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株式会社みちのく銀行

 様に導入

利便性とセキュリティ性を高めるため、400 台規模で 2 in 1 タイプの Microsoft Windows 8.1 タブレット
を導入。既存 PC も撤廃し、行内、行外でタブレットを活用

写真:株式会社みちのく銀行

株式会社みちのく銀行

青森県青森市勝田に本店を置き、「家庭の銀行」を標榜し、東北地方を中心に地域に密着したサービスを展開する株式会社みちのく銀行。同行の取引の中心は個人のお客さま。同行では、個人のお客さまに対するきめ細やかな営業活動を行うべく、2013 年に Android タブレットを導入しました。ですが、せっかく導入した Android タブレットの営業活動での利用時間は伸び悩み、思うような活用が進まなかったといいます。
同行が課題と据えたのは「ユーザビリティ」。この課題を解決すべく、2 in 1 タイプの Microsoft Windows 8.1 タブレット「dynabook R82」の導入を決意。またそれと同時に、行内外での業務デバイスの統一化も行いました。行内外のネットワーク環境に合わせたランチャーを Windows 上で開発することで、利便性とセキュリティの両立を実現。今後はさらに用途を拡大し、お客さまへの提供価値を高めるツールとしてさらに活用していきます。

<導入の背景とねらい>
操作性に優れ、セキュリティに不安のないタブレット端末を求めていた

「家庭の銀行」を標榜し、地域に密着した金融サービスを展開している株式会社みちのく銀行 (以下、みちのく銀行)。みちのく銀行では、個人のお客さまとのコミュニケーションを強化するため、行内の情報を社外に安全に持ち出せるよう、2013 年 4 月、Android タブレットの導入を行いました。

「当行の取引の中心は個人のお客さまです。そのお客さまに対し、世帯丸抱えでサービスを提供していこうというのが、私たちの営業スタンスです。また、当行では年金や預かり資産専門のコンサルティングも行っています。ですので営業をする際には、行内で見ている情報を閲覧しながら行いたいのですが、情報を外に持ちだすには届け出をするなどの手続きが必要で、手間がかかるのが難点だったのです。シンクライアントであれば、情報を端末に残すことなく外からでも行内の情報が閲覧できます。そんなことを考えていたときに、株式会社ドコモCS東北 (以下、ドコモCS東北) さんから Android タブレットを紹介いただき、導入しました。この取り組みは東北地方の地銀としては、かなり先進的だったと思います」。

写真:株式会社みちのく銀行 営業企画部 上席担当役 小山 博昭 氏

株式会社みちのく銀行
営業企画部
上席担当役
小山 博昭 氏


写真:株式会社みちのく銀行 営業企画部 担当役 對馬 清徳 氏

株式会社みちのく銀行
営業企画部
担当役
對馬 清徳 氏

こう語るのは株式会社みちのく銀行 営業企画部 上席担当役 小山 博昭 氏です。

みちのく銀行では、外出先でも行内の情報を安全に閲覧できるよう、行内システムの Web 化を行っています。外出先から Web ブラウザーで情報を閲覧するという形 (シンクライアント システム) を採用することで、セキュリティを担保しています。2013 年当初、まずは個人営業向けに一人一台 (300 台超) を導入し、その後営業店窓口向けに約 80 台、その他年金や預かり資産専門のコンサルタントなどを含め、計 430 台の導入を進めました。しかし、導入当初こそ興味もあり活用頻度は多かったものの、しだいに利用時間が減少していったのです。その理由を小山 氏は次のように語ります。

「毎月、利用時間をチェックしていたところ、いつの間にか日々の利用時間が 1 ~ 2 時間まで落ち込みました。その理由を探ったところ、行内システムにアクセスしようと Web ブラウザーをタッチしても、思いどおりに動かないといった『ユーザビリティ』に課題があるようでした。行内システムは仮想デスクトップ上でのタッチ操作ではタブレット本来の操作ができず、滑らかに動かないのです。とはいえ、セールス ツールとしてモバイル デバイスは有効です。たとえ利用時間が減少したとはいえ、撤廃するという選択肢はありませんでした。ユーザビリティを高めることが、活用を促すという仮定の下に、新たなタブレットの検討を行うことになったのです」。

上記の背景から、みちのく銀行では 2014 年 9 月より新たなモバイル デバイスの検討を開始。「最も重視したのは使い勝手とセキュリティです」。こう語るのは小山 氏とともにタブレットの検討を行った、株式会社みちのく銀行 営業企画部 担当役 對馬 (つしま) 清徳 氏です。

「まず検討したのは、利用しているデバイスの後継機種 (Android タブレット) と iPad でした。実際に検証機をお借りしたところ、iPad はタッチ操作が滑らかだったのですが、セキュリティ面で不安があり、運用方法の変更にも課題がありました。一方 Android タブレットはすでに実績もありましたので、運用も変わりません。タッチ操作も前機種より改善され、滑らかになっていました。ただ、こちらも不安だったのはセキュリティです。より活用する業務を拡大するということは、それだけ行内の Web システムへのアクセスが増加することを指し、これまで以上に操作性、セキュリティ面へ気を配る必要があったのです。そのため Android については標準のブラウザーではなく、セキュアブラウザを導入することも検討しましたが、当社の Web システムは IE に準拠した形で作っているため、どうしてもレイアウトが崩れてしまうのです。これではいくら操作性、セキュリティ面が保証されても使い勝手は下がってしまいます」。

<システム概要と導入の経緯>
使い勝手の向上とセキュリティの確保という 2 つの要望を満たすものは、Windows 8.1 タブレットしかなかった

使い勝手とセキュリティの両立に頭を悩ませていたところ、ドコモCS東北より Windows 8.1 タブレットの提案がありました。「もともとは Windows 8.1 タブレットという選択肢を設けてなかったのですが、使い勝手の向上とセキュリティの確保という 2 つの要望を満たすのであれば Windows 8.1 タブレットしかないと、ドコモCS東北さんから推薦されたのです」と對馬 氏は振り返ります。

みちのく銀行を担当する株式会社ドコモCS東北 法人営業部 サブマネージャー 石田 力也 氏は、推薦した理由を次のように語ってくれました。

写真:株式会社ドコモCS東北 法人営業部 サブマネージャー 石田 力也 氏

株式会社ドコモCS東北
法人営業部
サブマネージャー
石田 力也 氏

「Windows 8.1 タブレットを、さらにセキュリティ強化するために、Windows Embedded OS を提案しました。Windows Embedded OS は、もともと組み込み機器向け OS のため、標準でハードディスクへの書き込み保護機能 (書き込みフィルター) が搭載されているのです。スクリーン キャプチャや USB デバイスなどの外部入力機器の制限もできます。Windows OS なので当然、IE との相性もよい。みちのく銀行さんが重視している使い勝手とセキュリティ双方を満たすタブレットはこれしかないと判断し、ご案内しました」。

複数ある Windows 8.1 タブレットですが、デバイスとしては東芝「dynabook R82」を選択。そこにもいくつか理由があるといいます。「第一はスリムで携帯性に優れながら、作業しやすい画面の大きさを有していたことですね」と小山 氏がまず評価するように、dynabook R82 の画面サイズは 12.5 インチと大画面を採用。携帯性だけを重視すれば、もう少し小さな端末でもよいように感じますが、12.5 型を選んだのには「行内外で利用する」という背景がありました。

「今回のタブレットは、外出先で使うだけではなく、行内にいるときにも業務用の PC として活用しています。実は行内で使用している PC の中にはかなり古いモノもあったので、同時期に入れ替えを検討していたのですが、2 in 1 タイプの Windows 8.1 タブレットであれば、外出先と行内それぞれの利用を担えると考えたのです。行内でのオフィス ワークを考えると、それなりの画面の大きさが必要となりますし、入力面でもこれまでの PC の使用感を損なうのは避けたい。ですので、携帯性を担保しながらも大画面で、キーボードもしっかりと装着できる dynabook R82 を選択したのです」(小山 氏)。

くわえてもう一つ、決め手となったのは有線 LAN ポートを搭載していること。行内外の利用に際して、行内ではやはり安定的な通信ができる有線 LAN でつなぎたいという思いもありました。

ここまで検討したところで、既存の Android タブレットと dynabook R82 を導入した場合の 5 年間のランニング コストを試算し、比較してみたと對馬 氏はいいます。

「初期導入のコストがかかるとはいえ、それは同時期に予定していた行内 PC の入れ替え予算で賄うことができます。また新たに端末を入れ替えることで、通信料のプランを変更するという提案も受けました。通信料も含めると、5 年間のランニング コストは多少ですが、既存環境よりも下がることがわかりました」(對馬 氏)。

「これらのことを総合的に判断して、2015 年 2 月に、dynabook R82 の導入を決定しました」(小山 氏)。

ところで、今回導入した Windows 8.1 タブレットでは、電源を入れると、通常の Windows 画面ではなく、それぞれのネットワーク環境に合わせたランチャー (特定のアプリケーションを動作せるための機能) が起動するようになっているといいます。

写真:株式会社みちのく銀行 システム統括部次長 川原田 勝幸 氏

株式会社みちのく銀行
システム統括部
次長
川原田 勝幸 氏


写真:シーティーシー・エスピー株式会社 ソリューション第3営業部 部長代行 渡辺 裕介 氏

シーティーシー・エスピー株式会社
ソリューション第3営業部
部長代行
渡辺 裕介 氏

「これまで行外と行内でデバイスを分けていましたので、タブレット デバイスで閲覧できる情報はシンクライアント化したシステムのみに限定していました。しかし、今回は同じ端末を行内でも使用します。したがって、行外では利用しないシステムでも、行内では使用できるようにしなければなりません。そのため、dynabook R82 の導入に合わせ、利用環境に合わせてその切り替えを容易にできるようなしくみが必要だったのです」。こう語るのは、株式会社みちのく銀行 システム統括部 次長 川原田 勝幸 氏です。

川原田 氏は、環境によって利用システムが自動で切り替えられる専用ランチャーの作成を検討。開発は、ドコモCS東北の指示のもと、シーティーシー・エスピー株式会社 (以下、シーティーシー・エスピー) が担当しました。シーティーシー・エスピー株式会社 ソリューション第3営業部 部長代行 渡辺 裕介 氏は次のように語ります。

「みちのく銀行様では、行内では有線 LAN、行外では SIM 通信を使用されています。そこで、それぞれのネットワーク環境に合わせたランチャーに切り替えられるよう、弊社から提供のランチャーのしくみをカスタマイズしました。ネットワーク環境ごとに、利用できるシステムを『画面に表示させない』という形で制限するしくみを作ることで、利便性ももちろんですが、セキュリティも確保したのです」。

同行では Windows 8.1 タブレットの導入に伴い、行内システムへのログイン方法も変更したといいます。従来の Android タブレットですと、外出先から行内システムにログインする際、まずタブレットにログインし、次に行内システムにログインするという 2 度のログイン作業を行わなければなりませんでした。Windows 8.1 タブレットでは、認証機能である Active Directory を用いることで、タブレットへのログインに伴うシングル サインオンも実現したのです。

「2015 年 2 月の導入決定から約 5 か月間かけて、新しいデバイスを最大限活用できるよう、システムを構築しました」と小山 氏は語るように、使い勝手とセキュリティの両立へ向け、みちのく銀行とドコモCS東北、シーティーシー・エスピーの 3 社が密にコミュニケーションを取り、構築が進められました。当然その 5 か月間の中では苦労したことも。

「導入した Windows 8.1 タブレット (Windows Embedded OS 搭載) では、セキュリティ面から、ハードディスクにデータの保存ができないよう書き込みフィルターを搭載しています。この機能が原因で、たとえばユーザーが辞書登録したものなどが、電源をオフするとクリアされてしまうのです。利便性を考えると、辞書登録などの学習機能は使いたい。こうしたクリアされては困るモノとそうでないモノをチェックし、それらをどのようにして保存させるか。細かい点まで一つ一つ点検し、カスタマイズしてもらいました」と川原田 氏は語ります。「実際に実機で検証しなければ分からないことも多く、みちのく銀行さん、ドコモCS東北さんと密接にコミュニケーションしながら、カスタマイズを進めました」と、開発を担当した渡辺 氏も続けます。


図.RADIUS サーバーにて認証機器のみ社内システムへアクセスができ、Active Directory によるユーザー認証でシングル サインオンを実現している。[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入の効果>
ランチャーでネットワーク環境に合わせてスタート画面を切り替え、目的のアプリへのすばやいアクセスを実現

約 5 か月の構築期間を経た 2015 年 7 月中旬、現場での検証としてまずは、3 店舗に限定した試用を実施。するとすぐに「使い勝手がよくなった」という声が届いたといいます。操作性、セキュリティ面も含め、「これなら問題なく利用できる」と確認した上で、8 月~ 9 月にかけて、全店での運用へ向けた準備を開始。「行内外で利用する新しいデバイスの導入ですので、使い方を説明しながら配付しました」と小山 氏が語るとおり、数多くの店舗それぞれへ、導入プロジェクトのメンバーが 3 チームに分かれ、配付と使い方の指導を行ったといいます。その結果もあり、「10 月には全店での運用が始まりましたが、ヘルプデスクへの問い合わせもほとんどありません」と小山 氏は胸を張ります。「ランチャーのアイコンをできるだけ大きくしました」と川原田 氏が続けるように、細かい部分までユーザビリティを意識したカスタマイズを行ったことも、スムーズな運用を開始できた要因といえます。

2015 年 10 月より全店舗での運用が開始。「1 か月しか経過していないため、数値面に見えるような効果はまだ表れておりません。ですが、ユーザビリティが高くなっていることは現場の声からも間違いがありません。目的にたどり着くまでの時間も短くて済むので、業務効率も向上するでしょう」と小山 氏は期待を込めます。
また、Windows 8.1 タブレットに変わったことで、Microsoft Office の使用が可能になったことも大きいといいます。

「Android タブレットのときは、Office 文書はビューワーによる閲覧のみでした。今は既存 PC との置き換えのため、ライセンスはそのままに、タブレット上での Office 利用が可能になりました。この点も使い勝手の向上につながっていると思います」(川原田 氏)。


無線 LAN 接続時のランチャー画面。ネットワーク環境に合わせてランチャーを切り替えることで、使い勝手とセキュリティ双方を向上している。

行内の情報をみながら渉外対応を行ったり、パンフレットを見せたりといった形で活用。着脱式キーボードを外すことも可能。

お客さまに自ら情報を入力いただくようなシステムもあり、さまざまな形でタブレット デバイスを活用している。

<今後の展望>
申込受付、さらには契約完了までをタブレットで行い、お客さまへの提供価値を最大化したい

現在、行外での Windows 8.1 タブレットの用途は、行内情報やキャンペーン情報の閲覧、パンフレットの情報をお客さまに見せたりということに限られていますが、今後はさらに用途の拡大を目指しています。

「申込を受け付け、契約完了まではタブレットでできるようにしたいですね。現在はそういった情報を見せても、契約完了に至るにはいったん、店舗に来て手続きをしてもらわなければなりません。特に投信の場合はリアルタイム性が求められる商品ですので、その場で申込ができるようになることが、お客さまにとって大きなメリットになります。リアルタイムに相場は変動しますので、説明した日に申し込めたり、契約完了したりすることが重要になります。もちろん、最終的には紙への出力や押印が必要なので、店舗に来てもらう必要はありますが、できるだけそこまでのプロセスを簡略化し、お客さまへの提供価値を高めるとともに営業機会も最大化したいと思っています」(小山 氏)。

くわえて、みちのく銀行が検討しているのは法人営業への拡大です。現在、法人営業については部署へのデバイス配付となっており、個人向け営業のように一人一台とはなっていません。

「個人向け営業の場合は、タブレットでこういうことを実現したいという活用目的が明確でした。一方の法人営業では、まだどのように活用すればよいかという活用目的を確立できていません。どんな活用ができるのか、またその活用によってお客さまにどのような価値を提供できるのか、これから検討していきたいと思います」(對馬 氏)。

みちのく銀行では今後も、Windows 8.1 タブレットをはじめとした IT システムを活用することで、地域に密着したサービスを展開していきます。

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