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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 効率化
  • コスト

三井物産株式会社

 様に導入

東日本大震災を機に BCP 対策の強化を推進
基幹システム「MIRAI」の可用性向上に Microsoft SQL Server 2012 早期対応プログラムを導入し、
AlwaysOn によるさらなる可用性向上を目指す

三井物産株式会社

三井物産株式会社

わが国を代表する総合商社として、世界規模でのビジネスを展開してきた三井物産株式会社 (以下、三井物産) 。同社では絶え間なく変化する市場の動きに即応するため、SAP ECC 6.0 と Microsoft SQL Server 2008 による新基幹システム「MIRAI」を 2010 年に構築し活用してきました。今回の SQL Server 2012 早期対応プログラムでは、このシステムの可用性アップを念頭に置いた AlwaysOn などの新機能を中心に検証を実施。2011 年の東日本大震災以降、急速に要請の高まるディザスター リカバリ対応を含めた、飛躍的なアベイラビリティ向上を目指してしています。

<導入の背景とねらい>
大震災以降、喫緊の課題として迫ってきた
可用性とユーザビリティの確保

三井物産株式会社
IT推進部
副部長
黒田 晴彦 氏

三井物産では、ワールドワイドで展開するビジネスの変化への即応と、10 年先までの変化を見据えた情報システム構築を目指して、2009 年に「情報戦略委員会」を発足。その下部組織である「情報技術部会」の下で、最新の技術動向を常に研究してきました。2010 年には従来から稼働してきた基幹システムを刷新し、SAP ECC 6.0 と SQL Server 2008 を組み合わせた新基幹システム「MIRAI」を、Windows Server 2008 R2 Hyper-V によって構築されたプライベート クラウド上で稼働しています。今回の SQL Server 2012 早期対応プログラムの導入も、この基幹システムの可用性向上を始めとした取り組みの延長線上にあると、IT推進部 副部長 黒田晴彦氏は語ります。

「2011 年 3 月以降、可用性の確保は喫緊の課題として、私たちの前にあります。東日本大震災は人々に、"いつか、何かが本当に起こる" ということをリアルに感じさせました。地震による破壊だけでなく、突然の電力供給ストップや、交通機関の停止で会社に来られなくなる。私たち IT 部門としては、そうした事態に備えてシステムの可用性を向上させるしくみ作りを日常のこととして研究し、提供していかなくてはならない時代が来たと感じています」。

IT システムにとっての BCP (事業継続計画) が日常的な課題となれば、ユーザーにとってのハードルはますます下げられなくてはなりません。黒田氏は、高い可用性を実現できることはもちろん、「リーズナブルなコストで構築と運用ができ、なおかつ不測の事態が起こった時には、簡単なオペレーションでバックアップに切り替えられるといった、使い勝手の良さもシステムには求められています」と付け加えます。

<導入の経緯>
長年の SQL Server 活用経験から
自然に早期対応プログラムを導入

三井物産が今回の SQL Server 2012 早期対応プログラムを導入した経緯には、これまでの長年にわたる SQL Server 利用の実績があったと黒田氏は明かします。

「当社には、1990 年台前半から SQL Server を導入してきた歴史があります。Microsoft SQL Server 4.21 から数えて 20 年近く使ってきており、バージョンアップごとに信頼性や機能の向上を間近で見てきたので使い方も心得ていますし、安心して利用できるデータベースなのです。今回その最新版を評価することは、我々にとっては、ごく自然なことです」。

また同社では、子会社の三井情報株式会社 (MKI) が IT パートナーとしてサポートにあたっています。このため MKI 内部にも充分な SQL Server 活用のノウハウが蓄積されており、「SQL Server の新機能をどのように当社環境に組み込んでいくのがよいか、技術者に知見がありますので、新しいバージョンが出ても SQL Server の場合は採用しやすいのです」。

加えて日本マイクロソフトの提供してきたサポート体制も、早期対応プログラムの導入の後押しとなりました。基幹システム「MIRAI」は SAP と組み合わせているため、思い通りに稼働させるには、サード パーティ製品なども含めた各ベンダー間での確認や調整が不可欠です。その点マイクロソフトは、複数のグローバル ベンダーの情報を束ねて提供すべく対応してきたと黒田氏は評します。

「ワールドワイド企業としての力量を最大限に発揮したサポートを、適切なタイミングで提供してきた実績をふまえ、当社としても安心して一緒にやっていけるベンダーだと考えています。ミッション クリティカルなシステムを共に担っていくパートナーには、そうした信頼が最も重要です」。

<導入効果>
従来の DR 手法に比べて災害時の復旧速度も
管理者への負担も大幅に軽減できる AlwaysOn

三井物産株式会社
IT推進部
情報通信基盤室
室長
中原 雅裕 氏

早期対応プログラムでは、SQL Server 2012 の新機能のうち、AlwaysOn と ColumnStore Index の 2 つに絞って検証を進めています。とりわけ黒田氏は AlwaysOn について、「BCP 対策を行ううえでぜひ欲しかった機能がついていると聞いて、早く試したいと思ったのが早期対応プログラム導入の決め手になった」と振り返ります。

既に SQL Server 2012 単体での評価は完了し、可用性の向上を確認しています。「当社が喉から手が出るほど欲しかった」と黒田氏が言う、同期/非同期のセカンダリ データベースを配置して同時に利用できる AlwaysOn Availability Group についても十分な機能が確認されました。さらに今後は基幹システム「MIRAI」上で SAP と組み合わせた場合の、さらに高度な機能検証が予定されています。

三井物産では、AlwaysOn を利用した可用性の向上に期待しています。同社では東日本大震災以前は、オンプレミスで運用されている基幹システムを同期サイトへミラーリングし、それをログ シッピングで DR サイトに飛ばしていました。万が一の災害時にはこのバックアップ ボリュームを用いて、新しいサーバーを立ち上げるという切り替え手順だったと黒田氏は語ります。

「しかし大震災以降、ログ シッピングでの復旧はサーバーの立ち上げに時間がかかりすぎるため、海外に非同期でセカンダリ データベースを配置する構成に変更しました。これによって、災害時の切り替えは迅速に行えるようになりましたが、オンプレミス側でミラーリングできないため、定常保守作業が週末等に限定されることになりました」。

この悩みが今回の AlwaysOn の登場で、一挙に解決できると感じたと黒田氏は言います。

「AlwaysOn では最大 4 台のセカンダリに対してミラーリングが行え、しかもその際に同期/非同期を共存させた状態で利用できます。このため、たとえば自社側のデータ センターでは、同期によるミラーリングでシステムを稼働したまま定期メンテナンスなどが行えるようになります。一方、非同期で海外の DR サイトに設置しているセカンダリ サーバーを使って、ログ シッピングでは不可能だった迅速な切り替えが実現できるというわけです」。

待ち望んでいた可用性向上が実現できるとあって、SQL Server 2012 のリリースを心待ちにしていたと黒田氏は期待をにじませます。

「万が一の事態が発生した場合に、すぐに簡単にバックアップ システムに切り替えてビジネスを継続できるしくみを、しかもリーズナブルなコストで実現させることが求められています。既に当社は SQL Server 2008 を用いて、東京 香港間での遠距離バックアップ システムが本番稼働しています。このシステムによって災害時は 1 時間程度で香港サイトに切り替えが可能になっています。今後は SQL Server 2012 によって、定常時も非常時も高い可用性が実現できることになり、運用コストの更なる低減化が可能になります」。

またシステムの実際の開発および運用を手掛ける IT推進部 情報通信基盤室 室長 中原雅裕氏は、AlwaysOn はシステム管理者側の負荷軽減効果も大きいと評価します。

「これまでも海外向けのシステムでログ シッピングは経験してきましたが、切り替えにとにかく人手と時間がかかるのが問題でした。メイン システムが復旧した際にバックアップ系から戻すときにも、バックアップへの切り替えと同等の手間が必要です。また多くの場合、遭遇している緊急事態がどの程度継続するのかも不明な状態であるため、バックアップ系への切り替えの判断が難しく、作業的にも心理的にも負担が大きいのです。しかも震災などではシステム管理者たち自身も被災者です。そんな時にどこまでやり切れるかは、未知数といってよいでしょう」。

それが AlwaysOn のような機能を使えれば、平常時からの備えさえ確実であれば、いざという時の負担は大幅に軽減でき、なおかつ確実な切り替えが担保できるのではないかと中原氏は予想します。

「また当社は世界中に展開しており、モバイル環境の拡がりなども考えると、定期メンテナンスなどでも、基本的にシステムは止めない運用が求められます。その可用性がないと実際のビジネスには耐えられないし、それを実現するのが私たちの責務と考えています。その点 AlwaysOn には、ユーザーだけでなく運用および管理者にとっても大きなメリットがあると感じています」。

AlwaysOn では、従来は休眠状態に置かざるを得なかったバックアップ サーバーを常時稼働して使用できるため、設備投資のコスト削減にもつながると中原氏はコメントします。

「IT 投資の適正化とコスト抑制が叫ばれる中で、たとえ重要であっても災害時のためだけにカネやヒトをつぎ込むことは許されません。資産活用の効率を高め、同時に DR への備えも強化できる点は、大いに評価できると思います」。

システム構成図 (正常時)

システム構成図 (正常時)[拡大図] 新しいウィンドウ

システム構成図 (災害時)

システム構成図 (災害時)[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
ColumnStore Index に検索の効率化と
データベース設計の変革を予感

今後はもう 1 つの新機能である ColumnStore Index の検証に入っていきますが、黒田氏はこちらについても既に大きな変化が期待できると語ります。

「私たちは SQL Server をさまざまなシステムで利用しています。ColumnStore Index の利用によって、そのままでも検索が速くなるケースも出てくるでしょう。ですが、もっと根本的なデータベース設計の考え方自体を変える必要があるかもしれません。従来は ERD (entity-relationship diagram) を書いて、アクセス要件に応じてインデックスを付けて……でした。ところが ColumnStore Index ではカラム単位でのアクセスが可能になるので、常識が大きく変わることになります」。

また今までは、たとえば基本データベースのカラムに何らかの一括処理を行いたい場合、夜間バッチで二次加工して別に切り出していたのが、ColumnStore Index では元のデータベースのままで自由に操作が可能になるといった、大きな効率アップも期待できると黒田氏は指摘します。

一方中原氏も、「今までは、データを切り出す際にはバッチだから時間がかかっても仕方ないという "常識" が、エンド ユーザー側にも浸透していた面があります。しかし ColumnStore Index のようなテクノロジが出てきた以上、私たちシステム側の人間が進んで新しい活用法を提示していくべきですし、それが当社全体のビジネスのアジリティ向上につながってほしいと願っています」と前向きにとらえています。

検索の効率アップという面では、三井物産では既にインメモリ データベースも導入し、利用を開始しています。こうしたソリューションに対する ColumnStore Index の位置付けについて「私たちは多数の SQL Server を利用しており、バージョンアップによって機能が向上することはユーザーとして大いに恩恵を受けることができます。各社間の競争があることによって、将来にわたり、さらなる技術発展が期待できると考えます。さまざまな製品や技術をユーザー視点で適切に検証し、メリットをもたらしてくれる技術をタイムリーに自社業務に採り入れていくことがシステム部門としての役割だと考えていますので、各社の技術革新は大いに歓迎しています」と語る黒田氏。常に最新のテクノロジに目を配り、応用の可能性を探るアグレッシブな姿勢が、三井物産の無限大のビジネス パワーを力強く支えています。

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