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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 効率化
  • 最適化
  • コスト

マンパワーグループ株式会社

 様に導入

Microsoft SQL Server 2012 AlwaysOn によるバックアップ サーバーを、Windows Azure によるクラウド上に配置
データベース刷新とディザスタ リカバリ対策を一挙に実現

写真:マンパワーグループ株式会社

マンパワーグループ株式会社

世界 80 か国に展開するグローバル カンパニーの一員であり、わが国における人材派遣ビジネスのパイオニアとして確固たる地位を築いてきたマンパワーグループ株式会社。同社では、業務の中核となる人材派遣業務システム「POWER Base」のプラットフォーム刷新に伴い、データベースを SQL Server 2012 にアップグレード。同時に SQL Server 2012 AlwaysOn のサーバー冗長化構成による災害対策を実現し、業務の中核となるシステムの安定稼働と、将来に向けた新たなシステム構想の礎を築きつつあります。

<導入の背景とねらい>
ディザスタ リカバリ対策を機に
基幹業務システムの全面刷新を決意

マンパワーグループ株式会社
執行役員
情報システム部
部長
佐藤 康夫 氏

マンパワーグループ株式会社
執行役員
IT 戦略推進部
部長
栗原 直樹 氏

刻々と変化する経済や市場の動向に合わせて必要な人材を確保、配置することは、ビジネスを成功に導くうえで最も重要なポイントの 1 つです。そうした社会の要請に応えて人材の流動性を高め、「適材適所」のヒューマン リソースを供給しているのが人材派遣会社であり、それだけに人材情報を扱う業務システムの安定性、可用性の確保は重要な課題です。とりわけ東日本大震災以降、ディザスタ リカバリ対策の重要性が叫ばれる中、マンパワーグループ株式会社 (以下、マンパワーグループ) では 2013 年、自社プラットフォームの全面刷新に合わせて SQL Server 2012 AlwaysOn を導入し、遠隔地でのサーバー冗長化構成による災害対策を実現しました。

今回のディザスタ リカバリ対策のねらいについて、マンパワーグループ株式会社 執行役員 情報システム部 部長 佐藤 康夫 氏は、「これは単に災害時のシステム稼働のみを目指した対策ではありません。当社では現在、すべての人材情報を扱う基幹システムの全面的リニューアルを進めており、そうしたミッション クリティカルなシステム全体の信頼性や可用性、そして将来的なシステム発展に向けた基盤整備の取り組みの一環なのです」と語ります。

この取り組みの対象となる基幹システムは「POWER Base」と呼ばれ、SQL Server や Windows Server を中心に OS から開発環境まですべてマイクロソフト製品で構成されています。マンパワーグループ世界共通の高度検索システムをベースとして 1999 年に立ち上げられて以来、何度も細かな改修を施しながら同社の最重要基幹システムとして稼働してきましたが、稼働開始から 10年以上を経て、インフラの全面刷新が急務となっていました。そうした中、プロジェクトに着手する大きなきっかけとなったのは、2013 年 4 月にシステムの中核となるソフトウェアがサポート終了を迎えることでした。

旧システムは Windows Server 2003 および Microsoft SQL Server 2000 によって構成され、またアプリケーションの開発環境には Microsoft Visual Basic 5.0 が 用いられていました。これを今回一挙に、Windows Server 2012 と SQL Server 2012、Visual Basic.NET、そして Windows Azure によるクラウドのディザスタ リカバリ対策サイトを加えた最新構成へ移行したのです (POWER Base システム構成図参照) 。この思い切ったリニューアルのねらいを、マンパワーグループ株式会社 執行役員 IT 戦略推進部 部長 栗原 直樹 氏は、「グローバルの経営方針で IT 投資に制約が課せられていたこともあって、これまで無数の改修を重ねてきましたが、人材サービス企業にとってデータベースはまさに生命線です。情報アクセスのスピードやセキュリティをこれまで以上に向上させるためにも、早急にプラットフォームを刷新しようと決定したのです」。

<導入の経緯>
災害対策だけにとどまらない
AlwaysOn の安定稼働効果に着目

マンパワーグループ株式会社
情報システム部
システム企画課
主任
井上 高明 氏

株式会社システムコンサルタント
オープンシステム統括部
米澤 弘樹 氏

POWER Base の刷新プロジェクト開始は、2012 年。2013 年 4 月の SQL Server 2000 を皮切りに、Windows XP や Windows Server 2003 が相ついでサポート終了を迎えるため、刷新プランの作成は急ピッチで進められました。

「まず、プラットフォームの刷新を最初の達成目標とすること。数百万件の情報資産の継承や移行を確実に行うこと。システム移行リスクの精査と対策を万全に行うこと。加えて、過渡期対策として新旧の環境を並行して稼働できることなどの基本方針を、プランニングの段階で確認しました」 (佐藤氏) 。この方針を受けて、株式会社システムコンサルタント (以下、システムコンサルタント) から最初の提案が行われたのは、2012 年夏のことです。ここでは「安定と安心」をテーマの 1 つに、「長期利用可能なシステム インフラの構築」、「システム保守の効率化」のキーワードが挙げられ、あわせて SQL Server 2012 AlwaysOn による「遠隔地でのサーバー冗長化構成による災害対策の実現」も提案されました。

今回、これらの提案の検討にあたって採用されたのが、システム コンサルタントによる「SQL Server DR (Disaster Recovery) 環境構築アセスメント サービス」でした。これはデータベースを SQL Server 2012 に移行した場合どのような問題があるかを検証し、実効性の高いデータベースの冗長化に向けて最適化を行うサービスです。データベース移行の実際を手掛けたマンパワーグループ株式会社 情報システム部 システム企画課 主任 井上 高明 氏は、「非常に規模が大きく、長い年月の間に何度も改修を加えてきたデータベースなので、とてもすんなり移行できるとは思っていませんでした。しかし実際にアセスメントを行ってみた結果、 "これならうまくいきそう" と報告を受けて、プロジェクトに前向きな気持ちを抱くことができました」と振り返ります。

当初、社内では、マンパワーグループのシンガポールやアメリカ拠点で既に稼働しているディザスタ リカバリ環境を利用する案も出ていました。しかし、海外のものをそのまま使って、災害時に迅速かつ確実に復旧できるのかという懸念がありました。現実的な災害復旧ソリューションを構築するためにも、同社では、あえて日本国内で新しく立ち上げる必要があると考えたのです。

SQL Server 2012 AlwaysOn を選択した理由としては、既存の SQL Server 2000 から確実に移行できるのはもちろん、コスト パフォーマンスの面も大きかったと井上 氏は評価します。

「検討段階では他社のディザスタ リカバリ製品も検討しましたが、どれも非常にコストがかかるものでした。その点 SQL Server 2012 AlwaysOn は標準機能としてデータベース本体のライセンスに含まれており、コスト問題の有効な解となったのです」。

企画提案を行った株式会社システムコンサルタント オープンシステム統括部 米澤 弘樹 氏は、「データベースを刷新するならば、やはり SQL Server 2012 AlwaysOn を併せてご提案したいと考えました。また、これはディザスタ リカバリ対策だけでなく、マンパワーグループ様の業務の中核を担うシステムにふさわしい可用性を担保するうえで、非常に有効だとの思いがありました」と提案の意図を語ります。

また今回の POWER Base の刷新プロジェクトは、大きく 3 段階 (POWER Base 刷新プロジェクト スケジュール表参照) に分かれていますが、とりわけ注目したいのは、ディザスタ リカバリ対策サイトの構築のスピードです。一般に災害対策用サイトを立ち上げる場合、適した遠隔地での場所の確保やハードウェア調達、およびネットワーク周りの準備など煩雑な作業が避けられず、最短でも 6 か月以上の工期を見込まなくてはなりません。

POWER Base 刷新プロジェクト スケジュール[拡大図]新しいウィンドウ


「しかし今回は Windows Azure を採用したため、ディザスタ リカバリ サイト構築に着手後わずか 1 か月程度で、十分なスペックと可用性を備えたディザスタ リカバリ対策サイトを立ち上げることができました。このスピード感は、やはりクラウドならではです」 (米澤 氏) 。

<導入効果>
スピードアップ、可用性の向上、
そして運用負荷の軽減など多彩なメリットが

(1) データベース刷新で処理スピードが一挙に 2 倍にアップ

2013 年 8 月には、プロジェクトの最初の目標であるデータベースの刷新が完了しました。佐藤 氏は「この時点で既に、検索のパフォーマンスが明らかに向上し、旧システムの倍以上のスピードが出ているのが確認できました」と成果を明かします。POWER Base には現在、登録者だけで 40 数万件、その他契約情報、取引先情報など大量のデータがあり、全社員の約 8 割にあたるおよそ 1,000 ユーザーが日常的にアクセスしています。同社の業務では照会の小さなタスクが無数に走るため、処理スピードの向上はそのままビジネスの効率アップにつながるメリットとなります。

(2) クラウドへの DB バックアップ体制がより堅固な災害時対応を約束

もう 1 つ今回のデータベース移行とディザスタ リカバリ対応で注目したいポイントは、Windows Azure によるクラウド上にバックアップ環境を配置した点です。これまでマンパワーグループでは、本番用とバックアップ用のデータベース サーバー 2 台を、共に首都圏に設置していました。これを日本マイクロソフトのデータセンター内の Windows Azure 環境上に立ち上げた仮想マシンにもバックアップを行うことで、遠隔地でのサーバー冗長化構成による災害対策はもちろん、最重要基幹システムの安定性と可用性を飛躍的に向上させているのです (POWER Base システム構成図参照)。

井上 氏は Windows Azure を選択した理由を、「最初は自社でデータセンターを借りることも考えましたが、コストもかかるし運用の人手も足りません。また自前で開発したシステムだと、安定するまでに時間もかかります。SQL Server 2012 AlwaysOn と Windows Azure の組み合わせは、それらの課題をクリアするのに最適です」と語ります。

(3) 可用性グループ リスナーがユーザーのための自動化を促進

Windows Azure と SQL Server 2012 AlwaysOn の組み合わせには、データベース利用の自動化をさらに進める効果もあります。2013 年 6 月から Windows Azure は SQL Server 2012 AlwaysOn の可用性グループ リスナー機能をサポートしています。これまでは、もし災害が発生してオンプレミス側のデータベースに障害が起きた場合、Windows Azure 上のスタンバイ環境に切り替えるために、ユーザー (クライアント) はデータベースの接続先を手動で変更する必要がありました。しかし現在では自動的に切り替わるため、ユーザーはいかなる時も業務を中断させられることなくデータベースを利用できるようになっています。なお、スタンバイ環境は非同期設定になっているため、データベースそのものをフェイル オーバーする際には、運用者は手動で切り替え作業を行う必要があります。

(4) Windows Azure =クラウドならではの身軽さが省コストにつながる

Windows Azure =クラウドを採用した最大のメリットは、何と言っても省コストです。とりわけイニシャル コストの劇的な低減は、今回の採用の大きな決め手になったと井上 氏は語ります。

「クラウドは物理環境が不要なので、サーバーの購入費などが不要なのはわかっていました。しかし実際に導入してみたところ、想定していた 10 分の 1 のコストで期待どおりのディザスタ リカバリ対策用サイトが実現したのです。この構成が完成した時には本当にこの期間とコストでできたことに、久々に興奮しました」。

マンパワーグループではより高いレベルのディザスタ リカバリを目指すべく、日本国内でのサイト立ち上げを進めてきました。それが Windows Azure を始め、マイクロソフト製品を採用することで予想をはるかに下回る予算で実現できた点を、井上 氏は評価しています。

(5) 高いパフォーマンスと安定稼働が運用担当者の負担を軽減

データベースを最新の SQL Server 2012 に移行した結果、運用の面でも非常に楽になっていると井上 氏は語ります。

「以前は頻発していたテーブル ロックがまったく発生しなくなり、システムの利用が止まることがなくなりました。また導入当初に一度だけリブートしたことがありますが、即座に SQL Server 2012 AlwaysOn がフェイル オーバーしたので、ユーザーからの苦情や問い合わせも皆無でした」。

「細かく面倒をみなくてよい。勝手に動いていてトラブルもまったくない」と、井上 氏は現状に大きな満足を示しています。

株式会社システムコンサルタント
オープンシステム統括部
西畑 伸一 氏

また Windows Azure =クラウドは物理的な環境を自社内におく必要がなく、従来の物理層に該当する部分の運用はすべて日本マイクロソフトが担当します。このため社内の運用担当者の作業負荷が大幅に減ったのも大きなメリットです。

今回の移行プロジェクトを技術面から全面的にサポートしてきた、株式会社システムコンサルタント オープンシステム統括部 西畑 伸一 氏は、「とにかくトラブルがないのが、何より嬉しいことです。Windows Azure 上にスタンバイをおくと決まった時も、クラウドとあってネットワークの遅延が不安だったのですが、ここでも今まで問題は一切発生していません」と安堵の気持ちを明かします。

さらに井上 氏は、「Windows Azure 上にスタンバイがあるので、将来的にはデータベースのバックアップも Windows Azure 上に 移行すれば、さらに安全な環境が実現できると考えています」と今後のアイデアを語ります。

POWER Base システム構成図[拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
財務や BI 系までも含めた
社内システムのリニューアルを目指す

データベース刷新、そして Windows Azure と SQL Server 2012 AlwaysOn によるディザスタ リカバリ対応と順調に移行を進め、さらに次のステップへ向けて開発を進める POWER Base ですが、佐藤 氏は今回の成果を、将来に向けたマンパワーグループ全体の新しいシステム展開への第一歩と考えていると語ります。

「フロント システムである POWER Base 以外にも、社内にはまだまだ重要なシステムが数多くあります。次々に新しいビジネスが出てくる中で、今後は、財務系のバック オフィス系システムや、データ資産を活用するための BI 系システムまでも含めた要件の見直しや新規計画を進めていきたいと考えています」。

こうした構想を実現していくうえで、財務、経理の現場には付きものの Microsoft Excel を始めとした Microsoft Office とのシームレスな親和性を備え、Analysis Services などの分析系ツールを標準搭載した Microsoft SQL Server 2012 は、まさに適任のデータベースといえます。米澤 氏は、「社員の皆様が毎日お使いになるシステムなので、ユーザーの使いやすさを最優先に、常に新しい課題に向けてシステム作りのお手伝いをしていきたいと願っています」と抱負を語ります。

一方で栗原 氏は、今回の SQL Server 2012 移行を機に、人材登録への応募者を格段に増やす取り組みに着手したいと意欲を示します。

「社内ユーザー対象の POWER Base の一方で、当社への登録者の皆様が利用される JOBnet というウェブサイトがありますが、ここへの登録者数を増やすことは人材を求める企業とのマッチング精度のアップにつながり、ひいては当社の業績の伸びにも直結します。この点で、高いレスポンスや処理スピードを実現できる SQL Server 2012 は、強力なエンジンとなると確信しています」。

これまでの人材派遣にとどまらず、受託サービスや人材紹介、採用代行など多彩な人材サービス分野を開拓しつつあるマンパワーグループ。その未来に向けたチャレンジを、SQL Server 2012 や Windows Azure によるクラウド環境など最新のテクノロジーが強力にサポートしています。

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