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株式会社 長野県協同電算

 様に導入

渉外活動向け Windows 8 タブレット アプリケーション開発にコンサルティング サービスを活用
スキル習得に加え、開発メンバーのモチベーション向上にも成果

写真:株式会社 長野県協同電算

株式会社 長野県協同電算

グローバル経済や消費動向がめまぐるしく変化する中、農業協同組合 (JA) は、従来の生産農家への営農指導や金融、共済業務に加え、さまざまな情報提供や商品提案などのアドバイザー的業務も含めた地域密着型のサービスを担うようになってきています。JA 長野県グループの総合情報センターである株式会社長野県協同電算では、こうした JA職員への支援強化ツールとしてタブレットの可能性に着目。将来の本格的利用に備えて、日本マイクロソフトの Windows 8 タブレット アプリケーション開発支援コンサルティングを採用。本番同等レベルの試験開発プロジェクトを実施し、自社の開発メンバーのスキルアップとモチベーション向上を推進しています。

<導入の背景とねらい>
JA の渉外活動支援ツールへのニーズを先読みして
タブレット アプリケーション開発に着手

株式会社 長野県協同電算
専務取締役
西村 篝 氏

株式会社 長野県協同電算
開発部
システム統括課
課長
臼井 多加根 氏

グローバル規模で農業を取り巻く環境が変化している現在、生産農家にとってはいかに消費者のニーズを的確に把握し、市場の中で生き残っていくかが大きな課題です。JA 長野県グループも、かねてから農業生産や金融、共済事業といった各方面の支援に注力。とくに近年は IT を応用して、より効率的な組合員サービスの拡充を図ってきました。こうした JA の渉外支援活動におけるタブレットの可能性にいち早く着目し、日本マイクロソフトの Windows 8 タブレット アプリケーション開発支援コンサルティングを導入して、自社の開発スキルの向上とシステム提案力強化に力を注いでいるのが株式会社長野県協同電算 (以下、長野県協同電算) です。

「当社はこれまで、JA 長野県グループの主要事業にかかわるシステムの開発、運用、保守を主要な業務としてきました。しかし JA の重要な課題として、より一層の組合員の方々への支援、提案活動の強化が必要である現在、私たちにも JA 職員の利便性や業務効率向上を積極的に支援することが求められてきます。タブレットは、そのニーズを満たすうえで恰好のツールだと考えたのです」と 長野県協同電算 専務取締役 西村 篝 氏は、今回の開発プロジェクトの背景を説明します。

さっそく同社では、タブレットを活用した JA 業務支援ツールの具体的なイメージについて、社内で検討を重ねていきました。そこで浮上してきたのが、JA の組合員を訪問して日常的にさまざまな指導や支援活動を行っている営農指導員のための、渉外支援ツールでした。システム企画の責任者である 長野県協同電算 開発部 システム統括課 課長 臼井 多加根 氏はその理由を語ります。

「タブレットの機動性や可搬性を活かすという意味でも、渉外支援に使うのが効果的だと考えたのです。営農指導員は組合員の皆様からご要望やご質問、ご相談を直接受ける、いわば JA の窓口となる存在です。1 日数十軒も回ることもあり、忙しい中で組合員の皆様とのリレーションシップ強化を図る際に、タブレットは非常に有効なツールだと確信しました」。

営農指導員は栽培技術や農業経営などの専門知識を備えた JA 職員で、作物の作付けから販売、収益の確保まで、年間を通じて農家のよきアドバイザーとなるべき重要な職務です。この JA と生産農家を結ぶ最前線の業務を支援する意味でも、タブレットを使ったツールの開発研究は急務でした。

しかし業務システム開発には豊富な実績を持つ同社にも、タブレット アプリケーション開発は初めての体験とあって、具体的な進め方についてはさらなる調査、検討が必要でした。そんな最中、日本マイクロソフトの営業チームから、タブレット アプリケーションのサンプル画面イメージの提供があったと臼井 氏は語ります。長野県協同電算では、2008 年から社内の開発プラットフォームとして Windows を選択しており、日本マイクロソフトとも直接の関係を持っていました。

「このサンプル画面イメージを社内で検討した結果、西村専務の最終判断で、急遽タブレットでの試験開発プロジェクトを進めることが決まったのです」 (臼井 氏) 。

<導入の経緯>
本番開発レベルのスキル習得を目指し
日本マイクロソフトの開発コンサルティングを導入

株式会社 長野県協同電算
開発部
システム統括課
係長
中澤 吉栄 氏

今回の試験開発プロジェクトがスタートしたのは、2013 年 11 月のことでした。Windows 8 のタブレット アプリケーションの開発作業を、本番開発と同等のレベルで実施。将来の実務アプリケーション需要に即応できるスキル セットと開発実績を身に着けることが、最重要の目標とされました。

「Windows 8 タブレットの選択は、非常に自然な流れでした。もちろん Android や iOS といった選択肢もありましたが、Windows 8 タブレットであれば端末管理の仕組みは既存のものを流用できますし、また既存のアプリケーションを開発し直すコストも不要です。こうした点を鑑みれば、Android や iOS といった選択肢はなく、Windows 8 タブレットがベストだと考えました」と、今回の試験開発プロジェクトのリーダーを務めた 長野県協同電算 開発部 システム統括課 係長 中澤 吉栄 氏は語ります。

一般に企業がタブレット端末を導入する場合、自社の標準プラットフォームとの整合性や既存資産の存在を意識せず、ハードウェア優先で Android や iOS をそのまま採用するケースが少なくありません。しかしその場合、端末管理の仕組みや既存資産をタブレット用に新たに導入したり改修したりする必要が生じます。最初から Windows 8 のタブレットを採用することで、導入コストはもちろん日常の運用、管理の効率化という面でも大きなメリットが享受できます。

「将来的に業務アプリケーションに何らかの変更があっても、通常の Windows PC 向けの改修を行えば、当然 Windows 8 のタブレットでもそのまま動きます。また当社には Windows PC を管理するシステムが導入済みなのですが、このシステムで Windows 8 タブレットも一緒に管理できるため便利です」 (中澤 氏) 。

そして試験開発プロジェクトの実施に当たっては、日本マイクロソフトによるWindows 8 タブレット アプリケーション開発支援コンサルティングの導入を決定しました。

「実務に即応できる水準でタブレット アプリケーション開発を学ぶからには、専門家に支援を依頼しようというのが当初からの方針でした。日本マイクロソフトのコンサルティングは以前にも利用したことがあり、その時の満足度が非常に高かったことから今回も導入を決めました」 (中澤 氏) 。

プロジェクトが始まって最初に取り組んだのは、UI 開発技術である XAML を始めとする、タブレット アプリケーション開発のための各種技術の習得でした。2013 年 11 月から 2014 年 1 月までの 3 か月間におよそ 6 回、日本マイクロソフトの担当者が長野県協同電算を訪問。毎回開催されるワークショップでは、質疑応答やアドバイスなどが盛んに行われました。またこの期間中、メンバーは開発技術の習得と並行して、本番同等レベルの試作アプリケーションにも取り組んでいます。開発工程では、作業を分担しながら一人ひとりが完成を目指して努力を重ねていきました (図 1) 。

開発の流れ。作業の位置付け。業務選定。業務選定。タブレットならではのメリットを生かして改善する業務を選定します。業務デザイン。UI デザイン案作成。Windows 8 のデザイン ガイドに沿った形で UI デザイン案を作成します。アプリ実装。モックアップ開発。XAML を利用して UI デザイン案を実装し、動作するモックアップを開発します。サーバー実装実装。WCF を用いて、WinRT アプリと連携するサーバー アプリを開発します。クライアント実装。WinRT の作法に則ってクライアント アプリを実装するとともに、配布方法を検討します。

図 1:開発作業の流れと各フェイズの獲得目標[拡大図] 新しいウィンドウ


「学習しながら開発するといっても、作業内容も技術レベルも本番開発とまったく変わりません。参加メンバーは全員タブレット アプリケーションは未経験でしたが、 "次回までにここまで進捗していると望ましい" と言われた目標に向けて、必死で勉強しながら取り組んでいきました」 (中澤 氏) 。

開発途中で発生した問題の解決には、Microsoft Lync によるコミュニケーションも活用しました。Lync とタブレットを使った手書きによる解説を通じてコンサルタントと直接会話できるため、次回の訪問を待つタイムロスがなくなり開発効率が大きくアップしました。

コンサルタントが Microsoft Surface タブレットの画面にマウスやスタイラス ペンで図や説明を書くと、質問者の端末上にそのまま表示されます。画面共有や Web カメラも併用して、ツールを手元で実際に操作しながら質疑応答できるので、「今までメールならば 5 ~ 6 回はやりとりしなくてはいけなかった話が、Lync なら 1 回の対話で済んでしまいます」と中澤氏は評価します。

こうした効率アップの工夫も手伝って、2014 年 3 月には試作アプリケーションが完成。営農指導員の渉外活動の効率化を目標にしたこのアプリケーションでは、巡回先の組合員のリストや地図、現時点での天候や気温などが 1 つのダッシュボード画面にレイアウトされ、タッチ パネル上で直感的に操作できます。個々の組合員の信用情報や属性に応じたお勧め商品のカタログ、さらに営業日報のように巡回結果をその場で入力できるメモ画面なども提供されています (図 2、3、4) 。

図 2:巡回先の情報から参照したいものをタッチ選択


図 3: 組合員の詳細情報も簡単に参照可能


図 4:気付いたことや約束などはその場ですぐにメモ

<導入効果>
タブレット アプリにおける UI の重要性に開眼
協働経験によるモチベーション向上も

今回の成果として、中澤 氏は XAML の習得やデータベース アクセスの手法などのタブレット アプリケーション開発のスキル習得に加え、タブレットの UI に対する考え方がレベルアップできた点を高く評価します。

「タブレットは、画面がまさに命です。解りやすく、使いやすく、いかにエンド ユーザーが直感的かつ効率的に操作できるかが至上命題になってきます。今回、UI デザインがユーザビリティに直結するということを経験して、今後、使い勝手のよいアプリケーションを開発していく自信がつきました」。

それまで UI デザインの品質は個人のセンスに大きく左右されると考えていた中澤 氏ですが、コンサルタントから「UIデザインは感性的なセンスではなく、明確なロジックやルールを理解すればだれでも習得できる」と聞き、認識が大きく変わったと明かします。実際の UI デザイン作業では、業務要件を基に必要な要素を割り出してストーリー ボードを作成、最終的なデザインや配色にまで落とし込んでいきました (図 5、6) 。

図 5:業務要件から要素を抽出してストーリー ボードを作成


図 6:ユーザビリティを考慮しながら最終デザインにしあげる


プロジェクトに参加した若手社員には、Web アプリの開発経験はあってもタブレットは初めてという人や、ふだんは保守運用系の業務を行っている人も含まれていました。このためプロジェクト開始直後は戸惑いもありましたが、「ダッシュボードのデザインは初体験で苦労したものの、XAML にも慣れた後半からはスムーズに作業が進みました」と成長ぶりを語ります。また完成時には、「先輩や他のメンバー、そしてコンサルタントと議論しながら開発を続け、最後にアプリケーションとして動いた時には感動を覚えた」という声や、「通常のアプリのようなツリー構造とは異なる、タブレット独自の設計の観点を学べた」といった新しい知見との出会いもありました。

こうしたメンバーの反応に、今回のプロジェクトが残したものは技術だけにとどまらないと臼井 氏は指摘します。

「参加した社員にとってはたいへんなプロジェクトでしたが、最終的に誰もが "楽しい" という気持ちをどこかに抱いてくれたと私は信じています。今回のメンバーは 3 つの部署から集まって来ています。このため彼らにとってはスキルを高めるだけでなく、部署を越えたチームワークや協働体験、コミュニケーションを深める、またとない機会だったと言えるでしょう」。

一方、中澤 氏は「タブレット開発は、わかってくると面白い。ワークショップを経て、この事実を体験できたことが収穫でした」と語ります。タブレット アプリケーションには、自分が開発した機能をすぐに手元の端末上で動かして試せるという特長があります。こうしたタブレット開発ならではの面白さを体験できたことも、若手メンバーの意欲を引き出すきっかけになっています。

これらの成果に対して「今回の経験で若い人たちが達成感を得られれば、仕事そのものにやりがいが出てくる。組織経営に携わる者としては、こうしたことを大切にしたいと考えています」と語る西村 氏は、今後も若手のモチベーション向上を、現場のマネージャーとともに進めていきたいと意欲を示します。

<今後の展望>
開発、提案の経験値を積み上げ
JA の「現場力」を向上させるアプリ開発を

臼井 氏は、今回の開発プロジェクトで得たスキルや経験を、積極的に JA の業務支援に向けて提供していく試みを進めたいと抱負を語ります。

「今回はあくまでスキル習得を目指した試験開発でしたが、今後はここで得た知識や技術を活かして、いかに JA や組合員の皆様に貢献できるかが問われてきます。JA のシステム開発会社にふさわしい着眼と、実際の業務に即した優れたソリューションを提案していきたいと考えています」。

JA の業務領域は、農業生産、金融、共済と幅広い分野にわたっています。そして世の趨勢を見ても、今後は各領域を網羅した新しいサービスを求める声が一層高まることは確実です。こうしたカスタマー リレーションシップ強化を支援していくうえで、今回のタブレット アプリケーション開発の経験は長野県協同電算の提案力をさらに高めていくはずです。

こうしたタブレットを活用した新しい価値提案の試みは、社内会議のペーパーレス化として既に始まっていると中澤 氏は明かします。これは今回のプロジェクトの成果を社内にアピールすると共に、将来に向けて実績を積み上げていく最初の試みでもあります。

「アプリケーションとしては初歩的なものですが、タブレットを浸透させるためには、まず社内業務での利用機会を増やすことが大切です。ふだん IT ツールに馴染みの薄い人にも、日常業務の中でタブレットの利便性を体感してもらい、そこからステップアップを図っていきたいと考えています」。

こうした現場の意欲を背景に、今後の同社の開発スタンスについて、「新しい技術をいち早く採り入れ、提案に生かしていくことが大切です。しかしそれだけに集中してしまうと、肝心のユーザーの業務要件や社会、経済の変化といった動きに対応しきれません。常に広い視野と柔軟な発想でユーザー ニーズを捉えながら、JA の組合員や職員の皆様に手軽に活用していただけるシステムを提供していくことが、私たちの最重要課題です」と語る西村 氏。

わが国の農業支援の「現場力」を、長野県協同電算のシステム開発力が強力にサポートしていきます。

試験開発プロジェクト メンバー
(前列左より) 臼井 多加根 氏、西村 篝 氏、中澤 吉栄 氏
(後列左より) 佐藤 道隆 氏、小幡 瑠美 氏、中條 早織 氏、相場 拓磨 氏

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