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日本大学

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全学生約 10 万人に Office 365 Education を導入。プラン A3 の導入でクラウド利用率の大幅向上をねらう

2019 年に創立 130 年を迎える国内最大規模の総合大学である日本大学では、キャンパスが 33 か所に分散しているため、「ワン キャンパス」を目指して IT を活用したさまざまな取り組みを行っています。その中心となっている総合学術情報センターでは、学部ごとだった学生の ID 管理システムを 2008 年に統合、約 10 万人の学生が利用できる共通認証基盤を構築し、メール システムとして Google Apps を導入しました。しかし、学生の利用者が想定より低かったため、よりよい学生サービスを提供するため、2013 年には全学部の学生を対象に、Microsoft Office 365 Education の導入を決定、2014 年 4 月から運用を開始しました。導入の目玉は、最小限のコストでのアプリケーション不正利用の防止と、最新版の Office 365 ProPlus を常に利用できる環境の実現、学部事務担当のアプリケーション配布や管理負荷をなくすことです。各学部、学生共に Office が自由に利用できることへの期待は高いものがあり、総合学術情報センターではクラウド利用率の向上を目指して、Office 365 Education の活用促進を図っていく考えです。

<導入背景と狙い>
長年の課題だった学生の不正利用の完全防止が Office 365 Education の利用で、最小限のコストで現実化

日本大学は、1889 年 (明治 22 年) に創立された日本法律学校を前身として、2019 年 (平成 31 年) に創立 130 周年を迎える歴史を持つ国内最大規模の総合大学です。学生、生徒は全部で約 10 万人、教職員は 約 8,000 名におよび、14 学部と大学院、短期大学部、通信教育部、専修学校、多くの付属高等学校、中学校を併設しています。大学としては、文系、理系、医歯薬系などほとんどの学問領域を網羅し、そのスケール メリットを生かした教育、研究を行っていることが大きな特長です。同大学は「日本精神にもとづき道統をたつとび、自主創造の気風をやしなう」ことなどを開学以来の目的、使命として、その精神のもと「日本一教育力のある大学」を目指して、現在、さらなる教育環境の整備を進めています。具体的には、創立 130 周年記念事業として、2 つの新学部と小学校の開設、生活習慣病対策に重点を置いた新病院の開院、奨学金制度の充実や学生スポーツの強化などに取り組んでいます。その一環として、2014 年 3 月には経済的支援が必要な地方からの学生のために、4 棟の学生寮が完成しました。日本大学の中で、学術情報をはじめとする各種の情報を総合的に集約した情報発信と図書館機能、そして、各学部や高校を結ぶ基幹ネットワークの運営と共通システムの構築支援、学部システムの支援などを行っているのが総合学術情報センターです。日本大学総合学術情報センター 情報事務局 事務長 丹野 廣 氏が語ります。


写真:日本大学

日本大学

「日本大学は全部で 14 学部あり、キャンパスは 17 か所に分散しているので、学生も同じ大学にいるという意識を作りにくい面があります。そこで、IT を使って、『ワン キャンパス』化していこうという目標のもとに、IT インフラを運用しています。これを担当するのが、総合学術情報センターです。共通で使うメール システムやアプリケーション ライセンスの包括契約など大学全体で取り組むことのメリットを活かして IT 化を推進しています」。

従来、日本大学では学生が使う Microsoft Office やメール システムなどについて利用するかどうかの判断を各学部に任せており、包括契約をマイクロソフトと結んでいない学部もありました。そのため、学生による偶発的なソフトウエアの不正利用が起こる可能性があり、大学全体で包括契約を結んで、その可能性をなくしたいと考えました。しかし、学部、大学院だけで約 8 万人近い学生がいるため、不正利用を完全に防ぐためには、個別契約では難しく、学生個々人にも守らせるようなしくみが必要です。
日本大学総合学術情報センター 情報事務局 情報推進課 主任 渡辺 和樹 氏が語ります。



日本大学総合学術情報センター
情報事務局
事務長
丹野 廣 氏

日本大学総合学術情報センター
情報事務局 情報推進課 主任
渡辺 和樹 氏

日本大学総合学術情報センター
情報事務局 情報推進課 課長
吉田 清 氏




「意図的に不正コピーをする学生はいないのですが、貸した際にコピーしてしまったというケースなどが考えられます。しかし、仮に学生が一人でも不正利用として訴えられると、大学全体の問題になってしまいます。学生一人ひとりのレベルまで徹底して守らせるには大学全体で包括契約するしかないのですが、大きなコストがかかるため、今まで調整がつかず、長い間懸案事項となっていました」。

それが Microsoft Office 365 Education のサービスがスタートしたことで、解決する見通しが出てきました。Office 365 Education プラン A3 に含まれる Office 365 ProPlus であれば、パッケージ版よりも安価に利用でき、常に最新バージョンが利用できるので、古いバージョンの Office をそのまま使い続けるようなこともありません。そして、学生が PC やタブレットなど学生一人あたり 5 台までの端末にインストールすることができるうえ、Office 365 管理センターがあるので不正利用を防ぐことができます。そこで、日本大学総合学術情報センターでは Office 365 Education の全学での導入の検討を、マイクロソフトのパートナーであるサイオステクノロジー株式会社 (以降サイオステクノロジー) と始めました。サイオステクノロジーは教職員向けのメール システムにオープン ソースのメール サーバーを導入して以来、パートナーとして日本大学の IT インフラの構築を支援してきました。2007 年には学部ごとに分かれていた学生の ID 管理を統一するために、全学共通で ID 管理を行う統一認証基盤を開発。同時に、メールを主な用途に Google Apps を導入しました。
日本大学総合学術情報センター 情報事務局情報推進課 課長 吉田 清 氏が語ります。

「当時、学部、大学院、専門学校生が利用するメール システムを導入しようとしたのですが、小規模なプロバイダー並みの約 8 万人近いユーザー数になるので、自前のメール サーバーでは難しいと判断しました。そこで、コストがかからず、メンテナンスも容易なクラウド サービスを利用することにして、Google Apps を導入することにしたのです」。

<導入の経緯>
約 10 万アカウントの統一認証基盤と Office 365 Education を Active Directory で連携、最新の Office が常に使える環境を実現

しかし、Microsoft Office で作成されたデータを Google Apps で開くとフォーマットやグラフがずれるなど学内ユーザーの間では、Google Apps のドキュメントやスプレッドシートの利用は思ったよりも進みませんでした。また、日本大学には、文系、理系、医薬系などの学部があり、Macintosh を使う学部などもあるため、Office の利用についての考え方も各学部でそれぞれ異なります。すでに学生が Office のインストールされた PC を購入しているので、新しいライセンス契約は不要だと考えている学部もありました。こうした課題に対して、総合学術情報センターでは、現在使っている Google Apps アカウントと同じ ID を使って、学生が Office 365 管理センターという個人用のサイトから、Office 365 ProPlus をインストールできるようにすれば、各学部の事務部門がメディアの配布、回収やプロダクト キーの管理が要らず、労力が大幅に軽減されること、そして、Office の最新版が常に使えること、偶発的な不正利用も完全に防げることをポイントに各学部の担当者に、Office 365 の導入を働きかけました。加えて、クラウドが世の中の大きな流れになっている中で、学生から使いたいといわれる前に大学が Office をクラウドで提供するのは先進性をアピールするよい機会になることもアピールしました。2013 年 4 月から 6 月にかけて、これらの課題と Office 365 Education 導入のメリットを各学部の情報担当者に説明、意見や要望を出してもらい、9 月に Office 365 Education を導入する方針が決まりました。クラウドの利用については、すでに Google Apps (Gmail など) を使っているので、どの学部も特に抵抗感はありませんでした。

「教育機関向けの Microsoft Office のパッケージ版を学生全員に配るとするとライセンス費用が高くなりすぎて、とても手がでませんでした。そこで、Google Apps のドキュメントやスプレッドシートを利用しています。しかし、Google Apps の利用率がなかなか向上しないこと、そして、ドキュメントやスプレッドシートの使い方が Office と異なることから、Microsoft Office の撤廃はできませんでした。それに対して、Office 365 Education であれば、費用も抑えることができ、全学生の利用が可能です。そこで、当初はそこまでの利用は考えていませんでしたが、9 月の段階で、Office 365 Education のプラン A3 を約 10 万人の全学生が使えるようにしたいと提案しました。」(渡辺 氏)。

Office 365 Education の導入にあたって大きな課題となったのは、約 10 万のアカウントがある認証基盤と Office 365 Education の同期でした。同期は認証基盤のデータベースから Office 365 Education に直接行うのではなく、まず、Active Directory への同期を行い、次に、Office 365 Education との同期を行うことになりました。セキュリティ面からも Active Directory を採用することによって、総合学術情報センター側の統一認証基盤でのみ、パスワード変更ができるようにしています。
サイオステクノロジー株式会社 クラウド ソリューション部 データベーススペシャリスト 情報セキュリティスペシャリスト 早川 了 氏が語ります。

「従来の認証データベースと Active Directory との同期は当初の実装では 10 時間以上かかりましたが、チューニングを行うことによって、1 ~ 2 時間程度に短縮できました。また、Active Directory と Office 365 Education との同期も 3 時間程度で済み、非常に迅速に行うことができました」。

また、日本大学では学部によって、Office 365 Education のライセンス プランが異なることから、ライセンスを付与するための同期が簡単にはいきませんでした。そこで、サイオステクノロジーが開発した License Sync for Office 365 でライセンス付与の同期を行うことにしました。これら 3 段階の同期で、バッチ処理の時間を合わせて、約 10 万人のアカウントを 1 日ほどで同期できました。大学では卒業、入学で毎年、学生の 3 分の 1 が入れ替わりますので、日本大学では毎年 3 万人の同期が必要になります。その処理時間は半日程度で完了することになったので、新入生情報を 3 月末に受け取っても、新学期の授業開始時には支障を来すことなく、Office 365 Education を使うことができるようになりました。

<システム概要と構築>
学生は自分の PC など 最大 5 台の端末で 最新版の Office を使えるようになり、OneDrive for Business の利用も抵抗感なくスタート

こうして、認証基盤と Active Directory、Office 365 Education の連携作業を完了させ、2014 年 4 月から全 14 学部、約 10 万人の学生を対象とした Office 365 Education のサービスがスタートしました。学生は Office 365 Education のプラン A3 に含まれるサービスが利用できます。総合学術情報センターにとって、一番気がかりだった新入生のアカウント同期も、今までであれば、締め切り直前の 3 月 31 日夕刻まで情報を送ってこなかった学部も「Office 365 ProPlus をすぐに使いたい」ということから、早い段階で送ってきました。そのため、4 月 2 日以降の新入生ガイダンスは余裕を持って行うことができました。Office 365 Education は Active Directory による認証基盤と連携しており、学生は一人ひとりに割り振られた Google Apps のログインで使用していたアカウントとパスワードを入力することで、Office 365 Education が使えるようになります。認証基盤と Office 365 Education の間には Active Directory があり、学生が Office 365 Education からはパスワード変更ができないようになっています (図)。実際の利用では最初の授業の時に、教員がダウンロードの仕方を実演も含めて行います。その上で、学生は自分の PC に Office 365 ProPlus をインストールして使います。OneDrive for Business も、以前からクラウド サービスを使っていたため、抵抗感なくスムーズに使い始めることができています。このように、Office 365 Education をはじめとするクラウドの利用は大学に大きなメリットをもたらします。
サイオステクノロジー株式会社 コンサルティングサービス部 シニアアーキテクト 中田 寿穂 氏が語ります。



サイオステクノロジー株式会社
コンサルティングサービス部
シニアアーキテクト
中田 寿穂 氏

サイオステクノロジー株式会社
クラウドソリューション部
データベーススペシャリスト
情報セキュリティスペシャリスト
早川 了 氏



「日本大学ではクラウド サービス利用を検討する際、クラウドとオンプレミスの双方のメリット、デメリットを調べました。その中で、クラウド サービス利用にデメリットはあるが、それをあまって補うだけのメリットがあると判断し、クラウドサービス利用を選択したわけです。そのことが日本大学で、非常に早い時期からクラウドの導入が進んだ大きな理由です。他の大学でも、クラウドにデメリットがあっても、メリットの方が大きいのであれば、導入するべきではないでしょうか。それらを利用して、限られた予算の中で、コストを減らし、その分を必要なところに回して、学生に対して、よりよいサービスを提供できるようにしていくことが求められていると思います」。

また、Office 365 Education の導入に関して、マイクロソフトのサポートは非常に手厚いと評価されています。「対応が非常に早く、問い合わせをするとすぐに返事が返ってきます。とても安心できるサポートです」(早川 氏)。


図: システム概要図

図 システム概要図[拡大図] 新しいウィンドウ



<導入効果と今後の展望>
学部、学生の期待の高さに応え、各学部の活用促進を支援

今まで、総合学術情報センターでは学生のアカウントを約 10 万人分用意していましたが、Google Apps は入学時のガイダンスで紹介してもなかなか利用されず、就職活動が始まって初めて Gmail を使うというケースも多くありました。それが Office 365 Education の導入によって、Office 365 ProPlus などが自分の PC で使えるので、「学生サービスである Office 365 Education を使ってみよう」という声が学生の間で高まってきています。

「新学期が始まったばかりですが、多くの学生がアカウントを有効化しているという気配を非常に強く感じます。アカウントを有効にすることで、メールを受け取ることができるということを学生が認識することがとても重要です。それによって、オンラインの授業が可能になりますし、緊急連絡にも使うことができます。Office が自由に使えるという『Office 効果』で、アカウントの有効化とメールの利用が進むのではないかと期待しています」(渡辺 氏)。

総合学術情報センターとしては、ユーザーが使いやすいサービスを提供するという観点に立って、教職員が利用している Gmail と学生サービス向上に有効な Office 365 Education の両方を提供していく方針です。

「Office 365 Education の導入によって、最小限のコストで、ソフトウエア不正利用を防ぐと共に、最新版の Office 365 ProPlus を常に利用できる環境を実現することができました。また、今までパッケージ版の Office を学生に配布していた学部では、メディアの配布、回収やライセンス キーの管理などの業務から解放されました。Office 365 ProPlus が自由に使えるという期待感は教員、学生共に高いので、各学部の利用促進を支援していこうと考えています」(吉田 氏)。

従来、クラウド利用に消極的だった学部も今回の Office 365 Education 導入には積極的なことから、総合学術情報センターでは、学生の 70% 程度は Office 365 Education を使うようになると見ており、さまざまな形で各学部の利用促進を支援していく考えです。

※ Office 365 Education プラン A3 に含まれるサービスは次のとおりです。Exchange Online Plan 2、SharePoint Online Plan 2, Lync Online Plan 2, Office 365 ProPlus

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