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熊本県教育委員会

 様に導入

熊本県全域の公立学校で活用できるテレビ会議システムとして Lync Server を採用
移動時間や教職員、児童生徒の負荷を軽減し、効果的な学習機会を増やし、学校間や地域との連携を強化

写真:熊本県教育委員会

熊本県教育委員会

少子化による児童生徒数が減少する中、授業や児童生徒たちの活動を活発にするために、複数の学校での交流学習や地域と連携した取り組みなどが各自治体で行われていますが、学校間の移動に時間がかかるなどの課題も残されています。熊本県教育委員会では、県全域の小学校 281 校 (分校含む) 、中学校 127 校、県立高校 55 校、特別支援学校 17 校の計 480 校でテレビ会議が行える環境を整備するために Microsoft Lync Server 2010 を導入。交流学習などの授業や学校関連携で役立てるほか、県全域での教職員の研修や会議、学校と地域、学校と家庭などにも活用を広げ、さまざまな取り組みを行っています。

<導入の背景とねらい>
さまざまな活用ができる
テレビ会議システムの導入を検討

熊本県教育庁
首席審議員
兼 教育政策課長
能登 哲也 氏

熊本県教育委員会では、「21 世紀にふさわしい学び・学校を創造する」ことを目指し、「未来の学校」創造プロジェクトを推進。「情報教育の推進」「授業での ICT 活用」「校務の情報化」の 3 つを中心に、県立学校への ICT 環境の充実、市町村などへの情報提供と啓発を行い、ICT 環境の整備および促進を行ってきました。Windows 8.1 タブレットや電子黒板、デジタル教科書などを積極的に授業に活用し、教育の情報化によって指導力や学力の向上などの効果も得られていると言います。

2014 年度 (平成 26 年度) は、学習者用デジタル教科書を使った授業を積極的に公開し、家庭学習や自主学習を支援するために e ラーニングを活用。地域教材や映像教材などの社会化副読本をデジタル化し、教育センターや教育事務所の協力による教員研修の充実を目指しています。

「熊本では、県をあげて情報化に取り組み、3 本柱で情報活用能力の向上を目指してきました。中でも、授業をわかりやすくするために ICT を活用することに最も注力しています」と熊本県教育庁 首席審議員 兼 教育政策課長の能登 哲也 氏は話します。

熊本県では、以前からテレビ会議システムを利用し、本校と分校をつないだ授業や校務に活用してきましたが、2014 年 1 月のサーバー入れ替えを機に、新たなテレビ会議システムに入れ替えることを検討し始めました。「山間部や離島などで小規模な学校が増えてきていますが、これらの学校での勉強やさまざまな活動をどうやって活発化させることを考えていく必要があります。2 つの学校間をつなぐだけでなく、全県の学校で利用できる環境を整え、学校間の交流授業、全県での会議や研修など、さまざまな目的で利用できるシステムを導入したいと考えました」 (能登 氏) 。

<導入の経緯>
教職員が簡単に操作して接続でき
高機能な Lync Server を採用

熊本県教育庁
教育政策課
指導主事
山本 朋弘 氏

さまざまなシステムを検討した熊本県教育委員会では、高機能で操作が簡単な Lync Server を採用しています。その理由について熊本県教育庁 教育政策課 指導主事 山本 朋弘 氏は、次のように話します。「さまざまな活用シーンで使うことを想定して導入するので、接続手順が容易で、教職員がわかりやすいインターフェイスであることが重要でした。たとえば、全県の教職員で会議や研修を行う場合、初めて使う人でも簡単に操作できなければ、スムーズな活動を行うことができないと考えました」。

また、英語や音楽などの授業で活用するためには、クリアな音声でコミュニケーションできる必要があります。そのため、熊本県教育委員会では、スピーカーやマイクにもこだわり、Lync Server に適したマイク スピーカー システムとしてヤマハ製の「YVC-1000」を採用。自動的に最適な音量でノイズの少ない高音質なコミュニケーションができ、多人数でも話している人を自動検出することによって、発言者の声をクリアに伝えることができると言います。「テレビ会議での音質は、回線状況よりもマイクやスピーカーの性能に左右されると考えました。さまざまなものを検証していく中で、YVC-1000 が最もコミュニケーションしやすいと判断して採用しています」 (山本 氏) 。

Lyncに最適化されたマイクスピーカ システム「ヤマハ YVC-1000」を採用することで、高音質な音声でやり取りができる。

<導入効果>
学校間の交流や地域との交流
全県立学校での教員研修で活用

熊本県高森町立高森東小学校
教諭
佐藤 和也 氏

熊本県高森町立高森中央小学校
講師
野口 貴至 氏

2014 年 1 月に Lync Server を導入した熊本県教育委員会では、各校にマニュアルを渡してそれぞれがインストールを行い、教職員に特別な操作教育などを行わなくても、スムーズに活用できているとのこと。導入後は、県立学校での活用を進め、市町村での活用を啓発し、多くの学校でさまざまな使い方で教育に役立てようとしています。

まず、松橋西特別支援学校では、本校と分教室をつないで毎週 3 回の職員朝会で両校での職員の情報共有に役立てています。実際に使っている教職員からは、映像や音声もクリアで、画像と共にデータを見ることができることで、研修の内容がよくわかるという評価が上がっています。「特別支援学校では、児童生徒の増加に学校の施設整備が追いついていないため、分教室という形で小規模な施設を作って対応しています。職員だけでなく、本校と分教室をつないだ授業をやっていくことも今後考えていきたい」と話す能登 氏。特別支援学校からは、通院学級と地域の病院を Lync Server でつなぐことができないかという問い合わせが来ており、さらなる活用方法を模索していると言います。

菊池市七城小学校と水俣市立袋小学校では、環境教育の授業で Lync を利用し、他校の取り組みを知ることで、自分達の環境に対する取り組みやその成果、課題を見つめ直すことが行われ、交流を継続的に行っています。

人吉市立人吉東小学校と人吉市立東間小学校では、総合的な学習の時間で地域を紹介しあうために Lync を活用し、お互いの反応を見ながら作成した新聞や動画を紹介し、他校の感想を元に修正作業を行うことで、よりよく相手に伝えるためにはどうすればよいかを考えることができました。また、この 2 校は、同じ中学校に通うことになるため、親交を深めて、仲間意識を高めるためにも Lync が役立ったといいます。

最も活用が進んでいる高森町立高森中央小学校と高森町立高森東小学校では、子ども議会に向けた事前打ち合わせ、2 校共同で行う集団宿泊や修学旅行に向けた共同学習、交流授業などで Lync を活用しています。「両校間は 22Km 離れているため、どちらかの学校がバスで移動して事前打ち合わせや交流授業を行っていました。2 校の児童が直接会って話すことは非常に重要ですが、移動時間を考えれば、何度も打ち合わせや交流授業を行うのは現実的ではありません。Lync が入ってからは、それぞれの学校にいたままやり取りができるので、非常に便利になったと思います」と熊本県高森町立高森中央小学校 講師の野口 貴至 氏は話します。

高森中央小学校と高森東小学校では、たとえば英語の授業で Lync を活用し、大きな効果を得られていると熊本県高森町立高森東小学校 教諭の佐藤 和也 氏は説明します。「ALT (外国語指導助手) の先生がいる英語の授業では、生の英語を学べるというメリットがありますが、毎回の授業に来ていただくことはできません。どちらかの学校に来ていただけるときに両校で時間帯を合わせて Lync を使えば、どちらの学校でも授業を受けられることになります。また、たとえば、高森中央小学校の 6 年生は 20 人いますが、高森東小学校の 6 年生は 5 人しかいません。少人数の中で話すだけでは、子どもたちの考え方が狭まる可能性があるため、従来から積極的に交流学習を行ってきましたが、Lync を活用することで移動時間がなくなり、交流の回数を増やすことができます。中には、テレビ会議でのコミュニケーションは、実際に対面してコミュニケーションするよりも、しっかりと伝える必要があると感じている子どももいます。しかし、交流学習を行う中で、5 人の同級生以外の人に自分の意見を伝えられたことがうれしいという感想も出ているので、コミュニケーション能力を向上させるよい経験になっていると感じます」。

高森中央小学校と高森東小学校では、ALT(外国語指導助手)を招きネイティブな英語を聞くことができる貴重な授業でLyncを活用し、離れた 2 校で同時に授業を行っている。


学校間の連携だけでなく、地域や家庭との連携にも Lync は活用されています。黒石原支援学校では、児童生徒の自宅と学校を接続し、送迎通学が困難な児童生徒が自宅でも学習に参加できるようにし、学校のようすや友だちの呼びかけを行うことで、体調回復を見て授業に参加できるようになることを目指しています。熊本県立教育センターと学校の間では、共同研究で Lync を活用し、指導主事が実際の検証授業を教育センターにいながら参観でき、検討会で児童生徒のワークシートや板書を見ながら、成果や課題、改善点を具体的に検討することができました。

県立の高校と特別支援学校の計 72 校を接続して、教員研修や校長会も実施されています。「全県立学校の教職員が集まるとなれば、車で 3 時間かけて移動しなければならない学校も出てきます。移動などのコストや教職員の負担を軽減することができ、緊急対応しなければならない場合にもすぐに会議を開けることは大きなメリットだと思います。使いやすいインターフェイスで、当初想定したよりもスムーズに研修を行えたので、全県レベルで使えるという手応えを感じています。このような試みを続ければ、さまざまな使い方ができると考えているので、校務での活用にも挑戦していきたいと思っています」と能登 氏は話しています。

テレビ会議の機能以外にも、情報モラルやスマートフォンの安全性などの学校の情報安全の取り組みを Microsoft PowerPoint のスライドにして全県立学校の研修で紹介するなど、資料を見るためにも Lync は活用されています。また、スマートフォンのルールに対する各学校の取り組みを調査するなどの目的で、アンケート機能も活用されているようです。

人数の少ない学級でも他校の児童との交流授業でコミュニケーションすることで、さまざまな気づきを得られる。

<今後の展望>
来春からの高校での遠隔授業も検討し
地域と教育をつなぐさまざまな活用を行う

「今後は、県立高校の授業でも Lync を活用し、遠隔授業などを行うことも考えています」と話す能登 氏。文部科学省では、遠隔授業の制度化を盛り込んだ報告書案を大筋で了承しており、2015 年春にも高校での遠隔授業が本格的に始まることが予想されているため、熊本県の県立高校でも Lync の活用が進むことが考えられます。

今後のクラウドの活用については、「クラウド環境の利点も活かしつつ、個人情報や機密情報をどうするかを検討して、使い分けていきたいと考えています」と山本 氏は説明しています。熊本県教育委員会では、市町村立学校の教職員のメール アドレスで Microsoft Office 365 を利用していますが、県立高校でも Office 365 を活用することによって、全県でメール アドレスを一元化し、教職員どうしのコミュニケーションを活発化させることも考えています。また、Lync Online などのクラウド サービスを教育ライセンスで活用することで、インフラの導入および維持コストを削減し、さらなる ICT 活用に予算を回すことも有効な手段として考えられるでしょう。

「学校の規模が小さくなっていく中で、ICT を使って地域との関係を深めることも考えていく必要があります。消防署や役場とつないだ地域を考える授業などでも Lync を活用することで、学校の活動を地域ぐるみで行っていきたいと考えています。ICT は今後ますます進化していきますが、スマートフォンへの依存や子どもたちの影響、SNS を介した事件などがあり、導入を必ずしも好意的に見てくれる人ばかりではありません。さまざまな人の協力を得ながら、ICT のよさや効果を訴え、情報教育を進めて、困難を乗り越えていける子どもたちを育てる教育を進めていきたいと考えています」 (能登 氏) 。

熊本県教育委員会では、今後も「未来の学校」創造プロジェクトを推進して、21 世紀にふさわしい学びや学校を創造し、児童生徒の情報活用能力の育成、ICT を効果的に活用したわかりやすい授業の実現、ICT 活用による教職員の情報共有と負担感軽減を実現し、県立学校や市町村が学びやすい環境を作れるように支援していきます。

熊本県立学校 70 校と県教育委員会、教育センターなどをつないだ遠隔会議が、2014 年 12 月に 2 回開催された。Lync は、災害時や緊急時にも活用できると期待されている。

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