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導入事例

 様に導入

名古屋鉄道株式会社

 様に導入

ハイキングの参加者にポイントを付与する端末として、
バッテリ駆動時間が長く信頼性の高い Microsoft Windows 7 搭載のスレート PC を選択

名古屋鉄道株式会社

名古屋鉄道株式会社

中部地方最大の私鉄である名古屋鉄道株式会社 (以下、名鉄) は、「電車沿線ハイキング」の参加者の実態を把握するため、会員制のポイント サービス「名鉄たまルン」の活用を検討。電車で現地へ来た参加者の IC カード「manaca」にポイントを付与することで、電車を利用したハイキングの参加を促すことを目指しました。イベント当日に現地で参加者の IC カード情報を読み取り、サーバーと通信して照合結果を顧客に見せる端末として、持ち運びと設置が容易なスレート型で、バッテリの駆動時間が長く、Windows 7 を搭載した「STYLISTIC Q550/C」 (富士通) を採用。きわめて短期間での開発を実現しました。


<導入背景とねらい>
把握が難しいハイキング参加者の実態を、
会員制ポイント サービスを活用して取得

名古屋鉄道株式会社
事業推進部 販売促進担当
サブチーフ
森下 喬 氏

「manaca (マナカ)」は、名鉄を含む 6 つの公共交通機関で乗車券として利用できる IC カードです。現在約 210 万枚の発行枚数を誇り、日本で 5 番目に発行枚数の多い鉄道会社系 IC カードでもあります。同社は、この「manaca」を活用し、会員制のポイント サービス「名鉄たまルン (注)」を展開しています。

一方で、楽しみながら鉄道利用を促すイベントとして、参加費も予約も不要の「電車沿線ハイキング」をほぼ毎週末に実施しており、参加者にはシール式の「完歩券」を発行。集めた完歩券の枚数に応じてプレゼントを進呈するというサービスを行っています。このハイキングには毎回 2,000 ~ 3,000 人程度が参加しますが、自由参加なので、どういう人がどの程度参加したかを把握しにくいことが問題となっていました。よりハイキングの参加を促すため、ハイキング向けの会員組織を立ち上げ、独自のポイントを付与して実態を把握していきたいというニーズがあったのです。

そこで名鉄では、ハイキング参加者が、コース内に設置された読み取り端末に、条件に適合する IC カードをタッチする既存の会員組織である「名鉄たまルン」のポイントを付与するサービスを考えました。

名古屋鉄道株式会社 事業推進部 販売促進担当 サブチーフ 森下喬氏は、「 "名鉄たまルン" は電子マネーで買い物をした時にたまるポイントもあるので、ハイキング参加者にポイントを付与することにより、普段から "名鉄たまルン" のポイントをためている人にハイキングに興味を持ってもらえることと、ハイキング参加者に "名鉄たまルン" のサービスを知ってもらうきっかけになってもらえればと考えました」と語ります。

注:名鉄、名鉄バス、豊橋鉄道で発売する株式会社エムアイシー発行の記名式「manaca」に付加できるポイント サービス。「名鉄たまルン」加盟店での電子マネー利用のたびに「名鉄たまルン」ポイントがたまり、そのポイントを「名鉄たまルン」チャージ券に交換後「manaca」にチャージすることで、カードの残額として利用できる。

図 1:「manaca」を利用した新サービスのしくみ。「名鉄のハイキング」は年間 50 コース以上が用意されている。

図 1:「manaca」を利用した新サービスのしくみ。「名鉄のハイキング」は年間 50 コース以上が用意されている。[拡大図] 新しいウィンドウ

<導入の経緯>
軽量なスレート型でバッテリ駆動時間が長く、
Windows 7 搭載の「STYLISTIC Q550/C」を選定

名鉄は、グループ内の情報システム会社である株式会社メイテツコムと共に、2011 年夏前ごろから検討を開始。当初、現地ではオフラインでデータを取得しておき、会社に戻ってから一括でデータをサーバーに渡す方式を考えていました。しかし、同じ「manaca」で名鉄発行の「manaca」だけが本サービスの対象であったり、電車での来場がポイント付与の条件となるため、その場で条件に適合するかどうかの判定が必要となります。そうなると、ユーザーに条件に合わないことや対象の「manaca」であることをきちんと認識してもらう必要があるため、画面で利用可否や加算ポイントなどの結果を見せなければならないと考えました。

また、屋外のイベントでの使用となるので、持ち運びしやすく、設置が簡単であることが望ましく、当初からスレート型の PC が有望な候補となりました。さらに、「manaca」を読み出すための IC カード リーダーが Windows 対応だったため、OS が Windows であることも必須条件でした。

そこで、さまざまなベンダーの 7、8 機種のスレート型 Windows PC を比較検討した結果、スレート PC「STYLISTIC Q550/C」 (富士通) に決定。その理由を森下氏は、「ハイキングは、朝 8 時半からスタート受付けを開始し、15 時までゴール受付けをします。その間ずっと作動しておく必要がありますが、屋外が多いので電源がとれないことも珍しくなく、最低 7 時間はバッテリがもつ必要がありました。その点、STYLISTIC Q550/C は、大容量バッテリなら約 10 時間もち、調べた中では最長でした。富士通の PC は社内でも使っており、信頼性に評価があったことも大きいですね」と語ります。

写真 1:ポイント端末機のカバーを開けた様子。アクリルの台座にスレート PC「STYLISTIC Q550/C」と、カード リーダーが配置されている。熱対策の為、台座の左右には通気口があけられている。

写真 1:ポイント端末機のカバーを開けた様子。アクリルの台座にスレート PC「STYLISTIC Q550/C」と、カード リーダーが配置されている。熱対策の為、台座の左右には通気口があけられている。

写真 2:利用者が「manaca」をタッチすると、乗車情報が即座に確認され、「電車に乗ってきたかどうか」など条件に適合する場合のみポイントが加算される。

写真 2:利用者が「manaca」をタッチすると、乗車情報が即座に確認され、「電車に乗ってきたかどうか」など条件に適合する場合のみポイントが加算される。


<導入効果>
Windows だからこそ、超短期開発が実現。
端末も安定し、故障もトラブルも皆無

株式会社メイテツコム
事業統括本部
社会情報ソリューション部 第4担当
リーダー
森田 智康 氏

仕様が固まって開発が始まったのが 2011 年 10 月で、約 1 か月後には本稼働という急ピッチなスケジュールで開発は行わました。株式会社メイテツコム 事業統括本部 社会情報ソリューション部 第4担当 リーダー 森田智康氏は、「幸い端末の OS が Windows 7 だったので、アプリケーションの開発を Microsoft Visual Basic で行うことができました。他の OS だったら、このスケジュールは無理でしたね」と語ります。

現在 STYLISTIC Q550/C は、10 台用意し 3 拠点に配分、それぞれの周辺地域でのイベントに利用しています。基本は 1 イベントで 2 台ですが、特に多くの参加者が見込まれる場合は、台数を追加して対応しています。

イベント当日は、STYLISTIC Q550/C に IC カード リーダーとモバイル ルーターを接続し、特製の専用ケースに収納。ハイキング開始時に、担当者は STYLISTIC Q550/C のタッチ パネルを使って、事前にサーバーに登録されたハイキング コースの中から、該当するコースを選択し設定。ハイキング開始後、利用者がケースに収められた IC カード リーダーに IC カードをかざすと、サーバーと通信して判定を行い結果 (ポイント付与) が液晶画面に表示されます。

約 2 か月利用した 2012 年 1 月末時点で、「普通の PC と同じなので、特別なサポートは必要ないし、今のところ故障も、トラブルもありません。冬場の外気温の非常に低い中でも問題なく稼働しています」と森田氏は評価しています。サービスはまだ始まったばかりで、導入効果の把握はこれからという状況ですが、森下氏は次のように語ります。「ようやく少しずつ認知され始めたところで、タッチする楽しみを感じてもらっているという段階です。しかし従来の磁気カード ユーザーがまだまだ残っていることがわかるなど、徐々に利用実態はつかめてきました」。

写真 3:スレート PC を内蔵したポイント端末機は主に屋外に設置され利用されている。ポイント情報の通信は Wi-Fi ルーターを介して行うため、完全にケーブルレスで運用できる。

写真 3:スレート PC を内蔵したポイント端末機は主に屋外に設置され利用されている。ポイント情報の通信は Wi-Fi ルーターを介して行うため、完全にケーブルレスで運用できる。


<今後の展望>
イベント集客やロイヤリティ向上のツールとして多彩なサービスを展開予定

名鉄が今回実施したハイキング参加者へのポイント付与サービスは、買い物などの支払いに連動するような一般的なものではありません。IC カードのポイント付与サービスとしてはかなり独創的なもので、新しい活用方法を切り拓くサービスとして期待が高まります。

さらに同社では、今回導入したしくみを活用し、イベントへの集客を高めたり、顧客の同社へのロイヤリティをより一層高めるためのツールとして活用していきたいと考えています。森下氏は、「たとえばよりゲーム性を持たせて、IC カードをかざすとルーレットが回って、抽選でプレゼントが当たるサービスなども、やろうと思えばできます。また、今後はハイキング以外の地域連携キャンペーンや鉄道イベントなどへの展開も検討しています」と構想を語ります。

IC カードのポイント サービスを活用することで、イベントの参加状況を把握し、サービスの改善につなげる活動は緒についたばかり。今後、さまざまな活動により相乗効果を生み、さらなる利用者拡大とサービスの充実につながることは間違いないでしょう。

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