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沖縄県立美咲特別支援学校

 様に導入

特別支援教育における学習ツールとして Surface を導入
アプリやカメラを活用して実態に合わせた授業を行い子どもたちの自立を目指す

写真:沖縄県立美咲特別支援学校

沖縄県立美咲特別支援学校

沖縄県立美咲特別支援学校では、子どもたちが学習していくツールとして、Microsoft Surface RT を 34 台導入しています。直感的な操作で使用できるタブレットを活用し、通常の授業のほか、校内行事の事前学習、休み時間の余暇活動などにも活用しています。また、地元の IT 企業に協力し、より子どもたちの役に立つアプリ開発にも取り組んでいます。

<導入の背景とねらい>
特別支援学校で
タブレットを使った教育を進める

沖縄県立美咲特別支援学校
小学部 教諭
山城 郷士 氏

沖縄県沖縄市の沖縄県立美咲特別支援学校 (以下、美咲特別支援学校) は、昭和 47 年 (1972 年) に開校した古い歴史を持つ学校で、幼稚部、小学部、中学部、高等部がある特別支援学校として、知的障碍 (しょうがい) のある子どもたちを中心に 312 人の幼児児童生徒が学習しています。「きれいに咲こうよ、咲かそうよ」を教育活動キャッチフレーズとして、「自立し、社会参加できる子の育成」を目指し、教育一貫校の特性を生かして子どもたちの将来を見据えた教育を実践しています。

「沖縄県内の特別支援学校の中では幼稚部から高等部まである学校は少なく、幼児児童生徒数も県内の特別支援学校で最も多い学校となっています」と沖縄県立美咲特別支援学校 小学部 教諭の山城 郷士 氏は話します。

美咲特別支援学校では、5 年前からタブレットを 25 台ほど導入して活用してきました。「マウスを利用することが困難な子どもたちでも、タブレットは直感的に操作できるので、すぐに授業に役立てることができます」と、沖縄県立美咲特別支援学校 小学部 教諭の太田 健作 氏は話します。

しかし、導入から数年が経ち、デバイスも多様化していく中で、新しいデバイスを活用した新たな指導方法への興味も出てきた美咲特別支援学校では、さまざまなタブレットの情報を調べ、授業や校務での活用の可能性を模索していたと言います。

<導入の経緯>
Office 製品を活用でき
教材などの作成も便利な Surface RT を導入

沖縄県立美咲特別支援学校
小学部 教諭
太田 健作 氏

2013 年秋に 34 台の Surface RT を導入した理由について、山城 氏は次のように話します。「Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint などの Office 製品を利用でき、タブレットとして広い校内を持ち運びしながら授業に役立てられることはもちろん、キーボードを使って職員室や教室などの場所を選ばずに校務作業を行えると考えました。既に導入されていたタブレットは、タブレットとして利用するには便利ですが、Office 製品を活用することはできませんでした。特別支援学校でも活用できるアプリがあり、導入してすぐに授業に活用することができました」。

また、太田 氏は教材の活用などで Surface RT に期待したと言います。「PowerPoint で教材作りをすることが多いので、Surface RT で教材を作ってそのまま使えれば便利になると思いました。Flash の素材をそのまま使ったり、授業に合わせてカスタマイズして使えたりするのも、動きのある表現を行いやすくなると考えていました」。

さらに、クラウド ストレージの OneDrive や USB 外部メモリなどを活用して、容量を拡張することができることも Surface RT の利点となります。また、美咲特別支援学校では、教材作成などの利用がはかどるため、キーボードとしても使用できるタイプ カバーも一緒に導入しました。

<導入効果>
子どもが自ら学ぶ学習に
Surface RT がさまざまな場面で活躍

美咲特別支援学校では、それぞれの教員が工夫しながら Surface RT を活用しています。小学部 2 年生を担当している山城 氏と小学部 6 年生を担当している太田 氏は、以下のように活用方法とその効果を紹介してくれました。

子どもの実態に合わせた学習アプリを、直感的な操作で活用

小学部 2 年生の授業では、数字を正しい順に結ぶと動物などが現れるアプリ「 子供動物接続ドットのパズル」や、イラストで出題された野菜の名前を当てるアプリ「 やさいあてよう」などを、Windows ストアからダウンロードして授業に活用しています。授業でずっとタブレットを使用するのではなく、紙のカードを使って数字の学習をした後、習得できているかの確認のために、タブレットでアプリを使うなど工夫がされています。

マウスの操作が難しい子どもも、指のタッチやペンを使って直感的な操作ができ、子どもと先生が 1 対 1 で学習する場合も、複数の子どもが一緒に学習する場合も、1 台のタブレットを一緒に見たり操作しながら学習することができ、自然と共に学習する姿勢が生まれることも、タブレットの魅力とのことです。

一人ひとりの子どもの実態に合わせたアプリを活用するようにしているという山城 氏は、「たとえば、文字を書くことに苦手意識を持つ子どもの学習手だての 1 つとして、点線をなぞるだけで文字が書けるアプリなどを使って文字を学習しながら少しずつ自信を積み重ねていきます。できることを少しずつ増やして、自分で書きたい気持ちを高めていきます。また、子どものほうから積極的に Surface RT を使いたいという声が多く、Surface RT を活用しての学習をするため、着替えや片付けなどが早くなっています」と話します。

その子どもにあったアプリを使用することで、少しずつできることを増やしながら自信をつけて、次のステップへと進めるようにしています。


教員の自作教材も Surface RT で使用

Windows ストアからダウンロードするアプリや Web サイトなどから入手できる教材だけでなく、教員が子どもや身近な写真を使って PowerPoint などで作成した教材も、Surface RT を使った授業に使用されます。子どもが興味を持っている題材を扱うことで、子どもは苦手なところでも集中して学習することが可能であり、PowerPoint ならば比較的簡単に作成できます。これまで作成した教材も Surface RT ならそのまま使用できることも魅力だそうです。Surface RT なら、「1 台で、教員が教材を作成して子どもが使用すること」を実現できます。

学習のご褒美にゲーム アプリを楽しむ

学習を頑張った授業の最後や休み時間には、ご褒美として、学習以外のアプリをタブレットで楽しむことがあります。子どもたちは、自分の好きなゲーム アプリを選んで楽しんでいますが、そのときも、指でタッチしたりペンを使用したりするいい練習になっています。

PowerPoint を大型モニターに映して校外学習の事前学習

校外学習の行き先や学習内容、注意点を学ぶ事前学習でも、Surface RT が使用されています。学年全体の授業のため、Surface RT を大型のモニターに接続し、大人数の子どもたちや教員が同じ画面を見て、重要なところは全員で復唱して授業を進めます。教員は使い方に慣れた PowerPoint なので、重要なところや集中させたいところにはアニメーションをつけて目立たせたり、最後には約束事をクイズで出題して確認したりするなど、凝ったスライドでの授業が可能です。PowerPoint のスライドをめくることもタッチで行えるので、子どもたちと双方向で対話しながら授業を進めることが容易に行えます。

事前学習以外にも、誕生会や全体集会で Surface RT を大型モニターにつないで、時には子どもがスライドを進めることもあります。

Surface RT をそのまま大型モニターに接続して、タッチで簡単に PowerPoint のスライドを進め、大人数の子どもたちとも一体感のある授業が行われています。


子ども自らが Surface RT で修学旅行のしおりを作成

小学部 6 年生の修学旅行のしおりは、子ども自らが Surface RT を使って作成しました。手書きの日程表を元に、Word や手書きノート アプリ「 MetaMoji Note」を使用して、イラストや写真を挿入し、文字は手書き文字認識で入力して日程表などを作成しました。「最初は教えながらやっていましたが、意欲的に取り組んでくれて、イラストや写真の挿入や文字入力を 1 人でできるようになり、思った以上の効果に驚いています。PC とは異なり、Surface RT は画面の向きを変えられるので、縦にして完成図をイメージしやすかった点も良かったと思います」と太田 氏は話します。

イラストや写真を挿入し修学旅行のしおりを作成。慣れていけば、どんどん自分たちだけで作成するように成長していきました。


カメラで写真を撮って手紙を作成

学校で行われた沖縄の伝統行事である「十三祝い」 (生まれ年の干支が再びその年の干支となる、数え年で 13 歳になる年を祝う行事) では、小学部 5 年生が父親や母親に感謝の気持ちを伝えるために、Surface RT で作った手紙をプリントアウトして、手作りのプレゼントと一緒に渡しました。Surface RT のカメラを使ってお互いに写真を撮り合ったり、イン カメラで自分自身で写真を撮ったりして、描画アプリ「 Fresh Paint」に挿入。タッチで文字なども入れて手紙を完成させました。

動画を体育の授業に活用

太田 氏は、ダンスの指導など体育の授業でも Surface RT を活用しています。Surface RT のカメラを使って動画を撮影しますが、再生する際、見本となるダンスの動画を反転させることでわかりやすく指導できることが便利だと感じていると言います。また、Surface RT についているキック スタンドも便利に活用。子どもの動きなどを撮影するときも、手で持ってブレのある動画を撮るのではなく、他の指導を行いながらキック スタンドで Surface RT を立てて撮影。少人数の授業では、大型モニターにその都度接続するのではなく、同様にキック スタンドで立てて全員で画面を見ているそうです。

子どもや教員ごとに、複数のアカウントを使い分け

Surface RT はタブレットですが、複数のアカウントを作成でき、そのアカウントごとにインストールしたアプリや画面の設定ができます。山城 氏や太田 氏は、1 台の Surface RT に複数のアカウントを設定し、子どもによって、教員が授業以外で使う時など、それぞれのアカウントでログインして使用するなど 1 台の Surface RT を有効活用しています。

1 つのアプリだけを使えるアサインド アクセス (キオスク モード)

アサインド アクセス機能を使えば、あらかじめ設定した 1 つのアプリだけを使うようにすることができます。「アプリを子どもが操作していると、どうしても Windows ボタンに触れてしまったりして、別の画面に切り替わってしまうことがあります。子どもの集中が切れてしまったり、混乱してしまうことになるので、アサインド アクセスで 1 つのアプリだけを表示して誤作動防止できることは非常に便利ですね。子どもによっては、自分の好きな遊びのアプリを起動しようとする子もいるので、それらを防止することもできます」と太田 氏は話します。

教材作成や校務を、自由な時間や場所で、使い慣れた環境で

美咲特別支援学校では、教員が職員室で授業計画を立てたり、学級の事務処理などの校務に使用したりするために Windows PC が用意されています。Surface RT は、使い慣れた Windows PC と同じ使い勝手で Word や Excel が使用できるので、可能なものは職員室以外でも作業を行うことができるようになったことも、とても助かっているということです。

また、PowerPoint などで子どもが使用する教材を自作する教員も多く、その作成も Surface RT があれば、自由な時間と場所で行うことができます。カバーとキーボードが一体になった Surface は持ち運びが容易で、起動が速く、すぐに教材作りに取り組める点も魅力だそうです。

<今後の展望>
ICT を活用することで子どもたちの学習を支援地元企業のアプリ開発にも協力

株式会社レキサス
プロダクト企画開発部
R&D担当システムエンジニア
鈴木 康元 氏

株式会社レキサス
プロダクトデザイン部 デザイナー仲松 佐和子 氏

地元の IT 企業と共に特別支援教育向けアプリ開発に取り組む

沖縄県の IT 企業である株式会社レキサス (以下、レキサス) は、美咲特別支援学校など県下の特別支援学校に協力を仰ぎ、特別支援教育向けアプリを開発しています。

そのうちのひとつ「コトバンバン」は、紙の文字のカードを並べて Surface RT などの Windows タブレットのカメラで撮影すると、その言葉が AR 技術によって画像で表示され、音声で読み上げられるアプリです。株式会社レキサス プロダクト企画開発部 R&D担当システムエンジニア 鈴木 康元 氏は、「天気や生活用品など実際に特別支援学校で教えているものを認識するようにして欲しいといったアドバイスをいただきながら、改善を繰り返しています」と話します。また、株式会社レキサス プロダクトデザイン部 デザイナーの仲松 佐和子 氏も、「特別支援学校の先生方にご意見をいただいて、色の区別を付けやすいようにすることに気をつけて、カラフルな色使いで、見ているだけでワクワクするようなものを目指しています」と話します。

太田 氏や山城 氏も、地元企業が要望を聞いてアプリ開発してくれることを歓迎しています。「今後、授業でアプリを使うアイデアが生まれたらレキサスに相談できるというのは非常に心強いですね」 (太田 氏) 。

開発から検証までを 1 台で行え、アプリと Office の連携も 1 台で行える Surface

iOS、Android、Windows と OS に関わらず開発を行っているという鈴木 氏は、Surface での開発が最も便利だと話します。「Excel の仕様書や PowerPoint の企画書を見ながら開発しているので、他の OS のアプリを作る場合は、仮想環境で Windows を立ち上げて仕様書などを確認し、それとは別に実機を用意して検証しなければなりません。Surface を使った今回の開発では、仕様書などの確認、開発、検証をすべて 1 台で行えるので快適です」。

ステップアップのために、さらなる ICT 活用を

今後について、山城 氏は、Surface RT を教員全員が使えるような環境になればよいと考えていることを明かします。「授業にも教材づくりにも使え、従来の PC の代わりになるのは非常に便利です。Windows なので、児童用のアカウントと教員用のアカウントを作成して使い分けることで、1 台で何役でも使えるのはいいですね。Surface RT を持っていない教員も興味を持っているため、教職員全員が平等に持つ機会ができれば、より多くの活用ができるようになると考えています」。

太田 氏は、今後の ICT 導入で SharePoint や Microsoft Lync のような、コミュニケーションやコラボレーションが行えるツールを活用したいと考えています。「2014 年 4 月に、北中城村に美咲特別支援学校のはなさき分校が設置されたのですが、本校と分校の連携を密にするためにもデータのやり取りやコミュニケーションが行えるようなしくみを考えていきたいと思います」。

美咲特別支援学校では、日常生活の指導を主軸とする幼稚部や小学部、生活指導を主軸とする中学部、作業学習を主軸とする高等部を経て、最終的な子どもたちの自立を目指すために、1 つ 1 つの自信を積み重ねて少しずつ難しいことに挑戦していけるようにし、困難にぶつかっても克服できるような教育を行うことが不可欠となります。美咲特別支援学校では、今後も子どもたちが自立に向けて楽しく学習していくために ICT を活用していきます。

レキサスでは、地元・沖縄県の特別支援学校などの意見を取り入れながらアプリ開発を行っています。

紙のカードを Surface で撮影するとカードの言葉が画像で表示され、音声で読み上げられるアプリ「コトバンバン」。美咲特別支援学校の教員などのアドバイスを取り入れながら開発が進められ、2015 年 2 月にリリースされる予定です。

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