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三菱地所株式会社

 様に導入

取引先情報システムを Microsoft Dynamics CRM へ再構築した結果、
大幅な操作性の改善や検索機能の強化が実現し、さらなるグループ企業展開も容易に

丸の内パークビルディング・三菱一号館

丸の内パークビルディング・
三菱一号館

わが国を代表する総合不動産デベロッパーとして、1894 年以来、「まちづくりを通じた社会への貢献」をスローガンとしている三菱地所グループ。国内約 50 社、海外約 120 社で構成される同グループの中心となる三菱地所株式会社では、法人営業の CRM システムである取引先情報システムの再構築を実施し、 2012 年 6 月に稼働を開始しました。システム刷新にあたっては、Microsoft Dynamics CRM の採用によりトータル コストを圧縮。さらに旧システムで課題となっていた操作性を大幅に向上させ、部門間を超えた営業活動情報の一元化により、さらなる営業力の強化を実現しています。

<導入の背景とねらい>
ユーザーの操作性改善とライセンス コストの抑制に向け
CRM システムの再構築を決定

三菱地所株式会社
経営企画部
副長
宮野 裕介 氏

不動産開発・管理・運営を行ううえで、事業を主宰するデベロッパーを中心に、数多くの企業が連携することが不可欠です。顧客開拓からプロジェクト完了に至る各フェーズにおいて、刻々と変化する膨大な顧客データを迅速に共有、分析、活用できる CRM 基盤が欠かせません。さらに、その CRM 基盤には、高度なデータ処理機能に加え、プロジェクトに携わる誰もが簡単に利用できる操作性やコスト パフォーマンス、そして将来に向けた柔軟な拡張性などが求められます。そうした現在のシステム要件を Microsoft Dynamics CRM によって解決し、新たな営業情報活用基盤の構築に成功したのが三菱地所株式会社 (以下、三菱地所) です。

同社では 2006 年、法人営業における提案型営業機能強化を目的に 某社 CRM パッケージを導入。顧客情報に関する項目の充実や、今まで各所に散らばっていた情報の一元化で、営業先候補企業の抽出や営業目標達成につながる商談管理や成果管理といったことが容易に行えるようになりました。しかし、2010 年ころからは再び CRM システムについての検討が社内で行われるようになったと、三菱地所株式会社 経営企画部 副長 宮野 裕介 氏は振り返ります。

「多くの業務用システムは稼動開始から 4 ~ 6 年も経過するとバージョンアップの時期が訪れます。当社の CRM システムも例外ではなく、そのための費用も IT 中期計画予算に計上していました。しかし実際に詳しい検討を始めてみると、さまざまな問題が起こっていることがわかったのです」。

旧 CRM システムでは、かねてから操作性についてユーザーから多くの不満が寄せられていました。あらゆる機能が網羅的に搭載されていましたが、「機能が多すぎて使いこなせない」という声が挙がっていたのです。導入時は先々の利用範囲の拡大を見越して、使える可能性がある機能はすべて実装したため、ユーザー説明会などは随時開催していたものの、初心者にはなかなか馴染めないといった実態がありました。

さらにもう 1 つの大きな問題は、1 ユーザーあたりのライセンス料が導入当初と比べて大幅に値上げされてしまい、追加ライセンスの購入が難しいことが明らかになったことだと宮野 氏は明かします。

「将来はグループ企業内に展開していきたいと考えていたのですが、ライセンス料が大幅に値上げされ、費用対効果を考えると、とても実現できませんでした。また旧システムは独自の言語を使っていたため、カスタマイズは必ずベンダーに依頼しなくてはならず、小さな改修でも数百万円ということも珍しくありませんでした」。

このため改修を行うにしても予算的に必要最低限のことしかできず、ユーザーとシステム担当者双方に不満が積もっていきました。当初は、旧システムのバージョンアップで乗り切ろうという考えもありましたが、現場ユーザーにアンケートを実施した結果、機能や操作性とコストの問題が肝心のビジネスの効率アップの妨げになっていると判断し、新たなパッケージによる CRM システムの再構築を決定したのです。

<導入の経緯>
シンプルで使いやすく、費用を最小限に抑えられる
Microsoft Dynamics CRM を採用

メック情報開発株式会社
システムソリューション部
副主事
島田 壮一郎 氏

CRM システム再構築プロジェクトの実務を委託されたのは、メック情報開発株式会社 (以下、メック情報開発) でした。同社は三菱地所グループ全体の情報システム部門として設立された子会社で、今回の CRM システム再構築でも一貫してプロジェクトの中心となってきました。

今回のシステム刷新にあたって最初にいくつかの基本方針を決めたと、メック情報開発株式会社 システムソリューション部 副主事 島田 壮一郎 氏は語ります。

「まず、操作を習得するのに時間がかからない ”取っつきやすさ” です。次に機能的には、目的の情報に到達できる検索機能の改善や、マーケティングに活用できる高度な分析機能の追加。業務要件の変化に柔軟に対応できる容易なカスタマイズ性。そして最後に、コストの削減です。特に三菱地所グループでは、CRM システムの利用をグループ内で促進していきたいと考えているため、維持コストや展開のための費用の削減は必須の課題でした」。

基本方針が決まると、それを基に実装する機能の絞り込みにかかりました。ここでは、システムの機能をできるだけシンプルにし、ユーザビリティを向上させることを最優先課題としました。そこでユーザーにヒアリングを行ったところ、旧 CRM システムの半数以上の機能が使われておらず、削減可能だとわかりました。一方で、構築から 6 年がたっていることを勘案し、その後新たに必要になった機能は積極的に追加する取り組みも進められました。

その後約 3 か月の要件定義を経て、同社ではいよいよ製品の選定に取り掛かりました。まず積極的に情報収集を行い、着目した製品はベンダーに問い合わせたり、実際のデモンストレーションを見たりして、最終的には Microsoft Dynamics CRM を含めた 4 製品に絞り込みました。次に、導入実績や業務適合性、操作性やカスタマイズ性など、重要なチェック項目ごとに評価を行い、結果をマトリクスの表にして比較しました。その結果、最も総合点が高かったのが Microsoft Dynamics CRM だったのです。

具体的には、まずシンプルな画面構成と優れた操作性がありました。Microsoft Dynamics CRM ならではの直感的な操作性に加え、ユーザー インターフェイスが、普段職場で慣れ親しんでいる Microsoft Office や Windows アプリケーションと共通の画面デザインと操作感を備えているため、ユーザーが次に行いたい操作が直感的にわかる点が高く評価されたのです。

「項目の追加やホームのカスタマイズがプログラミングを必要とせず、設定レベルで実現できるため、業務の変化に合わせたシステム改修の対応が比較的容易な点も評価されました。さらにデータを直接 Microsoft Excel に出力できるといった、Office とのシームレスな親和性も魅力でした」と島田 氏は言います。

最終的に、機能面では拮抗しているもう 1 つの製品との二者択一になりましたが、初期導入と運用トータルで向こう 5 年間のコストをシミュレーション比較しても、やはり Microsoft Dynamics CRM が優位と判断されました。

「三菱地所グループのようにユーザー数が多いと、コストは重要です。まして将来のグループ内での横展開を考えると、このコスト優位性は決定的な選択ポイントになりました。加えて日本マイクロソフトに何度もサンプル画面を作ってもらい、ユーザーにイメージをつかんでもらいました。最終判断にあたってはかなり慎重になったのですが、これで操作性に関する不安が払拭され、決定に至ったのです」 (島田 氏)。

正式な導入契約が交わされたのは 2011 年 7 月。基本設計を経て同年 9 月半ばには開発がスタートし、翌 2012 年 6 月第 1 週には、予定通りのカット オーバーとなりました。

<導入効果>
直感的な操作性と強力な検索機能で使いやすいと
現場のユーザーから評価の声が

Microsoft Dynamics CRM による新しい CRM システムのユーザー数は、三菱地所の営業部門や商業施設部門を始め、全国にある支店の営業チームなども含めて約 250 名。他の三菱地所グループ企業も含めると、トータルで約 750 名に上り、グループ内へのシステム展開につれて利用者の数もさらに増えています。

「システムのデータ階層は大きく取引先・商談・活動の 3 段階に分かれ、取引先には既存顧客と見込み顧客のデータが約 6 万件蓄積されています。それぞれの顧客情報には複数の商談情報が紐付けられています。商談はプロジェクトごとに作成され、物件情報や商談の進捗状況が確認できます。さらには活動に個々の打ち合わせなどの営業記録が登録され、プロジェクトの全体にわたる詳細な情報がワン ストップで得られるようになっています」 (島田 氏)。

実際のインターフェイスとしては、上記の 3 階層にそれぞれ呼応した画面が用意され、Office との共通点を多く備え、直感的な操作が可能になっています。たとえば「取引先一覧」の画面では、メインの取引先リストだけでなく、取引先以外の商談や活動、物件の一覧表示なども可能になっています。またウィンドウ上部のリボンは、数あるデフォルトの機能のうち利用するものだけが表示され、基本方針である機能の絞り込みによるシンプルな操作インターフェイスを実現しています。

さらに島田 氏は、「検索機能も非常に充実されました。取引先などのデータを検索ウィンドウに入力したキーワードで、部分一致で検索したり、Excel のようなフィルター機能を搭載して、使い慣れた Excel の感覚で簡単に情報を検索ができるのも大きな特長です。検索条件もかなり複雑に設定できるうえ、ユーザーがオリジナルの検索条件を設定し保存できるので、毎回条件を指定しなくてもすむといった効率面での改善も実現しました」と、新 CRM システムのアドバンテージを強調します。

まだ稼動開始からわずか 5 か月ですが、現場のユーザーからは早くも評価の声が寄せられていると、宮野 氏は明かします。

「最も評判が良いのは、やはり、直感的な操作性です。今回の CRM システム再構築におけるそもそもの改善テーマであり、強力な検索機能と併せて非常に使いやすいとの評価を得ています。また、たとえばこのシステムからデータを Excel に出力して進捗状況報告書を作成すると、現場のスタッフが最新情報を更新するたびに、マネージャーはその情報を Microsoft Dynamics CRM から取得できるようになっています。このため現場は、そのつど報告書を上司に送る手間がなくなり、仕事の効率がアップしたと好評です」。

ユーザー、運用者双方から評価を得ているのが、容易なカスタマイズ性です。Microsoft Dynamics CRM では、新規項目の追加を含めアプリケーションの設定レベルでのカスタマイズが可能になっており、そのつど専門のエンジニアによるプログラミングは必要ありません。この結果、従来は改修のたびにかかっていたコストが消滅し、なおかつユーザーの要望に迅速に対応できるようになったと言います。

システム構成図

システム構成図 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
モバイルを含めたリアルタイムでのデータ活用と
国内子会社への積極的展開を目指す

宮野 氏は新しい CRM システムの今後の展開について、さらなるグループ企業への展開と営業スタイルの変革を挙げます。そうしたグループ企業の中で、法人営業を手掛けている会社や部門があれば積極的にシステム展開を進め、いっそうの顧客情報の共有と営業力の強化を目指していくのがねらいです。

「さらに三菱地所としては、モバイル化による CRM システムの社外からの利用を、今後の重要テーマと考えています。営業の現場から得られた情報をタイムリーに共有し活用できることが、真のデータ活用による営業力強化には欠かせないと考え、単に社外からデータを閲覧できるだけでなく、モバイル環境からもシステムにデータをストレスなく入力できるようなしくみ作りを検討中です」。

一方、導入プロジェクトを一貫して手掛けてきた島田 氏は、今回の成功要因として、「目標設定を明確に行ったこと」、「プロトタイプ版による検証を利用ユーザーと共に実施したこと」、さらに、「容易にカスタマイズが可能であること」を挙げ、これらのコンセプトを基に、さらに使いやすく業務効率を向上させられるシステムとして今後も育てていきたいと抱負を語ります。

「システムの方向性をはっきりと定め、プロトタイプ版を活用してユーザーの理解と評価を徹底的に進めたこと。さらに、ユーザーが使う機能だけに絞り込みながら、必要に応じた柔軟なカスタマイズ性を担保したことなどが、アプリケーションの質を高めると同時に、ユーザーの活用のモチベーションを呼び起こすことにつながったのではと考えています。おかげさまで今回は、日本マイクロソフトを始め多くの方々の協力を得て無事運用に至っていますが、ここがゴールではないと考えています。今ある課題はできるだけ迅速に解決し、より使いやすいシステムを実現していけたらと願っています」。

三菱地所という中心地に据えられた真新しい顧客情報管理および活用基盤を基に、三菱地所グループはさらなるマーケットの拡がりとビジネスの成長に向けて躍進を続けていきます。

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