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MS&ADシステムズ株式会社

 様に導入

適材適所のシステム選択で、MS&ADインシュアランス グループのクラウド活用に先鞭。Microsoft Premier サポートとの親密なリレーションによって、Microsoft Azure の最適活用を実践

MS&ADインシュアランス グループの IT 戦略を担う MS&ADシステムズ株式会社では、全国の販売代理店が活用する生命保険販売支援システム「LifeSmart」の配信システムをクラウド化。「短期構築」、「安定稼働」、「スケーラビリティの確保」、そして「システム ライフサイクル全体の最適化」といった複数の課題をクリアするプラットフォームとして選ばれたのが、Premier サポートによる充実のサポート体制まで用意された Microsoft Azure でした。

<導入の背景とねらい>
全国の三井住友海上あいおい生命保険代理店業務を、
クラウドで柔軟にサポート

写真: 古川 一貴 氏

MS&ADシステムズ株式会社
生保システム第一部
MSA新契約グループ
プランナー
古川 一貴 氏

写真: 齋藤 栄 氏

MS&ADシステムズ株式会社
生保システム第一部
MSA新契約グループ
プランナー
齋藤 栄 氏

MS&ADシステムズ株式会社 (以下、MS&ADシステムズ)では、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社 (以下、三井住友海上あいおい生命保険) 、三井住友海上プライマリー生命保険株式会社の各社から保険システム全般にわたる企画・設計・開発・運用業務を受託しています。

損害保険・生命保険の契約管理システムや、事故受付・保険金お支払いシステム、代理店支援システムなど、重要なシステムを担う同社では、IT プロフェッショナル集団として、「創造性とチャレンジ精神に基づき、革新を進める」ことを行動指針の 1 つとしています。そして、2013 年 11 月。同社の精神が新たに発揮されたプロジェクトが 1 つサービスインを迎えています。

そのプロジェクトとは、三井住友海上あいおい生命保険が全国の代理店に提供している生命保険販売支援システム「LifeSmart」の自動バージョン アップ (差分アップデート) や全量ダウンロードを行う「LifeSmart 配信サービス」を、PaaS (Platform as a Service) 型のパブリック クラウド サービスである「Microsoft Azure」上に構築するものでした。

LifeSmart は、クライアント PC にインストールして活用する、オフライン型のシステムです。保険商品に関わる制度変更や新商品の販売に合わせて、都度バージョン アップが必要になりますが、これまでは全国の代理店に向けて約 1 万 5 千枚の CD-ROM を配布するほか、データ配信用のレンタル サーバーを運用。さらに、差分データのみの配信は、MS&ADグループのポータル サイトを通じ、代理店からの自主的なアクセスを主体として運用されてきました。しかし、三井住友海上あいおい生命の合併に伴う代理店数の増加や、サーバーの老朽化が進み、「ピーク時のトラフィックに耐えられない」などの課題を抱えていたと言います。

配信用サーバーを、引き続きオンプレミスで構築すれば、多額の初期費用を要するだけではなく、数年後には陳腐化や老朽化の問題を繰り返すことになります。対して、システムへのアクセスが集中する LifeSmart のメジャー アップデートは年に 3 回程度です。できる限りコストを削減するために、年間を通じた運用の最適化を図ることが求められていました。

こうした課題を一挙に解消するために、白羽の矢が立てられたのが、Azure だったのです。しかし、パブリック クラウド サービスの活用については、「抵抗を感じた側面はある」と、MS&ADシステムズ 生保システム第一部 MSA新契約グループ プランナー 古川 一貴 氏は振り返ります。

「金融機関のシステムを預かる身として、クラウド活用に抵抗がなかったと言えば嘘になります。しかし今回 Azure 上に構築したシステムは、クライアント アプリケーションを配信するだけのコンパクトなものです。センシティブ情報はもとより、個人情報も一切扱いませんので、それほど神経質になる必要もありませんでした。ただし、開発にかけられる期間は短く、サービスイン後にトラブルが発生することは許されません。その意味で、どのプラットフォームを採用するのが最善であるか、慎重に検討しました」。

こうして、詳細な比較検討を行った MS&ADシステムズは、2013 年 7 月に Azure の採用を正式に決定。8 月から開発をスタートさせています。採用に至った主な理由は、下記の 3 点にあると言います。

Azure 採用に至った主な 3 理由

  1. インフラ構築の手間が不要な PaaS のサービスがあること
  2. Windows プラットフォームでの開発資産がほとんどそのまま活かせること
  3. マイクロソフト エンタープライズ サービスが提供する「Microsoft Premier Support for Azure (Premier for Azure)」が活用できること

「今回構築した自動バージョンアップの仕組みに合わせて、.NET Framework で開発していた LifeSmart 自体にも改修が必要でした。その一方で、2013 年 11 月のリリースが決まっており、時間のない状況でした。Azure (の PaaS サービスで) は AWS などの IaaS (Infrastructure as a Service) とは違い、サーバー OS 環境を自分たちで構築、管理する手間が要りません。しかも、Windows プラットフォームで活用してきた開発資産がほぼそのまま使えるため、移行がスムーズに行えます。そして、Premier for Azure によって設計から運用保守まで、ライフサイクル全般を最適化するための、充実したサポートを得ることができるということが、一番の決め手となりました」(古川 氏)。

<Premier サポート活用とシステム開発の経緯>
開発の検討段階から運用フェーズまで、
システム ライフ サイクル全般の最適化に
貢献するサポートで不安要素を払拭

写真: 洪 竣 氏

株式会社キャピタル・アセット・プランニング
取締役
洪 竣 氏

写真: 海来 寛永 氏

株式会社キャピタル・アセット・プランニング
システムソリューション事業本部
システム開発第1部
システムエンジニア
海来 寛永 氏

三井住友海上あいおい生命保険が活用する「LifeSmart 配信サービス」(図参照) の開発は、アプリケーション開発を担当する株式会社キャピタル・アセット・プランニング (以下、キャピタル・アセット・プランニング) と、Microsoft Premier サポートの ADM (Application Development Manager) との親密なリレーションの中で進行。わずか 3 か月という短期開発を無事に乗り切り、2013 年 11 月のサービスインを迎えていました。

キャピタル・アセット・プランニング 取締役 洪 竣 氏は、次のように振り返ります。
「当社は、金融機関向けアプリケーションの開発を専門としていますので、インフラ構築は不得手です。さらに、当社にとっても今回のプロジェクトが初めての Azure 活用でした。可用性、安全性、スケーラビリティの確保など、いろいろな不安がありましたが、外部設計段階から ADM の方々にレビューしてもらい、スムーズにプロジェクトを進行させることができました。どのような技術でも、初めて活用する際には想定外の状況にぶつかるものですが、Premier for Azure があるおかげで不確定な要素をなくし、フェーズごとのポイントをクリアにできたことが非常に助かりました」。

MS&ADシステムズ 生保システム第一部 MSA新契約グループ プランナー 齋藤 栄 氏は、Premier for Azure の存在を初めて知った時のことを、次のように振り返ります。

「最初に説明を聞いた時、不安要素が軽減しました。パブリック クラウドと聞くと、何となく『インフラは提供するが、後は自己責任』というイメージもありましたので新鮮でした。実は、当社では以前に Excel を使った保険設計の仕組みを 64 bit 対応させるプロジェクトが難航した時から Premier サポートを活用してきた経緯があります。当時、長い間解消できなかった課題が ADM の方に相談したところ、なんとか解決できました。今回の短期プロジェクトにおいて、金融機関向けシステムとして十分な安定性と可用性を確保することができたのも、Premier サポートの力が大きかったと思います」。

また、開発の実作業に携わったキャピタル・アセット・プランニング システムソリューション事業本部 システム開発第1部 システムエンジニア 海来 寛永 氏は、Premier for Azure について次のように話します。

「私が一番助けられたのが、『クラウドでの負荷テスト』です。オンプレミスでの負荷テストとは違い、ルーターの制限などさまざまな工夫が必要だったのですが、これも数回の電話とメールで解決することができました。ADM の方にロードバランサーや最大接続数限界などを解決するための構成案を出してもらい、ベストな方法を選択することができました」。

さらに、Azure 上でのアプリケーションの開発も、スムーズに進んだと海来 氏は続けます。
「Azure の第一印象は『とにかく、すぐにサーバー環境が整ってしまう』ということでした。管理ポータルからすぐに、テスト用のサーバーを立ててしまうことができます。アプリケーションの開発についても、使い慣れた Visual Studio がそのまま利用できます。また今回、言語として C# を使っているのですが、これも進化していて、短い記述でスラスラと開発を進められたのが、個人的にはうれしかったですね。Azure 上でのアプリケーション開発は、思っていたよりも快適でした」。

Microsoft Premier Support for Azure (Premier for Azure) とは

お客様ニーズに合わせてクラウド アプリケーションの運用を支援するエンタープライズ向けのサービスメニューです。開発フェーズから運用までマイクロソフトのリソースを活用し、お客様のスムーズなクラウド運営を支援します。

<Microsoft Azure 活用の効果>
開発コストを約 50% 削減しつつ、効率的な運用体制を確立。
2014 年度中には、投資金額を回収の見込み。
さらに、わずか 2 週間で別の配信システムも Azure 化

こうして、2013 年 11 月から運用を開始している新しい「LifeSmart」について、古川 氏は「現時点で、すでに明白な投資対効果が生まれている」と話します。

「LifeSmart の配信サービスを、オンプレミスで更新した場合の試算に比べて、今回かかった初期費用は、わずか半分に抑えられています。サービスイン後、すでに差分アップデートの配信などを経験していますが、何のトラブルもなく稼働しています。従前の課題はきれいに解消されたと言ってよいでしょう。代理店への CD-ROM 配布は、これから 1 年ほどの間に、段階的に減らしていくことになりますが、配布枚数が約 1 万 5 千枚から、1 万に減った時点で、今回のプロジェクトにかかった費用はすべて回収できた計算になっています。投資対効果としては、十分に満足できるものだと思います」。
また、レンタルサーバーから Azure に移行したおかげで、「月額の運用費用が半減した」と言います。

齋藤 氏も、従前環境からの変化について、次のように話します。
「従来は、多大なコストをかけて、年 3 回以上 CD-ROM を配布してきましたが、残念ながら、代理店におけるインストール状況を把握することなどできませんでした。今後は更新漏れもなくなるでしょう。差分アップデートは、ネットワーク経由で自動的に行ってくれますので、代理店の方々にとっても非常に便利になったと思います」。

さらに、アプリケーションの品質そのものも向上すると、齋藤 氏は続けます。
「そもそも、CD-ROM で改訂版を送付していたときには、CD-ROMの作成や郵送期間を考慮したタイトなアプリ開発のスケジュールとなっていました。この配信サービスを構築してからは、開発スケジュールに余裕が生まれ、品質向上にもつながっていると思います。品質が確実に保たれるようになれば、結果としてグループ全体の業務効率向上にも好影響を及ぼすでしょう。また、不測の事態に対応した緊急アップデートの配信も容易になります。」。

安定性と可用性に優れた配信サービスを、低コストに実現した MS&ADシステムズでは、「すでに、今回の仕組みを応用したプロジェクトも完了させている」と言います。

「この配信サービスは非常に応用しやすいしくみとなっており、音声・映像配信などにもすぐに転用する予定です。また、本件のリリース後に別のオフライン型のシステムのバージョンアップについて、ユーザ部門から相談を受けました。これも、個人情報などを扱わないシステムでしたので、本件と同じしくみに乗せることを提案し、実施決定後、わずか 2 週間でそのシステムを Azure に移行させることができました。今後も Azure 活用は進むでしょう。既にデモ アプリの検証等で利用していますが、少なくとも、アプリケーション開発のテスト環境はクラウドで十分だと思います」(古川 氏)。

洪 氏も、次のように話します。
「Azure の管理ポータルを見ると、テスト環境までが、すでに揃っています。インスタンスを増やすのも、あっという間。スケーラビリティの確保に悩むこともありません。今まで欲しいと思っていた環境が、全部揃っていたと言っていいでしょう。しかも、Premier for Azure を通じて、社内にナレッジとスキルを蓄積することもできました。今後は、自社で SaaS (Software as a Service) の提供までできるかもしれません。非常に、大きな手応えを感じていることは確かです」。

<今後の展望>
日本データセンターのメリットを活かし
より幅広いクラウド活用を検討

すでに 2 つ目のシステムまで稼働している MS&ADシステムズの Azure 活用は、「System Center の構築」をはじめ、さらに大きな広がりを見せていると、古川 氏は話します。

「Azure を利用する場合、サーバーの死活監視はほとんど必要ありません。LifeSmart 配信サービスに関して言えば、インストール時にエラーが出ないようにテストさえクリアしておけば、システムの自動監視は必要ありません。そのため、System Center の活用も先送りしていましたが、今後は 2014 年 8 月末を目標に、監視が必須となるシステムも Azure に移す計画があります。そのために今、Azure の仮想マシン上に System Center を展開しております」。

こうした活用拡大の背景には、日本データセンターがオープンしたことも大きく影響していると言います。

「クラウド活用にこうして積極的に取り組めるようになったのは、マイクロソフトが東西 2 か所の日本データセンターをオープンさせたおかげです。国内にデータが保管できるようになり、レイテンシの心配もなくなったことも重要ですが、それ以上に、B2B の親密なパートナーシップを構築し、柔軟なサービス運用を期待できるインフラが整えられた――そこまで、マイクロソフトの準備が整ってきたのだと、私たちも非常に期待しています」。

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