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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • コミュニケーション
  • コスト

京都大学

 様に導入

学内で運用していた学生用メール システムを Microsoft Live@edu にリプレイスし、
約 23,000 名の在校生が利用する 24 時間 365 日ノン ストップのクラウド メール サービスを開始。
Microsoft Exchange Server の機能を在籍時から使うことで、
卒業後に役立つ IT スキルを身につけられ、学生への教育効果も絶大

京都大学

京都大学

1897 年に日本で 2 番目の帝国大学として創設された京都大学では、これまで、学生用メール システムを学内で開発、運用してきました。しかし、24 時間 365 日での運用を求めるニーズが高まる中で、学内での運用ではメンテナンスのためのシステム停止が避けられないことなどから、外部のクラウド メール サービスを利用することになりました。複数のサービスを比較検討した結果、契約の準拠法と管轄裁判所が日本国内であることが決め手となり、Microsoft Live@edu の導入を決定しました。2011 年 12 月から稼働を開始したクラウドによる新メール システムは約 23,000 名もの在校生が利用し、多くの企業で使われている Microsoft Exchange Server の機能を利用できることから、卒業後に必要となるビジネス コミュニケーションのトレーニング面で大きな効果を発揮するものと期待されています。

<導入の背景とねらい>
多様な学生のニーズに応えるため、
メール システムの 24 時間 365 日稼働実現が大きな課題に

京都大学は、1897 年に創設された日本で 2 番目の帝国大学である京都帝国大学を起源とする国立大学法人です。創立以来、同大学は自由の学風のもと闊達な対話を重視し、京都の地において自主自律の精神を養い、高等教育と先端的学術研究に取り組んできました。そして、現在、17 の大学院研究科、10 の学部、10 の附置研究所、20 の教育研究施設、6 つの機構などで構成され、9,000 名強の大学院生、14,000 名弱の学部学生、特定有期雇用を含む 6,600 名余りの教職員が研究や教育活動を行っています。

京都大学 学術情報メディアセンター 教授 工学博士 喜多 一 氏が語ります。
「最近の大学教育は社会人の大学院入学など生涯学習化が進んでいて、教育プログラムが複雑になっているのが大きな特徴です。また京都大学のような研究指向の大学では、文部科学省の指針もあり、国際化を進めています。京都大学は、海外から来る研究者が多いのですが、最近では授業をすべて英語で行い、学生が日本語で学ぶことを前提にしない、『K.U.プロファイル』と呼ぶ取り組みも始まっています。このような形で、多様な学生が存在する中で、きちんと研究し、教育を受けることができる体制を保障していくことが求められています」。

京都大学
学術情報メディアセンター
教授 工学博士
喜多 一 氏

京都大学には研究、教育活動をサポートするための全学支援機構がありますが、その中で、情報基盤の計画や整備、運用、情報基盤に基づくサービス提供など IT 分野を担っているのが情報環境機構です。同機構は研究、開発、教育支援サービス等にかかわる業務を担う学術情報メディアセンターと管理や情報セキュリティ対策、電子事務局推進等にかかわる業務を担う情報部、業務の専門的事項を担う IT 企画室から構成されています。学術情報メディアセンターは情報基盤と情報メディアの高度利用に関する研究開発を行い、その成果を京都大学における教育研究環境等の高度化に活用すると共に、他の大学や研究機関の研究者等に共同利用の形で提供しています。
「従来、大学における IT は理工系に代表されるように、自分たちでシステムを開発して、教員がボランティア的に運用するなど、各部局が必要に迫られる形で開発と運用を行ってきました。しかし、研究や教育活動を推進する上で、IT がインフラとしてきわめて重要な役割を果たすようになり、24 時間 365 日稼働など、高い信頼性を持ったシステムの開発と運用が求められるようになってきました。我々は実験的に高度で先端的な研究に取り組んでいますが、インターネットの構造はどんどん厚みを増していく一方です。メール システムのような下部のレイヤーは、組織の活動に不可欠なインフラとして、確実に提供しなければならないところまできています。そうしたことを意識して、京都大学は従来から、学生の教育用設備としてのメール システムに多くの投資を行ってきました」 (喜多 氏)。

京都大学で 2007 年まで使われていたメール システムはフロント エンドが商用パッケージ、サーバーはオープン ソースで、学術情報メディアセンターの技術者が必要なモジュールを追加して運用してきました。その後、運用のための人的リソースを割くことが難しくなり、2007 年 4 月からはオールインワンの商用パッケージ「DEEPMail」を導入、学内で運用しています。一方、メール システムの一番のユーザーである学生は携帯電話の 24 時間 365 日運用のメール サービスに慣れ親しんでいます。加えて、多くの学生がメールを就職活動に使っていることから、それを支えるためにも 24 時間 365 日停止することなく使うことができるメール サービスを提供することが大きな課題になっていました。

<導入の経緯>
契約の準拠法と管轄裁判所が国内であることが決め手となり、Microsoft Live@edu を選定

京都大学では、こうした中で課題を解決するために、DEEPMail に替わる新しいメール システムの導入について検討を重ねた結果、学内運用ではなく、外部のクラウド サービスを利用することになりました。国立大学が独立行政法人になり、国の財政事情が厳しくなるにつれ、大学運営にかかわる固定費の削減が一貫した課題になってきています。京都大学では、クラウド サービスに象徴される IT の技術革新がコスト削減に有効であると判断されました。
京都大学 学術情報メディアセンター 准教授 上田 浩 氏が語ります。

「本学のメール システムは大規模なため、学内運用では高いパフォーマンスと信頼性が必要になり、運用コストが高くなってしまいます。それに対して、クラウド サービスであれば、コストを減らすことが可能です。また、ユーザーが要求する 24 時間 365 日稼働を実現するには、オンプレミスでもクラウドであっても結局はメンテナンスを外部に委託しなければなりません。それを考えると、クラウドを利用した外部のメール サービスを導入し、メンテナンスもそこに任せるほうが効率的です。加えて、学内運用では、迷惑メール対策やウイルス対策などを自分たちで行わなければなりません。それを担当する技術者の数は限られているため、メール システムは外部のクラウド サービスを利用することで業務負荷を減らし、そのリソースをレイヤーの高い先端的なサービスに割り当てていきたいのです」。

検討の初期段階で学内運用とクラウドそれぞれのリスク分析が行われましたが、学生用メール システムでは、私信という面での管理は必要なものの、組織の情報が漏洩するリスクは高くないこと、学内でシステムを抱えた場合、ノン ストップでの運用が非常に難しく、止めないシステムにするにはコストがかかることや、地震やゲリラ豪雨などの自然災害リスクも考慮に入れた結果、最終的にクラウド サービスを利用することになりました。

京都大学
学術情報メディアセンター
准教授 上田 浩 氏

続く利用サービスの選定フェーズでは、PC だけでなく、スマートフォンなど多様な端末からアクセスできること、メール ボックスの容量ができる限り大きいことを必要要件として検討した結果、Microsoft Live@edu を選定することとなりました。

「複数のクラウド サービスを比較検討しましたが、機能面ではそれほど大きな差はありませんでした。Microsoft Live@edu を選んだ最大の理由は、契約の準拠法が日本国内、管轄裁判所も国内であることでした。管轄裁判所が日本国内であれば、万が一にも法務上の問題が発生した際、日本国内で対応が可能です。他社のクラウド サービスは契約の準拠法がカリフォルニア州法だったのです。杞憂に近いかもしれませんが、米国の法律ですと、同時多発テロ事件以降、米国で施行されている愛国者法などが適用される可能性も考えられるため、見送ることとしました」 (上田 氏) 。

また、Microsoft Live@edu は、京都大学が提供するサービスとして利用可能であるという利用規約に基づいてサービスが行われるため、学内への説明責任を果たすという観点からも評価を得ていました。さらに京都大学では、学生が持つ多様な端末でメールの送受信が確実にできることを重視されていたので、マイクロソフトから、他社のサービスには存在しない運用サポートに関する提案を受けたことも選定の重要なポイントでした。
「ユーザビリティや管理機能、契約の準拠先、契約先、運用管理サービスなどを含めて比較した時にノーとなる部分がなく、私たちの要件をすべて満たしていたのが Microsoft Live@edu でした」 (喜多 氏) 。

<システムの概要>
約 23,000 名の在校生にメール サービスを提供。
プレミア サポート契約で、障害の切り分けまでフル サポート

京都大学情報環境機構では、従来システムごとに分かれていたアカウントを緩やかに統合するため、統合認証システムを構築しています。今回の Microsoft Live@edu 導入にあたっては、統合認証システムのデータからメール アドレスを生成するワークフローとシステムを構築しました。
京都大学の学生用アカウントは ECS-ID と呼ばれています。ECS-ID と新しい学生用メール システムのメール アドレスには明示的な関連がありません。そこで、京都大学では ECS-ID とメール アドレスの対応をユーザーに表示するウェブ アプリケーションを開発しました。加えて、統合認証システムと Microsoft Live@edu の認証情報を Windows PowerShell で同期するためのシステムも開発しました。
こうして、2011 年 12 月、新しい学生用メール サービス Microsoft Live@edu with Outlook Live が稼働を開始しました。2012 年 5 月には並行運用している DEEPMail の完全停止を予定しているため、その段階で ECS-ID を持つ約 23,000 名が Microsoft Live@edu を使うことになります。
サービスがスタートした Microsoft Live@edu は、メール以外に、インスタント メッセージングのための Microsoft Messenger、画像保存と共有のための Photo、大容量のオンライン ストレージ OneDrive (旧 SkyDrive)、Office ドキュメントをウェブ ブラウザー上で参照、編集する Microsoft Office Web Apps の各機能を提供します。これらのウェブ ユーザー インターフェイスはデスクトップ アプリケーションに準じているため、Outlook ユーザーであれば、違和感なく利用できるようになっています。
メール サービスはユーザー インターフェイスとプラットフォームの組み合わせのバリエーションが極めて多いのが特徴です。PC のウェブ ブラウザーからアクセスする場合に限っても、使われるブラウザーは多岐にわたります。加えて、近年のタブレット端末やスマートフォンの普及に伴い、端末が多様化しています。また、クライアント ソフトが利用するプロトコルにも POP / IMAP に加え、暗号化を利用することが一般的になってきました。これらすべてに対応して、メール サービスをユーザーが高い満足度で利用できるように、今回、京都大学ではマイクロソフトと有償サポートのプレミア サポート契約を締結しました。

「プレミア サポート契約ではマイクロソフト以外の製品を含む環境でも、障害の切り分けまで実施してもらえると聞いており、大変素晴らしいと評価しています。当センターでは従来、「ウェブ ブラウザー以外はサポートしない。それ以外のプラットフォームでの利用は各人で対応してほしい。」とアナウンスしてきました。しかし、それでは広がり続ける学生のメール利用や端末の多様化に対応したサービスを提供できません。学生が一般的な携帯電話にメールを転送した時に、ある通信キャリアには転送できても、別のキャリアにはできないというケースがあります。プレミア サポート契約で、そうしたところまでサポートしてもらえるのは非常に心強いです」 (喜多 氏) 。

<導入の効果と今後の展望>
できるだけ早い時期に Microsoft Office 365 for Education に移行、サービス レベルの向上を図る

Microsoft Live@edu 導入で感じられた最も大きい効果は、国内統合コラボレーティブ環境市場で 7 年連続トップ シェアを獲得している(※)Exchange Server が提供する機能を、学生が在籍中から使えることによる教育上のメリットです。
入学したばかりの頃は、学生のメール利用は高校生活の延長で、家族と友達とのインフォーマルなものが中心です。しかし、研究室に入る段階になると、教員や共同研究相手の学生との、よりビジネスに近いフォーマルなやり取りへと移行します。さらに就職活動期間に入ると、企業とのビジネス的なコミュニケーションが行われるようになります。それらは学生が卒業後、企業に入り、社会の中で行うコミュニケーションのベースになるものなので、京都大学では Microsoft Live@edu を使うことで、フォーマルなメールでのやり取りのノウハウを学べると期待しています。
また、ユーザー サポート窓口がメール、ウェブ、電話での問い合わせが可能であることも高い評価を受けています。

「以前問い合わせをしたところ、メールだけでなく電話でも連絡をいただきました。Microsoft Live@edu はサービスを提供しているマイクロソフトや担当者の顔が見えるので、きちんとした信頼関係を築くことできて、大変良いと思います」 (上田 氏) 。

2012 年 5 月末日で DEEPMail の運用が終わり、学生用のメール システムは Microsoft Live@edu に完全に一本化されます。また、それを踏まえて、京都大学ではできるだけ早い時期に、Microsoft Live@edu の後継サービスである Office 365 for Education に移行、サービス レベルの向上を図っていく考えです。

「Microsoft Live@edu をメール システムとしてしか使わないのはもったいないので、Exchange の機能をフルに使えるようにしたいですね」 (上田 氏)。

京都大学では今回の導入を踏まえて、今後、外部のクラウド サービスを利用するシステムと学内で開発、運用するシステムを切り分け、より高度で信頼性の高いサービスをより低廉なコストで提供していく考えです。そうした中で、マイクロソフトの教育機関向けソリューションへの期待も大きく高まっています。

※ IDC Japan「国内コラボレーティブ アプリケーション市場 2010 年の分析と 2011 年~ 2015 年の予測」 による

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