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導入事例

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  • コスト

三菱商事ユニメタルズ株式会社

 様に導入

※三菱商事ユニメタルズ株式会社は、2013 年 4 月、『三菱商事RtMジャパン株式会社』に社名を変更いたしました。
本事例記事は、社名変更前に作成されたものであり、旧社名 "三菱商事ユニメタルズ株式会社" を表記させていただきます。

BPM を基に Microsoft Dynamics AX を採用することで短期間での ERP システム構築に成功
標準化システムの第一歩として今後の全社展開も検討する

多くのビジネスで業務の効率化が重要な課題の 1 つとなっており、ERP (Enterprise Resource Planning) システムを効果的に導入することが求められています。システム検討に先立ち、ビジネスごとに異なる業務プロセスを把握し、迅速かつ低コストに業務効率化を実現するためには BPM (Business Process Management) の考え方を取り入れることが有益です。三菱商事ユニメタルズ株式会社は、店舗資材部門の取引システムとして Microsoft Dynamics AX を採用。6 か月の短期間でユーザーの要望を適える業務プロセスをシステムに落とし込み、業務効率の向上を実現しました。また、このシステムを標準システムとして他の部門へ展開することも考えています。

<導入の背景とねらい>
システム開発の議論を行う前に
業務プロセスの可視化を行う

三菱商事ユニメタルズ株式会社
CIO
情報システム室長
大三川 越朗 氏

三菱商事ユニメタルズ株式会社 (以下、三菱商事ユニメタルズ) は、三菱商事の金属グループの中でも幅広い各種非鉄金属製品や素形材を取り扱う非鉄総合商社です。扱う金属も、熱交材・非鉄製品、銅・錫・鉛・亜鉛、建材・店舗資材、合金鉄、レアアース・レアメタル、アルミ地金・合金と多種多様。同じ原料で異なる製造物ができるため、さまざまなビジネスに対応する必要があり、現在は 13 のビジネスユニットが組織されています。

また、ここ数年で金商株式会社や三菱商事軽金属販売株式会社などの非鉄関連企業と統合してきたため、異なる業務システムでビジネスが行われてきました。三菱商事ユニメタルズの情報システム室にとっては、異なる開発会社と技術で作られたこれらの取引システムを統合することも重要な課題となっていました。

主にコンビニエンス ストアなどの建材や店舗資材を提供する店舗資材ビジネスユニットでは、既存の独自開発の取引システムを運用してきましたが、業務の負担が大きく、効率化が求められていました。約 700 社の店舗施工業者に対して 10 名で対応している店舗資材ビジネスユニットでは、資材の発注、受注、請求、支払、管理、在庫の管理や与信管理を行っていますが、店舗の新設や改装のスケジュールに合わせて、あらかじめ受注を見越した在庫管理などをオンタイムで正しく管理する必要がありました。

「たとえば、受注管理では与信限度枠のチェックなどのさまざまなデータを参照しながら入力する必要があり、既存のシステムではスピーディに行うことができません。納品日や数量、製品や寸法ごとの変更などが関連し合って更新し変更されるため、情報の管理が非常に煩雑で、人海戦術で対応する必要があり、経験のあるベテラン社員に負担がかかっていました」と、三菱商事ユニメタルズ株式会社 CIO 情報システム室長の大三川 越朗 氏は話します。

システム再構築の要求が店舗資材ビジネスユニットの営業から出されたとき、すぐにシステム開発を行わずに業務プロセスの可視化から始めたのも、三菱商事ユニメタルズのシステムへの取り組みの特長の 1 つです。現状の業務プロセスの可視化を行い、システム オーナーと関係者が現状の課題を明確に自覚して、解決策を考えながら新たな業務プロセスの設計後にシステム開発を行うことで、ユーザーの要望を実現できるシステムを目指したのです。システムへの依存度が高い業務プロセスのオーナーはビジネス プロセス マネージメントができていることが重要であり、情報システム室としてはそのサポートを強化しています。

<導入の経緯>
標準機能の要件適合率が高く
開発しやすい Microsoft Dynamics AX を採用

株式会社アイ・ティ・フロンティア
技術本部
アプリケーションユニット
オープンソリューション部
チーム長
小野 和幸 氏

まず、2011 年 2 月から店舗資材ビジネスユニットの業務の調査を開始し、約 2 か月かけて A3 用紙 17 枚に業務フローを洗い出しました。資材の納期や在庫量によって手配方法を判断すること、顧客の予定と配送状況を参照し必要な在庫量を確保すること、そして納入先や納期管理も行う与信管理や代金回収などが煩雑、などの課題を明確にしました。それにより、属人的であった業務知識やノウハウなどを共有することが、システムの再構築において必須であると判断したのです。これらの業務フローを基に 2011 年 4 月から新業務プロセスの設計を行い、IT システムでカバーできる業務プロセスのシステム化に向けて RFP (Request For Proposal) を作成。そして、複数のシステム開発会社の提案の中から選択したのが、Microsoft Dynamics AX を採用した株式会社アイ・ティ・フロンティア (以下、アイ・ティ・フロンティア) の提案だったのです。

株式会社アイ・ティ・フロンティア 技術本部 アプリケーションユニット オープンソリューション部 チーム長の小野 和幸 氏は、三菱商事ユニメタルズの要求に応えるには、Microsoft Dynamics AX が最適な選択肢であったと説明します。「RFP をもらった段階から、要件やコスト、6 か月の短納期であるということを考えると、拡張性が高く、短期間で導入できる Microsoft Dynamics AX が最適だと考えていました。Microsoft Dynamics AX であれば、標準機能での適用性が高く、アドオン開発も容易で、コンサルティング要員も少なくてすむため、コスト面でもメリットがあります」。

大三川 氏は、「スクラッチで構築する提案もありましたが、その後のメンテナンスなどに手間がかかると感じました。安定感や将来の展開を考えると、Microsoft Dynamics AXが良いと判断しました」と話します。中でも、32 シナリオあるプロセスの 68 の業務機能のうち、62 の業務機能が標準機能で実現でき、要件適合率が 91% と非常に高かったことが、採用の決め手となりました。実際には要件定義を進めていく中で要件定義の変更や 3 つの新規シナリオの追加などにより、要件適合率は 72% に下がりましたが (標準機能 47:アドオン 18)、大三川 氏は、「それでも、非常に高い適合率だと思っています」と Microsoft Dynamics AX を高く評価しています。

また、画面のカスタマイズをプログラム レスで行え、アドオン開発も容易なため、予定通りのスケジュールとコストで開発が行えたことも、大きなメリットでした。「当初提示した納期では厳しいのではないかという懸念もありましたが、短期間での開発を実現することができました。パッケージの ERP ソフトは、受注からデリバリーまでの画面展開が決められている印象があります。しかし、Microsoft Dynamics AX では、要件定義の段階で具体的な画面を見ながら個々の機能を確認することで、業務プロセスに合わせた設計ができます。ERP 特有の堅苦しさや制限事項が少ないことで、エンド ユーザーの要望に合った設計が行えたと感じています」 (大三川 氏)。

さらに、「これまで何度もシステムの改修などを行ってきましたが、1 回ごとの打ち合わせで確実に合意ができて話が前に進み、後戻りすることなく要件定義が行われたのは初めての経験だと思います」と大三川 氏は当時を振り返ります。要件定義の段階でどのように実現するかを議論することで要望を正確に伝えることができ、スムーズな開発やテストが行われ、短期間で三菱商事ユニメタルズが望むシステムの構築が実現されました。

<導入効果>
業務効率の改善をエンド ユーザーも実感
ベテランでなくてもスムーズな取引を実現

012 年 4 月に店舗資材ビジネスユニットの新たな取引システムをカット オーバーした三菱商事ユニメタルズでは、導入から 6 か月後にユーザー アンケートを行っています。Microsoft Excel との連携や、多くの画面を開いて情報をチェックできること、情報を絞り込むフィルタリング機能などが高い評価を得ているとのことです。また、業務面では、多彩な検索機能や商品コードのスムーズな入力ができるようになったことも評価されています。そのほかにも、「実績照会を項目で絞り込んで検索や出力ができるようになり、月末在庫確認が楽になった」「お客様への納品実績表が出力操作のみで可能になり、非常に楽になった」などの多くの意見が寄せられ、マスター メンテナンスの作業も非常に効率的になったと言います。

これらは、店舗資材ビジネスユニットの業務効率向上に大きく貢献し、取引高が大きく増えている中でも、人員を 10 名以上に増やすことなく無理なく業務を回せているという効果も生まれています。また、経験の少ない派遣社員などにも、画面を見せながら業務プロセスを説明することができるようになり、マニュアルなどを整備することで、今後は業務に影響を与えずに人事異動などを行えることも効果の 1 つとなっています。

Microsoft Dynamics AX の画面が Microsoft Office などのソフトと親和性が高く、エンド ユーザーの習得が非常に早かったこともスムーズな導入に役立ちました。エンド ユーザー受け入れテストと同時に導入研修を行うことができ、エンド ユーザーが積極的に参加し業務効率の改善に繋がりました。

また、スピーディに開発できたことに加え、アイ・ティ・フロンティアが提供する統合プラットフォーム サービスを利用することにより、ハードウェア調達や運用の手間を低減できたことも、今回のシステム導入の大きなメリットとなったと大三川 氏は話します。「ハードウェア環境や運用環境の検討が後手になって、開発スケジュールを圧迫してしまうことはよくあります。アイ・ティ・フロンティアが提供する統合プラットフォームをサービスとして利用することで、ハードウェア調達の手間が省け、運用もスムーズに行ってもらえるようになります」。

Microsoft Dynamics AX で統計情報のレポートを出力できることも、導入効果の 1 つです。「スクラッチで開発すると、データの分析やレポート機能を別途作らなければなりません。Microsoft Dynamics AX では、これらの機能が提供されているので、十分な統計資料を作ることができ、今後の業務改善に役立てることができます」 (大三川 氏)。

システム概要図

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<今後の展望>
Microsoft Dynamics AX をベースにして
全社展開できる標準システム構築も検討

「情報システム部門は、社内の業務はもちろん、困っていることを解決することが一番の使命だと思っています。それには、すぐにパッケージ ソフトを導入して対応させるのではなく、なぜ問題が発生しているのかを探り、業務プロセスを把握することが必要です」と話す大三川 氏は、業務プロセスを把握して分析し、情報システム部門がビジネス部門の業務を理解して情報を共有し、変化に対応できるビジネス プロセス マネージメント力を持つことが重要であると説明します。

これらの準備段階でのプロセスがスムーズな開発の秘訣となりますが、情報システム室では、Microsoft Dynamics AX の拡張性の高さがさらに開発のスムーズさを向上させていると感じており、今後は今回の取引システムをベースに標準システムを作り、さまざまなビジネスでの取引システムとして活用しようと考えています。小野 氏は、「共通基盤の上に今回の Microsoft Dynamics AX の環境を置けば、システムを拡張することで他の部署や海外での展開がしやすくなり、トータルな運用コストの低減や業務効率化をできるようになります」と話します。

「取引システムは、できるだけ統一化していきたいと以前から考えていました。今回、Microsoft Dynamics AX を使ったシステムがうまくいったので、ほかのビジネスユニットのシステムの再構築にも活用できると考えています。IT への依存度が高い部局から理解してもらい、今回の進め方をベースに BPM を順次適用していきたいと情報システム室では考えています。」と話す大三川 氏は、既に自動車部品取引での業務プロセスの可視化を一昨年に行いました。今年はそのレビューを行い、環境変化に伴い変更されたビジネス プロセス フロー図のアップデートを行うと共に改善すべきプロセスの中で IT でカバーできる部分を追加としてシステム化したことも明かしてくれました。

三菱商事ユニメタルズでは、今後も各ビジネスユニットの業務プロセスの改善を行い、IT システムを適所で活用することによって、BPM 支援を推進し、ビジネスを加速していくことでしょう。

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