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株式会社エムティーアイ

 様に導入

フィーチャーフォンの公式メニューにも登録されているデコレーション メール サービスを Windows Azure へ移行。機会損失のないサービス提供、および柔軟かつ迅速なマーケティング活動の実現へ

株式会社エムティーアイ

株式会社エムティーアイ

株式会社エムティ―アイでは、フィーチャーフォン ユーザーを中心に国内最大級の会員数を擁するデコレーション メール サービス「デコとも★DX」シリーズのサービス提供基盤を、マイクロソフトのパブリック クラウド サービスである Windows Azure 上へと順次移行するプロジェクトを進めています。それは、年末年始の利用者増に向けたサーバー増設の手間やコストを削減し、よりスムーズなサービス運用を図るための決断でした。

<導入の背景とねらい>
年に一度のピークに合わせ数か月の準備を要する状況から脱却し、モバイル コンテンツ市場に即応

フィーチャーフォンのキャリア公式サイトや、スマートフォン向けアプリケーションなど、モバイル端末向けサービスを数多く提供している株式会社エムティーアイ (以下、エムティーアイ)。同社では、市場の変化が激しいモバイル コンテンツ市場において従来以上に高品質なサービスを提供すると同時に、低コストで信頼性の高いシステム基盤を実現するために、2010 年からモバイル コンテンツのクラウド化に向けて実証実験を行うなど、クラウド サービスの活用にも積極的に取り組んできました。

株式会社エムティ―アイ
Application Developer Center
MSグループ テクニカル・アシスタント・リーダー
村川 恒一郎 氏

そして、2012 年。フィーチャーフォンを提供する各通信キャリアの公式メニューにも含まれており、国内でも最大級の規模を誇り、多くの会員に親しまれている人気のデコレーション メール サービス「デコとも★DX」シリーズを、マイクロソフトのパブリック クラウド サービスである Windows Azure に移行するプロジェクトがスタートしています。それは、従来のサービス提供形態において不可分となっていた「サーバー リソースの確保と運用にかかる手間とコストを大幅に削減するためには欠かせない選択であった」と、エムティーアイ MS事業本部 デコとも事業部 プランニング・サブリーダー 福田 基子 氏は説明します。
「『デコとも★DX』は、シリーズ全体の会員数は国内最大級となっており、多くの方に楽しんでいただいています。そして、年間を通じて最もトランザクションが増えるのが、大晦日から正月 3 が日の間です。年始のあいさつメールが飛び交うこの 4 日間のために秋口から 2 ~ 3 か月かけてキャパシティ プランニングを行い、データセンターのサーバーを 1 か月単位で契約して増設するという運用を繰り返してきました。さらにこの 4 日の間には開発担当のメンバーが休日出勤して 24 時間体制でシステムを見守るなど、人件費の面でも非常にコストがかかっていたのです。しかし、クラウド サービスをサービス提供基盤として活用すれば、アクセス数の増加に伴って自動的にサーバー リソースを確保することが可能になります。また、事前にインスタンスを追加してアクセス数の急増に備えることも、ボタン 1 つでできますし、契約も数日単位で行えます。しかも、サービス プロバイダー側で安定稼働を保証してもらうことができれば、開発メンバーが年末年始に出社して、サーバーに張り付く必要もなくなります。こうしたメリットだけを考えても、クラウド―― Windows Azure の採用は必然的な流れだと思います」。

福田 氏が「必然的な流れ」とするクラウド活用に際してエムティーアイが Windows Azure を選択した背景には、2010 年 11 月にすでに Windows Azure 上に「デコとも★DX」を移行するために、年末年始の繁忙期を想定したシナリオに沿った実証実験を IT パートナーの手を借りて実施しており、Windows Azure が 1 日あたりのアクセス約 1 億 PV (ページビュー)、1 分あたりのトランザクション 6 万 PV にも耐えうるプラットフォームであることをすでに確認していたという事実が存在しています。

エムティーアイ Application Developer Center MSグループ テクニカル・アシスタント・リーダー 村川 恒一郎 氏は、Windows Azure 採用の経緯について、次のように話します。
「実験の結果を受けて当社として Windows Azure を正式に活用していくことが決まっていました。一番の課題は、従来のデータセンターから Windows Azure に移した後で、フィーチャーフォンの公式サイトとして『キャリア課金』がきちんと行えるかどうかということだったのですが、これもキャリアとコミュニケーションして確認した結果、問題ないことが分かり、今回のプロジェクト実施に至っています」。

こうしてエムティーアイでは、どうぶつデコレーション素材が詰まった「デコとも★あにまるDX」を皮切りとして、最もユーザー数の多い「デコとも★DX」を 2012 年中に移行。残りのサービスも 2013 年中に順次移行させるべく、プロジェクトを進行させています。

「デコとも★DX」サービス ラインアップ
フィーチャーフォン Android iPhone
デコとも★DX デコとも★DX デコとも★メール
デコとも★えもじDX デコとも★えもじDX
デコとも★ミニデコDX デコとも★ミニデコDX
デコとも★あにまるDX デコとも★あにまるDX
デコともキセカエDX デコとも★メール
キティデコ@サンリオ★DX DecoMesse

<移行の経緯>
ローカルに整えられたデバッグ環境など、「初めてでも問題ない」開発のし易さ

エムティーアイの「デコとも★DX」シリーズは、スクリプト言語に PHP を使用して開発されてきました。そのため、Windows Azure への移行が決まった当初は、開発チームの中に動揺もあったと、村川 氏は振り返ります。
「当初はやはり、『Amazon EC2 などの IaaS (Infrastructure as a Service) で Linux を使い、LAMP 環境で開発した方が良いのでは?』という思いもありましたが、PaaS (Platform as a Service) には PaaS の良さもあります。もともと PHP でも Java でも Windows Server 上で開発していましたので、Windows Azure の採用に過度な不安を抱くことはありませんでした。しいて言えば、私自身、SQL Server を長く使用していなかったので、そこに不安はありました。しかも C# での開発経験がなかったのです」。

しかし、実際に C# を使って「デコとも★あにまるDX」を作り直してみると、「特に問題はなかった」と村川 氏は強調します。
「私は、PHP や Java で 10 年ほど開発を続けてきました。その上で今回初めて C# を使ったのですが、『Java がきちんと使える人なら、普通に使いこなせるだろう』というのが正直な感想です。少し癖がありますが、それほど難しい言語ではありません。私たちのチームでも研修などの時間をかけることもなく、スムーズに開発が進んでいきました」。

エムティーアイでは、「デコとも★DX」シリーズの再開発に際して Microsoft Visual Studio 2012 で ASP.NET MVC 3 を活用しています。村川 氏は、この Visual Studio にローカルの実行環境が整えられていることが、開発を行う上で非常に有効であると話します。
「Visual Studio で開発中に F5 キーを押せばローカル環境ですぐにテストを行い、デバッグを行うことができます。Windows Azure のストレージ環境も使えて、Web ロールのエミュレーターも動きますので、どうやって動いているか、しっかりと追いながら検証できます。当初は『Windows Azure は、20 分ほどかけてデプロイしないと公開できないので、テスト環境での確認にも時間がかかる』という誤解が社内にもあったのですが、Visual Studio があるおかげで、スピーディーに作業を進められたと思います」。

<Windows Azure 採用の効果>
年末年始のサーバー調達コストを約 50% 削減。インスタンス調達の容易さで機会損失を防ぐ "安心" のサービス運用が可能に

「デコとも★DX」シリーズの Windows Azure 移行第一弾として、2012 年 8 月 27 日から既に「デコとも★あにまるDX」がリニューアルを完了していますが、「問題がなさ過ぎて怖いくらい」順調に稼働していると、福田 氏は言います。
「テストの際にプランニングと開発チーム数人で集まって、Windows Azure 版のレスポンスを確認したのですが、特に遅いという意見はありませんでした。フィーチャーフォンを並べて従来のデータセンター版と比較すると、海外にあるデータセンターと通信していることもあって Windows Azure 版の方が若干遅いのですが、それでも『気になる』というほどの違いではありませんでした」。

株式会社エムティ―アイ
MS事業本部 デコとも事業部
プランニング・サブリーダー
福田 基子 氏

このように安定稼働とレスポンスに高評価を下すだけではなく、コスト メリットも大きく、「年末年始にかかる費用は、従来の約半分ぐらいにまで抑えられる」と、福田 氏は続けます。
「毎年、年末年始のためだけに増設するサーバーは、数十台に及びます。今後、デコとも★DX のすべてのラインアップがWindows Azure に移行すれば、50% ほど削減できる試算になっています。ただ、Windows Azure の利用料金が、試算当時より少し安くなりましたので、今計算し直せば、もう少し必要コストが下がると思います」。

そして、「デコとも★DX」のクラウド化は、プランニング チームのミッションにも大きなプラスになると、福田 氏は説明します。
「まず第一のメリットとして、機会損失の可能性が大幅に減るということが挙げられます。年末年始のために毎年 9 月頃からマーケティング プランを立てて集客数などを予測し、サーバーのキャパシティ プランニングへとつなげるのですが、この作業にいつも気を遣っていました。予想以上の集客が出来たら、それは嬉しいことばかりではなく、サーバー ダウンの可能性にもつながります。ロード バランサーでトラフィックの負荷を分散しても、ユーザーによって "つながらない" 状況が発生すれば、それも立派な機会損失です。かといって、想定以上のキャパシティで設計すると、サーバー コストが大きくなり過ぎてしまいます。一方、Windows Azure であれば、急に広告の追加出稿を決めた場合でも、即座にインスタンスを追加調達して、増大するトランザクションにあらかじめ備えることができます。こうしてマーケティング プランの調整、立案の難しさから解放され、安心して年末年始に挑めるようになるのは、本当に助かります」。

そして、村川 氏は PaaS であればこそのメリットを Windows Azure に期待していると話します。
「モバイル コンテンツのクラウド化を進めるとなったときに、私たち開発チームとしてはやはり "クラウドとオンプレミスの同期" という課題が気になっていたのですが、Windows Azure 上の SQL データベースと、オンプレミスの SQL Server を同期させるデータシンク機能が備わっているため、仕組みを作り込まなくて済んだのはメリットでした。最近では、Memcached のサービスを追加して動作を軽くしようと考えていたのですが、これもボタン 1 つで済んでしまうイメージですね。もっとも『デコとも★DX』は HTML 中心の軽いサービスですので、あまり大きな影響はないのですが、ほかのサービスをクラウド化していく際には重宝するでしょう。欲を言えば、負荷試験を行った時に SQL データベースにかかる負荷の具合まで見ることができればいいですね」。

そしてもう 1 つ、クラウド化による大きなメリットが、BCP (Business Continuity Plan) の徹底にあると、村川 氏は続けます。
「当社では、東日本大震災以降、特に BCP にも力を入れており、主要サービスについては、国内 2 か所のデータセンターを使って可用性を担保しています。『デコとも★DX』も、同様に二重化する話があったのですが、Windows Azure に移行することで、データセンターのコストをかけずに BCP 対策が完了しました。海外の複数のデータセンター間でデータを複製しながら運用が行われているというお話でしたので、安心です」。

<今後の展望>
PaaS の長所を伸ばす Windows Azure のさらなる進化に期待

福田 氏は、「今後、新しいサービスを展開していく上で、クラウド活用は欠かせない」と強調します。
「フィーチャーフォン市場では、キャリアの公式サイトとしての運用方法、広告の出し方など、これまでに蓄積してきたさまざまなノウハウを活用してきましたが、スマートフォン隆盛の今、モバイル コンテンツ市場も変化が激しくなっています。プロモーションの方法も次々に変えていかなければなりませんし、SNS (Social Networking Service) 対応など、幅広いアイデアが求められています。そうした中、年 1 回のピークに向けて数か月を費やしながら機会損失のリスクを抱えるという非効率から解放されて、プランニングに注力できるのは、本当にありがたいです。しかも、サーバー リソースの調達に時間もかからないとなれば、突発的に広告を打って集客を図ることも可能です。プロモーションとキャパシティのプランニングをある程度切り離して考えられるのも、大切なことだと思います」。

「クラウド活用が欠かせない」としても、実績のあるクラウド サービスは複数存在しています。しかし 村川 氏は「Windows Azure を実際に使って、さらに Windows Azure Spring Release※ の情報を確認した感想は、『もう LAMP 環境にこだわる必要はないな』と感じています」と、Windows Azure の優位性について話します。
「Windows Azure で OSS (Open Source Software) への対応が進み、PHP も Java も普通に動くようになったのですから、強いて Linux にこだわる必要もないのでは、というのが率直な感想です。また、Spring Release という形で機能が追加された例を見ても、Windows Azure はまだまだこれから PaaS の良さを伸ばしていくサービスなのだと思います。マイクロソフトでは、研究開発にかなり投資されているとも聞いていますし、ほかの IaaS のサービスとを比較して迷うような場合には、現状の機能、性能だけを見て『可、不可』を判断してしまうのではなく、今後の可能性を踏まえて検討した方がいいのではないかと感じています」。

最後に、福田 氏は次のように締めくくります。
「Windows Azure については、"サービスを契約したら終わり" ということではなく、マイクロソフトの方々と継続的に Face to Face のリレーションを築いていけることが大きなポイントになっていると思います。技術的な疑問以外でも、契約内容や料金の支払い形態など、さまざまなことを、ごく普通に質問、相談できるので安心しています」。

※ 2012 年 6 月 8 日に発表された追加機能のこと。「仮想マシン (IaaS)」、「Web サイト」、「仮想ネットワーク」、「各開発言語、Mac/Linux 向け SDK」の 4 つが主な強化点として挙げられる。

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