すべての業務がこの新基幹システムでカバーされています (図参照)。

この中で、販売価格申請などの機能追加や帳票の変更などは行いましたが、Microsoft Dynamics AX の標準機能を生かした形でプロジェクト当初に掲げた 4 つの解決課題にほぼ対応できるシステムを導入できました。

「まず経営情報や業務管理の情報基盤としては、Microsoft Dynamics AX 内の各業務データを横断的に利用できるようになりました。この結果、BI や Microsoft SQL Server Reporting Services を使用したレポート出力などで業務データを活用できる環境が生まれています」 (伊達 氏)。

そのほか、受注時にリアルタイムの現在庫や受注数が確認できるようになり、より適確な受注対応が可能になったこと。また、実績原価を原価要素別で把握できるようになったなどの成果が挙がっています。加えて、大倉 氏は標準化のための基礎固めが実現した点を高く評価します。「まだ完全ではありませんが、データが一元化されたことで、今後標準化をさらに深めていくための基礎はできました。少なくとも従来の原価計算のように、業務が属人的な制約を受けることから脱却する糸口は、既につかんだと言えます。事実、今まで私に集中していた業務を他の社員に分散できるようになり、本来の経営企画担当としての業務に集中できる時間が生まれたと実感しているところです」。

もちろん内部統制対応にも、効果が挙がっています。

「紙ベースでの承認資料が減りました。また各システムにひも付けられた証跡の、人手によるチェックもかなり減少しました。期待した通りの効果が出ています」 (伊達 氏)。

新基幹システム概念図

新基幹システム概念図[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
経営と製造それぞれに貢献する
データ活用の環境創造を目指す

今後の Microsoft Dynamics AX の活用について、日本精化株式会社 井上 達也 氏は、データ活用のさらなる促進を挙げます。

「必要なデータを、システムから取り出すことはできるようになりました。しかしそれを十分に活用できるところまではまだまだです。そのためにも私たち担当者が率先して、もっとユーザーにわかりやすく説明しながら、業務に役立ててもらえるように働きかけていきたいと考えています」。

一方、横河ソリューションズ株式会社 山田 貴之 氏も、そうした環境を積極的に支援していきたいと抱負を語ります。

「既に一部の工場では、製品計画を入力すると、その上流や下流の工程の原料なども自動計算して発注につなげていくしくみができあがっています。今までは誰かそのスキルを持った人の頭の中でしかできなかった製品計画が、Microsoft Dynamics AX によって誰でも可能になっているのです。これをできるだけ多くの方々にご活用いただけるよう、今後もお手伝いしていけたらと思っています」。

大倉 氏は、今回の Microsoft Dynamics AX の数ある導入効果の中でも、こうした「情報を誰もが活用できる環境が生まれたこと」がやはり大きいと指摘します。

「今までは欲しいデータがあっても、そのつど他の部署に聞かないと所在さえわかりませんでした。それが今では、工場の現場から直接データベースにアクセスして参照できるように変わったのです。今後は導入したシステムをどんどん使い込んで、何をどこまで見ることができるのかを追求し、それを生産の現場にフィードバックすることで、メーカーとしての業務の品質とスピードを上げることを追求していきたいと思います。同時に経営層や営業に対しては、経営判断に活用できる指標などのレポートや、デスクトップ BI によるリアルタイムでのデータ活用の環境を提供していきたい。それが私たちのこれからの大きな課題だと考えています」。

今回の情報システム刷新で限りないデータ活用の可能性を手に入れた日本精化は、ファイン ケミカル ビジネスの明日に向けて、さらに大きなステップアップを目指します。

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