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国立循環器病研究センター

 様に導入

臨床研究プロジェクトのデータ マネージメント業務に Microsoft Office Project Server 2007 を導入
業務配分の正確な見積もりを実現し、タスクの標準化とテンプレート活用で、良質なプロジェクト運営を実現

国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センター

独立行政法人国立循環器病研究センターは、1977 年に設立された、わが国における循環器病治療と研究の国立高度専門医療研究センター (ナショナル センター) です。同センターでは 2007 年に医療技術開発および臨床研究などの研究支援基盤整備を開始しました。その具体的施策の 1 つとして、臨床研究に特化したデータ マネージメント部門を設けて、複数の研究プロジェクトを適確に管理することを計画。2010 年には Project Server 2007 を導入して、プロジェクトの管理タスクの標準化や、先々までのスケジュール計画を実現し、効率的で質の高い研究活動支援の環境創出に成功しています。

<導入の背景とねらい>
データ マネージメントを推進するにつれて
専用の管理ツールの必要性を痛感

国立循環器病研究センター
研究開発基盤センター
先進医療・治験推進部
部長・医学博士
山本 晴子 氏

国立循環器病研究センター
研究開発基盤センター
先進医療・治験推進部
DM/統計室
太田 恵子 氏

国立循環器病研究センター
研究開発基盤センター
先進医療・治験推進部
DM/統計室
甲斐 陽子 氏

国立循環器病研究センター
研究開発基盤センター
先進医療・治験推進部
DM/統計室
嘉田 晃子 氏

株式会社 テクノプロ・エンジニアリング
受託開発事業部
課長
中山 智行 氏

株式会社 テクノプロ・エンジニアリング
受託開発事業部
技術担当
坂場 桂子 氏

わが国における高度専門医療センターの 1 つとして、35 年にわたって循環器病治療および研究をリードしてきた独立行政法人国立循環器病研究センター (以下、国立循環器病研究センター) 。近年は高度で専門的な医療施設としての役割に加えて、医療関連技術や臨床研究分野における期待がますます高まってきています。そうした社会的要請を背景に同センターでは、2007 年に本格的な研究支援基盤の整備に着手しました。その重要な柱として設けられたのが、現在の DM (データ マネージメント) /統計室であり、研究データの品質管理を担っています。それまで臨床研究プロジェクトで専門のデータ マネージャーによる管理部門を設けた例はほとんどなく、特に循環器医療分野では初めての試みだったと、責任者である国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部 部長・医学博士 山本 晴子 氏は振り返ります。

「DM/統計室では、主に臨床研究で得られた患者の情報や臨床データ、および研究プロジェクトに関する各種情報を収集し、データベースとして管理しています。医療機関の中にこうした医師以外の専門家による部署を設けて、そこにデータ管理を委ねるというのは、まったく初めての試みでした。このためすべてが手探りの状態から始まっていったのですが、研究プロジェクトの数や DM/統計室のスタッフが増えていく中で、プロジェクト管理ツールの必要性を切実に感じるようになったのです」。

ツールの必要性はスタッフにもいつしか共有され、各人が進んで具体的なプロジェクト マネージメント (PM) ツールの検討を進めるようになっていきました。国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部 DM/統計室 太田恵子氏は、「年度末やプロジェクトのヤマ場などの繁忙期には、専用の管理ツールを使わないと、いくつもの研究が同じ進行する中で、誰が何を行っているのか正確に把握しきれません。いくつかツールを検討した結果、Project Server 2007 に着目しました。そこで、株式会社テクノプロ・エンジニアリング (以下、テクノプロ・エンジニアリング) に問い合わせてみると、ちょうど貸し出しキャンペーンを実施中で、実際に動かしてみたいと考えてさっそく申し込んだのです」と語ります。

太田 氏が Project Server 2007 に注目した決め手の 1 つが、複数のプロジェクトの動向を把握できる点でした。

「これは、他の製品にはない特長でした。そこで山本 先生に相談に行ったところ、ちょうど先生も同じ点を評価されていたとのことで、すぐにキャンペーン利用の許可をいただけました。また当初はフリーウェアのツールなども比較検討していましたが、やはりフリーウェアではサポートが受けられず、問題発生時に自力での対応は難しいと考えて、サポートが保証されている Project Server 2007 を選んだのです」。

キャンペーンを提供していた株式会社テクノプロ・エンジニアリング 受託開発事業部 課長 中山 智行 氏は、最初に問い合わせを受けて、同センターのツール導入に対する意気込みを強く感じたと振り返ります。「一般に、お申し込み時点では "とりあえず借りてみたい" というお客様がほとんどです。しかしこちらは "具体的な機能を検証したいので、デモを見せて欲しい。また有償でトレーニングを受ける準備もある" といった "本気" が最初から伺えました。そこで当社としても、精一杯サポートさせていただく覚悟で取り組もうと考えたのです」。

<導入の経緯>
長期的な視点での投資対効果に期待
2 年がかりの入念な導入・定着に取り組む

Project Server 2007 の導入検討が始まったのは、2009 年の秋でした。その後 9 ~ 10 月の評価版によるキャンペーン試用期間を経て、12 月に正式導入を決定。まずスケジュール管理の部分を立ち上げ、2010 年 4 月からは、キャンペーン以来、導入サポートを提供してきたテクノプロ・エンジニアリングによる定着支援期間がスタートしました。これまで支援業務を担当してきた株式会社テクノプロ・エンジニアリング 受託開発事業部 技術担当 坂場 桂子 氏は、「2011 年 3 月までの 1 年間、毎月 1 回訪問と電話やメールでのサポートを通じて、操作方法や活用のアドバイスをさせていただきました。とりわけ Project Server 2007 の多彩な機能の中から、お客様の業務でよく使う機能、有効な機能を絞り込んで説明するよう心掛けてきました」と語ります。

定着支援期間終了後の 2011 年 4 月から 2012 年 3 月までの 1 年間は、いよいよ本格的な利用環境の整備に入ります。タスク管理機能やテンプレートの作成が急ピッチで進められ、その機能検証とブラッシュアップが繰り返されました。また各人の作業時間管理を行うタイム シートも追加導入されました。

今回の導入に際しては、投資対効果という点でも入念に検討を重ねたと太田 氏は明かします。

「本格的なプロジェクト管理ツールだけに価格も気になっていましたが、テクノプロ・エンジニアリングによるデモを見て、Project Server 2007 には多彩な機能があるぶん、きちんとしたサポートなしには使いこなせないというのも感じました。反対に、もしベンダーがツールの使い方はもちろん、プロジェクト管理のノウハウまでをしっかりサポートしてくれて、これらの機能を使いこなせるようになれば、長い目で見れば価格は納得できると思ったのです」。

山本 氏も専用ツールへの投資には、スケジュール管理だけにとどまらないねらいがあったと語ります。

「医学研究はスケジュールの変更が多く、不測の事態もしばしば起こります。そうしたプロジェクトの要素変動に合わせて適正に人材を配置するには、長期にわたって複数のプロジェクトの動きを追えるしくみを整えなくてはなりません。つまり人的リソース管理までを可能にする高度な機能のツールが不可欠であり、それに必要なコストはかけようと考えました」。

<導入効果>
定量的な業務配分の把握と標準化が
プロジェクト品質を向上させた

今回の導入で実作業を担当してきた、国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部 DM/統計室 甲斐 陽子 氏は、2 年間にわたる準備期間の努力が、現在ようやく実ってきたと語ります。

「スケジュール管理や時間管理の実務におけるトライ & エラーを通じて、データ マネージメントの管理タスクが定番化され、テンプレートも多数作成できました。これを基に、タスクごとのリソース割り当てが正確に行えるようになったのです。プロジェクト業務の何 % を誰に割り当てるかを具体的に見られるため、定番タスクに関しては、現実的かつ適正な負荷の仕事量が配分できる環境ができあがっています」。

人の稼働状況も、より正確に把握できるようになりました。以前は 1 人が 3 つのプロジェクトに関わっていると「稼働率 300%」までしか見えなかったのが、タイム シートによって実際の作業時間を収集できるため、どのプロジェクトにどれだけ関わったかまで詳細に把握できるのです。

一方、山本 氏は、Project Server 2007 の導入がもたらした最大のメリットを「標準化」だと評します。

「私たちに支援を依頼してくる研究者は、研究テーマには精通していても、それを実際の研究プロジェクトとして運営する業務の進め方は知りません。そこで私たちが手順の間違いや抜けている点を指摘して、確実に研究が進められるように支援する必要があります。その際も、Project Server 2007 には標準化されたデータ マネージメントのパターンが用意できているので、それを使えば手順や内容にばらつきのない良質なプロジェクト運営が可能になるのです」。

また甲斐 氏も、これら標準化されたデータ マネージメントのタスクが、どんな研究内容のプロジェクトであっても、ほぼ適用できることがわかったと語ります。

「このタスクを利用することで、私たちの支援作業にも漏れがなくなりました。これまでは支援するデータ マネージャーごとに支援の内容もまちまちだったのが平準化され、"やり過ぎず、やらなさ過ぎない" 最適化された支援内容と、属人的スキルに左右されない質が維持できるようになったのです」。

また、研究を進めるうえで踏むべき段階も標準化されているため、必要に応じてどのステップに重点を置くかなどを検討しやすくなり、以前よりもフレキシブルなプロジェクト運用が可能になっています。DM/統計室の業務責任者である国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター 先進医療・治験推進部 DM/統計室 嘉田 晃子 氏は、「プロジェクトの始めの業務割り振りから、研究実施終了後の統計解析までを手掛けているのですが、プロジェクトの全体の見通しがつくようになったため、各ステップごとの業務が非常にやりやすくなりました。単に “このステップではこれを行う” といった紋切り型ではなく、前後のステップ同士の関連や必然性を見ながら、適切な作業や対処が可能になったのです」と、実務面での改善を体感できていることを示唆します。さらに DM/統計室では、こうした一連の成果を 2012 年 2 月の日本臨床試験研究会で発表。優秀演題として表彰されるという嬉しい成果もありました。

プロジェクト自体の作業の標準化に加え、Project Server 2007 の運用に関しても標準化が現在着々と進んでいます。2012 年には「運用に関する手順書」の第 1 版が完成。続いて「Project Server 2007 操作マニュアル」の作成も始まりました。

Project Server 2007 の運用イメージ図

Project Server 2007 の運用イメージ図 [拡大図] 新しいウィンドウ

タスクの標準化イメージ

タスクの標準化イメージ [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
DM 手法の横展開を通じて
より計画的で質の高い研究を支援

山本 氏は、今後の展望について、「ここまで蓄積してきたデータ マネージメントの手順を、テンプレートとして外部の部署や組織に提供していく手法を検討していきたいですね。データ マネージメントは最も定型化しやすい業務なので、これを定型化が難しい部門の業務にどう展開していくかが大きな課題です」と語ります。また嘉田 氏も「現在私たちの部署で行われているのは、研究データそのものに限ったデータ マネージメントの範囲です。これを臨床研究全体のプロジェクト マネージメントとどうリンクさせていくのか、引き続き考えていきたいと思っています」と、さらなる発展の方向を探る意欲を見せます。

こうした DM/統計室の意気込みに対して、テクノプロ・エンジニアリングの中山 氏は、「皆様のおかげで、実務レベルでの運用がようやく軌道に乗ってきたと実感しています。今後はこの基盤を活用して、さらにお仕事の効率を上げていくことが課題になってくると思います。そのためにも標準化の取り組みや "手順書" のブラッシュアップ、そして Project Server 2010 へのバージョンアップへ向けたご提案など、テクニカルな側面から引き続き支援させていただきたいと願っています」と抱負を語ります。

「今までは進捗が遅れそうなプロジェクトは、そのつど注意するなどの支援も行ってきましたが、今後は研究の開始時に "これだけ時間がかかる" といった目安を明確に示して、より計画的なプロジェクト進行を可能にする取り組みも行っていきたいですね。そうして最終的にセンター全体の研究品質を向上させることが、私たちに課せられたテーマだと考えています」と語る山本 氏。わが国における循環器医療の最先端を、同センターのプロジェクトマネジメントが力強く支えています。

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