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総務省

 様に導入

幅広く官庁、企業の手本となる働き方の実践へ。"テレワーク環境の整備" と "フリー アドレス化" の両面から、国家公務員のワークスタイル変革を強力に推進

2013 年 6 月 14 日に閣議決定された「世界最先端 IT 国家創造宣言」に基づき、行政の効率化が進められる中、総務省では率先して ICT 化を推進。庁内の電子決裁率約 98% を達成した上で、全職員約 5,000 名を対象として、Microsoft Lync (現、Skype for Business) の活用をキーとしたテレワークを推進。さらに、日本マイクロソフトほか民間企業への視察からヒントを得て行政管理局のオフィス レイアウトをフリー アドレス化するなど、ワークスタイル変革を大胆に推進することで個人席周辺の紙文書を約 8 割の削減を達成。課内のアンケートでも職員の 7 割が働きやすくなったと回答しています。

<導入背景とねらい>
"効率的で質の高い行政の実現" に向けて、誰にでも使いやすい ICT 環境を整備

写真:総務省

総務省

行政の ICT 化が進められる中でも、特に最先端の取り組みを実践しているのが、総務省です。

"効率的で質の高い行政の実現" という目標に向けた庁内のインフラ整備が進められており、業務のペーパーレス化やテレワークの推進に不可欠となる電子決裁率についての政府目標が 2015 年度に 60% とされているのに対して、2014 年度ですでに 97.8% を達成しています。テレワークへの取り組みも早く、2014 年度には総務省全体で、1,271 人日 のテレワークが実施されています。

総務省では、2014 年 2 月に、課長補佐クラスをメンバーとするワークスタイル変革推進チームを結成。
省内のワークスタイル変革を強力に推進するために、従来環境における課題の洗い出しと改善案を積み重ねたと、総務省 大臣官房企画課 情報システム室長 尾原 淳之 氏は振り返ります。

「総務省は、ICT 所管官庁として、各府省に範を示すことが求められます。そのためには全職員にとって本当に使いやすい ICT 環境を整え、データの共有や遠隔コミュニケーションを円滑に行えることが不可欠です。そこで、職員の生の声を募ったのです。そして、テレワークに関しては、2020 年までに "週 1 日以上終日在宅テレワークを行う者が全労働者の 10% 以上" にすることが国全体の目標となっていて、政府もこれに遜色ないレベルに達することを目指すとされました。引き続き現場の声に耳を傾け、更なる環境整備を進めて行きたいと考えています。」

ワークスタイル変革推進チームによる検討を通じて、「庁内無線 LAN 環境の改善」など、さまざまな提案がまとめられました。改善に至るアクションも迅速に行われ、同年 5 月には無線 LAN 環境の整備も完了しています。

そして、この検討の中での主要な改善要望の 1 つが、遠距離のコミュニケーションを支える重要なツールとなる Web 会議システムであったと言います。

    ■ 従前の Web 会議システムの主な課題
  1. 5,000 人の職員に対し、同時アクセスが 100 名に限られていた
  2. 事前に会議を設定。参加者に ID などの案内を配布する手間が必要だった
  3. 総務省職員以外の外部の人と会議ができない
  4. 音声の遅延が頻繁に発生する
  5. スマートフォンやタブレットからのアクセスができない

尾原 氏は、こうした課題ゆえに「従前の Web 会議システムは、十分に活用されていなかった」と話します。
「総務省には、各地に地方支分部局があり、定期的に本省との会議も行われています。こうした業務を効率よく進めるために Web 会議システムが以前より導入されていましたが、利用人数の制限や使いにくさがあり、全職員が日常的に活用するには至っていませんでした。しかし、育児や介護などを理由とする在宅ワークなどを促進し、職員のワーク ライフ バランスに資する環境を実現する上で、非常に重要なツールです。そこで、より良いシステムの導入を検討することになりました。」

そして、2015 年 3 月に総務省が導入するに至った製品が、Microsoft Lync 2013 (現、Skype for Business) でした。(導入パートナー : 新日鉄住金ソリューションズ株式会社)

<Lync 導入によるテレワークの促進>
場所やデバイスを問わない柔軟な働き方をきめ細かく支援するシステムで
登庁時に近い、効率的な "チーム型" テレワークを実現

写真:大臣官房企画課の 3 名様

向かって右が大臣官房企画課 情報システム室長 尾原 淳之 氏。
左が同課 情報システム室情報システム第三係長 吉田 健一郎 氏。
中央は Lync で在宅テレワークにて取材に参加いただいた同課 課長補佐 波多野 洋史 氏

大臣官房企画課 情報システム室情報システム第三係長 吉田 健一郎 氏は、Lync 2013 導入に至った理由について、次のように説明しています。

「実は 以前から Lync の旧バージョンである 2010 を活用していました。Lync は、インスタント メッセージ (IM) や音声通話、そして 1 対 1 の Web 会議など複数の手段でコミュニケーションを行うことができるため、重宝していました。さらに今回導入した Lync 2013では、職員間の Web 会議の実施についても事前の調整などが必要なく、IM で複数人に呼びかけ、そのまま会議もできるという手軽さがあり、在宅でもチームのパフォーマンスを損ないません。さらに、総務省以外の外部の方とセキュアに Web会議が実施できる、スマートフォンからも参加可能等、最新版ではさまざまな機能や操作性がアップしており、ワークスタイル変革推進チームが掲げた課題の解決に貢献できるものと評価したのです。」

2014 年 7 月から 8 月にかけて、育児参加のために育児休業 2 週間を取得、さらに在宅テレワークを 2 週間利用し、Lync を活用した経験を持つ大臣官房企画課 課長補佐 波多野 洋史 氏も、Lync の使いやすさを評価しています。
「在宅テレワークに多少の不安もあったのですが、1 回やってみると、すぐに慣れました。Lync は、相手がオンライン状態にあるかどうか、あるいは会議中であるかといったプレゼンス (在席情報) が表示されますので、省外にいても、上司・部下と情報共有・作業指示等のコミュニケーションがスムーズに行えたのが大きいと思います。そして、2013 にバージョンアップしてからは、さらにインターフェイスもわかりやすくなり、快適に使用できています。」

Lync 活用イメージ
Lync 活用イメージ


波多野 氏が挙げたプレゼンスの表示は、テレワーカーの勤怠管理にも有効だと尾原 氏は言います。
「一般企業を含めて、在宅勤務などのテレワークを実施する際に、勤怠管理に不安をもたれるケースも多いと思います。しかし、Lync のプレゼンスは、5 分以上 PC を操作していないと『退席中』と表示されるなど、きめ細かく提示されていますので、勤怠管理にも重宝します。後は、IM やメールで休憩や移動、退勤など報告してもらえれば支障ないと思います。」

さらに、Lync を日頃から活用することがとても重要だと、尾原 氏は続けます。
「育児や介護などのプライベートな事情だけでなく、災害や事故などによってテレワークが必要になる事態は、誰にでも訪れる可能性があります。そうした時に、急に特別なシステムを用意されても、使いこなすことは難しいでしょう。その点、Lync は日常から有効活用できます。メールだけでは、会議の呼びかけなどはうまく行きませんが、プレゼンスを確認しながら IM で呼びかければ確実です。それに、ちょっとした質問など IM で即時に応答を得る快適さがあります。メールと電話だけでは埋まらない隙間を埋めることのできるツールだと実感しています。」

総務省では、育児などの事情によって、定期的に在宅勤務の必要が生じる職員が申請すると、1 年単位で USB シンクライアントが貸与され、VPN サーバーに置かれた仮想デスクトップ環境を通じて、いつでも、自宅の PC を使ってセキュアにテレワークが行える環境が整えられています。

制度的にも、2014 年にはテレワークの対象が、管理職や地方局職員を含む全職員に拡大しました。
こうした取り組みにより、2014 年度の総務省のテレワーク実施率は前年度の約 6 倍となりました。
また、省内の ICT 化を主導する、大臣官房企画課では 2015 年 2 月時点で所属全職員がテレワークを経験。「業務に集中しやすい」、「通勤時間がなくなり、すぐに育児に移行できる」など、好評を得ています。

尾原 氏は言います。
「私自身、在宅テレワークを実施して感じたメリットは、普段は通勤に費やす時間を、家族や自分のために活かしつつ、業務に集中できたということです。何より、出産・育児や介護といった事情で優秀な職員を失うリスクが減ったことが大きな成果です。人材は組織の宝です。テレワークの推進で得られるこのようなメリットは、一般の企業においても同様なのではないでしょうか。」

Lync 活用の可能性について尾原 氏はさらに続けます。
「在宅テレワークのみならず、LyncのWeb会議による地方拠点との会議の効率化が期待されますし、他府省や企業とのWeb会議を実施することで、総務省に関わる方々のワークスタイル変革の実現に寄与できる可能性があると思います。」

<フリー アドレス制採用による、積極的なワークスタイル変革>
ICT の効果的活用と、オフィス空間の改善の両立で
ワークスタイル変革を大きく前進

写真:行政管理局の 2 名様

向かって左が行政管理局 行政情報システム企画課 課長補佐 加藤 彰浩 氏。
右が同課 総務事務官 松田 花鈴 氏

「ペーパーレス化」、「コミュニケーションの活性化」、「意思決定の迅速化」を目標とし、テレワークの推進などを図る総務省のワークスタイル変革は Lync の活用だけにとどまらず、庁内の光景と、働き方のルールそのものを変更するところにまで及んでいます。

それが、"個人用デスク撤廃" を基本とした行政管理局のオフィス改革です。

個人の座席を固定せず、自由に着席できる "フリー アドレス制" を採用。行政管理局の職員約 40 名と、業務システムの運用管理のために常駐している約 50 名の IT パートナー社員が、日々の業務要件に合わせて自由に席を選択し、闊達なコミュニケーションを行える環境を創出しています。

この大胆な改革は、「民間企業の事例を複数視察した成果」であると、行政管理局 行政情報システム企画課 課長補佐 加藤 彰浩 氏は説明します。
「自席を固定する必要性を排除するために、内線電話をすべて移動式に変更しました。さらペーパーレス化を徹底するために袖机などを撤去しています。このような "フリー アドレス制" のオフィス レイアウトは、日本マイクロソフトなどの先例を参考に実現しています。室内には視界を遮るパーティションもほとんどありません。変更後は課長自ら入口近くの席を好んで着席するなど、従来では考えられないほど環境が変化しています。」

広く、開放的な空間となっているオフィスの中心には、ミーティング用の大テーブルと大画面の電子ボードが据えられており、ペーパーレスでのミーティングが随時行われています (写真参照)。

Lync を活用した企業とのミーティング光景

Lync を活用した企業とのミーティング光景

中央官庁のオフィスとしては、類を見ない空間が作り上げられたこのオフィスは、非常に画期的な取り組みとして注目されており、高市早苗総務大臣をはじめとする要職者や他府省、自治体の方々が、連日のように視察に訪れていると、加藤 氏は言います。
「高市大臣が視察に来られた際には、デモンストレーションとして他課との Web 会議を行いました。大臣が非常に興味を持たれて、ご自分から着席して Lync の向こうにいる職員に呼びかけられたので、皆、驚いていましたね。総務副大臣や各総務大臣政務官にもご視察いただいたほか、複数の地方自治体からも問い合わせをいただいています。」

個人席周辺の文書量が約 8 割減。
約 7 割の職員が「働きやすくなった」と回答

行政管理局オフィス レイアウト図

このオフィス改革による効果は大きく、個人席周辺の文書量が約 8 割、カラープリントやカラーコピーの枚数はレイアウト変更前の約半分にまで削減されていると加藤 氏は言います。

「最初に着手したのがオフィス内に積まれていた文書の整理です。必要最低限の書類はスキャンしたものの、紙文書はよくよく見直すと廃棄できるものがほとんどで、約 8 割の紙文書が削減できました。袖机などを廃止することが、文書整理の良いきっかけになったのです。」

さらに、ミーティング用の資料も電子共有することが、ペーパーレス化と業務効率の向上に大きく貢献していると氏は続けます。
「以前は、ミーティングを行う前に資料を印刷した上で上長の確認を受け、修正後に人数分の資料を印刷していましたが、今は電子ボードだけでなく、Lync を通してもプレゼン資料を共有することができます。資料の修正も、話し合いの最中にリアルタイムで行えますから、上長確認もスピーディーに行えます。個人的には、準備を含めた上長確認に要する時間が、1 時間近く短縮されたようにも思います。」

こうしてオフィス内を整理し、省スペース化を図ったことで、チーム ミーティングに活用できるスペースを 7 か所も確保できており、会議室の予約に追われることもなくなりました。こうした業務変化は、若手職員には特に大きく影響していると言います。今春、同 行政情報システム企画課に配属されたばかりの総務事務官 松田 花鈴 氏は次のように話します。

「以前は、ミーティング用の部屋を事前に予約したり、人数分の会議資料をコピーして綴じるなど、さまざまな業務があったと聞いていますが、私はそのほとんどを経験していません。また、Lync を使うことで少し離れた席にいる諸先輩にも比較的気軽に質問できますし、フロアや建物の違う同期入省の仲間たちとも不自由なく交流できます。」

松田 氏のように働きやすさを実感している職員は多く、オフィス改革実施の 2 週間後のアンケートでも、約 7 割の職員が「以前のオフィスよりも、チーム内のコミュニケーションがとりやすくなり、業務を進めやすくなった」と回答したと言います。

「環境を変えれば、働き方が変わる」ことを実感

写真:松本 文明 衆議院議員と行政情報システム企画課長 橋本 敏 氏

前総務大臣政務官 松本 文明 衆議院議員 (向かって右) とペーパーレス会議を行う行政管理局 行政情報システム企画課長 橋本 敏 氏 (向かって左)

こうしたオフィス改革の成果について、加藤 氏は「想像以上でした」と、笑顔で振り返ります。
「正直に言えば、オフィス レイアウトを変更する前は、文書整理などの苦労が増えるばかりで実際に効果が出るのかどうか、半信半疑でした。しかし今は、『環境を変えると、働き方が自然と変わる』ということを、強く実感しています。」

また、課を束ねる視点からも、非常に効果を感じていると、行政情報システム企画課長 橋本 敏 氏は言います。
「今回のオフィス改革では課長など管理職の席も思い切って廃止しました。一抹の寂しさはあったものの、職員との距離が近くなり、私のところに相談しに来る件数が増えましたね。今後はこのような働きやすさを重視したオフィス改革を総務省内、霞が関全体へ波及させていきたいと考えています。」

Lync 活用イメージ

無線 LAN 環境でつながったノート PC と Lync を始めとするツールを駆使し、働く場所と互いの距離を気にすることなく、ほかの職員たちと闊達にコミュニケーションを図り、業務を円滑に進めていくワークスタイルは、そのままテレワークの実践にもつながります。

「高市総務大臣が視察にいらした際も、テレワークの実践に強く興味を持たれていました。セキュアに電子文書を共有することで職員も身軽になり、自席に縛られることなく働くことの効率の良さが、物理的な場所と距離に縛られることのないテレワークにつながります。このオフィス改革によって生まれたワークスタイルが浸透することで、テレワークも “当たり前の働き方“ になると、大臣も感じられていたように思います。」(加藤 氏)



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